2016.10.26
今回のテーマは「従業員エンゲージメント」。今月もIABC のウェブマガジンから3本の関連記事の和訳をご紹介した後に、花王株式会社 コーポレートコミュニケーション部門 下平博文様に、「理念で自走する強い組織 Philosophy Driven Organization」と題して、これまでのご経験を交えてお話しいただきました。
花王では、1897年の創業以来、歴代の経営者と社員が大切にしてきた変わることのない価値観を明文化した、花王ウェイを2004年に策定しています。海外事業の強化の方針のひとつとして、2005年3月に花王ウェイの共有が掲げられました。花王ウェイの理解と共有を進める施策のひとつとして、ワークショップを実施しています。このワークショップは職場単位で、職場が主体となって実施するよう設計されています。自分の日々の仕事と花王ウェイの結び付きの理解を促し、効果としてお互いをリスペクトする気持ちが生まれたとのことです。また理念の「浸透」ではなく「共有」することが重要であることに気付かれ、理念活動のポイントとしては、理念浸透が自己目的化しないことに注力されてこられたようです。
30,000人以上にも及ぶ社員一人ひとりが花王ウェイを理解し、実践していくには時間がかかるものの、花王グループの企業活動の拠りどころとなる理念を日々のビジネスにおける一つひとつの判断にいたるまで「花王ウェイ」を基本とすることで、グループの活動に一貫性が得られるようです。また社員にとっては、会社の発展と個人の成長を重ね合わせ、仕事の働きがい、生きがいを得るうえで欠かすことのできない、指針でもあるようです。
一貫して花王ウェイに関わってきた下平さんは、企業理念とは、「筋のよい問いかけ」(Beautiful Question)の集合と考えるに至ったそうです。花王ウェイが発しているもっとも大きな問いは、使命にある「私たちは何のために存在しているのか」です。それには花王ウェイは「豊かな生活文化の実現」と答えていますが、それでは「豊かな生活文化」とはどう定義するのか?何を意味するのか?経営層から現場、間接部門の一人ひとりに至るまで、自分自身に問い続けること。それが、企業としての強さにつながっていく、出席者一同、そのように理解しました。
IABC JAPANでは、毎月CWのテーマに沿った内容で情報交換サロンを実施しております。IABC 会員以外の方でご興味お持ちいただける方を歓迎しています。是非、お誘いあわせの上、ご参加下さい。次回の開催は11/29(火)を予定しており、詳細はまた改めてご案内します。
IABC JAPANウェブサイトより転載