2024.03.21
社内コミュニケーションが不足する原因は?活性化の方法を紹介
目次
社内コミュニケーションは企業運営の根幹を支える重要なものです。組織や会社とは、収益を生み出す集団であり、その中で行われるコミュニケーションが円滑でないと、業務の非効率化や離職率の上昇など、さまざまな問題を引き起こします。 この記事では、社内におけるコミュニケーション不足の原因について分析し、コミュニケーション活性化のための方法についても紹介していきます。
社内コミュニケーション不足で起こること
昨今の日本は、欧米や中国のように、転職をしながら給与をあげていくキャリアスタイルが一般的なものとなりつつあります。実際、多くの企業がJOB型の人事制度を導入し始めており、今後もこの傾向は加速していくでしょう。このような場合、各企業の従業員は数年で入れ替わることになります。そのため、これまで以上に、社員に対するコミュニケーションが経営上必須のものになるでしょう。
海外の先行事例から見えるコミュニケーション不足による問題
社内コミュニケーションの重要性を後押しする「Staffbase」の調査によると、社内コミュニケーションにコストをかけていない企業では、従業員が意欲を失い、結果、企業が支払っている給与の35%が無駄になっているという結果が出ています。
また、業務効率が落ちるため、平均12%の労働時間が浪費されていることもわかりました。
このようにコミュニケーションが不足すると、さまざまな問題が引き起こされます。たとえば対話が少ないことでビジネス上のやりとりに誤解が生じ、現場に不信感が広がるケースが考えられます。
また、議論ができないことで意思決定が遅れたり、前例のないことに挑戦しづらくなったりすることも考えられます。さらに、黙認や忖度をしながら各々が行動をとるようになり、不正が発生しやすい企業風土が芽生える懸念もあります。コロナ禍によってデジタル化が進んだ今の世の中では、対面でのやりとりが減っています。その弊害として、業務中の質問がしにくい環境になってしまうなど、コミュニケーション不足に陥っている企業が少なくありません。
部門同士で情報を共有し合うためのツールやプラットフォームが整っていない企業では、部門と部門の間に情報の壁が立ちはだかるようになっています。
コミュニケーションさせる内容そのものが複雑怪奇
昨今では、コミュニケーションそのものの難易度も上がっていると言えます。
世の中の変動性が高まり、企業が戦略として掲げるテーマは「DX」「SDGs」など毎年のように変わります。
また、社会が急速に変化していくため、かつてよりも世代間のギャップが深刻化しています。コミュニケーション難易度の高い今の世の中では、社内コミュニケーションツールの導入だけでは、一定の解決にしかならないでしょう。
要因をしっかり分析し、解決策を導き出す必要があります。
社内コミュニケーションはほとんど職場内コミュニケーション
職場というのは、 組織や集団の中で、常に顔を合わせて直接的なコミュニケーションができる少人数のグループであり、仕事をするうえで従業員一人ひとりの直接的なコミュニケーションの対象は職場にあります。
当然職場にはさまざまなタスクがあり、それを達成するために従業員がいて、個々にタスクをすすめていますが、このタスクは大きなものから小さなものまであり、必ずしも一人で完結するものばかりではありません。
達成に向けてコミュニケーションやチームワークといった同僚との共同作業の際に、そこにすれ違いがあれば人間関係の悩みに発展することもままあります。
この他者との関りによってうまれるコミュニケーションのギャップが職場の人間関係のバランスを崩し、結果的に悩みにつながります。組織の人的資本のパフォーマンスを向上させるためには、職場の機能や合理的な側面と情愛や精神的な側面のバランスが重要です。
このバランスを保つために、職場内のコミュニケーションが必要であり、良い職場を形成するためには、職場の一人ひとりがコミュニケーションスキルを身につけることが求められます。
職場を分析するゲマインシャフトとゲゼルシャフトの2つの概念
業務や生産性を生み出す職場は、一方で悩みや葛藤を生み出す職場でもあります。
このジレンマは一体何なのでしょうか。家族や集団、組織もしくは国家といった、あらゆる人の集まりがさまざまな要素を含んで重なり合って存在しています。
ドイツの社会科学者のフェルディナント・テンニースはこれらのありかたを説明する際、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトという2つの概念を提起しました。
ゲマインというのは、ドイツ語で「分かち合った」という意味を持ちます。これを英語に直すと「コミュニティ」となります。
一方、ゲゼルシャフトは一般的には「社会」と訳されることが多く、国家機関、政党機関、都市などの自治体、大企業などといった特定の目的や合理的な意思で結びついた集団や組織として位置付けられています。
ゲマインシャフトが「コミュニティ」に相当するのに対して、ゲゼルシャフトは「ソサイエティ」という解釈になります。
わかりやすく言えば、ゲマインシャフトは地縁・血縁などにより自然発生した構成員の意思に基づいて集まる集団であり、ゲゼルシャフトは利害関係などに見られる合理的な意思に基づいて集まる集団です。
このほかにも分類類基準は若干異なりますが、米国の社会学者のチャールズ・ホートン・クーリーは「第1次集団」と「第2次集団」を提唱し、ロバート・M. マッキーバーも「コミュニティ」と「アソシエーション」というような類型化を行っています。
それぞれの提唱された背景は異なるため、これらを考慮して精査や解釈が必要ですが、集団を精神的情愛的側面と合理的功利的側面という大枠はどれも共通しています。
職場は、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトのどちらに該当するのかと問われれば、即答は難しくなります。
大企業や組織の一部である職場も、合理的な側面を持っており、ゲゼルシャフトに当てはまるのかもしれません。
しかし、一つひとつの職場は限られた従業員で構成されており、お互いに顔を合わせながら仕事をする環境が多いため、業務上の権限や役割、責任を超えた密な人間関係で成り立っています。
つまり、職場は機能や合理的な側面と情愛や精神的な側面が共存している状態であるため、時にははっきりとした合理性と暗に示される感情がバランスをとる二重構造がうまれるのです。
また、困難な問題に直面した場合には、業務上の役割や責任を持たない職場の仲間の助けで何とか対処できることもあります。
実際には合理性や功利だけで問題を解決することはできず、あいまいさが混ざり合う状態が職場であると言えるでしょう。
社内コミュニケーションが不足する3つの要因
では、社内コミュニケーションが不足する要因には何があるのでしょうか。ここでは、社内コミュニケーションが不足する3つの要因を解説していきます。
互いの理解不足
1つ目のコミュニケーション不足を引き起こす要因は、互いの理解不足です。
シンプルにコミュニケーションの量を増やすことが近道です。各々の理解が浅くわからないことや、知らないことが多い場合、情報はスムーズに伝わらなくなり、次第に相手との距離が広がってしまいます。
だからこそ、意識的に業務連絡をとり、情報や意思を丁寧に伝え合う姿勢を持つことが重要です。
たとえば、新しい社員が来た際に、すぐに仕事に取り組めるように、具体的な業務内容や情報をしっかり揃えることや、データを可視化する必要があります。
またその際、コミュニケーションする相手との「情報接点」にも気を配ります。
単に物理的な接点を持つことだけでなく、言語レベルに差はないか、またコミュニケーションレベル(ハイコンテクスト・ローコンテクスト)に差はないかにも注意しながら、コミュニケーションをデザインしましょう。
このように「何かを発信し、それを受信者が受け取って理解する」という一連の流れには当然労力や時間がかかります。しかし、これは「コミュニケーションコスト」と言われる必要なコストなのです。これを怠ってしまうと、理解不足の連鎖が生じてしまいます。
ただし、必要以上にコミュニケーションコストをかけてしまうことには注意しましょう。もし過度に時間や労力がかかる場合は、システムを見直すことも重要です。たとえば会議の回数やチャットの件数は、ログ解析によって簡単に可視化することができます。コミュニケーションの履歴をとり、コミュニケーションコストを企業として把握することで、改善策をとることも可能になります。
互いの関係不足
2つ目のコミュニケーション不足の要因として、関係不足という理由が考えられます。上記であげた理解不足が「知らないから動かない」という感情だとすると、関係不足は「知っていても動きたくない」という感情だと言えます。
こうなってしまうと、いくらコミュニケーションをとろうとしても動いてもらえないでしょう。
もちろん「動きたくない」という感情は、主観的な認識です。個人同士の関係、組織と個人の関係、上司・部下の関係、部署同士の関係などによって変動します。
ここにアプローチするためには、どのような問題があるのかを可視化することが重要です。
アンケートやヒアリングなどを重ねてアプローチしていきましょう。心理学や組織論などのフレームワークを活用することも効果的です。
ただし心情の問題である以上、簡単に可視化できる性質のものではありません。診断ツールで一人ひとりについて認識しつつ、相互関係についても気を配るなど、手法を工夫する必要があります。
理解不足と関係不足が複合している
3つ目は上記の「理解不足」と「関係不足」が複合しているというケースです。実際のビジネスシーンで、理解不足と関係不足、どちらが要因なのかを明確に線引きすることは難しいでしょう。
もし線引きをして判断したい場合は、問題となっている集団のサイズによってアプローチをします。
たとえば同じ職場で一緒に業務を行っているような対面式・小規模集団の場合は、ヒアリングやアンケート、ワークショップの実施によって、理解不足なのか関係不足なのかがおおよそ可視化できるはずです。
一方で、エンタープライズと呼ばれるような、分業の組織構造を持ち、システムやルールによって運営されている集団の場合、メディアやトラフィックデータ、また従業員満足度調査を行うのが効果的でしょう。状況によっては、追加で個別にヒアリングをかける必要があるかもしれません。ソフィアのPCFコミュニケーションを行うと、問題点の大枠を把握しやすくなります。
社内コミュニケーションが苦手な人の特徴
チームや職場においては、適切なコミュニケーションが求められますが、中には社内コミュニケーションが苦手な人も存在します。
トーク力や雑談力がないなど、さまざまな特徴があげられますが、ここからは苦手な人でも克服するための具体的な方法や効果的なコミュニケーションツールについてご紹介いたします。
そもそも人(部下・上司)と話すのが苦手
部下・上司と話すのが苦手な理由の1つは、自己表現が苦手であることです。
自分の意見や考えをうまく伝えることができず、自分の意見や提案が正しいかどうか自信が持てないため、他の人に反論や批判をされるのではないかという心理状態です。
自分が話した後に突っ込まれたり、質問されたりすることに対し、大きな負荷がかかります。
切り返し答えられればよいのですが、想定外の質問であればなおさら、コミュニケーションに対する苦手意識がさらに高まります。
また、仕事に集中しているために話すことに時間を割きたくないという人もいます。
仕事に没頭しているときに、他の人とのコミュニケーションに時間を割くことがストレスとなる場合もあります。
このような人は、仕事に集中するために、コミュニケーションを避ける傾向があります。
このほか上司との関係性が原因で話をしたくないというケースもあります。職場内の不和が原因で話すことが億劫に感じられるといった、職場内の不和がコミュニケーションの壁となるケースも少なくありません。
トーク力や雑談力がないという思い込み
同じようなケースで、話そうとするも相手との会話がスムーズに進まず、自分の意見や考えをうまく伝えることができない人もいますが、多くのケースで改善は可能です。
このタイプは相手の反応を過度に気にしすぎることから、自縄自縛的な思考に陥りがちです。
自分の発言に対して相手がどのような反応をするか気にせず、思ったまま話すことが大切です。相手がいる以上賛成も反対も同じくらいあって当然なので、仕事に限らず普段から会話をする機会を増やしましょう。
友人や家族との会話を積極的に行い、リラックスした状況で自分の意見を述べる練習をすることが役立ちます。
嫌われることに抵抗がある
嫌われる勇気とは、アルフレッド・アドラーの著書「嫌われる勇気」によって広まりました。
著者は他人の評価や承認に囚われず、自分自身を大切にすることが人生の幸福につながるというメッセージを伝えています。
かつての日本の社会は、他人との調和や集団の一員であることが重んじられてきたため自分自身を表現することや他人と異なる意見を伝えることは、調和を乱すものとして遠ざけられてきました。
今でも旧態依然の不文律によって、新たな価値創造の機会を失っていることも多いのではないでしょうか。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は「他の人に比べて劣っている」という劣等感に囚われています。
自分の考えよりも他者の評価が重要視しているため、自分の意思で決断する局面でも、自分がどう思うかより、他者から否定されない選択肢を選んでしまいます。
また「自分はできない」といった自己不信に陥ると、できるかもしれないというわずかな可能性すら浮かばず、自分が何か成果を出したときにも、それが自分の力によるものだとは認められなくなります。
このように周囲から承認されたいという気持ちが大きすぎると、かえって自分を頼れなくなるのです。
社内コミュニケーション活性化の目的
会社という1つの組織の円滑な運営のため
組織を動かすということは簡単ではありません。いわば内側から組織を動かす原動力こそ従業員一人ひとりの行動です。
この原動力の源は社内コミュニケーションであり、社内コミュニケーションが活発に行われることで、従業員同士の情報共有や意思疎通が円滑に行われ、業務の効率化が図られます。
各部署やチームが持つ知識や経験が広く共有されれば業務の重複や無駄な手間がなくなるなど、情報が隅々まで届いた結果、
し、社内での情報共有が活発に行われ新たなアイデアやイノベーションがうまれる可能性も高まります。
組織のリーダーや管理者は、社内コミュニケーションの重要性に理解を深めながら組織運営することが求められています。
苦手な社内コミュニケーションを克服する方法
ではここからは苦手なコミュニケーションをどのように克服すればいいのか具体的に見ていきましょう。
論理的に話す
コミュニケーションの苦手意識は「相手にわかってもらえない」ということにあります。
相手がわからないところで一旦立ち止まり、わかるように整理しながら話すだけでも伝わる情報量は変わります。
この整理することが「分ける」であり「わかる」ことにつながります。
論理的な話し方は、情報を整理し構造化することで、伝えたいことを言葉を介して相手の中に描くことです。
わかりやすくたとえるなら、相手が頭の中で話の見取り図を描きやすいように、話し手が提供する「地図」にあたります。
話の中で同じ道筋をたどりながらゴールに導くため論理的思考を用いた手法です。
論理的思考とは、筋道を立てて考える能力のことであり、複雑な事柄をわかりやすく説明する能力とも言えます。
上手な人の真似をする
多くのポイントがある中から共通するのは、相手の気持ちを考え、意見や感情を尊重しながら話すことが何よりも大事です。
さりげなく相手の意見や感情に共感し、理解を示しながら心理的距離感を縮めることや、目的と結論から話すことも上手なコミュニケーションのポイントです。
職場にいる身近な存在に上手なコミュニケーションのポイントを学ぶのが一番の近道になるため、上手い人の話し方や態度、表情などを観察し、自分に合ったかたちで取り入れコミュニケーションスキルを向上させましょう。
社内コミュニケーション活性化の方法
コミュニケーションに関する課題が見つかったら、さっそく改善策を講じましょう。以下では、社内コミュニケーションを活性化するための具体的な方法を紹介します。ただし、これらはあくまで一例です。自社で課題を整理し、必要な対応策をとることが大切です。
コミュケーションの状態を可視化する
まずはコミュニケーションそのものを調査します。詳しい調査方法はこちらに記載しています。所属部署や職種などの属性による差異や、ハイパフォーマーの特性などを分析しましょう。組織におけるコミュニケーションの停滞箇所や、従業員の意識・行動レベルの高低に影響する要因を抽出していきます。
コミュケーション戦略を立てる
要因を洗い出したら、コミュニケーション戦略を立てていきます。
まずは社員の考えや行動、環境に合わせ、短期的かつ柔軟に取り組むべき施策を決めます。同時に、目指す状態に向けた中長期的な取り組みも描き出します。
それぞれにKPIを設定し、PDCAサイクルを回しながら臨機応変に取り組みを推進します。
従業員へのアプローチを図る
対面の方法論
戦略に合わせて、実際にプロジェクトを動かしていきます。
たとえばカルチャー変革を狙う場合、ワークショップや研修など直接的な従業員へのアプローチを実施しましょう。同時に、組織全体に対するメディアを通じた情報発信も実施します。
社員の新しい行動を成功体験へとつなげ、それを組織全体に広げていくことで新しいカルチャーとしての定着を図りましょう。
魅力的なインターフェースやコンテンツを創る
社員に刺さるような制度や社内報、各種クリエイティブの整備もしていきましょう。従業員が主体的に取り組める雰囲気を作っていくことで、コミュニケーションに参加する人数を増やしていきます。
コミュケーションインフラを整える
ポータルサイトや社内SNSなどのコミュニケーションインフラを導入するのも効果的です。利用ルールや運用ガイドラインを作成し、リスク管理体制の構築をしたうえで、運用していきましょう。
場をデザインし、コミュケーションスキルをつける
コミュニケーションの環境を整えても、いつも発言する人が一緒だったり、若手社員が萎縮してしまったりという問題が出てくることがあります。その場合は、コミュニケーション研修などの場を設け、各々のコミュニケーションスキルを高めていきましょう。トレーニングを行うことで、より円滑なコミュニケーションが実現するでしょう。
非日常の空間における社内コミュニケーションを活性化させるイベント
組織が高いパフォーマンスを維持しながら協働していくためには、従業員間での「共感」や「共鳴」「共振」、そしてそれらを生み出す「共体験」の機会を作ることが重要です。
社内コミュニケーションイベントは、目的を踏まえながら従業員をワクワクするような共体験ができる「非日常の場」のデザインが求められます。
とくに、対面の方法論をご紹介、社内と法やイントラなど、こちらの記事をご参照ください。
社内コミュニケーションは、常に不足している
社内コミュニケーション不足を問題として捉えるケースにおいて、発生頻度が高いのが、ミスコミュニケーションの発生です。
ミスコミュニケーションは、誤解を生んで社内の人間関係を悪化させたり、手違いや勘違いによって業務を滞らせたりしてしまいます。
ミスのレベルによっては、企業や職場に大きな損害を与える場合もあるので、常に脇を締める必要はあるものの、完全に防ぐことは実務上不可能です。
ポストモダンの思想家であるジャック・デリダは、人と人の間のコミュニケーションを「郵便」にたとえました。
郵便と聞いて、どのようなイメージが湧くでしょうか。
まず、発信者と受信者の間には必ず時間的な差異が生じます。郵便物が届くのには2~3日の時間的な遅延があります。
現代では、電子メールやチャットは時間的差異をなくし、既読未読の誤解をうむように発展しています。デリダはこれを「遅延」と表現しました。
そしてもう1つ、郵便には配達人の手違いにより誤った住所へ届けられる可能性もあります。デリダはこれを「誤配」と呼びました。
デリダ哲学を通じて言えば、「遅延」と「誤配」によって、人と人とのコミュニケーションが成り立っているのです。
この解釈としては、コミュニケーションは、伝える側から受け手側へと完全に「伝わる」ということはないという不可能性の話をしています。
常に遅延や誤配が伴い、それを解消することは不可能です。
そこで、デリダは私たちに遅延や誤配の意識を持ちながらコミュニケーションを行うよう促しています。
言い換えれば、コミュニケーションの不可能性を常に頭に置いておくことなのです。
それぞれの社員が誤解が生じる可能性を意識することで、誤解を最小限に抑えることができるのではないでしょうか。
逆に、自分のメッセージが必ず理解されるという傲慢さから、対立や葛藤が生じることも言えます。
誤解がつきものであるということを社員が心に留めることは、優れたコミュニケーションの基盤であり、社内コミュニケーションは不足していることが前提であるということをデリダ哲学が教えてくれることです。
多くのコミュニケーションにおいて無駄な情報を排除して合理化をすすめても逆効果です。
さりとてとりとめのない話ばかりしていても一向に前に進みません。極端にかたよらずバランスをとりながら中道を進むことがコミュニケーションスキルの向上につながります。
社内コミュニケーションの方向性が違ってしまったら
過去・現代で共通する社内コミュニケーションの問題は、声の大きな人間、影響力のある人間の言葉が重視されてしまうことです。
コミュニケーション環境が複雑化し、なかなか可視化できない現代で、誰かの主観や感情論が通ってしまうと、判断を誤る可能性が高くなります。
防止策として、社内コミュニケーションの状況を構造的に整理し、社内に喚起することが大切です。フレームワークを用いたり、パルスチェックで記録をとったりして、科学的に分析するのが効果的となります。
まとめ
社内コミュニケーションが不足すると、企業は大小さまざまなトラブルを抱えやすくなります。コミュニケーションの重要性を再認識し、現状を整理しながら対応策を練っていきましょう。
コミュニケーションの問題を解決するためには、フレームワークを用いたり、パルスチェックで記録をとったりして、科学的に分析する方法もあります。
自社に必要な対策がわからない場合はぜひソフィアまでお問い合わせください。
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よくある質問
- インターナルコミュニケーションとは何ですか?
社内やグループ会社内など、同一の組織内における広報活動のことです。「社内広報」や「インナーコミュニケーション」とも呼ばれ、社内報や社内セミナー、対話集会などを通して、社内におけるコミュニケーションを活性化する活動全般を指します。
こうした活動は、組織の価値観や文化に対する社員の知識・理解を深めることにつながります。会社のビジョンを外部に向けて主体的に発信することのできる社員を育成し、組織全体を良い方向へと導く取り組みとして、インターナルコミュニケーションが行われます。
- 社内コミュニケーション不足で起こることとは具体的に何か?
社内コミュニケーションにコストをかけていない企業では、従業員が意欲を失い、結果、企業が支払っている給与の35%が無駄になっているという結果が出ています。また、業務効率が落ちるため、平均12%の労働時間が浪費されていることもわかりました。
このようにコミュニケーションが不足すると、さまざまな問題が引き起こされます。例えば対話が少ないことでビジネス上のやりとりに誤解が生じ、現場に不信感が広がるケースが考えられます。
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
株式会社ソフィア
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人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。