2022.12.21
インナーブランディングに失敗しないためには?実施すべき理由と対策をご紹介!
目次
インナーブランディングは、顧客満足度やサービス品質などの業績に直結するため企業にとっては重要な取り組みです。しかし、インナーブランディングを行おうとしても上手くいかずに失敗する企業も少なくありません。インナーブランディングがうまくいかない場合、業績を含むさまざまな事柄に影響が生じる恐れがあります。
この記事では、インナーブランディングがなぜ失敗してしまうのか、失敗しないためにはどのような対策を講じるのがいいのかを解説します。
インナーブランディングはなぜ失敗するのか?
インナーブランディングとは、企業理念や価値を定義し、自社の従業員に対して共感と行動変容を促す活動を指します。ここでは、なぜインナーブランディングに失敗するのか、また、インナーブランディングを実施すべき理由を解説します。
インナーブランディングを実施すべき理由
雇用形態や働き方が多様化し、人材の流出入が激化するなかで、企業は人材の流出防止に取り組む必要性が生じました。その際に有効な手段となるのがインナーブランディングです。インナーブランディングは「ブランドや企業の目標を実現するために、目標実現に向けた行動を従業員一人ひとりが自分事化すること」が目的です。つまりインナーブランディングが順調に進めば、従業員や社内関係者が自ら進んで企業理念やブランドコンセプトに基づいた行動を行うようになり、その結果、会社の目標達成や、ブランドが目指す価値を実現できます。従業員のモチベーション向上や、会社の理念に沿った新事業の創造など、企業の成長に欠かせない効果も期待できるのです。こういった背景から、近年多くの企業が積極的に取り組むようになりました。
インナーブランディングについて詳しく知りたい場合は、下記をご参照ください。
Forbesの調査によると、自社のブランドを重んじているという従業員は、全体の50%以下であり、ブランドの魅力を体現するスキルがある人はさらに少ないという結果が出ています。このように自社のブランドの魅力が従業員に浸透していない場合が多くあります。このような状況にありながら、企業が成長するためには、従業員が自社の魅力を発信する必要があります。インナーブランディングを行うことで、自社の魅力を浸透させ、継続的に発信することが可能となります。
インナーブランディングが失敗する理由
組織都合やマーケティング都合の、インナーブランディング活動は上手くかないケースが少なくありません。従業員の目線や組織の状況を無視した中で、理念や行動指針を、ビジネス活動や行動に落とし込み強化してしまっているケースは、従業員の状況や感情と望ましい行動と価値観に整合性がとれなくなってしまうため失敗するのです。よくあるケースは、従業員の理解や納得を得るプロセスが不十分な状態で、ワークショップや制度など従業員の行動に直結するアプローチを行い、拒否反応や強い抵抗が起きるというものです。そして厄介なことに、このアプローチは、失敗している状況が非常に見えにくいのです。それは、理念浸透の対話ワークショップや対話会は、直後のアンケートなどで批判的反応を公式表明する従業員が出にくい傾向にあるため、良い結果が出てしまいがちなためです。むしろ悪い反応がある方が、長期的に見て良い可能性があります。
従業員一人ひとりは、日々の業務をこなし、社内調整などに追われながら、時間内で成果を出すことに必死な場合も多くあります。自社のブランドや企業理念という概念に触れる機会もなく、下手するとその機会の必要性がないとすら思っている従業員も少なくありません。企業理念やブランドが理解されていなくても、業務が回っている状態の企業もあります。このような状況では、インナーブランディングを行おうと思っても失敗してしまうことが多々あります。 ブランドや企業理念を従業員に浸透させるためには、従業員の声をインプットすることが最重要です。理念やブランドと、従業員の企業へのエンゲージメントが企業と社員のつながりを強め、従業員の帰属意識が高まります。帰属意識が高まると、商品開発や営業販売などの業務へのワークエンゲージメントメントにつながり、顧客満足や企業業績を生み出します。
インナーブランディングに失敗しやすい企業の特徴
ここからは、インナーブランディングに失敗しやすい企業の特徴を分析していきます。
短期的に目標達成をしようとしている
インナーブランディングに失敗してしまう多くの企業は、インナーブランディングの活動が短期的で刹那的になっている傾向があります。本来インナーブランディングは、中長期的に腰を据えて行うべきものです。エクスターナルブランディングと要領は同じですが、短期的なスパンで実施しようとすると失敗してしまいます。
理念・価値観の浸透は従業員の意識の問題に関わるので、内容を理解した上でそれを咀嚼して自分ごとにするためには丁寧なコミュニケーションや体験の機会が必要なため、時間がかかるからです。実際に、短期的に進めようとしたり、中途半端に施策を進めたりした結果、かえって遠回りしなくてはなりません。
社内報や制作物などの開発に注力しすぎてしまう
目的が曖昧なまま社内報や制作物などのコンテンツ・クリエイティブ開発に注力しすぎてしまうと、インナーブランディングに失敗してしまいます。外向け(エクスターナルブランディング)と大きく違うのは、社内報などの制作物以外に、効果的に伝える手法がインナーブランディングには存在する(社内ポータル、社内SNS、研修、人事制度など)という点です。そのため、複数をケースバイケースで活用する必要があります。
ブランドの前に理念体系が浸透していない
もうひとつは、そもそも企業理念が浸透していないケースです。現場の従業員は、経営層が思っている以上に会社のブランドや価値観に意識が向いていないものです。理念を理解していなくとも、業務が回っている状態であれば理解する必要がないと考える従業員もいるでしょう。特に業務の効率化、最適化に取り組んでいる場合は「何も考えずに業務だけを行っていればいい」というような「硬直化」が起きてしまう可能性があります。このような状況でブランドや価値観を浸透させようと研修やワークショップ、eラーニングといったインナーブランディング施策を行っても、現場の不満が余計に募り、結果としてインナーブランディングに失敗してしまいます。
インナーブランディングに失敗するとどうなる?
人が直接的な価値を創出している事が重要な現在においては、インナーブランディングが業績に直結します。従業員が抱く自社ブランドへの価値観が、直接サービスに影響するためです。つまり、インナーブランディングの失敗は業績に影響するということです。
今後は全産業でデジタル化・機械化が進みます。その結果、企業は人や組織そのもので競争するようになるでしょう。そのため、人が直接的な価値を創出している産業においては、インターナルブランディングが業績に及ぼす影響はますます拡大していきます。 そもそもインナーブランディング活動は、継続的且つ流動性を前提として行うコミュケーション活動です。インナーブランディングに失敗している会社とは、活動自体を辞める、もしくは継続していない会社です。中断あるいは停滞の状態が続くということは、現場の持っている意識と経営者の意識が時間が経つにつれどんどん離れていくということになります。インナーブランディングに失敗するということは、現場の持っている意識と経営者の意識が乖離しているということの表れでもあるため、しっかりと活動を継続していきましょう。
インナーブランディングに失敗しないための対策や具体的な施策をご紹介
ここでは、失敗を避けるための具体的な対策を紹介していきます。ただし、すべてを紹介するのは難しいため、初歩的な対策に絞って説明します。
よく話をして従業員や組織のインサイトを見つける
失敗を避けるためにまず大切なのは、対話の機会を多く持つことです。
アンケートなどでは、従業員の価値観や考え方をしっかりと把握することは難しいので、ヒアリングや対話会などで、できるだけ直接的なコミュニケーションをとるようにしましょう。すべての従業員を対象にする必要はないので、人数を絞って実施するのもいいでしょう。施策を実施する際は、従業員にわかりやすく、強制はせず従業員の主体性に任せるかたちで実施します。得られた現場の課題や要求は要約し、運営側の考察と今後の施策の説明も加えて従業員向けの報告書や社内報などで発信しましょう。
インナーブランディングを効果的に行うための施策をする
以下では、インナーブランディングを成功させるために取り組むべき施策についてご紹介します。
ストーリーを創造する
- まずは、ストーリーテリングによって物語性をもたせることが大事です。感情に訴えることで共感を呼び、行動変容につなげることを狙います。特に組織の強み(コアコンピタンス)や可能性(ケイパビリティ)に着目してストーリーを組むのが効果的でしょう。従業員が納得するストーリーに磨き上げることで、自主的な行動を促します。
戦略を立てる
-
- ストーリーができたら、企業におけるマーケティング(インターナルマーケティング)に取り組んでいきます。企業の今の強みや、従業員が抱えている要望を把握し、従業員体験を向上させていきましょう。事例を下記に紹介します。
-
- また、戦略を立てるためにはコミュニケーションも重要です。課題とスケジュールをしっかりと把握するためにもコミュニケーションを取り、適正なメンバー・リーダーを選出する必要があります。戦略を遂行するメンバーには相応の権限を付与するようにしましょう。こちらも事例を紹介しますので、参考にしてください。
- 従業員を満足させる戦略が見つかれば、組織へのエンゲージメントが高まる足がかりになるでしょう。エンゲージメントが向上すると、従業員の自主的な行動にもつながります。
変化を創る
-
- 従業員の動機付けが完了し、戦略を立てられたら、実際に変革のための具体的な取り組みを行います。変革のためのプロジェクトチームを立ち上げ、新しい行動指針を策定し、アクションを起こしていきましょう。アクションを起こした後は、施策の成果を把握し、PDCAのサイクルを回しながら精度を上げて次の行動につなげます。
特にボトムアップの活動を短期的に行い、従業員が成果を感じやすいように工夫すると効果が高まるでしょう。 成果が少しずつ見え始めたら、それをもとに新たな成果を生み出すことも重要です。成功のプロセスを社内に共有し、実践が広まることでさらに変革は加速していくでしょう。
このような新しいプロセスが定着してくると、意識しなくても新たな成果を創出できるようになります。また、その成果には適切な報酬を与え、何度も繰り返すことができれば、継続的な変革に繋がります。
まとめ
インナーブランディングの失敗は、企業の雰囲気を悪化させたり、業績にマイナスの打撃を与えたりする可能性があります。その一方でうまくいけば、企業を変革させることができ、業績の向上につながるでしょう。専門家を入れたり、フレームワークを取り入れたりしながら、失敗のないインナーブランディングを目指していきましょう。
関連事例
よくある質問
- インターナルブランディングとは何ですか?
会社の理念や価値を明確に定義づけ、自社の社員に浸透・共感を促す活動です。
従業員一人ひとりが理解・納得した上で意識変革・文化変革をしていくことがインターナルブランディングの軸となります。
企業を内側から変革し、企業価値を向上させ、より理想的な姿の実現を目指すものがインターナルブランディングです。
具体的な活動内容には、社内外の広報活動や社員研修などの教育活動のほか、報酬制度や人事評価制度などの具体的なシステム改革も含まれます。
- インナーブランディングに失敗するとどうなる?
インナーブランディングに失敗している会社とは、活動自体を辞める、もしくは継続していない会社です。中断あるいは停滞の状態が続く原因は、現場の意識と経営者の意識が、時間とともにどんどん離れてしまうところにあります。インナーブランディングに失敗するということは、現場の持っている意識と経営者の意識が乖離している表れでもあります。
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。