ワークエンゲージメントサーベイとは?目的と調査のプロセスを解説

「ワークエンゲージメントサーベイ」とは、従業員の「やる気」を把握するための調査です。今回は、ワークエンゲージメントサーベイに関して目的や、プロセス、実施方法、ポイントなどを詳しく解説します。

従業員のやる気を可視化するワークエンゲージメントサーベイとは?

ワークエンゲージメントには、仕事と人の関係性において

オランダ・ユトレヒト大学 シャウフェリ教授らが提唱した概念

活力:仕事から活力を得ていきいきとしている
熱意:仕事に誇りとやりがいを感じている
没頭:仕事に熱心に取り組んでいる

この3つが揃った状態を、仕事に対してポジティブな心理状態として定義されています。 ワークエンゲージメントは調査をすることで企業が抱える課題を明白にし、解決に向けた対策を取ることが可能です。
「ワークエンゲージメントサーベイ」は、従業員のワークエンゲージメントをスコアリングするために社内調査し、現状を把握することを目的とします。

組織の現状を客観的に把握することで、必要で的確な対策を取ることができる上に職場の問題点を見つけることができます。企業の中には、調査を実施したものの「やりっぱなし調査」や「集めっぱなしデータ」といった調査結果を活用できていない企業もあります。調査したデータを活用し組織の課題を見直すことが大切です。

ワークエンゲージメントの測定方法

ワークエンゲージメントの測定方法には、以下の3つがあります。

 測定方法
MBI-GS
(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
・疲労感×5項目
・シニシズム×5項目
・職務効力感×6項目
の計16項目の質問を行い、回答を得て測定します。
OLBI
(Oldenburg Burnout Inventory)
「疲弊と離脱」というマイナスな質問の構成です。
この質問の結果が低いほど、ワークエンゲージメントが高いと測定することができます。
UWES
(Utrecht Work Engagement Scales)
活力」「没頭」「熱意」の3項目より17個の質問を行います。
ワークエンゲージメントの測定方法でよく使用されています 。

ワークエンゲージメントサーベイを行う上で知っておくべきこと

厚生労働省 令和元年版 労働経済の分析」によると、人手が不足している企業では人手が足りている企業と比較しワークエンゲージメントが低い状況にあります。

また、人手が足りている企業でも、正社員はワークエンゲージメントが高かったのに対し、非正規雇用者はワークエンゲージメントが低いという結果になっています。

さらに、年収の増加や労働時間が短くなっただけではワークエンゲージメントのスコアは大きく変化しません。「役職が高くなった」「人間関係がよくなった」などの場合は、ワークエンゲージメントのスコアが向上します。

ワークエンゲージメントサーベイを実施する目的

ワークエンゲージメントサーベイを実施する目的としては、以下の3つがあります。

  • 人事施策に活用する
  • 組織課題を可視化する
  • 従業員の考えを把握する

ワークエンゲージメントサーベイを実施することで、組織における課題を発見し、適切な対策を取ることが可能になるためです。業務改善や生産性向上、企業の成長につながります。

それぞれ詳しく解説していきましょう。

人事施策に活用する

ワークエンゲージメントサーベイを実施することで、「コミュニケーション不足」「モチベーションの低下」「やりがいを感じない」「従業員に主体性がない」などの人事の課題が明白になります。

課題が見えたら適切な対策を取ることが可能です。「1on1ミーティング」や「業務のフィードバック」、「労働環境整備」といった適切な対策を取ることができます。などが対策として挙げられます。

組織課題を可視化する

組織が大きくなると課題や問題点が見えにくくなります。とくに、人間関係は可視化されにくく、従業員の本音が分からないケースことは少なくありません。従業員がどれくらいのモチベーションで業務にあたっているか、組織にどのような印象を持っているのかといった要素は、売上や利益率だけでは確認できないのです。

たとえば、リーダーとなる人材が育っていない、リーダーはいてもサポートするメンバーとの信頼関係が築けていないといったケースがその例です。人間関係を可視化することで、改善点や気づきが生まれ、組織課題を解決ることに役立ちます。

従業員の考えを把握する

ワークエンゲージメントサーベイを行うことで、従業員が組織に抱いている理想と現実のギャップを把握することができます。従業員が感じていたことと組織の方向性との違いや温度差、企業理念やビジョンの浸透度合や業務への不満など、ワークエンゲージメントサーベイを通して理解することで組織の改善につながります。

ワークエンゲージメントサーベイの調査方法

「ワークエンゲージメントサーベイを実施したいけど、方法が分からない」「ワークエンゲージメントサーベイでコストをかけたくない」という企業も多いでしょう。

ここでは、ワークエンゲージメントサーベイの調査方法をご紹介します。

自社による調査を行う

簡単にワークエンゲージメントサーベイを実施できる方法は、自社による調査を行うことです。

自社の風土や方向性に合わせ、自由に設問することが可能であり、また 専門会社に依頼するよりもコストを抑えることができます。

質問事項作成の例は以下のようになります。

  • 仕事にやりがいを感じているか
  • 先輩や上司、同僚と良好な関係を築いているか
  • 成長を感じているか
  • 成果を出す機会があるか
  • 自分が期待されていることはどんなことか

上記の質問を投げかけ、ワークエンゲージメントサーベイを行いましょう。

専門会社に調査を依頼する場合の落とし穴

質問から分析までを自社で行うことが難しいと感じている企業は、専門会社に依頼をしてワークエンゲージメントサーベイを行う場合もあります。

しかし、コストがかかってしまう上、自社の社風に沿った設問とは外れる場合もあり、期待通りの結果を得られない可能性があります。

そのため、ワークエンゲージメントサーベイの調査は丸投げは避けましょう。自社で舵を取って行うことにより自社なりの課題を明確にし、解決していく過程がワークエンゲージメントの向上につながります。

ワークエンゲージメントサーベイの具体的プロセスを解説

ワークエンゲージメントサーベイの具体的なプロセスは以下のようになります。

  1. 組織のビジョンを浸透させる
  2. 組織の問題点や課題を洗い出す
  3. 組織を最適にデザインする

調査の目的を明確にして目的を従業員や組織全体で共有することや調査項目を決定すること、結果をフィードバックすること、課題対策に取り組むことなどでワークエンゲージメントを向上させます。

また、調査を継続的に実施することもワークエンゲージメントの向上には重要です。

ワークエンゲージメントサーベイの具体的プロセスの内容は以下の記事をご参照ください。

ワークエンゲージメントサーベイのポイント

ワークエンゲージメントサーベイを進めるためのポイントはいくつかあります。

基本的に調査を行う際は、あまり複雑にしすぎないことがポイントです。簡単な調査にする、専門用語を使わない、自由形式の質問は避けるなどの配慮が必要です。

調査の所要時間は5〜10分程度が目安であり、簡単ですぐにできる方法が効果的となります。

また、専門用語や自由形式を避け、 誰もが簡単に理解できる言葉や形式を使用するようにしましょう。従業員が調査に回答する可能性と正確性を高めるために最初に簡単な質問を設定するのもポイントです。

変革のプロセスそのものがワークエンゲージメントの向上につながる

ワークエンゲージメントを変えるプロセスそのものが、ワークエンゲージメントの向上につながることを理解しておくことが大切です 。たとえば、一つの課題に対し従業員自ら判断し行動したとします。そこで「自分は企業を支えている」「自分のやったことが組織に反映されている」と感じることで当事者意識が高まり、ワークエンゲージメントは向上するでしょう。

ワークエンゲージメントを高めるためには、「コミュニケーション」が必須です。何気ない会話からでもさまざまな発想、気づきが生まれます。円滑なコミュニケーションは、意見調整や意思決定がスムーズに進み、高いパフォーマンス発揮につながります

まとめ

効果的なワークエンゲージメントサーベイを実施することで、従業員のモチベーションの向上と企業の成長が期待できます。さまざまな測定方法がありますが、まずは自社で簡単な質問項目を設定して気軽に進めることをおすすめします。従業員が積極的に楽しく行うことを前提として、プロセスやポイントを理解して実施しましょう。

ソフィアでは、ワークエンゲージメントサーベイを的確に進めるためのサポートを行っています。自社で正確かつ効果的なワークエンゲージメントサーベイの実施を検討している企業は、ぜひご相談ください。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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