風通しの良い職場とは?特徴と目指すための具体的な施策を紹介

従業員が職場に求める条件には、多々ありますが、代表的なものとして「風通しの良い職場」であることが挙げられます。職場の人間関係や雰囲気の比喩表現である、風通しの良い職場とは具体的にどのようなものなのか、職場の風通しが良いと企業にはどんなメリットが期待できるのかを解説します。また、風通しの良さを作る方法についても解説しますので、魅力的な企業を作るための参考にしてみてください。

風通しの良い職場とは?

ここからは、「風通しの良い職場」について整理していきます。そのためにまず「職場」の定義や「風通し」の意味について理解を深めていきましょう。

職場の定義

職場とは、数多くある組織の中でも、常に顔を合わせて直接的なコミュニケーションを取れる少人数の集団のことを言います。
また、職場は目標や機能を達成する集団という合理的・功利的側面と、人間関係や心理的安全性・風土など精神情愛的側面が、併存する集団です。この均衡が崩れることで問題が発生する場合もあり、均衡を調整するのはコミュケーションであるため、職場で必要なコミュケーションスキルを身に着けることが、良い職場の形成につながります。

風通しとは

風通しが良いとは、意見や考えを遮るものがない状態を示す比喩表現です。つまり、立場に関係なく自分の意見を主張しやすく、コミュニケーションがスムーズに進むような環境のことです。

組織論の領域においては、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が「「組織の成功循環モデル」の中で「関係の質」として言及しており、組織開発では、「メンテナンスプロセス」として場の関係性について言及しています

具体的には、関係性がフラットであることや、上の立場の人たちが、従業員の声を真摯に聞く姿勢を持っている職場の環境が、風通しの良さと言えるでしょう。

つまりは、職場の人間関係をベースに、業務上のコミュケーション及びコミュニケーションスタイルが心地よく淀みなく風のように通っている状態と言えます。

風通しが悪い場合は要因としてこのベースが整っておらず、複雑な業務や挑戦的な業務、もしくは、ちょっとミスや不信、タスクとの折り合い(契約的な関係と人間的関係)などで対人関係が悪くなるケースがあります。さらに、風通しが悪くなると業務上のコミュニケーション自体が不足しがちになります。「風通しの良い職場」にするためには、「ベースとなる職場の人間関係」、「業務上のコミュニケーションの問題」の両方にアプローチが必要です。

風通しの良い職場の特徴

風通しの良い職場の具体的な特徴について解説します。ここでは、諸説ありますが、代表的な3つのポイントを挙げます。これらの要素が揃っている場合、その職場は風通しが良いと判断できるでしょう。

社員間でコミュニケーションが活発である

まずは、社員間のコミュニケーションが活発であることです。コミュニケーションが円滑に取れていることで、業務で分からないことがある場合や、トラブルの際に、立場を気にせず気軽に相談することができるでしょう。

また、会話はもちろんですが、風通しの良い職場は挨拶もコミュニケーションの一環として意欲的に取り組んでいます。全員が明るく挨拶を交わすことで、活気が全体に広がり、職場全体の雰囲気も和やかで、明るい印象を持つことができます。
さらに、コミュニケーションが活発な職場では、中途や新入社員など、まだ経験が浅い人が相談やわからないことを聞きやすくなり心理的安全性が高くなります。

互いを信頼し受け入れ合っているのであれば「これを言ったら周囲に責められるのではないか」などの懸念を抱く必要がないのです。このような社員間のコミュニケーションが活発に取れており、心理的安全性の高い環境があることが風通しの良い職場と言えるでしょう。

意見交換や議論が行われている

風通しの良い職場では、業務に関する議論や意見のやりとりが活発に行われます。上司と部下の関係が良い意味でフラットなので、思ったことや自身の考えを率直に主張できる環境があるのです。簡単に言えば、反対意見や異論を主張できる状態です。意見交換や議論には、高いコミュニケーションスキルが求められます。

風通しの良い職場では、

意見交換や議論に用いられるコミュニケーションスキル4選

    • 「対話」

お互いの立場や意見の違いを理解し、そのズレを擦り合わせる

    • 「ファシリテーション」

プロジェクトメンバーの支援や社内外の関係者との調整・折衝を行う

    • 「ディスカッション」

対立せずに意見を出し合うことで、納得できる結論を見いだす

    • 「ディベート」

特定のテーマについて対立する立場に分かれ、討論した末に、どちらが優れていたかを第三者がジャッジする

などのスキルや手段を活用することができています。意見交換や議論を活発に行い、風通しを良くするためには上記のようなコミュニケーションスキルを高めることが必要です。

社員が自律している

基本的には、上記の見出しで解説したコミュニケーションの観点が、風通しの良さを表すポイントになります。

しかし、コミュニケーションだけでなく、社員の働く姿勢にも、風通しの良さが見受けられることがあります。風通しの良い職場では、社員一人ひとりが自身の行動に責任感を持ち、目的達成のために自律して働いています。

自分に任された役割を把握していて、それぞれが専門的な高いスキルを持っているのです。そして、取り組むべき業務範囲を明確に認識しています。各々が、会社が掲げる理念・ビジョンを理解し共感し、組織と社員が同じ方向を向いているからこそ、全員が自然とビジョンに則って行動できるのです。

風通しの良い職場のメリット

「風通しの良い職場」を理想の職場であると感じる人も多いでしょう。コミュニケーションが活発で明るい雰囲気のある職場は、働く人たちの目には魅力的に映ります。
では、企業側において風通しがいい職場を目指すメリットには何があるのでしょうか。主に考えられるメリットを、以下にて4つご紹介します。

危機やチャンスに柔軟に対応できる

風通しが良い職場では、堅苦しいルールや形式的な決まりごとがなくても、各々が企業のビジョンに従って自由に発言することができます。ルールが柔軟であるために、堅苦しい承認などを必要とせず、危機的状況もチャンスと認識して積極的に業務を進めることが可能です。各々が専門性を発揮する土壌も作りやすいでしょう。
また、あらゆる立場の従業員が、率直な意見をぶつけてくれるので、出される意見が多様化します。すると、個々の考えでは辿り着かなかった課題や、それに対する有効な改善策を得られるようになります。課題発見と改善を繰り返すことで、組織の成長につながるはずです。

生産性が高くなる

風通しの良い職場では、意見を主張することができ、周りの従業員もそれに向き合おうとするため、自分の意見が尊重されていると感じることが多くあるでしょう。そのため、従業員は業務へのモチベーションを高く保つことができ、ルーティンや通常業務を高い水準でこなせるようになります。

また、難しい仕事にも積極的に取り組めるので、結果的に職場全体の生産性向上に期待できます。ミスやトラブルが起きた際には、周囲が素早く対応してそれをカバーすることも可能です。過度に失敗を恐れることなく、難易度の高い業務にもチャレンジして取り組め、新しい取り組みや発想は業績の向上につながります

離職率が低くなる

風通しの良い職場では、成長しているという実感が得られ、モチベーション高く業務に取り組めるため離職率が低くなります。また、仕事や人間関係でなにか問題が起きたとき、さまざまな立場の人と対話することで、悩みが解決されるケースも多く周囲への信頼が高まります
従業員にとって、信頼できる仲間がいる職場は居心地が良く、働きやすい環境になり、ストレスが軽減され、仕事に前向きに取り組めるでしょう。さらに、従業員エンゲージメントが向上し、離職率の低下に繋がります。

メリハリのある関係になる

風通しの良い職場では、従業員同士のコミュニケーションが活発な環境と解説してきました。しかしそれは「仲良し集団」と同義ではありません。むしろ、コミュニケーションが活発である分、葛藤が増えることも考えられます。

普段は明るく仲良くしていても、議論の際には、喧嘩と相違ない言い合いが起きるひりひりとした緊張感が本質的な生産性を高めます。このメリハリも、風通しのいい職場の特徴です。
「仲良し集団」にしなければ、職場が壊れるわけではありません。むしろメリハリを付けた方が上手くいきます。「仲良し」の時もあるし、「ひりひりとした緊張感」がある時もある、その繰り返しが風通しの良さを創っていきます。

風通しの良い職場を作るための施策

結論から言えば、「職場の風通しを作る施策」は、メンバーと一緒に、人間的な関係を良好に保ちながら、モチベーションをできる限り保持し業務を遂行していく過程にのみ発生するものです。

仕事や業務に関わる一連の問題解決や課題達成を行うためには互いの信頼関係が重要です。そのため、風通しの良い職場を作りたい場合はまず信頼を大事にしましょう。

信頼を構築するためには、リーダーのアクションが重要です。リーダーはコミュニケーションの場を積極的に作り、目に見えない雰囲気やモチベーションなどを気遣う必要があります。このとき、規律をたくさん作ったり、圧力をかけたりしてしまうと、周囲がリーダーに対して忖度するようになり、風通しの良い職場とはかけ離れていってしまいます。リーダーは規律を作るのではなく、自分自身が職場のありたい姿を体現できるように振る舞うといいでしょう。その上で、以下の要素に従って組織を活性化していきましょう。

話しづらい事を話す

チームの問題や同僚の問題など、職場には少々話しづらい話題があるはずです。それを避けることなく、向き合う姿勢を持ちましょう。特に、職場内の関係性というテーマは重要です。各々のリアルな声を聞きながら、課題がないかを探ります。他にも、職場の風土について、メンバーがどのように捉えているのかも聞くといいでしょう。必要があれば議論を重ねることで、課題解決や現状に対する納得感を深めましょう。

コミュニケーションツールを取り入れる

インターネットの普及によってSNS等で個人が情報発信することが一般的になりました。そこで、社内にもコミュニケーションツールを取り入れることがおすすめです。社内報への投稿募集や、Web社内報のコメント欄など、個人が直接情報発信できるコミュニケーションツールを導入すると効果的でしょう。

1on1ミーティングを行う

1on1ミーティングは特に若いメンバーにとって、率直な意見を伝えやすい場です。日頃考えていることや不満、違和感などにじっくり耳を傾けることで、可視化できない課題を見つけていきましょう。課題発見につながるだけでなく、向かい合って会話をすることで上司と部下の距離感が縮まり、信頼が高まる効果も期待できます。

社内アンケートや従業員サーベイを行う

組織全体の現状を把握するために、社内アンケートや従業員サーベイを行うこともおすすめです。現状を正しく把握することで、取るべき施策が自ずと見えてくるはずです。これまで意識していなかったような課題が見つかるケースもあるでしょう。高いレベルで風通しの良い職場を形成することが期待でき、組織としてより高い成果を出せる環境を作っていけます。

風通しの良い職場を作るためにはリーダーのコミュニケーションスキルが重要

ここまで紹介してきたように、風通しの良い職場を実現するためには、組織において活発なコミュニケーションを促す必要があります。また、従業員一人ひとりに、企業の理念やビジョンを深く理解してもらい、常に意識しながら行動してもらうことが不可欠です。そのために、リーダーは積極的に職場をデザインし、自身が模範となる行動をしていきましょう
リーダーのコミュニケーションスキルが高ければ、各々が積極的に業務にあたることができ、明るく活発な雰囲気で満ちている組織を作れるでしょう。働きやすさは生産性につながるのはもちろんですが、企業の評判を高めることにもつながります。企業価値を、向上させるために、今一度コミュニケーションスキルを見直してみましょう。

まとめ

風通しの良い職場とは信頼感がベースにあるからこそ、忖度なく率直な意見を言えるようなコミュニケーションが活発な職場のことです。従業員が働きやすい環境なことはもちろん、企業側にとっても、生産性の向上や離職率の低下が見込まれるため、風通しの良さは組織にとって重要なポイントです。社内コミュニケーションを活発化させて、風通しの良い職場を作り組織力を向上させていきましょう。

よくある質問
  • 風通しの良い職場の特徴は何ですか?
  • 1.社員間でコミュニケーションが活発である
    2.意見交換や議論が行われている
    3.社員が自律している

  • 風通しの良い職場を作るためには何をすればいいですか?
  • 風通しの良い職場を作るためにはリーダーのコミュニケーションスキルが重要です。
    組織において活発なコミュニケーションを促す必要があります。また、従業員一人ひとりに、企業の理念やビジョンを深く理解してもらい、常に意識しながら行動してもらうことが不可欠です。そのために、リーダーは積極的に職場をデザインし、自身が模範となる行動をとることが大切です。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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