クリティカルシンキング研修とは?プログラムの例や研修後についても徹底解説
目次
クリティカルシンキングとは、物事を批判的に捉え、分析するという思考法です。自分の認識や行動の偏りを把握することで、より本質的な答えにたどりつけることからビジネスシーンで重要視されています。
この記事では、クリティカルシンキングを鍛えるための研修について解説します。実際のプログラムを例に踏まえながら研修の内容や特徴に迫り、クリティカルシンキング研修内容を活かすために効果的なポイントについても解説していきます。
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキング=critical thinking(批判的思考)とは、批判的な思考や視点を通して、本質的な課題を捉える思考プロセスのことです。
事実や根拠を否定することで、より高い次元の物事を再生成する考え方であることから、反証プロセス、反証法、弁証法と呼ばれることもあります。ここで間違えてはいけないのが、クリティカルシンキングの目的は、意見を否定することではないことです。
背景となるエビデンスやデータを精査することで、正しい答えを導き出すのが目的です。クリティカルシンキングはロジカル・シンキングとよく比較されますが、ロジカル・シンキングの精度を高める方法の1つであり、どちらもビジネスシーンで物事を本質的に理解する思考法です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
クリティカルシンキング研修の流れ
まずは、クリティカルシンキングの研修内容についてチェックしてみましょう。クリティカルシンキングの研修には、さまざまな形態のものがありますが、ここではごく一般的な研修の流れについて述べていきます。
クリティカルシンキングを知る
研修は、クリティカルシンキングとはなにか、その定義を知るところから始まります。同時にクリティカルシンキングを身につけるとビジネスシーンでどのように役立つのかについて、具体的な効果を学びます。
ビジネスにおけるクリティカルシンキングの重要性を知り、身についたスキルを活用するイメージができれば、研修のモチベーションを高めることができるでしょう。クリティカルシンキングの研修では、ディベートを行うケースもあります。ディベートとは、特定のテーマに基づき肯定派と否定派の立場に分かれて意見を出し合い、最終的に勝敗を決める討論です。ディベートを用いることで、ビジネスにおける実践的なスキルを手に入れることが期待できます。
クリティカルシンキングのポイントを押さえる
クリティカルシンキングの定義や、その効果について理解を深めたら、より実践的なフェーズに移行するためにポイントを押さえましょう。
クリティカルシンキングのスキルを高めるには 、無意識に自分が持っている思考の偏りや癖をなくすことが重要です。
研修では、第三者目線で自分と向き合うワークを行います。自分の思い込みを知る方法を身につけることで、主観を排除し、中立的立場で物事を考えられるようになります。
実際にクリティカルシンキングを行う
クリティカルシンキングのポイントを押さえることができたら、次は実践です。
頭で理解するだけではなく、実践することが、クリティカルシンキングのスキル習得において非常に重要です。
クリティカルシンキング研修では、語学と同じように、相手に伝わったという感覚を味わったり、実践に活用できた体験が定着の大きな後押しとなります。
実践の場では、思い込みや前提を疑い、客観的に分析しながら問題の本質を探っていきます。
目の前の現象や発言に左右されず、批判的に思考を深めることが重要です。中立的な思考の根拠を得るために、一次情報となるデータとエビデンスを取りにいくようにしましょう。
例えば、月の目標数字の中間報告があったとします。このときチームの達成率は100%を超えていました。
目標達成は見えていても、一度立ち返り数字の根拠となるものを一つ一つ確認することがクリティカルシンキングです。そもそもの目標設定が適正だったのかどうか、達成までの道筋(根拠)が現実的なのかどうか上司と部下の間で話し合いましょう。そのコミュニケーションのなかで矛盾やヌケモレに気づくことができ、より高度な認識のすり合わせにつながります。
会議や打ち合わせの場でも、同様です。前提条件や常識を当然だと思ってスルーするのではなく、言葉を使って確認し合うことで、認識をすり合わせることで齟齬をなくしていくことが可能なのです。
また、クリティカルシンキングで相手の考えに意見するということは、視点を変えれば、相手を批判することにもなります。批判要素を含む意見は、なかなか耳を傾けてもらえないものですが、自分の意見を相手が納得するように伝えるためのコミュニケーションスキルを身につけることも重要です。論理的に話を組み立て、状況を整理しながらわかりやすい言葉で相手に主張を伝えるように練習を重ねましょう。
振り返りを行い実践する
研修の内容が一通り終わったら、学んだことを振り返ります。研修内容を改めて整理することで、理解を深めることや、ワーク中には出会えなかった気づきを得ることができるでしょう。クリティカルシンキング研修は、受講して終わりではありません。実際のビジネスシーンでクリティカルシンキングを活かせるようになるまで、意識的に取り組みを続ける必要があります。普段の生活でもクリティカルシンキングを意識することで、効率的にスキルを取得することができるでしょう。
クリティカルシンキングの研修後に克服すべき課題
クリティカルシンキングの研修は「人材育成」を目的として行われるものです。しかし単なる恒例行事として研修を行う企業も多く存在します。活かされない研修は、コストの浪費となります。研修に課題感がある企業は「研修転移」を目指す必要があるでしょう。
「研修転移」とは、研修内容が現場で活用され、成果が生み出されることを意味します。研修転移ができれば参加者の行動が変わり、現場や経営に成果を残すことが期待できるため、研修を活かす重要な取り組みです。
クリティカルシンキングの研修転移を妨げる障害について、以下でチェックしてみましょう。
「記憶の壁」
「記憶の壁」とは、研修での学習内容を受講者の記憶に残すことの難しさを示します。そもそも研修の内容が記憶に定着していなければ、実践に活かすことはできません。
本来、研修内容は予習・復習をベースにした反転学習をもとに 実践に移していくことで定着していきます。自らの意思で研修に参加していたとしても、受講するだけでは知識や技術を習得することは困難です。それがもし、強制的に参加させられた研修であればなおさら、記憶に留めることは難しいでしょう。
「実践の壁」
「実践の壁」とは、研修での学習を実践に落としこむことの難しさを表します。研修で学んだ内容を実践に移すためは、受講者自らが進んで実行するか、運営側が実践の機会を提供することが必要でしょう。
実践に移すためには、研修に対する上司や同僚の理解が不可欠です。上司や同僚から受講のサポートを受けられるなど、研修に関する協力体制が職場内に整っていれば、受講者にとって研修そのものが「自己効力感」を高めてくれるものになり、学びを実践に移すきっかけになります。
「動機の壁」
「動機の壁」とは、実践しようという動機付けの困難さを示します。研修の内容をいくら頭で覚えていても、実践で使う意思がなければ意味がありません。そのため、研修では「研修で習ったことを実践で行ってみたい」という動機付けを行うことも重要です。また、実践へのモチベーションを高められるように、周囲の環境を整えることも重要になってきます。
ソフィアにおけるクリティカルシンキングの研修プログラムの事例
SI/IT企業では、受託開発型のビジネスモデルからサービス提供型に業務を変更する方針を打ち立てました。そこで、社員のコンサルティングスキル・ビジネススキルの能力開発を喫緊の課題とし、さまざまなアプローチを行っていました。しかし、研修を繰り返しても、なかなか能力やマインドセットが根付きません。その背景には、研修で求められるスキルと、実際の業務が乖離していることがありました。乖離が激しいので研修転移がうまくいかず、実務に役立てられなかったのです。
そこでソフィアでは、以下のサービスを提供しました。
- (事前課題)中期経営計画及び周辺データの分析
- (事前課題)中期経営計画の読み込み
- (ディベート)中期経営計画の弱点及びウィークポイント洗い出し
- (環境分析)環境分析/シナリオプランニング
- (シナリオ選定)複数シナリオ毎でチームディベート
- (計画策定)新規事業/事業開発計画の策定
- (経営陣へのプレゼン)プレゼン/ディスカッション/合意形成
実際に実施した研修は、これまで現場で疑う余地のなかった経営方針や目標そのものを、自分たちの目線で改めて検証し再考させるという内容です。目の前の課題に対応するためには前提を疑うこと、問題の本質を見抜いて議論することが重要となります。
このように、ソフィアにおけるクリティカルシンキングの研修では、限られた課題達成思考から抜け出し、本質を見抜いて考えるといったスキルを習得することができます。
まとめ
クリティカルシンキングとは、物事を批判的に捉え、分析するという思考法です。クリティカルシンキングを身につけるためには研修が効果的です。クリティカルシンキングのポイントを実践的なワークを通して学ぶことで、より本質的な答えにたどりつくことができます。
ただし、研修は受講するだけで終わりではありません。研修後の期間をどのように過ごすかによって、研修内容が現場で効果を発揮するのか変わります。また、運営側はどのように研修転移をするのか検討し、研修を実践に繋げるための工夫が重要となります。
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株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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