ゲーミフィケーションで仕事を楽しく!社員の参加を促す仕掛けの作り方

企業の活動は、日々多くの人々が多種多様な業務を遂行することで成り立っています。そこには自分の担当領域だけでなく、企業として目指すべきビジョンの理解・共有や、事業目標の達成に向けた施策、また職場における小さな改善活動など大小さまざまな内容が含まれます。日々の仕事に追われる中で、全社的なプロジェクトにたくさんの人を巻き込みながら推進していくことは、なかなか容易ではありません。

取り組みに関心を持ってもらえない、協力してもらえない原因はさまざまですが、ひとつには「面白そうと感じられない、楽しそうに見えない」ことがあるでしょう。「何だか面白そうなことが始まったな」と思ってもらえれば、興味・関心が喚起され、推進したい活動に社員を巻き込むきっかけとなります。

この記事では、その具体的な方法として「ゲーミフィケーション」の考え方をご紹介します。

ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィケーションとは、Gamify(ゲーミファイ:ゲーム化する)を名詞化した言葉です。スマートフォンやコンピュータゲームがごく当たり前の環境として存在するようになった今、ゲーム業界はどれだけユーザーを楽しませることができるかを競う状況にあります。楽しければ人はその世界に没入し、より強い関りを持とうとするのです。

この心理を応用したのが、ビジネスにおけるゲーミフィケーションの考え方です。一方的に情報を送り参加を促すのではなく、ゲームの要素を取り入れて参加したくなる、結びつきを深めたくなるようなモチベーション要因を形成していく。それがゲーミフィケーションです。

ゲームとは何か

ゲーミフィケーション(ゲーム化すること)とは、どのように定義されるのでしょうか。球技を事例として考えてみましょう。

単にボールを蹴る、投げるという行為だけでは、ゲームは成立しません。野球でもサッカーでも、子供が校庭で遊ぶドッジボールにしても、そこにはゲームをゲームたらしめる要素が存在します。書籍『ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム』(Dave Gray, Sunni Brown, James Macanufo著、野村 恭彦 監訳、 武舎 広幸, 武舎 るみ訳 2011 オライリー・ジャパン)では、ゲームを以下の5つの構成要素に分けて説明しています。

空間・境界

まず、「ここは日常の生活と切り離された、ゲームのための空間である」という共通の認識です。ゲームに参加する者だけでなく、ゲームを見る者、そのゲームと無関係な者にとっても、そこにゲーム空間が存在しているのだ、という認識が共有されていることが要求されます。

そして、その空間を日常と分離する時間的・空間的境界が必要です。ゲームには始まりと終わりが必ず存在します。そのフィールドでゲームがいつ開始され、いつ終了するのかを切り取る時間的境界がなければなりません。途中でゲームを停止する場合でも、その時空を一旦閉じる必要があります。さらに、「このラインの内側がゲームの領域である」と定める空間的境界により、日常空間との境を明確に設定します。

ルール

時間と空間を区切ってゲームを展開する領域が設定されたら、ゲームを始めることができます。しかし一方のチームが野球を始めようとし、もう一方がソフトボールをやろうとしたら、ゲームにはなりません。それぞれの競技でルールが違うからです。ゲームはある規則に基づき、勝敗を競う競技です。カードゲームやコンピュータゲームの場合でも、それは変わりません。勝利するために必要な条件や、やってはいけない忌避事項など、定められたルールにしたがってゲームは進行していきます。

道具

野球とサッカーとでは用いる用具が異なります。野球ではピッチャーが投げたボールをバットで打ち、塁に出て一周したのちホームベースを踏むと得点になります。このように逐次変化するゲームの状況を把握し、表示したり記録するための用具がゲームごとに定められます。ゲームの結果を正しく評価するためにも、ストライクの数をカウントする用具、得点を表示するボードなど、ゲーム情報を公正に表示するツールも必要になります。場合によっては、状況を的確にジャッジする審判もここに含まれます。

ゴール

最後の要素はゴールです。ゴールは「勝敗を判定する条件情報」と言ってもいいでしょう。ゲームを取り巻く全員が了解し、合意しているルールに基づいて設定されている「勝利条件=ゴール」を目指して、プレイヤーはゲームを進行します。そして最終的にその条件を満たす状況が訪れたとき、あるいは時間切れでそこに到達しないまでも、勝敗の判定が可能となったとき、ゲームは終了を迎えます。

ゲームとゲーミフィケーションのちがい

ゲームとは、以下の5つの要素による競技であると定義されます。

  • ゲーム専用の空間が確保されている
  • 時間的空間的境界で日常と分離されている
  • 定められたルールに従って進められる
  • ゲーム情報を媒介し、記録する道具を用いる
  • プレイヤーが目指し、勝敗の判定基準となるゴールが設定されている

世にあるすべてのゲームは、この要素の中でのバリエーションで設定されています。子どものおはじき遊びや鬼ごっこに始まり、スポーツの大会や武術競技、果ては世界一を決めるタイトル戦や数学オリンピックなど、文武やプロ・アマの別なくさまざまなゲームが存在します。

ゲーミフィケーションとは、こうしたゲームに倣い、そのノウハウを現実の社会に応用することです。ルールに従い、同じ条件下で同一のゴールを目指していく。元来狩りや戦いの技術であった武術が、いつしか競技になり研鑽を競うものとなっていったのも、その楽しさ故と言えるのではないでしょうか。

上記5つの特質を活用し、仕事や共同作業にゲームのノウハウを取り入れる考え方が、ゲーミフィケーションなのです。

ゲーミフィケーションを仕事に取り入れるメリット

筆者がゲーミフィケーションを仕事に取り入れる意義に気付いたのは、2017年のことです。メンバー全員参加で毎年行っている研修合宿がきっかけでした。

日常業務の中では取り組めない事業課題について、合宿はオフサイトでじっくり取り組むチャンスです。当時、筆者は合宿委員の一人として、「生産性と品質」というテーマについて、体験を通じて考えるワークを企画していました。事前に配布したオリジナルのすごろくを使って、さまざまな課題に取り組み、ゴールを目指すというスタイルの設計です。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2日間のワークは非常に楽しく夢中になれる一方で、常に生産性と品質についての葛藤もありました。しかし、最後に行われた参加者のディスカッションは深く、気づきのあるものとなりました。

この体験から導き出したのは、「好き」は仕事の質を担保する、「楽しい」は生産性を高めるということです。
楽しいからどんどんアイデアが出て手も足もよく動き、好きだからこそディテールまで凝って作りこむことができます。楽しんで取り組んだお題、メンバーの強みや好みが生かされたお題のアウトプットは、スピーディーに品質の高いものが生み出されました。

この合宿での体験こそが、まさにゲーミフィケーションでした。このような体験からゲーミフィケーションを仕事に取り入れることには、以下のようなメリットがあると考えます。

参加者の興味を引く

単に会議室で「生産性と品質というお題でディスカッションしてください」と言っても、すぐには良いアイデアや意見は出てきません。それよりも、「すごろくを使ったグループワークを行います」という方が「え?なんだろう」と参加者の興味を引くことができます。

合宿という日常の時空間から分離された「場」や、通常のプロジェクトとは異なるチーム、すごろくというツールなどのお膳立てがあることで、ディスカッションがゲーム化され、テーマが特別な意味を持つのです。

たとえばクラウドファンディングのように、WebサイトやSNSといったデジタル空間でプロジェクトを進めるのも、非日常的なフィールド設定が参加者の興味・関心の向上に役立ちます。リアルではなかなか参画しにくい、と心理的な障壁を持つ人でも、5つのゲーム要素の設定次第では「楽しく」参加できるのではないでしょうか。

参加者の行動を促す

このケースは研修合宿であり、あくまで仕事の一環でした。ですから最初は、参加者の誰もが「これが今回のテーマだから」という外発的な動機付けによって、グループワークに取り組んでいました。

しかし実際にワークが始まると、「他のチームよりも面白いアウトプットを出したい」「他チームよりも早くゴールしたい」「楽しいからもっとやりたい」といった、主体的な意識が発生しました。モチベーションの要因が外発的なものから自発的なものへと変わっていったのです。社内SNSを活用して、アウトプットやプロセスを見える化した効果も大きく影響しています。

ソーシャルゲームでもランキングが表示されることでさらに上位を目指したり、SNSの「いいね」数がやる気度アップの源泉になったりと、評価とその可視化は、自主的な行動の促進に有効な手法です。

参加者のエンゲージメントを高める

さらに、ゲームはストーリーを生成します。競争相手がいて、チームの仲間がいます。そこにコミュニケーションが生まれます。サポートする人、応援する人、観戦する人など、多くの関係者も存在します。「筋書きのないドラマ」とスポーツを表現することがありますが、ゴールを目指して共に切磋琢磨する行動を通じて、競技や試合はしばしば感動や友情、一体感や高揚感を発生させます。

一人で取り組むのとはちがう、人を動かす仕掛けがゲーム自体にある、と考えるほかありません。ゲーミフィケーションには、参加する人々の結びつき、エンゲージメントを強化する機能が備わっていると言って良いでしょう。


業務の生産性を高める

米ワシントン大学のバイオサイエンス学部と計算機工学部が、共同で2008年にあるプロジェクトを実施しました。「Fold It」と呼ばれるこの試みは、新薬開発を目的とするタンパク質の高度で複雑な解析をゲーミフィケーションの手法で進めた画期的なものです。

これにより、世界中の研究者が10年かかって解くことができなかった複雑な構造探索が、多くの参加者の力によりわずか3週間で達成(ゴール)できました。ゲーミフィケーションはモチベーションのみならず、業務の生産性を高めることにも大きく寄与するという好例です。
※参考:ワシントン大学 Fold it

企業内におけるゲーミフィケーションの実践事例

ここでは、企業内でゲーミフィケーションを実践し、成果を得た実例を紹介していきます。状況に合わせて展開した具体的な事例ですので参考にしていただき、この記事を読まれるそれぞれの企業様、担当者様にマッチしたシーンを思い描いていただければ幸いです。ご不明な点やご質問などがございましたら、どうぞ私たちソフィアまでお問い合わせください。

ソフィアでのゲーミフィケーションの実践例

まず、ソフィア内部で実践した5つの事例を紹介しましょう。

すごろく合宿

繰り返しになりますが、筆者がゲーミフィケーションの意義に気付くきっかけとなった合宿プログラムの例です。「生産性と品質」をテーマにした研修合宿では、参加メンバーに「すごろく」が配付されました。チームに分かれてさいころを振り、出た目だけ進んだ箇所に書かれた指令をクリアしながら、各自ゴールを目指すのです。

「新しい組体操を考案せよ」「生き物を手に入れろ」などの奇妙で多様な指令には、「どこまでやればクリアになるのか」が示されていません。指令内容に対するアウトプットの生産性と品質を測る基準は、まさにメンバー自身に託されるわけです。予算は一日ひとり\5,000、達成したら社内SNSに写真をアップする、などの制約条件を設け、楽しみながらテーマを考える合宿となりました。

チョットキーテ島

社内の課題を上申し、解決に結び付ける方策としては1on1や意見箱などが古くから知られています。しかしこれらは時間と共に形骸化しがちで、組織のダイナミズムも発生しにくい面があります。そこで「チョットキーテ島」というバーチャルなアイランドをポスター形式で、あるいはネット上に作り、その上で縦横無尽で活発なコミュニケーションの発生を促しました。

  • うれシー(海):うれしかったこと、他のメンバーに対しての感謝をポストできる
  • カッカ山(火山):腹立たしかったこと、緊急事態、シリアスなイシューをポストできる
  • ぼや木(木):「それはないでしょう」「やってられない!」などのぼやきをポストできる
  • ヒヤリハット(小屋):事故スレスレの経験、ぎりぎりであぶなかったことをポストできる
  • 空(神からの啓示):会社として改善すべき重大な事項に関して、「検討すべき」との啓示が行われる

この仕組みにより社員の現状が楽しく把握でき、言いにくいことが言いやすくなりました。オンラインホワイトボード上でも付箋で気軽に投稿し、ちゃんと反応が帰ってくることで投稿数が増えていく循環が形成されます。
チョットキーテ島

逆境カード

「創意&工夫」をテーマに行われた、ソフィアの研修合宿での事例です。グループワークを行う際に、「アウトプットに令和なものを使う」「地元の食材を使った昼食を作れ」といった、無茶ぶりにも似た制約条件が書かれた「逆境カード」が用意されました。参加メンバーは引き当てた逆境指令(制約条件)を乗り越えて、アウトプットを出すことを目指します。

万歩計ダービー(健康増進)

これは健康増進を目的としたゲーミフィケーションの事例です。メンバー全員が一定期間万歩計をつけて、記録を毎日共有。これを受けて運営側がオッズを設定し、参加者がBETしつつ成績を競う(上位者に賞を出す)というものです。単に記録を競い合うだけでなく、オッズとベットという要素を加味することで、周囲も巻き込んだエンゲージメントの強化が得られました。

サンクスコイン(チームワーク、CSR)

日常の業務を通じて、感謝したいと思う相手に「サンクスコイン」と呼ばれるコインを投票して、組織への貢献度を見える化する仕組みです。上位者は獲得したコインを寄付する先を指定できるため、実践的なCSRの一環としても機能します。
サンクスコイン

他社のゲーミフィケーションの実践事例

次に、ソフィア以外の企業で採用されている、ゲーミフィケーションの実例をいくつか見ていきましょう。

デロイトのブルファイター

コンサルティング会社のデロイトは、空虚なコンサル用語(bull word)を顧客向けのメール等につかうことを防止するソフトウェアを開発しました。
これを用いて、具体的には

  • 不愉快に受け止められるbull wordのコンテスト
  • 作成した文章を10段階の「ブル指数」で評価 (人間味のある文章は10、最も最悪な場合は1)
  • 低評価が下された文章には辛辣かつユーモアあふれるコメントがなされる
  • ソフトはbull wordを発見すると、代替案を提示しつつ「いくらなんでもやりすぎだろ」といったコメントを文書の作成者に示す
  • 最も多くbull wordを使った人が表彰される

等のアクションを展開したのです。
「闘牛士(ブルファイター)と名付けられた」このソフトは、社内から非常に好意的に受け入れられ、難解な専門用語を多用する文化は一掃されました。

ディズニーのファイブスター

東京ディズニーリゾート(TDR)は、その高いエンターテイメント性で来場者を楽しませることに定評があります。これはゲストと呼ばれる観客に対してだけではなく、「キャスト」と名付けられたスタッフに対しても適用されます。キャストの9割はアルバイトですが、その人たちにTDRの理念や文化を理解し、共有してもらうためにさまざまな施策が採られています。

そのひとつがファイブスターと呼ばれるプログラムです。現場で素晴らしい働き、パフォーマンスを見せたキャストを見かけると、幹部社員が自分の署名を入れたファイブスターカードを当人に贈ります。ファイブスターカードは取得した枚数に応じて、社内で催される特別なパーティーの招待状となるのです。

このほか、キャスト同士が見かけた感動エピソードをメッセージで称えあうシステムや、集合研修の場であたかも場内のアトラクションと見紛うエンターテイメントにあふれる解説が行われるなど、TDRの組織作りには楽しさがあふれています。

某食品メーカーの周年記念事業

私たちソフィアは、某大手食品メーカーの周年記念イベントの一環として、同社のグローバルポータルサイトを舞台にした「Treasure Hunt」の企画・実施を支援しました。この取り組みは、従業員が会社の豊かな歴史、現在の活動、未来への展望を学ぶゲーミフィケーションプロジェクトです。参加者は、同社に関する過去(History Zone)、現在(Present Zone)、未来(Future Zone)に関連するクイズを解くことで、企業文化と価値観を深く理解する冒険に出ます。最終段階の「Treasure Zone」では、参加者に「この会社の宝は何だと思いますか?」と問いかけ、自由記述式での回答を募りました。優勝者(最優秀トレジャーハンター)には、この企画のために著名なイラストレーターが制作したオリジナルトレジャーマップに自分のキャラクターとして登場する特典があります。「次のクイズが待ちきれない!」という参加者の声もいただいたこの施策は、グローバルな従業員のエンゲージメントを高め、組織全体の一体感を促進することに成功しています。

その他ゲーミフィケーションの実践事例

書籍『ゲームストーミング―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム』には、会議やチーム、プロジェクトを成功に導くことを目的とした、ビジネスに役立つ87のアナログゲームが紹介されています。

同書はゲーミフィケーションを「探索と発見のための方法論」と定義して、自分たちの組織に最も適合するゲームの導入が可能となるよう、その設計手法も図解で示してくれます。ゲーミフィケーションの一層の理解と活用を目指される方は、一読をおすすめします。

ゲーミフィケーションを仕事に取り入れる方法

ゲームには「専用の空間」「境界」「ルール」「道具」「ゴール」という5つの要素がある、とはじめに述べました。これを踏まえて、最後にゲーミフィケーションを仕事に取り入れる際の、注意点やポイントを解説していきます。

ゲーム設計の考え方

書籍『ゲームストーミング』によれば、ゲーム設計はゴールを設定したのち、初期状態→開幕→探索→閉幕というプロセスを前提として構築されます。

ゲームを始める前の「初期状態」から、境界を超えてゲーム空間に没入することでゲームが「開幕」します。「閉幕」を迎えるためには、初期状態がどのように変化することを目指すのかという、ゴールの設定が必要です。そして設定されたゴールに向けて、「探索」のステージが行われるのです。

開幕ステージの目的は「アイディアとチャンスの爆発」です。ここで可能な限りたくさんの、多様な発想を引き出すことが次のステージでの拡がり、可能性の幅をもたらします。

探索ステージでは、予想外のもの、驚くべきものが現れるよう「創発」の態度が推奨されます。それはパターンや類似性を探し、ものごとを組み立てなおす視点と言ってもいいでしょう。

この状態を通過し、最終幕では結論へと向かいます。求められたアイディアを評価し、有効性や実現可能性、貢献性など複数の評価軸から焦点を絞ります。この閉幕におけるポイントは「収束」です。

ゲーミフィケーションを作るポイント

Web上には、英語版・日本語版のいくつかのゲーミフィケーション作成支援プラットフォームが存在します。これらのサービスを使って「まずゲーミフィケーションを体験してみる」ことが、ゲーミフィケーションの理解を早めます。ここで得られた経験に改良を施して、自社のケースに合うものを設計すると効果を発揮するでしょう。

ゲーミフィケーションを設計し実践するにあたっては、既に自社の業務の中にある現実の行動をベースにするのが早道です。ソフィアの実践例でいうと、「業務改善のアイデア出しにゲームの要素を入れる(すごろく合宿)」「業務における課題の共有にゲームの要素を入れる(チョットキーテ島)」などです。この際に重要なのは、いかに参加者を楽しませる設計を取り入れられるか、という視点です。没入感を促進する面白い仕掛けづくりは、ゲーミフィケーションの重要なポイントとなります。

コンピュータゲームなどの商業的な作品は、本格的にリリースする前に何度もテストプレイを繰り返し、ゲーム性や面白さ、ユーザビリティなどを修正して完成させていきます。狙い通りの効果が得られているのか、思わぬ陥穽がないか、などをチェックするうえで、このプロセスは重要です。ゲーミフィケーションに際しても、テストプレイを行うことで品質の磨き上げが期待できます。構築したロジックに実際のフィードバックが加わることで、ゲームの面白さ、楽しさが一層向上するのです。

ゲーミフィケーションを導入する際の注意点

最後に、ゲーミフィケーションという手法自体が持つ注意点を示しておきましょう。

「やりたいことが楽しくやれる」「自分の考えが反映され、評価される」というモチベーション要因を利用して、ゲーミフィケーションが低い報酬で労働を提供させる手段とならないよう、配慮しなければなりません。高品質の成果と低報酬のアンバランスは、一時的には業績アップに貢献するように見えますが、やがて参加者が疲弊し、エンゲージメントの低下につながる恐れもあります。

また、面白いか、面白くないか、は本来主観による判断です。ゲーミフィケーションは作業や課題解決のプロセスが楽しく、面白く感じられるよう設計されるものです。その際に、主催する側や他のプレイヤーが「どうだ、ここは面白いだろう」と強制しないようにしましょう。過去の教育や体験、環境などによって、人が楽しいと感じるポイントは異なります。強制は固定化を生み、柔軟な変化や発想を期待するゲーミフィケーションの理想とは、真逆の方向に組織を誘導しかねません。

まとめ

ソフィアでは、「ワーク・ライフ・バランス」=「仕事と生活の両立」にとどまらず、やりたい仕事としての“ワーク”と、生きていく上での価値観や想いを実現していく“ライフ”との統合を目指しています。また「仕事は楽しく美しく」「面白くない仕事を面白くしたい」を地で行く組織と言ってよいでしょう。

この想い、理念とゲーミフィケーションは非常に相性の良い組み合わせです。ゲーミフィケーションの手法を活用して、メンバーの興味・関心度を高め、自発的な行動を促進し、組織のエンゲージメントを強化し、結果として生産性向上に寄与するという流れを確立することにより、ダイナミズムの発生が期待でき、個人と組織の双方がさらなる発展をとげることが可能となります。

ソフィアは、ゲーミフィケーションをはじめとするさまざまな手法を用いて、組織のエンゲージメント強化や、生産性向上に資する多くの知見を備えた専門家集団です。コミュニケーションや社内活性化などでお困りの際や、課題解決のヒントをお探しの方はどうぞお気軽に、ソフィアまでご相談ください。

ゲーミフィケーションについてよくある質問
  • ゲーミフィケーションとは?
  • ゲーミフィケーションとは、生活や仕事における特定の行動をゲーム化し、楽しんで取り組めるようにすることで、参加者のモチベーションを高める要因を形成していくことです。

  • ゲーミフィケーションのメリットは?
  • ゲーミフィケーションを仕事に取り入れることで、
    ・参加者の興味を引く
    ・参加者の行動を促す
    ・参加者のエンゲージメントを高める
    ・業務の生産性を高める
    といったメリットが得られます。

  • ゲーミフィケーションの日本語訳は?
  • ゲーミフィケーションは、日本語で「ゲーム化する」という意味です。英語のGamificationは、Gamify(ゲーミファイ:ゲーム化する)という動詞を名詞化した言葉です。

株式会社ソフィア

コミュニケーションコンサルタント

廣井 和幸

社内報やビジョンブックなどインターナルコミュニケーションのためのコンテンツをつくることが多いですが、外向けも歓迎です。公開社内報「そふぃあと!」の責任編集長でもありますので、そちらもごひいきに!

株式会社ソフィア

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