2023.05.02
リーダーに求められる役割とコミュニケーション能力について解説!
目次
チームには必ずリーダーが存在し、リーダーの能力によってチーム全体の成果が決まるといっても過言ではありません。そのため、リーダーに求められる役割は多岐にわたり、リーダーのスキルが総合的に向上しなければチームの生産性は向上しないでしょう。その中でも特に、リーダーに重要とされる能力が「コミュニケーション能力」です。ここでは、広義の意味のリーダーではなく、職場やプロジェクトのリーダーとして求められる役割とコミュニケーション能力について解説していきます。
リーダーとは?
リーダーとは、組織の目的達成、課題解決に取り組むにあたり、チームを先導する役目を担っているビジネスパーソンです。会社から任命されたリーダーがどれほどのリーダーシップを発揮できるかによって、組織の成果が変化するでしょう。
リーダーシップ論には以下のようなものがあります。
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SL理論
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マネジリアル・グリッド論
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マネジメント・システム論
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レヴィンのリーダーシップ類型
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PM理論
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コンセプト理論
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サーバントリーダー
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ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ
ビジネスや政治の世界など多種多様な状況において、リーダーシップ論について一般的に理論化したものは多くあります。しかし、諸説ありすぎて、結局どのようなものなのか分からないという方も多いでしょう。そのため、この記事では、職場やプロジェクトなど対面におけるリーダーシップに必要なコミュニケーション能力に限定してご紹介します。
リーダーの役割
リーダーにとっては、業務の割り振りだけが役割と考えている人もいるかもしれません。しかし、リーダーにはその他にも多くの役割があります。ここからは、リーダーの役割について解説していきます。
プロジェクト管理と進捗の演出
プロジェクトには必ずリーダーが任命されており、各プロジェクトをまとめることがリーダーの役割です。著書『マネジャーの最も大切な仕事(ハーバード・ビジネススクール教授 テレサ・アマビール 英治出版 2017)』の中でも、紹介されていますが、仕事の進捗を管理するということは、エクセル表を見ながら各自の進捗を管理表に転記することを意味するのではありません。プロジェクト管理では、プロジェクトの進行状況や部下のタスクを管理します。プロジェクト管理には一歩一歩進んでいると認識させるコミュケーションが必要であり、前進感を与えることが重要です。リーダーが進捗を確認して、正しくフィードバックしてあげることで、メンバーは達成感を感じパフォーマンスを維持できるようになります。
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高い目標の設定とモチベーションのジレンマ
チームやプロジェクトの目標を設定することは、リーダーの役割の一つです。メンバーとの意思統一を図り、足並みを揃えるためには、目標設定がとても重要です。メンバーや部下の目標がどこに向かうのか、明確な短中長期の目標、優先順位付け、手段体系などを整理します。リーダーが立てる目標は、会社が打ち出している中長期計画やサービス指針にリンクする形が理想的です。只、論理的且つ合理的に整理されたスマートな目標に、メンバーは動機付けされるでしょうか? これだけは、想定以上の目標達成はないでしょう。メンバー各人が、「できそうだ」「面白そう」「いけそうだ」という、感情的且つ非合理的なメンバーも思いや意識に紐づけが必要です。
つまり、全体からブレイクダウンすると個人の自主性や仕事の意味付けとの間で必ずジレンマが生じることは必然です。そのため、設定した目標への合意形成をした上で、全員で仕事や役割分担も含めて、権限移譲していきます。メンバーが目標をクリアしていくことで、会社全体が活性化していくイメージを持たせることができると、チームは高いモチベーションを維持できるようになります。
不確実な環境下で確実な計画を作成して実行する
KPIを達成するために、具体的な計画を立てるのもリーダーの役割です。KPIを達成するためには、PDCAサイクルを回すことが一般的ですが、5W1Hが明確になっていなければ効果が発揮されません。「When(いつ)」、「Where(どこで)」、「Who(だれが)」、「What(なにを)」、「Why(なぜ)」、「How(どのように)」をチームやプロジェクト内で可視化させましょう。
可視化された進捗管理計画表は、全体の認識をそろえる重要なコミュニケーションです。進捗が著しくない時にリーダーが「何とかしろ」と指示を出すことは逆効果です。リーダーの権限で、チーム内外リソースを活用し、対処療法的にチーム全体で時間を創りだす必要があります。計画の遅延や問題をリーダーが解決するよりも、これをチーム全体の問題であり学習と位置づけることが重要です。失敗が当たり前の業務の中で、リーダーは常に問題を精緻化する思考と、解決する為のラテラルな思考をメンバーに打ち出す必要があります。
チームを組織するとは風土を創る事
チームやプロジェクトチーム、職場は、日々の業務活動の中で知らず知らずのうちにそこで働く人々の振る舞いや言動、感情心理から「規範」を生み出しています。規範とは、集団における暗黙的常識のことです。メンバーは職場にほとんど毎日身を置くため、職場風土によって業務面・精神面に影響を受けることが考えられます。その中でも影響力が大きいのがリーダーです。リーダーのコミュケーションスタイルや振る舞い、意思決定パターンなどによって職場風土は形成されます。
また、プロジェクトを形成する場合は、自分の部署のメンバーだけでなく部署をまたいでチーム編成することもあります。そのため、これまで一緒に仕事をしたことがないメンバーとプロジェクトを組む時には、プロジェクト編成前にリーダーが率先してコミュニケーションを取り、組織風土を形成しなければなりません。
部下の模範となり部下と伴走する
上記でも解説したように、リーダーによるコミュニケーションは、職場のコミュニケーションに強く影響します。そのため、部下の模範となる行動を取らなければなりません。部下の模範となる行動を取ることで、指示やアドバイスに説得力が生まれます。一昔前は、部下やメンバーより、リーダーの方が実務経験やスキルがある場合が多かったため、リーダーが率先垂範すれば模範になりました。しかし現在では、ビジネスの多様化・複雑化に伴い、実務の経験やスキルがないにも関わらずリーダーを行わなければならないこともあります。その場合も模範は伴走的な関わりとなります。時にリーダーはメンバーの業務負荷を軽減するために必要な雑務を実行したり、リソースを他から持ってきたりと、メンバーの為に何でもやらなければなりません。伴走する行為そのものが、リーダーが達成すべく全体目標への執着や当事者意識を伝えることになります。
人財育成は卒啄同時で
チームを組織するためには、メンバーの個性や特徴、将来目指しているキャリアパスなどをリーダーが把握しておく必要があります。リーダーがメンバーの長所を伸ばし、短所は改善するような体制を組むことで、組織力向上につながります。メンバーのことを知るためには、定期的な面談や何気ないコミュニケーションが必須です。また、リーダーはプロジェクトを管理するだけでなく、部下の育成にも注力しなければなりません。リーダーならではの人財育成は啐啄同時です。啐啄同時とは、「啐(そつ)」とは、卵の中の雛が「もうすぐ生まれるよ」と内側から殻をつつく音のことで「啄(たく)」とは、そんな卵の変化に気づいた親鳥が、「ここから出てきなさい」と外側から殻をつつく音のことです。つまり、師弟の関係でも教えを施す絶妙なタイミングがあるという意味です。
メンバーが困難や課題を乗り越えた体験や大きな失敗など経験したタイミングで、メンバーとコミュニケーションを取ることで、気づきや学びが生まれます。この前提は、メンバーの状況に常にアンテナを張る必要があり、直接的にも間接的にも気に掛ける必要があるということに他なりません。リーダーの人財育成は、喜怒哀楽のコミュニケーションを通して間断ないコミュニケーションを取りながら、部下と一緒にその場その場で、啐啄同時のコミュニケーションで気づきや学びを創りだすことです。それは、リーダーにしかできません。知識が成長の糧になりますが、業務経験からの気づきを積み重ねることが決定的な育成になります。
モチベーションの維持と喜怒哀楽
部下のモチベーションを高い状態で維持することもリーダーの重要な役割です。部下のモチベーションが低い状態では、プロジェクトを成功に導けません。モチベーションが落ちているなと感じたら部下のサポートをするために、積極的にコミュニケーションを取れる場を作りましょう。 第3次産業、第4次産業においては、イノベーションや競争優位を生み出す資本は「ヒト」です。つまり、人材によって競争優位となる場合や、競争劣位になる場合もあるため、人的資本は不確実に富んだリソースとも言えます。いかにモチベーションを高く保ち、互いに協力しながら活躍できるのかは難しい課題ですが、情愛や信頼という人間的精神的側面への関わりが活力を生み出すこともあります。業務や課題という合理的側面と人間的精神的側面を繋ぐことができればモチベーションを高く保ち、精力的に業務を行うこともできるでしょう。これを繋ぐものがコミュニケーションであり、それこそがリーダーに求められるコミュニケーションの役割です。
部下の問題や悩みはコミュニケーションをとらなければ気づけないこともたくさんあります。リーダーは常に悩みを相談しやすい立場にいること、相談しやすい環境を提供することを心がけておきましょう。仕事や業務を達成することは命題ですが、その中でモチベーションを維持するのであれば、人間的精神的側面を補完することが必要です。
リーダーシップを発揮する為のコミュニケーションスキル
ここからは、リーダーに求められるコミュニケーションスキルについて概要を解説します。
リーダーシップ=コミュニケーションと言っても過言ではありません
高度に機械化された近代の企業では、リーダーの機能は問題・課題解決が主であり、実務的な内容でありません。ヘンリー・ミンツバーグの著書「マネージャーの実像」に記載された調査で明らかになっていることは、組織における管理職や監督職、チームリーダー、プロジェクトマネジャーなどのリーダーは管理業務など実際やっておらず、問題解決にほとんどの時間を使っているとう事実です。リーダーは業務に携わる現場の社員の言葉に耳を傾けたり、上層部への問題・課題のプレゼンテーション、部署・部門間、あるいは上下の人間関係の調節など役目を担っていると記述されています。リーダーは問題解決を主に従事しており、その発揮形態は、コミュニケーションであるということです。つまり、リーダーシップはコミュニケーションスキルと言っても過言ではありません。とくに、現場におけるリーダー業務の本質はコミュニケーションであり、上下の人間関係の仲介に入っているため、コミュニケーションの問題・課題がリーダーに集中してしまいます。
しかし、コミュニケーションの訓練は、日本企業では、新入社員や若手社員には徹底してトレーニングの機会はあるものの、リーダーである上位の社員には、思考や知識ばかりのトレーニング教育が多く、実践的なコミュニケーション教育がほぼ実施されてません。会議の問題、ハラスメントの問題、部門間連携の問題、経営意思決定の問題などの要因は、リーダー以上のコミュニケーション能力にあると言えないでしょうか?
対話
対話とは、お互いの立場や意見の違いを理解し、認識のズレをすり合わせることを目的に行うものです。言葉を交わしていても、意味の共有ができていなければメンバーとのコミュニケーションには問題が生じてしまいます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
プロジェクトファシリテーション
プロジェクトファシリテーションとは、スムーズなプロジェクト遂行と目的の達成に向けて、あらゆる障害を取り除くために、プロジェクトメンバーの支援や社内外の関係者との調整・折衝を行うことを指します。
リーダーは、プロジェクトメンバーが持てる能力を最大限に発揮できるよう、プロセスへ介入し、プロジェクトチーム内外のコミュニケーションを円滑にする役割を担います。プロジェクトが複雑化する中で、コミュニケーションを円滑化してスムーズに進行させることがリーダーに求められています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ディスカッション
ディスカッションとは、特定のテーマに対して議論し、結論を見出すことです。リーダーはプロジェクトメンバーとディスカッションを行い、プロジェクトの軌道修正を意識しながら進捗管理や目標管理を進めていきます。不確定な問題について真理を追究したいときにディスカッションを活用しましょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ディベート
ディベートとは、特定のテーマについて肯定派と否定派に分かれ、それぞれ与えられた役割で一定の時間内に議論することです。「自分たちが正しい」と相手に認めさせることが目的であるため、ディベートにおいては自分たちの正しさを証明できるデータを集め、論理的に説明しなければなりません。最終的には審判や観客が、どちらの主張が優れていたかをジャッジする、つまり明確な勝ち負けがあるのがディベートです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ストーリーテリング
ストーリーテリングとは、ストーリーを語ることで相手により深く印象付けて、理解を促す手法です。リーダーが取るべきコミュニケーションにストーリーテリングの要素が含まれると、メンバーは感情移入しやすくなり、説得力が向上するメリットがあります。プロジェクトの目的や背景を伝えやすく、メンバーのモチベーション維持に貢献するでしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
レトリック
レトリックとは、コミュニケーションの場において情報を発信する側が、受信側を説得したり、納得させたりするための手法やテクニックです。巧みな言葉やパフォーマンスで聴衆を説得し鼓舞する方法であると同時に、語り手の都合の良いように言いくるめる方法であり、詭弁にもなり得るという両面性があります。コミュニケーションの発信側と受信側がともにレトリックを用いることで、プロジェクトのコミュニケーションは効果的に展開されます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
まとめ
リーダーに求められる役割とコミュニケーション能力について解説をしてきました。リーダーの役割はたくさんありますが、部下との円滑なコミュニケーションは必要不可欠であり、プロジェクトの成果につながるビジネスコミュニケーションに取り組まなければなりません。部下とのコミュニケーションを取る際には、さまざまなコミュニケーションスキルを用いて円滑に業務ができる環境を作り上げましょう。
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株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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