リーダーシップがある人とは?リーダーシップの種類と必要なスキル、求められる行動
目次
ビジネスの現場において、業務全体の責任を取りながら意思決定を下し、目標達成に向けて組織やチームを牽引するのがリーダーです。そのリーダーが発揮するスキルをリーダーシップと呼び、優れたリーダーシップが発揮されていると業務がスムーズに進み、生産性が向上します。
この記事では、現代社会で重要とされるリーダーシップの種類や、リーダーシップを発揮する人の特徴について解説しています。業務の精度や生産性にも寄与し、企業の成長にも大きく関係するリーダーシップですが、習得するにはどのような要素を押さえる必要があるのでしょうか。
リーダーシップとは?
リーダーシップ(leadership)は、組織・団体などの集団を指導しながら統率し、目標に向かって集団を牽引する力を指しています。ITやAIといったテクノロジーやグローバル化により、大きく変わった現代のビジネス環境においては、一握りの管理職・リーダーだけが発揮するのではなく、社員・メンバーの一人ひとりが身に付けるべきスキルとされています。
個々の社員・メンバーがリーダーシップを持つことで、周囲を巻き込みながら目的達成に向かうことができ、業務や経営上の課題・問題に柔軟に対応し、組織・集団の高いパフォーマンスを引き出せるでしょう。
リーダーシップの定義
オーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーは、リーダーシップとは単なる素養や資質ではなく、「仕事・責任・信頼」の3つの要素によって構成されると提唱しました。
1.リーダーシップは「仕事」である
リーダーの役割は、企業・組織などの集団の目標を明確に示し、必要な基準や優先順位を設定することです。それらを維持しながら、社員・メンバーを導き、目標達成に向けて行動することが求められます。
2.リーダーシップは「責任」である
リーダーは、地位・権力・特権を利用するのではなく、立場を活かして社員・メンバーを支援し、業務や行動の責任を負うことが求められます。
3.リーダーシップは「信頼」に基づくものである
リーダーは、常に一貫性のある言動を心がけ、監督・指導・行動のすべてに責任を持つことで、社員・メンバーからの信頼を獲得する必要があります。リーダーが自立的・自発的に業務を全うしている姿に、社員・メンバーからの信頼が生まれます。またそのようなリーダーの姿に、社員・メンバーは誘発されるため、組織全体のパフォーマンスの向上につながるのです。
企業・組織などの集団が成果を上げるためには、社員・メンバーそれぞれが自主的に行動し協働できるよう、リーダーが導いていく必要があります。そのためには、リーダー自身が「仕事・責任・信頼」の3つの力を高め、リーダーシップのスキルを磨き続けることが求められています。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップに似た概念にマネジメントがありますが、この2つは似て非なる概念です。
リーダーシップは、企業・組織などの集団を目標に向かって牽引する能力です。理念やビジョンを共有し、時に社員・メンバーを鼓舞し、変化に対応しながら目標達成へと導く力が求められます。
一方、マネジメントは、目標達成に適した手段や戦略を考え、企業・組織などの集団を管理する能力です。計画立案・実行・評価・改善といったサイクルを回し、効率的に目標を達成するための仕組み作りが主な業務になります。
リーダーシップとマネジメントは異なる概念ですが、この2つは企業・組織の運営にとって欠かせないものです。とくに、マネージャーや部署の長といった人を束ねるリーダー的な立場にある人は、リーダーシップ・マネジメント両方の能力を用いる必要があります。
リーダーシップがある人は「行動は言葉よりも雄弁」であることを知っている人
リーダーシップは本質的に、行動力がもっとも重要な要素です。言葉によるアピールよりも実際に業務などを行う姿勢を見せることで、リーダーシップがあると周囲に示すことができます。また、言動の一貫性もリーダーシップにとって重要であり、リーダーのブレない態度や姿勢が社員・メンバーに安心感を生み、この人について行こうと思わせる要因になっています。
つまり、具体的な行動と言動に一貫性がある人に信頼が集まり、信頼を集めた人物が、周囲の人々から支持されるようになるため、リーダーシップを執る、といった流れが優れたリーダーを生み出す構造です。リーダーの資質がある人はこのことを理解しており、言葉だけでリーダーシップを執ろうとはしません。必ず行動とセットにし、頭と身体を使って活動している姿を周囲に見せることにより、他者の心を動かそうとします。
上記のようなリーダーとは逆に、言葉によるコミュニケーションスキルに偏ってリーダーシップを執るリーダーも存在します。このようなタイプのリーダーは、評論家などと揶揄され行動力に欠けていると批判される場合も多く、社員・メンバーから深く信頼されることは難しいと言えるでしょう。
【リーダーシップの種類】それぞれの長所と短所
リーダーシップにもさまざまな形があり、場面や状況によって効果が異なってきます。ここではリーダーシップの種類と、それぞれの長所と短所についても解説します。
民主的リーダーシップ
民主的リーダーシップとは、部下と協力しながら意思決定を下すことや、組織やチームメンバーの意見や意思といった周囲からのフィードバックを大切にしながら指揮を執るリーダーシップです。
民主的リーダーシップは、1人で組織やチームを率いるというより、全体の意見や意向を積極的に採用し、全員で課題や障害に向かっていく特色があります。全体の意見や意思を受け入れる姿勢により、大規模なチーム統率の対応、さまざまな人から広くアイデアを集められるなど、業務の質の向上や企業の成長といった恩恵も期待できます。
長所
周囲の意見・意思を受け入れる民主的リーダーシップを発揮する人の下で働くことで、部下は権限を与えられ、業務に参加している実感をし、存在を肯定的に扱われることで組織やチームに貢献している感覚も持てるため、定着率や士気、自律を高める効果があります。複数の視点やアイデアなどは、組織や集団に問題の要因を複眼的に考え解像度を上げる効果もあります。
短所
民主的リーダーシップの短所は、意思決定までのアプローチに時間がかかってしまうところです。グループディスカッション、業務についての話し合い、アイデアやフィードバックの取得などにおいて、部下や周囲の意見をしっかり聞く姿勢が非効率さを生み、必要以上に時間を使ってしまう傾向があります。
不必要な合意形成は、コミュニケーションコストがかかるだけでなく、部下や周囲から判断できない臆病なリーダーを揶揄されるかもしれません。
独裁的なリーダーシップ
部下や周囲の人に指示を出し、コントロールすることによって統率を執るのが、独裁的なリーダーシップです。決断力があり、一方的な意思決定を下すことが多いリーダーシップで、牽引するといった意味ではもっともリーダー的だと言えます。
独裁的なリーダーシップを発揮するリーダーは、多くの場合において単独、もしくは信頼する少数のグループで意思決定を下す傾向にあります。自分の指示した通りの業務を、部下や周囲が正確かつ確実に実行することを重視するため、時に高圧的な態度によって人々をコントロールする場合もあり、パワハラと受け止められかねない側面もあります。
長所
明確でわかりやすいコミュニケーションを取る独裁的なリーダーシップは、ビジネスに必要なスピードを担保します。また具体的な指示により生産性を高めやすいことが長所です。また、判断の全てを自身が引き受けることにより、迅速な意思決定が下せるため、部下や周囲の業務へのストレスを軽減することも期待できます。判断と成果が連続し、一貫性があれば、このリーダーの言説は物語になり、果ては神話になります。ある意味カリスマ性がなせるわざかもしれません。
短所
独裁的なリーダーシップの短所は、リーダー自身が責任を引き受けがちなため、高いレベルのストレスを感じやすい傾向にあるところです。また、リーダーの独断の意思決定が主軸なため柔軟性に乏しい場面が多く、問題定義や解決方法に一貫性があるゆえに、柔軟性を欠き、その求心力は危ういものと言えるでしょう。組織やチームの不満から反発を招き、極端なケースでは、事実の改善や問題のすり替えなど、リーダーは組織や集団の為に存在するにも関わらず、自分の為に行動を起こすようになります。
自由放任的リーダーシップ
組織やチームに属するメンバーに自由を与え、目標達成の手段やプロセスにこだわらずに指揮を執るのが自由放任的リーダーシップです。マイクロマネジメントのように、社員の業務や動向を細かく管理・指示する統率方法とは異なり、個々の社員の発想力や処理能力を引き出し、活かせる空間作りを行います。
最低限の指導が行われていないと部下や周囲が自由になりすぎるリスクはあるものの、上手く機能した時に発揮されるクリエイティブな業務の創出や社員が感じる幸福度は、数あるリーダーシップの中でもトップクラスです。
長所
自由放任型リーダーシップの長所は、社員の定着率を高めることです。社員それぞれに与えられた自由は、責任を持ちながらも創造性や過ごしやすい職場環境を促進し、多くの場合において社員の定着率を高めます
。集団や組織という枠ではなく焦点が個人であるため、個性や専門性は、もしくは多様性が富み、状況において公式なリーダーではなく、メンバーがリーダーシップを取ります。
短所
自由は扱いを間違うとリスクにもなるため、集団や組織は、時間の経過とともに規範やルールができるものです。知らず知らずのうちに暗黙のルールや規範は醸成され、優位劣位、上下ができます。つまり自由放任リーダーシップは意図的に自由を創造しているわけです。自由は耳障りの良いフレーズですが、間違って暗黙の了解を察知できないリーダーが自由を標榜してしまうと人が群れているだけで、何ら生産性も成果も評判もなく、内部から崩壊してしまうリスクが考えられます。
官僚的なリーダーシップ
組織やチームのメンバーが規則やルールを遵守し、決まった手順で業務を遂行することを重視するのが官僚的なリーダーシップです。とくに、金融・医療・政府といった部門や、規制の厳しい業界で効果を発揮するリーダーシップです。
部下や周囲の行動をコントロールするという点では独裁的リーダーシップと似ており、社員の役職によって業務を固定し、それぞれのやるべき範囲内での業務遂行を期待する特徴があります。官僚的なリーダーシップでは固定業務にフォーカスするため、下で働く部下は創造性や部署間での連携といった能力は求められません。
長所
官僚的なリーダーシップは、とくに厳しい規則や規制が設けられている組織では効果を発揮します。業務と人間関係などの私情的な要素を切り離し、組織やチームの目標達成に必要な要素をはっきりさせ、淡々と遂行できる状態をキープします。安定的かつ長期的に品質を保つためには、最適なリーダーシップと言えます。
短所
特性上、創造性を促進しないため、一部の社員は行動を制限されている感覚や、裁量権がないと感じる可能性があります。構造化と分業化による効率を主とするため、行き過ぎた合理性は人間性を排除し、タスクと人が一緒になります。管理や仕組みの維持が目的化し、集団や組織の目的やビジョンをも超える大儀になります。
コーチングリーダーシップ
各社員の能力を分析・改善を支援しながら、組織やチームを牽引・統率するのがコーチングリーダーシップです。個々の社員の強み・弱み・モチベーションを理解してから戦略を考えるため、とくに社員の成長を促す意味で効果的なリーダーシップになります。
業務の配分も社員の成長ベースで行い、適度に難しいプロジェクトを任せ、結果に対してフィードバックを提供する、成長サイクルを用いながら業務遂行します。また、適切な期待値を設定するため、社員がモチベーションを高く持てる環境を作ることも得意としています。
長所
コーチングリーダーシップの真骨頂はポジティブな姿勢にあるため、部下や周囲を勇気づけて行動力を与え、新たなスキルの開発を促進し、力強く自信に溢れた企業文化を育むことができます。多くの場合、リーダーでありながら、メンターとしての側面を持つのも特長です。
短所
コーチングリーダーシップには多くの利点があるものの、対話コストが高いことが短所です。リーダーと社員の1対1の対話を必要としているため、期限が迫っていて業務に追われる状況などでは、対話時間を確保できないといった問題が起こり、リーダーシップとしての機能が落ちる可能性があります。
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ペースセッターのリーダーシップ
社員のパフォーマンスを重視して高い基準を設定し、組織やチームのメンバーそれぞれに目標達成の責任を課すのが、ペースセッターのリーダーシップです。責任感によって目の前の業務の精度を高めるため、短期間で結果を出すことに向いているリーダーシップです。
ペースセッターのリーダーシップは、期限が迫っているなど社員に素早い行動を促す必要のある業務環境ではとくに機能します。一方、フィードバックを必要としている社員にとっては有効な効果を発揮しない場合もあるため、広く活用できるリーダーシップではありません。
長所
社員のパフォーマンスを重視し、責任感を問いながら高い基準で行動を促進するため、社員は短期間での目標達成を果たしやすくなります。また、パフォーマンス重視で組織やチームを牽引する中でエネルギッシュな職場の雰囲気も作りやすいため、部下の動きが活発になる点も長所でしょう。
短所
部下一人ひとりに一定のパフォーマンスを要求しながら目標や期限に向かって指揮を執るため、ペースが合わない社員のオペレーションが難しい環境になってしまう可能性があります。また、個別の意見や意思を拾うことがおろそかになりやすいため、社員と意思疎通が取れずに関係を悪化させてしまう可能性もあります。
サーバントリーダーシップ
社員を第一に考えるサーバントリーダーシップは、部下や周囲に指示や命令を下すのではなく、ビジネス目標を達成できるよう影から奉仕(サーバント)し、社員に主体的な行動を促すリーダーシップです。
組織やチームメンバーの力を信じており、業務に向かう際には部下や周囲の話に耳を傾け、共感しながら、社員が最大の能力を発揮できるようサポートに徹します。社員を目的達成にどう役立てるかではなく、社員にとって自身がどう役立つかを考えて指揮を執る特性があります。
長所
部下の能力を信頼し、尊重するサーバントリーダーシップは、社員の企業へのコミットメントを高めます。また、個々の社員や組織・チームの能力開発や意思決定の力を改善するため、より生産性の高い業務環境や、将来のリーダーを生み出す効果もあります。
短所
奉仕(サーバント)の精神が強く、自身よりも部下や組織・チームのバックアップを優先してしまうため、リーダー自身が燃え尽きてしまう可能性があります。自我を律しながら他を優先する、もっとも難しいリーダーシップだと言えるでしょう。
ビジョナリーリーダーシップ
イノベーティブなビジョンを設計・表明することで社員を刺激し、革新的なアイデアや行動力に対する信頼を獲得することで社内に変化や業務改善をもたらすのが、ビジョナリーリーダーシップです。
先見の明を感じさせる指揮によって部下を鼓舞し、強力な組織体制や上下関係の結びつきを確立することもできるリーダーシップであり、例えばアップルの元CEOスティーブ・ジョブズやAmazonのCEOジェフ・ベゾスなど、カリスマ性のある経営者が用いている手法です。
長所
企業の成長や業務改善、組織やチームの団結など、広義にわたって効果を発揮するのがビジョナリーリーダーシップの長所です。とくに、時代遅れのテクノロジーや慣習といった業務体制の改善に訴求しやすいことが特長です。
短所
未来のビジョンや企業・プロジェクトの全体像にフォーカスしているため、重要な業務であっても細かいことに対し、配慮が苦手で、見落としてしまう可能性があります。ビジョンによって燃え上がった情熱が、視野を狭めるリスクにも繋がっていると言えるでしょう。
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リーダーシップがある人になるには
1.積極的な意見交換と建設的なディスカッションを奨励する
リーダーシップがある人は、自身の意見を率直に述べるだけでなく、他の社員・メンバーの意見を聞き入れて尊重しながら、集団・組織全体の意見を総合的に活かすように努めます。もちろん、時には強い意思を持って自分の意見を述べることもありますが、相手の考えを100%否定するような言い方は決してしません。
たとえば、「この件に関して自分はこう考えるけど、あなたはどう思う?」や、「あなたの意見も一理ある。別の角度から見ると、〇〇とも言えませんか?」など、丁寧で物腰の柔らかい言い方をします。発言には必ず、相手が自分の考えを述べられる、意見・反論を返せるといった余白を残し、対話を意識したやり取りを心がけているのが特徴です。
2.周囲を信頼させている、巻き込んでいる
リーダーシップがある人は、他の社員・メンバーとの関係性を良好にし、周囲からの信頼を獲得しながら、集団・組織全体を巻き込みながら仕事を行います。ビジネスマナーを守った上で平等な人間関係を構築するよう努めています。だからこそ、周囲を巻き込むことができるのです。
さらに信頼を獲得するためには、まずはリーダー自身が積極的に行動を起こし、挑戦する姿を見せることで、口だけではない行動力のある人物であると認識してもらうことが大切です。その結果、リーダーに感化された周囲の人々が行動を起こす状態になり、信頼されながら、周囲を巻き込むリーダーシップが発揮されます。
3.レトリックのスキルがある、説得力がある
レトリックとは、日本語に訳すと「修辞法」の意味になり、簡単に言えば説得・スピーチなどで使う言葉の表現方法です。リーダーシップのある人は、このレトリックのスキルが高く、発言に説得力を持たせることができるのも特徴です。
レトリックのスキルが高い人は、合意形成が取りやすく、相手の心をつかみやすいメリットがあるほか、ディベート・ディスカッションなどの議論も得意とする傾向にあります。実際に、ケネディ・ルーズベルト・オバマ・トランプといった、スピーチを得意とするアメリカの歴代大統領は、レトリックを駆使したパワフルなメッセージを発信していました。
優れたリーダーシップを発揮したいならば、レトリックのスキルの習得は避けては通れないと言えるでしょう。
4.行動が雄弁
リーダーシップがある人は、自らが率先して行動を起こし、目標に向かって必要な物事に対して積極的に取り組むことで、周囲の人々に好影響を与えることができます。言葉によるコミュニケーションも大切にしていますが、それ以上に、実際に行動している姿を見てもらうことも重視しているのは前述した通りです。
物事に真剣に取り組むことで結果を出し、有能な人物だと周囲の人々から認識してもらうことで、リーダーとして説得力を持たせることができ、納得してもらえるといった側面もあります。シンプルに、仕事ができない上司よりもできる上司の方が信頼されるものですし、優れたリーダーシップを発揮できる人物になるには、「自分自身の行動=業務遂行力」を高めることも大切です。
5. 倫理性を持っている
リーダーシップのある人の大きな特徴として、倫理性をしっかり持って行動していることも挙げられます。倫理性を持っているとは、物事に向き合う際、モラル・マナー・法律といった社会的な規律を守り、周囲の人々や関係各所、または世間に対して配慮しながら行動することです。
いくら有能で弁が立ち、行動力が備わっていても、倫理性に欠ける人物は周囲からの信頼を得ることは難しいものです。とくに現代社会はクリーンであることが求められるようになっており、倫理性の欠如はそれだけで相手からの信頼を失ってしまいます。リーダーシップを発揮できる人物を目指すなら、倫理性を身に付けておくことは必須だと言えるでしょう。
6. アウトサイダー的な考えを持っている
リーダーシップのある人は、周囲の人々との人間関係やコミュニケーションを大切にし、倫理性を持った行動をしながらも、考え方の中にはアウトサイダー的な視点も持っているのが特徴です。
ビジネスにおけるアウトサイダーは、「部外者」や「独自の考えを持っている人物」といった意味があります。何か新しいビジネス・事業を創出するためには、このアウトサイダー的な視点や発想を持っていることも、リーダーシップでは重要な要素です。多くの業務がAIなどのテクノロジーに代替されつつある現代では、企業・組織に所属する社員は創造性を高めることが求められているからです。
課題や置かれた状況がリーダーシップのある人を求める
ビジネスにおいては、さまざまな課題の解決や生産性の向上を目指すために、リーダーシップが必要とされます。法律や倫理規範、社会問題、サプライヤーやステークホルダーの権利などに配慮し、公正かつ道義的な方法で効果を発揮することが求められるためです。
近年では、多様性の考え方が普及し、企業の社員も異なる主義主張やさまざまなアイデンティティを持つ多様な人々で構成されています。多様な社員をまとめ上げ、生産性の高い職場環境を作り上げるためには、リーダーシップが重要です。企業においては、すべてのリーダーポジションの人々に、この基本的な指導方法が求められるでしょう。
また、課題や状況に応じたリーダーシップが業務面で求められるだけでなく、人間関係においてもリーダーシップが必要です。組織やチームを構成するメンバーは、感情を持ち合わせており、喜びや怒り、やる気、不安、不満、要望などを抱えています。適切なコミュニケーションや配慮を通じて、感情や関係性をメンテナンスするリーダーシップが求められています。
とくにコミュニケーションは重要であり、従業員一人ひとりのニーズや要望に対応するだけでなく、情報共有やフィードバックの提供、感情的な問題に寄り添って解決に向かう姿勢が求められます。
つまり、「課題や置かれた状況がリーダーシップのある人を求める」ということは、リーダーシップのスキルや特性が、現場の要求や状況に応じて適切に発揮される必要があるということです。リーダーは柔軟で状況に適応し、ビジネス面や人間関係の両面で効果的に働くことが求められます。
リーダーシップにおいては強みを活かすことが重要
人それぞれ得意なことが違うように、リーダーシップにおいても強みを活かすことが重要です。自身のリーダーシップのスタイルを開発・確立するには、強みを磨くことと同時に、強みを発揮できる課題と場を探すことが必要です。
以下の3つがリーダーシップを発揮できる課題と場を探すポイントです。
- 自身が得意とする専門の領域で課題を探す
- 所属する組織・チーム内における課題を可視化する
- 現在目の前にある課題と自身の個性や強みを照らし合わせる
なんらかの状況でリーダーシップを発揮することができれば、コツや感覚をつかむことができるでしょう。役割としてリーダーではなくとも、さまざまな場面でリーダーシップを発揮し、周囲の人々をリードすることができます。
リーダーシップがある人はコミュニケーション能力が高い
リーダーシップとコミュニケーション能力は切り離せません。優れたリーダーシップを発揮するリーダーの多くは対人関係の対処が上手く、部下や周囲との関係性作りを怠りません。
なぜなら、組織やチームあってのリーダーであり、リーダー1人では業務の遂行や課題解決することは不可能だからです。どれほど適性に合った場でリーダーの役割を担っても、部下や周囲の力なしでは成果を上げることはできません。
だからこそ、優れたリーダーほど部下や周囲との関係性を大切にし、コミュニケーションによってグリップしておくことを重視しています。組織やチームにおいて、生産性の高い状態や課題解決に導けるリーダーになるためには、一定のコミュニケーション能力は必須になります。
リーダーシップを発揮する上で必要なスキルや能力
リーダーシップを構成する要素を分解すると、複数のスキルや能力で形作られていることがわかります。コミュニケーション能力やチームビルディング能力、問題解決力などが必要です。そのためには、ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、ストーリーテリングや傾聴などの手法を学ばなければなりません。
以下の記事ではリーダーに必要なスキルを具体的に解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
リーダーシップには複数の種類があり、すべての場面・状況に適したリーダーシップは基本的に存在しません。それぞれのリーダーシップには長所と短所があり、総合的にプラスに働くものを選択する必要があります。
また、リーダーシップは1つの能力だけで成り立っているわけではありません。ロジカルシンキングやラテラルシンキングといった思考法、傾聴や対話といったコミュニケーション能力、自我を抑えて役割に徹するメンタルなど、複数の要素によって構成されている複合スキルです。
優れたリーダーシップを発揮する人材になるには、多くのスキルや能力を習得し、経験を重ねる必要がありますが、難易度があるからこそ企業に重宝される存在になっています。
生産性・社員の幸福度・企業の成長と、あらゆる側面にポジティブな影響をもたらすリーダーシップは、変化が激しく、社員が目標を見失失いやすい現代だからこそ必要なスキルだと言えます。
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人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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