【上司と部下】コミュニケーションの課題やポイントを詳しく解説

職場における上司と部下の問題は、時代の変化と共に要因はさまざまですが常に付きまとう問題です。日々の上司と部下のコミュニケーションに問題があると、情報共有や報告、相談が後回しにされるようになり、思わぬリスクにつながる懸念があります。つまり上司と部下の問題の発生は、ほぼ上司と部下のコミュニケーションであると言えます。現代において、世代が異なる多様な社員同士が円滑に意思疎通できる環境や関係を整えるためには、どうすればいいのでしょうか。

本記事では、上司と部下の間のコミュニケーションという古くて新しい課題の原因や状況改善のために取り組むべきポイントを解説します。

上司・部下間で起こるコミュニケーション課題の一般的な原因と背景

上司と部下の間でコミュニケーションに食い違いが生じてしまうことは、決して珍しいことではありません。多くの職場が抱えている共通の課題のひとつでしょう。しかしなぜ、コミュニケーションに課題が残ってしまうのでしょうか。まずは、この課題の一般的な原因と背景について整理していきます。

リモートワークの普及

昨今における企業の多くが、リモートワークを取り入れています。フルリモートでなくとも、週に決められた日数だけリモートを認めるケースもあり、従来に比べて対面でのコミュニケーション機会が減少しています。活発な意思疎通のために社内チャットなどのコミュニケーションツールを取り入れる企業も多くありますが、対面コミュニケーションの代替にはなっていないのが現状です。

遠隔でのやり取りの場合、何気ない雑談や、気軽な相談を持ちかけるのがどうしても難しくなります。対面とリモートのコミュニケーションを比較した際、リモートの方の情報量が少なくなってしまうことは明らかです。その対策として、対面とリモートを組み合わせるハイブリッドワークを推進する動きもありますが、最適な解を持っている組織は少ないでしょう。

世代のギャップ

上司と部下に、世代のギャップがあるということもコミュニケーションの課題です。世代が違うと、当然育ってきた時代背景や価値観が異なります。片方が当たり前だと思っていることが、すんなり受け入れられないということも出てきます。コミュニケーションにすれ違いが生じると、相手が自分を理解してくれていないと感じてしまい、意思疎通をとることが億劫になる場合もあります。

打開策として、世代カテゴリーとして括り、相手の人生の社会環境やその影響を知識として習得するという考え方もあります。このような考え方は意味のあることですが、個別の上司部下という人間関係において、一人ひとりの背景や価値観は人それぞれであるため、世代間の差異に対する一般論が通用しない場合もあります。そのため、誤解を生む可能性もあるのです。

知識や経験の差

上司と部下には、知識や経験の差があるでしょう。仮に上司が、自分の経験と知識をベースにコミュニケーションをとろうとすると、部下はそれを正確に受け取れず、コミュニケーションに苦手意識を持ってしまいます。相手との経験の差を意識して表現や言い方を工夫しなければ、言いたいことを正確には伝たえられないでしょう。

上司と部下という関係における知識や経験の差は、上司の知識や経験が優位で、部下の経験や知識が劣位であるという意味合いが暗示的に内包されています。市場環境変化と技術変化の速い現在のビジネスシーンで、上司部下の知識や経験の優劣の前提は、有効ではない場合もあります。そのため、上司は自身の知識や経験を過信せずに、部下とコミュニケーションを取っていくことも重要です。

上司と部下のコミュニケーションの構造的要因

ここまで、上司と部下のコミュニケーションに食い違いが起きる要因について触れてきました。ただ、原因は上記に挙げたものだけではなく、職場における構造的な問題が意思疎通を妨げていることも考えられます。以下では、コミュニケーションがうまくいかなくなる構造的要因を3点紹介します。

コミュニケーションする時間がない

上司側に、「コミュニケーションを丁寧にとるだけの時間がない」という問題です。経営者以外のすべての管理職はいわゆる中間管理職にあたります。ヘンリー・ミンツバーグの著書「マネージャーの実像」における調査でも明らかになりましたが、中間管理職は、日々の問題解決に追われています。とくに日本企業では独特な組織内調整が必要となるシーンが多く、細やかな動きを求められます。これにより、自分のやるべきことに精一杯になってしまう傾向があるのです。

加えて昨今では、メインの職場・コミュニティのほかに、プロジェクトチームや委員会などの組織が作られることもよくあります。これらの組織は経営戦略において、メインのコミュニティよりインパクトを持つことも多く、業務調整に追われます。上司があちこちで連結ピンとして作用していると、必然的に、重要性・緊急性が低い部下との意思疎通やコミュニケーションが後回しになるか、時間短縮の対象になってしまうことが考えられます。

難易度の高いコミュニケーションが求められる

近年、上司も部下も担当するタスクが高度かつ専門的になっており、関連する人々の雇用形態や価値観の多様化により、業務は複雑になりました。組織内外で専門家と協力することがあり、時には異なるバックグラウンドを持つ相手との対話を必要とする場合もあります。

こうした状況で、ミーティングを開催してコミュニケーションを図っても、誤解が生じる可能性が高いです。したがって、まず相手の動機を理解し、対話、説得、交渉を行い、必要に応じて情報を共有し、相手が理解しやすい形に翻訳する必要があります。こういった高度なコミュニケーションは、経験とスキルが必要です。

コミュニケーションは非常に難しいため、上司や部下との関係が浅い場合はとくに時間をかけるべきです。お互いをよく理解し、信頼関係を築くことが重要です。これにより、共通の言語も増え、コミュニケーションも潤滑になるでしょう。

多様性の高い対象とハラスメント

組織の多様性が広がっていること、そしてハラスメントへの対応が根付いていることが、コミュニケーションを阻害している側面があります。

日本的な組織は昔から同質性が高いものでしたが、1980年代頃からそれは強みから弱みに変わり、海外進出や業務の多角化を目指すためにも多様性が求められるようになりました。これまでのように、既存の事業の経験値を引きずったまま業務を進めても、成熟はするものの成長はしなくなり、組織がいずれ後退してしまいます。

イノベーションを起こし、グローバルに活躍する未来を求める場合、現在の組織のあり方ではデメリットの方が多いです。その結果、クロスカルチャーを取り入れるなど、新しい動きを見せる企業が増えてきました。今や職場とは、年齢や性別、価値観が異なる人たちが集う場所になっています。

このような職場環境でジェネレーションギャップが問題になるのは当たり前のことです。しかも仕事そのものも多様化しているので、部下が取り組んでいる業務を上司が経験しているとは限らず、業務上のアドバイスができないシーンも増えています。上司であるからといって、必ずしも専門性が高かったり、スキルが磨かれていたりするとは限らないのです。これにより、コミュニケーションの場はますます減っています。

また、上司から部下へ、部下から上司へのコミュニケーションが、100%過不足なく受信者に伝わることはありません。誤解はつきものであり、それをなくすことはできません。だからこそ、「伝わらない」前提、「誤解」前提を意識したコミュニケーションが必要です。言い方を変えれば、コミュニケーションの不可能性を認識することが必要ということです。

それぞれの社員が常に誤解の可能性を意識することで、誤解の可能性をむしろ小さくできるのではないでしょうか。逆に、自分のメッセージがすべて理解してもらえるという思い込みから、対立や軋轢が生じるとも言えます。誤解はつきものだと、社員が心にとめておくことが、良質なコミュニケーションの最大の土台となるのです。

組織でハラスメントに関連する言動を統制しても、注意喚起として提示しているに過ぎず、ハラスメントを減らすことは難しいでしょう。コミュニケーションは「誤解を生み伝わらない」という性質があるため、本質には、ハラスメントにあたる言動を取ってしまうことは誰にでもありうるという前提を持つことが必要です。

ハラスメントについて、気づいたら気軽に申告できる雰囲気を作ることも、組織のためには重要です。ハラスメントに神経質でいることは重要ですが、過度に気にしてしまうと互いにコミュニケーションを拒否し合う空気になってしまいます。「ハラスメントをなくす」という提言がよくされるようになった結果、組織メンバーの関係性が希薄になってしまうのです。

離職という恐怖

一つの会社に勤め続けるのが当たり前という考えは、もう過去のものです。転職や離職をすることは、決して社会的に珍しいことではありません。しかし管理職にとっては、部下が離職してしまうと、自分の評価が下がるという場合もあるでしょう。そのため、離職という発想を持たれないように、慎重になりすぎてはいないでしょうか。このように、コミュニケーションが上辺だけのものになっている可能性があります。部下から離職の申し出があった場合は、理由や、どのような問題を感じているのかを議論するといった方法をとってみてはいかがでしょうか。

海外と同等レベルの人財流動性になるまでには多少の時間はかかるものの、ビジネス人生において、一社で勤め上げるということは減少するでしょう。現在の上司部下の関係が刹那的なものであれば、上司部下以外の別の関係を構築できます。

まともなコミュニケーションの学習機会がない

海外では、スピーチやディベートなどのコミュニケーションスキルを子どものころから学びます。日本の教育では、コミュニケーションスキルに該当する教育は国語の作文などにあたります。日本でもコミュニケーションスキルを強化する動きがありますが、それが企業に還元されるまでには10年以上かかるでしょう。

日本のビジネスパーソンは、通常、新卒で企業に入社してから初めてビジネスコミュニケーションスキルを学びます。これには、論理的思考、批判的思考、スピーチやディベートなどのコミュニケーションスキルが含まれます。しかし、実際には、各企業内で独自のコミュニケーション方法、言語、スタイルが存在し、これらを模倣して学ぶことが一般的です。そのため、本質的なコミュニケーションスキルを学ぶ機会が限られており、所属企業内独自のスキルのまま、更新されていかない各企業内で独自のコミュニケーションスキルが養成され、社会人としてのコミュニケーションスキルとして定着します。こういった独自のコミュニケーションスキルは他の企業で通用しない場合もあり、問題となっています。

また、多くの会社で行われるコミュニケーションスキルの学習は、新入社員や若手社員に限られており、上司やベテラン社員のコミュニケーションスキルを向上させる機会は、ほとんど提供されません。なぜなら、コミュニケーションは初歩的なスキルと見なされがちだからです。もちろん、自己学習でコミュニケーションを向上させる人もいますが、何も学ばなければ、管理職以上の社員でもコミュニケーションによるトラブルが生じるかもしれません。

とくに、組織内で独自のコミュニケーションスタイルが存在する場合、その方法が浸透し、正しいコミュニケーション方法を忘れさせてしまうことがあります。最近では、この問題を克服するために、管理職全体を対象とした基本的なコミュニケーションスキルのトレーニングを行う企業も増えています。

上司と部下の関係を変えればコミュニケーションは変わる

コミュニケーションを放置していると、うまくいかなくなる可能性もあります。では、どうすればコミュニケーションのあり方が変わるでしょうか。具体的な言葉や伝え方はもちろん大事なのですが、まずは環境や状況という前提からコミュニケーションを変えることで、上司と部下の関係性に手を加えていくところから見ていきます。

構造的関係を変える

まずは、構造的関係から変えていきます。上司と部下という関係が凝り固まっていると、上記で紹介したような問題を解決することができません。そこで状況によってリーダーを変えてみたり、または全員がリーダーという立場で同じ状況で関わり合ったりすることで、関係性を大きく変化させることがオススメです。

現状のビジネス課題解決に向けて、公式的な上司部下の関係を気にする必要などそもそもなく、課題解決やリソース状況に応じて非公式にリーダー(上司)が変化しても問題はありません。公式的な上司と部下という構造が、課題や解決において最適である場合の方が少なくまた、足かせになってことの方が多いです。もし自分以上にリーダー(上司)の立場を取れる部下がいるのであれば、プロモートを推奨しましょう。

心理的関係性を変える

心理的な関係性にも目を向けましょう。人と人の関わりなので、それぞれに相性があり、独自の距離感があります。相性がいい場合は問題ないのですが、コミュニケーションが深まらず停滞していると感じたら、さらに感情を喚起するようなコミュニケーションをとっていく必要があります。無闇に身構えたり、ハラスメントや離職の可能性に敏感になりすぎず、関係性を変える勇気を持つことが大切です。

上司と部下の心理的な関係性について人それぞれ個別の文脈があるため、これが正解とは言えません。ですが、関係性を変化させるために、上司と部下以外、第三者の関係性を活用することも重要です。1対1の関係性は複雑になりがちです。感情と論理が入り混じった関係性を、第三者となる同じ職場の別のメンバーや、上司の上長、外部のコーチャーなどに整理してもらい、距離を置くと解決することも多いです。

「立場としての個人」と「人間としての個人」のジレンマ

上司と部下のコミュニケーションは、「組織に所属している個人」という側面と「一人の人間としての個人」という側面の相克が主因であるといっても過言ではないでしょう。上司と部下のコミュニケーションは、「自社として〇〇」「ビジネスでは〇〇」「合理的には○○」「組織の建て前として○○」という組織の文脈と、「私として〇〇」「私は○○と感じた」「私の考え方は○○」という人間的な文脈が複雑に絡み合ってコミュニケーションされています。そうした複合的な側面を持つがゆえに、時には実態の相克から「面従腹背」「忖度」「本音と建て前」という明示的な合理性と暗示的な心情とバランスをとる二重構造が生まれるのです。

ここで重要なことは、どちらが正しいということではなく二重構造の上を行ったり来たりしていることを認識することが重要です。

上司と部下の関係は、単に「優れた上司」と「その信頼を寄せる部下」といったものではありません。実際には、上司は部下の強みや弱み、得意なことや苦手なこと、価値観や考え方など、全体的な特性を受け入れるべき状態にありますし、逆も同様です。

チームや職場全体が課題解決に向かう際、成果が振るわない時もあれば、順風満帆な時もあります。不明確な規則や暗黙の了解が存在している中で、上司と部下がコミュニケーションを通じて、さまざまな問題に対処しながら前進できる関係は、このような複雑な状況を行ったり来たりしながら、自然に育まれます。

上司と部下のコミュニケーションを活性化するメリット

コミュニケーションの改善に着手したいのであれば、まず先にどのようなメリットを期待するのか社員に提示する必要があるでしょう。以下では、部下サイド・上司サイドに分けて、双方にもたらされるメリットについて整理します。

部下側のメリット

まず、部下側のメリットについて整理していきます。

いつでも、どこでも、なんでも、気軽に「ホウレンソウ」できる

コミュニケーションが円滑になると、日々の生産性が大きく向上することが考えられます。たとえば、わからないことや困ったこと、悩みなどがあった場合に、気軽に上司に声をかけることができます。業務上のミスが減り、仕事上のモヤモヤが減るといった効果が期待できるでしょう。反対に、コミュニケーションをとりにくい状態が放置されたまま続くと、上司に対して業務に関する細かな確認や相談ができず、効率の悪い状態で業務を続けることになってしまいます。部下本人にとっても、組織にとっても、改善が急がれる状況です。

学習を中心にすればスキルは上がる

コミュニケーションは、学習につながります。上司に褒められ、叱られ、何かを教えてもらい、そのために質問をし、そのすべての言動が、考える力や問題解決能力へと統括されていきます。より効率よくスキルアップしたいという場合にも、コミュニケーションは必須です。上司は部下の結果の管理をするのではなく、学習や活力をプロデュースしましょう。また、職場やチームは、PDCAサイクルではなく、PDSAサイクルにシフトしていく方が、とくに既存事業が縮小均衡になりつつある企業には必要でしょう。

ワクワクするような職場

コミュニケーションが円滑になると、職場に対するイメージが変わるかもしれません。たとえば、上司から積極的に声をかけられるようになったことで、自分を気にかけてくれている実感が湧き、期待されていると思えて嬉しくなるのではないでしょうか。コミュニケーションは、部下にとって職場をワクワクしたものに変える手段でもあり、モチベーション向上に直結します。上司も部下も、仕事や課題の大きさや重要性を誇張するのではなく、「意味づけ」するなどして意義深い内容を認識できるかが、ワクワクにつながります。

上司側のメリット

一方で、上司側にはどのようなメリットがあるでしょうか。

コミュニケーションの中心にいる必要などない

コミュニケーションが活発に行われるチームを作れれば、必要な報連相は自ずと行われるようになるでしょう。上司は、コミュニケーションの中心に立つ必要がなくなり、業務をスムーズに進められるようになります。また、部下がなんでも相談してくれるようになれば、ミスやトラブルも減っていくでしょう。

適切な業務を任せられる

部下とコミュニケーションを取ることで、一人ひとりがどのようなことにトライしたいと思っているのか、どのような適性があるのかを把握できます。適材適所で業務を割り振れるようになり、チームとしての力が最大化されるでしょう。

離職率が下がる

生産性やトラブルの回避などのメリットの前に、前提として居心地のよい職場を作ることができます。人間関係のストレスを感じにくくなり、組織への貢献意欲が高まるなど、結果的に離職率が下る可能性が考えられます。若手社員が辞めずに続けてくれるのであれば、時間をかけて、次世代リーダーを育てていくことができ、組織力の向上につながります。

上司と部下のコミュニケーションを向上させるポイント

コミュニケーションを活性化させることは、上司・部下の双方に良い影響を与えるでしょう。では、どのように働きかければ、コミュニケーションを理想的なものにできるのでしょうか。

相手の視点・背景・立場などを理解する=よく聴くこと

まずは、上司も部下も、お互いの立場をよく理解することが大切です。何気ない言動にも注意を払い、発せられる言葉をよく聞きましょう。相手がどのような視点で生きているのか、どのような背景を持った人物で、今どのような立場に置かれているのかを理解していきます。これにより相手の気持ちが具体的に想像でき、円滑なコミュニケーションが実現するでしょう。

コミュニケーションの前で、関係の土台をしっかり作る

コミュニケーションを円滑に取りたいのなら、まずは会話が活発に交わされるような土台を作ることが大切です。本音を気負わずに話せる関係であるか、一度振り返ってみましょう。もし、そもそもの関係性に不安が強いのであれば、時間をかけて信頼を築き、積極的に相手の立場に立って声をかけ続ける必要があります。

真剣なコミュニケーションと軽いコミュニケーション

上司は、部下に対して振り返りや目標設定のための真剣な対話時間を定期的に設けます。本気で話し、目の前のテーマに関する意見や葛藤をさらけ出しながらコミュニケーションを取りましょう。

意見が対立したとしても逃げ腰にならずに向き合うことが重要です。また、日々の雑談や声掛けも同じく重要です。真剣な会話以外に、挨拶やなんでもないトークを楽しむようにしましょう。「ストローク」や「ナッジ」と呼ばれるコミュニケーションです。コミュニケーションを絶えず続けることでつながりの意識が深まり、相手の存在を常に確認できるので、とても重要な行為です。

コミュニケーションは伝わらないという前提を持つ

コミュニケーションについて考える際の心構えとして、「発信者のメッセージが100%過不足なく受信者に伝わることはない」と理解しておくことです。たとえば相手が日本人で文化的背景が自分と同じであるように見えても、社会的な立場などの背景が違う結果、思ったとおりには伝わらないというケースがあります。

コミュニケーションは郵便に例えることができ、どんなに注意を払っても、必ず遅延や誤配がつきもので、これらをなくすことはできません。常にコミュニケーションの不可能性を心に留めておくことが重要なのです。

上位層のコミュニケーションスキル開発

先述のように、組織の上位者は、コミュニケーションについて学び直す機会を持てないことが多いです。長年染み付いた、組織独自のコミュニケーション手法のままアップデートされていないので、部下と噛み合わないこともあるでしょう。コミュニケーションにミスがあったり、問題があったりした場合には、部下の方に原因があるとされてしまう傾向にあります。

しかしコミュニケーションがうまくいかない時は、受信者と発信者、双方に何かしらの課題があるはずです。そうであれば、監督者である上司の問題であると定義する方がいいでしょう。上位層は、自身のコミュニケーションスキル不足について、もっと意識的になるべきです。

コミュニケーションは、若手向けの教育であると思われていますが、組織全体で今一度技術確認と実践を繰り返してみると、雰囲気が大きく変わるでしょう。上位者にふさわしいコミュニケーションがあれば、会議で議論する能力や、セクハラや離職などのセンシティブな問題に向き合う能力などが養われ、組織がアップデートされるはずです。

まとめ

上司と部下のコミュニケーションに問題があると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。情報共有や報告、相談が後回しにされるようになり、業務上のトラブルの増加、離職率の上昇といった問題が起こり得ます。

改善のために重要なことは、相手へのメッセージが100%過不足なく受信者に伝わることはないと理解しつつ、それでも誠実に向き合うことです。上司も部下も双方の立場に立ち、想像を膨らませて対話を重ねることが重要です。コミュニケーションを円滑にし、健全でイキイキとした組織を作っていきましょう。

株式会社ソフィア

先生

ソフィアさん

人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。

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