2024.03.26
コミュニケーション能力を高めるには?構成する要素や具体的な方法について解説
目次
現代において、あらゆる場面で重要性が謳われるのが「コミュニケーション能力」です。特にビジネスシーンにおいて、コミュニケーション能力は評価や実績に大きく関わります。また、コミュニケーション能力を高めることで、仕事や人間関係の構築、問題解決などさまざまな場面で効果的に活用できるでしょう。そのためコミュニケーション能力の高さはビジネスにおいて重要です。
では、コミュニケーション能力を高めていくにはどうすればいいのでしょうか。この記事では、なぜコミュニケーション能力が必要なのか、具体的にどのような取り組みをするとコミュニケーション能力が高まるのかを整理していきます。
コミュニケーション能力とは?
コミュニケーション能力とは、相手とうまく意思疎通を行う能力と言い換えることができます。単に情報を伝えるだけではコミュニケーション能力としては不十分で、相手の心情や価値観など、より深い部分を読み解いていく必要があります。その上で、自分の価値観を示すことで相互に理解を深めていくスキルがコミュニケーション能力です。
ビジネスにおいてコミュニケーション能力が必要な理由
コミュニケーション能力はビジネスシーンにおいて重要視されます。特に現代の企業や組織に所属して働いている人たちとっては、欠かせないスキルの一つになっていると言えるでしょう。
ビジネスでコミュニケーションスキルを活用すれば、ミスやトラブルを未然に防げたり、業務効率化によって生産性が高まったりします。また良好な人間関係のベースになるので組織に対するモチベーションを醸成する効果も期待できます。組織の業績を上げたい、社員同士の関わりを改善したいという場合には、コミュニケーション能力の向上をおすすめします。
コミュニケーションを構成する要素
コミュニケーションは、さまざまな要素から構成されています。コミュニケーションの要素を理解することで、コミュニケーション能力への理解を深めることができます。
言語と非言語
コミュニケーションと言われてまず想起されるのは、言語を用いた「バーバル・コミュニケーション」でしょう。一方で、身振りや手振り、表情などで意思疎通をする「ノンバーバル・コミュニケーション」も忘れてはなりません。どちらも習得することで、より深く、漏れなく相手と意志を伝え合うことができます。言語だけに頼りすぎない意識を持つことが重要です。
伝え方と受け取り方
コミュニケーションとなると、いかに発信するのかに注目が集まりがちですが、伝え方だけでなく受け取り方も、コミュニケーションの質そのものを決定する要素です。自分が伝えた内容を相手がどう受け取っているのか、想像しながら調整する姿勢が不可欠です。
ロゴスとパトス
ロゴスとは、論理的に説明することであり、パトスとは、情熱的に説得することを指します。コミュニケーションにはどちらの要素も含まれます。上手くコミュニケーションを行うためには、両者を混同せずに使い分けていくことが重要です。
簡単に言えば、ロジカルなコミュニケーションとストーリーテリングやセンスメイキングに代表される共感を促すコミュニケーションを組み込むということです。
ロゴスを活用することで、的確な情報伝達や理性的な議論を行い、相手に理解や納得を促すことができます。一方で、パトスを駆使することで、相手の感情に訴えかけ、共感を生み出し、コミュニケーションをより深いレベルで行うことが可能です。
上手なコミュニケーションを行うためには、ロゴスとパトスの両方をバランスよく組み合わせて活用することが重要です。ロゴスによる論理的な説明とパトスによる情熱的な説得を組み合わせることで、相手の理解と共感を得ることができます。
差異と反復と共感
コミュニケーションは受け取る側のリアクションによっても構成されていきます。共感してくれている、言葉を反復しながら聞いてくれているなど、相手の反応によって、コミュニケーションの前提が一致したり、変化していったりします。たとえば、相手が言葉を反復したり、身振りや表情で肯定的な反応を示したりすることで、話し手は自分のメッセージが受け入れられていることを感じ、より自信を持ってコミュニケーションを続けることができます。
一方で、相手の反応が予想と異なる場合、コミュニケーションの前提が変化することもあります。相手が理解していない様子を示したり、不快や不満を表したりする場合、話し手は自分の伝えたいメッセージや意図を再考する必要が生じます。そのため、コミュニケーションは双方向のプロセスであり、相手の反応を理解し、適切に対応することが重要です。また、相手の反応に対して適切に対応するためには、共感や理解を示す姿勢を持ち、相手の視点や感情に配慮することが重要です。これによって、より効果的なコミュニケーションが実現され、双方が共通の理解を築くことができます。
状況
同じ言葉でも、どのような状況で伝えられたかによって解釈が変わるものです。どの立場の人たちが話しているのか、どのような背景があるのかなどで、コミュニケーションの結果がまったく違うものになることを忘れてはなりません。
例えば、ある言葉が「皮肉」であるかどうかは、その文脈や話し手の意図によって異なります。また、同じ言葉でも、発言者が何を意図しているのか、どのような状況で発言されたのかによって、その意味や受け取り方が変わることもあります。さらに、コミュニケーションにおいては、非言語的な要素や表情、声のトーンなども重要な役割を果たし、言葉だけではなくその他の要素も考慮する必要があります。
したがって、コミュニケーションを行う際には、言葉だけでなく、その言葉が発せられた状況や背景、発言者の立場や意図、相手の文化や背景などを考慮し、総合的なコミュニケーションの意図を理解する必要があります。それによって、より効果的で意味のあるコミュニケーションが実現されるでしょう。
コミュニケーションを構成する要素について詳しくは下記の記事をご覧ください。
コミュニケーション能力が高い人・低い人の特徴
コミュニケーション能力が高い人と低い人には、どのような特徴があるのでしょうか。両者の特徴を知ることによって、コミュニケーション能力の高め方を学ぶことができます。
コミュニケーション能力が高い人の特徴
まず、コミュニケーション能力が高い人の特徴を紹介します。
論理で伝える力がある
論理的に伝えることで、理解のすれ違いを防ぐことができます。コミュニケーション能力が高い人は言葉に出す前に、自分の中で噛み砕きながら、主張の流れなどを整理することができます。
比喩表現や例えを使う
身近な例を挙げることで、より深い理解を促すことができます。相手に伝わりやすい比喩表現をいくつか押さえておくと、咄嗟に用いることができて便利です。
結論から話し、具体的に落とし込むことができる
コミュニケーション能力が高い人は話す順序も意識しています。まずは結論を伝えることで、相手に意図を示した上で詳しい説明ができ、スムーズに意思疎通ができます。
また、コミュニケーションには、具体的な内容と抽象的な概念の両方が含まれます。具体的なコミュニケーションは、具体的な情報や事実を伝えることです。これには、具体的な数字、データ、具体的な出来事や状況の説明などがあたります。
一方、抽象的なコミュニケーションは、より抽象的なアイデアや概念を伝えることです。これには、「チームワークの重要性について話し合いたい」などの抽象的な目標や感情、考え、価値観などが含まれます。
具体的なコミュニケーションは、情報の明確な伝達や具体的な行動計画の立案に役立ちます。それに対して、抽象的なコミュニケーションは、感情や目標の共有、意見や価値観の理解、より大きなビジョンや目的の共有に役立ちます。両方のタイプのコミュニケーションがバランスよく行われることで、効果的なコミュニケーションが実現されます。
相手の心理や気持ちを考える
相手の受け取り方にまで意識を届けることで、気持ちがうまく伝わるようになります。コミュニケーション能力が高い人は、相手の立場を想像したり、相手の心情を表情などから読み取ったりすることが上手です。
ロゴスとパトスが分けられている
上で述べたとおり、ロゴスとは論理的に説明すること、パトスとは情熱的に説得することです。コミュニケーション能力が高い人は、この2つを混同せずに使い分けることで、齟齬が起きにくいコミュニケーションを作りだしています。
コミュニケーション能力が低い人の特徴
続いて、コミュニケーション能力が低い人の特徴を紹介します。
思いついたままに話す
コミュニケーション能力が低い人は、論理のつながりや順序などを意識せずにダラダラと話してしまいがちです。そうなると、受け取る側は混乱してしまいます。ただしゃべっているだけでは、相手の理解にはつながりません。客観的な分析を常に忘れず、相手に伝わりやすい方法を模索することが大切です。
周囲の目が気になって意見が薄くなる
コミュニケーション能力が低い人は周囲の目を気にしがちです。周囲に否定されてしまうかもしれない、馬鹿にされてしまうかもしれない、などの心理的な不安があると、どうしても自分の主張を誤魔化してしまうものです。結果、伝えたい意見が非常に薄いものになってしまい、核心の部分が相手に届かないということがあります。
抽象的に話しすぎる
コミュニケーション能力が低い人は話が抽象的になりがちです。漠然とした話をしてしまうと、解釈の幅が広くなりすぎて、同じ言葉でも受け取り手によって理解の内容に差が出てしまいます。抽象的な話も大切ですが、適宜具体例を入れなければ、齟齬を解消することは困難です。
相手を否定する
コミュニケーションの中で相手に否定的な態度をとると、適切な理解度の確認ができなくなります。受け取り手がわかっていないのに頷いてしまうなどで物事が間違った方向に進んでしまうこともあります。コミュニケーションは、双方が向き合い、心理的安全性を感じた上で進めるものです。相手を否定することのないよう注意しましょう。
感情と論理が混じっている
コミュニケーション能力が低い人は、感情と論理を上手く分けることができません。感情と論理を分けて話さなくては、受け取る側は混乱してしまいます。意図を冷静に汲み取れず、よくわからないまま情熱に流されてしまうこともあるでしょう。だからこそ、コミュニケーションの際は、どこまでが論理的な話で、どこからが感情なのか、自分の中で線を引かなくてはなりません。
完璧なコミュニケーションはそもそも不可能なものである
言葉や表現は常に完璧ではなく、意思疎通が難しい場面が存在します。言葉には抽象性や曖昧さがあり、個々の言語や文化の違いもあります。そのため、思い通りに自分の考えや感情を相手に伝えることは難しいと感じられることがあります。
また、人間はそれぞれ異なる経験や感情を抱えており、相手の立場を完全に理解することは困難です。感情や経験の個別性がコミュニケーションを複雑にし、不完全にする一因と言えます。
そのため、コミュニケーションをとるときに重要なのは、相手の立場を考えて、どのように発信するのかを工夫することです。相手の状況を踏まえながら、相手が自分の伝えたいことを理解しているかを読み解かなければなりません。そのためには、「完璧なコミュニケーションはそもそも不可能なものである」ということを知っておく必要があります。
コミュニケーション能力を高める具体的な方法
では、コミュニケーション能力を高めるには何をしたらいいのでしょうか。具体的な方法をいくつか列挙します。意識しながら取り組むことで、円滑で正確な意思疎通ができるようになるでしょう。
➀まずは挨拶から心掛ける
挨拶は、コミュニケーションの基本と言われます。はじめのアクションである挨拶は、見落としがちなポイントですが非常に重要なものです。どのようにコミュニケーションを取ればいいのかわからないという場合こそ、挨拶を意識しましょう。
人は直感に基づいて行動を選択しているものです。言語学者のヤコブソンはコミュニケーションの機能として、言葉を交わし合えることを確認する「交話的コミュニケーション」という要素を挙げました。「交話的コミュニケーション」には第一印象も重要です。第一印象次第でコミュニケーションが円滑になったり、互いに心を開きやすい状態が作れたりするものです。
②相手が伝えたいことの理解に努める
ビジネスの現場では、相手を徹底して分析することが大切です。役員、社員、部下、顧客など、あらゆる立場の人に対して、腹落ちと納得を生み出さなくてはなりません。そのためには、相手の立場や役割、普段の問題意識、周辺環境、心理状態、要望など、多面的な理解が不可欠です。その上で、自分と相手の共通項を探して強調するのが効果的でしょう。共感度の高い姿勢は、相手に対して誠実な印象を与えます。例えば相手に合わせて話し方やテンポを変えたり、業界や組織ならではの専門用語を織り交ぜたりすることで、相手の価値観を重要視していることが伝わるでしょう。
③身振り手振りやスピードの意識
言葉だけを意識していても、相手の本心を汲み取ることはできません。同様に、言葉だけに頼っても、相手に正しく意図を伝えるのは難しいものです。大切なのは、非言語の領域を意識することです。身振り手振りなどを加えて、想いを表現していきましょう。ただし、リアクション芸人のような勢いであまり大げさに動くと、逆効果になるので要注意です。
また、話すスピードを相手に合わせて調整するのもおすすめです。相手に違和感を抱かせずに思いを伝え合えるよう、よく観察し、自分の動きを変えていきましょう。
④コミュニケーションツールの活用
テレワークが広く一般化した昨今、コミュニケーションの難易度はさらに上がっています。一方で、コミュニケーションを円滑化するさまざまなツールが世に出てきました。社内チャットツールなどを活用し、オンラインでのコミュニケーションをより気軽で快適なものにしていくことも、環境づくりの観点から重要です。
まとめ
コミュニケーション能力とは、相手とうまく意思疎通を行う能力です。現代の企業や組織に所属して働いている人たちとっては、欠かせないスキルの一つになっていると言えるでしょう。大事なのは、自分の価値観を示すことで、相互に理解を深めていくことです。一方的な意図の伝達で終わってしまわないよう、客観的に自分のスキルを精査し磨いていきましょう。
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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