2024.11.12
あらためて聞きたい、暮らすってなんだ 「ソフィアの子育てと仕事の両立」
目次
一言で「暮らし」と言っても、その範囲や感覚は人の数だけ違っています。
オフの時間を暮らしととらえる、働いている時間を暮らしととらえる。両方を暮らしだと考える方もいれば、ワークライフバランスにこだわりをもつ方もいるでしょう。
SDGsや人材育成といった組織の課題にも取り組んできたソフィア。
そんなソフィアにも、さまざまな働き方や生活を送ってきたメンバーが多くいます。
多様化している現代の「暮らし」をゲストと一緒に考え、人それぞれの暮らしのあり方や、お仕事や子育てといった「なりわい」についても話を聞きます。
今回は、お子様が小さいときにソフィアへ入社し、子育てと仕事を両立させてきた森口静香さんにインタビューを行いました。10月末で退職が決まっている森口さんに、ソフィアでの暮らしを振り返っていただきます。
【インタビュー:田中佑季】
ソフィアに在籍して17年、今までの暮らしを振り返る
- 田中
- 森口さんのお子さんは現在大学生と伺っていますが、小さい頃はどのように育児と仕事を両立させていたのかお聞きしたいです。出産されてからすぐに働き始めたのでしょうか。
- 森口
- もともとは大阪で働いていたけど、結婚と同時に退職し、東京に越してきたタイミングで妊娠が判明したの。わたしは、「子どもが1歳になって歩き出したら仕事をする」って宣言していたので、就職活動をして、東京で再び働き始めました。認可保育園にも入園させることができて、さらに友だちに子どもを見てもらいながら、なんとか就職活動をして、やっとの思いで入社しました。でももっとやりたい仕事を探したいと思い始め、再び転職活動を始めたんです。2年ほど経ってソフィアに入社しましたが、息子はまだ3歳で、まだまだ手のかかる時期でしたね。
- 田中
- とても大変なタイミングにもかかわらず、自分のやりたい仕事のために転職をしたなんて驚きです。
- 森口
- 出産で休んでいたから「ほかの人と比べて遅れをとっている」って勝手に思っていたので、「負けていられない!」という気持ちでした。
当時はまだ、子どもがいる女性社員に対する世間の厳しい固定概念があったと思います。わたしは2000年に大学を卒業しているんだけど、女性の友人は全員一般職で就職していて、総合職で働くという概念がそもそもマイナーだったんです。男女雇用機会均等法って1985年の施行なはずなのに、実態はまだ一般職がメジャーだった。どちらかというとわたしは男性たちと競っていて、必死になって勉強に時間を使っていましたね。
- 田中
- 本を月に50冊読んでいた時期もあったのですよね、すごいバイタリティです。
- 森口
- 子どもがいない同世代の女性たちは夜中まで働けるし、働きたいからじゃなくて働けるから働くじゃないですか。コミュニケーションに割ける時間も多い。わたしは働きたいのに制限があることがしんどかった。もちろん子どもがいることで得られる喜びもたくさんあるので、ある種のわがままなのだけど。
ソフィアに入社してもその感覚はずっと続いたな。わたしが入った頃のソフィアは、仕事が終わったら飲みに行ってコミュニケーションをとるようなことが多かったんです。でも、わたしは17時になったら、「すいません、すいません」って言いながら先に帰る。結構つらかったし、何回か旦那さんと「あなたばっかり自由に働いていて、わたしはなんで自由にできないんだよ!」って喧嘩しました。
- 田中
- わたしも同じ立場だったらかなりつらいと思います。当時を振り返って、森口さんの「暮らし」はどんなものでしょうか。
- 森口
- 「暮らし」って、単純に言えば生きることだと思うんですよ。ある意味では戦いだけど、一方で楽しさもたくさんあるような気がしていて、ずっとアドベンチャーな感覚なんです。
そもそも、暮らしていると事件しか起きないのよ。たとえば、前の会社を退職する最終週で息子が高熱を出しちゃって、バタバタで引き継ぎをしなくちゃいけなくなった。結局は最終日も熱を出していたけれど、元気があったから車で息子を旦那さんの会社まで連れて行き、最後のあいさつをするときだけ交代して面倒を見てもらった。終わったらまたすぐに車で家に帰ったなんてことも。だから暮らしは戦いであり、その中でもアドベンチャー感があって楽しかった。ロールプレイングゲームに近い感覚ですね。
仕事も、子育ても、ゲームみたいに攻略してきた
- 田中
- ソフィアに入社してからも、ロールプレイングゲーム感覚で過ごしてきたのでしょうか。
- 森口
- ソフィアでは1人で育児をしている感覚はなくて、パーティー(チーム)で一緒に戦ってこられたんです。わたしが17時に退勤することに対して、以前の職場では「なんであの人だけ早く帰るの?」みたいなネガティブな反応があって、ずっと孤独を感じてけれど、ソフィアでそんな反応はあまりありませんでした。同じ働き方をしている味方もいたし、オフィスでの孤独感はなかった気がします。「退勤時間になったなら早く帰りなさい」と言ってもらえたこともすごくありがたくて。すいませんって周りに言うことも減りました。
- 田中
- ご家族のサポートはあったのですか。
- 森口
- 母はサポートはしてくれましたけど、息子が熱出したときに、全部任せることはあまりしないようにしてました。これはわたしのこだわりで、息子が体調不良のときは夫婦のどちらかで面倒を見ようねって約束をしていたんです。勤務時間以外の家族との時間も「戦い」という名の「暮らし」ってことなのかも。
- 田中
- 実際、困難なことは多かったかと思います。子育ての大変さをどうとらえていたのかが知りたいです。
- 森口
- ロールプレイングゲームをしていたら、1ターンくらい自由に動けないときもあるじゃないですか。同じように、子育ても長い人生のうち、たった数年だけだと考えてました。そう考えても割り切れないときもありますが、最後はしゃあないなって感じでしたね。子どもがご飯を食べずに投げたら、全部キャッチしてゲームみたいに楽しんでみたり、この瞬間も今しかないと思って、考え方が変わっていったように思います。
- 田中
- 最近では、ワークライフバランスのように生活と仕事を分けて考えることが多くなってきています。ですが、森口さんはどちらも地続きでとらえているということでしょうか。
- 森口
- 仕事をしながら「冷蔵庫にエビが残っていたな」と思い出したり、逆に料理をしているときに「資料のあのページって…」と考えだしたりするじゃないですか。オンオフをピシッと分けるのって意外と難しい。
実は、社用携帯がガラケーからスマートフォンに変わった際に、生活と仕事とを分けようと思ったことがあったんです。携帯を分けたら線引きができるかなと思ったけれど、結局は無理でしたね。だから今は進んで統合しようと思っています。
第二の暮らしを考え始めたから
- 田中
- 仕事も生活も楽しむ姿勢は、周囲にも好影響を与えそうですね。
- 森口
- わたしがご支援に携わった鳥居薬品さんからも、お客様インタビューで「(ソフィアさんと仕事をするようになって、)楽しく仕事を遊ぶように仕事をさせてもらっている」とおっしゃっていただけました。
- 田中
- たくさんのお客様から愛される森口さんですが、10月で卒業されます。ソフィアに長く勤めて、高いところまで来たからこそ、次のステージに進む決心がついたということなのでしょうか。
- 森口
- わたしとしては、自分を偉いと思ったことはなく、気づいたらこうなっていただけなんです。ソフィアは居心地がいいし、自由に挑戦もできますが、ソフィアの外に出てみようと考えたのは、今年のアメリカ旅行がきっかけかもしれません。
同じホテルに泊まっていたアメリカ人が、会うと必ず話しかけてきて、あいさつから始まって、「昨日は何をしていたのか」「今日は何をするのか」「何が面白かったのか」とたくさん会話をしてくる。アメリカは国土のサイズが大きくて、多種多様な人がいる。他民族である前提で話をするから、「仲間だよ」って意思表示のためにコミュニケーションを取る。わたしには衝撃だったな。日本人は同一民族で日本語だけをしゃべって、島国に住んでいて価値観はさほど大差がないのに、仲良くなるにはすごく時間がかかるよね。その一方で、海を渡れば関係性を作るために一生懸命コミュニケーションを取って努力する人たちもいるわけでしょう。
- 田中
- 今までソフィアでコミュニケーションに注力していたからこそ、広い世界でのコミュニケーションについても知りたくなったということですね。
- 森口
- 日本人であるわたしは、いかに同一民族の中で楽に生きてきたのかと、ハッとさせられて。これはなんとかしなければという思い至ったんです。
- 田中
- ソフィアの卒業と次の出発に向けて、これから暮らしは大きく変わりそうでしょうか。
- 森口
- 全然、何も変わらないよ!
- 田中
- これから待ち構える挑戦も、森口さんにとっては楽しいロールプレイングに変えていくだけ、ということですね!
子育てと仕事との両立に奮闘しつつも、ロールプレイングゲームのような気持ちで楽しみながら乗り越えてきたという森口さん。インタビュー中に登場するエピソードはどれも苦労が感じられるものばかりでした。
中でも印象的だったのは、「ソフィアでは1人で育児をしている感覚ではなくて、パーティー(チーム)で一緒に戦ってこられた」というもの。育児をされている方々にとって、非常にリアルなお話だと感じました。
そんな森口さんは、これから新たなフィールドで第二の暮らしが始まります。コミュニケーションの専門家として、今後の活躍に期待が高まります。
(文:田中佑季)
株式会社ソフィア
エディター
田中 佑季
主に社内報や社内コンテンツの編集を担当しています。原稿執筆、ディレクションといったひと通りのエディター業務が得意です。PhotoshopやIllustratorなどを用いたデザイン制作も対応します。
株式会社ソフィア
エディター
田中 佑季
主に社内報や社内コンテンツの編集を担当しています。原稿執筆、ディレクションといったひと通りのエディター業務が得意です。PhotoshopやIllustratorなどを用いたデザイン制作も対応します。