2017.10.27
組織論があれば仕事はもっと楽しくなる【あの人の本棚 Vol.7 近田真樹】
読書は「夢中」のエンジン
今回の「あの人の本棚」は営業・事業開発部を統括する近田真樹。ソフィアの中でも一、二を争うパワフルな彼は仕事にも趣味にも全力投球だが、実はそれを裏打ちしているのは豊富な読書経験による知識と理論だ。そんな近田から、公私ともにおすすめの本を聞いた。
《今回の本棚》
『学習する組織 システム思考で未来を創造する』ピーター・M・センゲ著 枝廣淳子/小田理一郎/中小路佳代子訳(英治出版)
『Harvard Business Review 「学習する組織」のマネジメント』2003年3月号(ダイヤモンド社)
『企業文化 生き残りの指針』E.H.シャイン著 金井壽宏監訳 尾川丈一/片山佳代子訳 (白桃書房)
*現在は改訂版(『企業文化(改訂版)─ダイバーシティと文化の仕組み』)が販売されています
『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』伊藤正一著(山と渓谷社)
『山と河が僕の仕事場 頼りない職業猟師+西洋毛鉤釣り職人ができるまでとこれから』牧浩之著(フライの雑誌社)
―今日は仕事と趣味の本、両方紹介していただけるんですね
本当は趣味の本について語りたいんだけど、まずは真面目なほうの本の話から。この『学習する組織』って本、知ってる? 有名な本なんだけど、ちょっと難しくて、普通の人にはわかりにくいんだよね。だから、初心者には『学習する組織』の内容を抜粋して簡単にまとめたこっち(『Harvard Business Review』)がおすすめ。
―この『学習する組織』とはどんな内容なんですか
たとえば青い絵の具に赤い絵の具をたらすと、すぐには均一な紫にならずに色の境目から徐々に混ざっていくんだよね。組織でも、これと同じことが起こる。赤い絵の具のように、新しいものが加わると組織の中では必ず衝突や問題が起きて、徐々にまとまっていくわけ。簡単に言うと、この流れを活用することで、学習し柔軟に変化していく組織をつくれるというのがこの本の内容なんだよ。
働き方改革でも女性活躍でも、何か新しいものが入ってきたときには必ず衝突や問題が起こる。それが理論的に自然なことなんだとわかっていれば、いざ自分の身に起こっても慌てないでしょ。
―なるほど
この『企業文化』も有名な本だから、読んでおいたほうがいい。12年以上前にすでに企業文化というものを概念にして書籍にまとめているすごい本だよ。
でも、こうした本は分厚くて難しいものも多いから、原本にこだわらず、動画でも漫画でもわかりやすい形で知ればいいと思う。知識を得ることよりも、それを理解して実際の自分の仕事にどう生かすかのほうが大事だからね。
―その通りですね。近田さんが、こうした組織論や企業文化に興味を持ち始めたのはなぜですか?
職業病みたいなものかなあ…。
でも、「朝7時過ぎの満員電車に詰め込まれて働きに行く人生って、本当に楽しいの?」とは普段から思っているよね。通勤時間も含めたら、人はおよそ人生の半分を仕事に費やしている。それなのに、みんなぎゅうぎゅうに詰め込まれて出勤して、元気のない顔で仕事をしている。しかも仕事で悩む原因の多くが人間関係。だったら、さっさとそれを改善しようよ!
人間関係の問題を掘り下げていくと、結局は先ほど紹介した本のような話になるんだよ。組織や人間がどう動くのか、その理論を理解できていれば、もう少し共感的に相手の状況を理解して、建設的な会話ができるようになるし、みんなが自由に気持ちよく働けるようになる。組織論って難しいものでもかっこいいものでもなくて、お互い楽しく働くためのコツのようなものだと思うんだよね。
人間関係に悩むのが好きな人なんていないんだから、さっさと解決してもっと夢中になれることに時間を使おうよ。約6500万人の労働人口のうち数パーセントでもいいから、「仕事がめっちゃ楽しい!」と感じる人が増えれば日本のGDPなんてすぐ上がっちゃうと思うよ(笑)
―確かに。(趣味の本を見ながら)そんな近田さんが最近夢中になっているのは、山と河なんですか?
そうそう! 源流のあたりや山奥にこもって釣りをしたり、原始的な生活をするのが好きなんだ。『黒部の山賊』という本は、黒部ダムができる以前に山小屋に住んで、山岳ガイドや狩りをして暮らしていた人たちのドキュメンタリー。黒部はいわゆる未開の地で、夜なんて真っ暗闇。おれはこういうところに1、2日いるだけでもすごく楽しいよ。
―え、何がどう楽しいんでしょう?
基本的に一人が好きで、ずーっと一人でいるといいアイデアが浮かんだりするんだ。この『山と河が僕の仕事場』の著者は、結婚相手の地元である宮崎の田舎にあこがれて移住して、釣りと狩猟をして生きている。こういうのに、すごく興味があるんだよね。猟師の資格も頑張れば取れそうだし、最終的にはこっちに転職するかも(笑) 今でも暇があればテント持って山に行っちゃうよ。この間なんて、ダムの頂上あたりからふもとまで1往復半ぐらいして帰ってきた。次の日は体中筋肉痛だけど、やっている間は楽しいし疲れも気にならない。夢中のパワーってすごいよなあ。
―そうなんですね。その魅力は今の仕事にもつながる部分があるんでしょうか
そうだなあ。自然って刻々と変わるから、常に自分の計画通りにはいかない。それはビジネスも同じで、仮説・実践・検証をものすごいスピードで繰り返すことになる。理論を学んだ上でやってみて、失敗しては「次はこうやったら上手くいくんじゃないか」と考えて、徐々に流れを読む力を身につけていく。仕事でも変化し続ける市場と日々向き合っているし、おれはそういうことが根本的に好きなのかもしれないな。
仕事でも趣味でも、人間が何かに夢中になって没頭するときの力を発揮できたら、楽しいし、いい結果が出せる。そのためのエンジンとして、いろんな本で理論を学ぶのは大切だと思うよ。
《今回のメンバー》
近田真樹
担当分野:営業・事業開発
株式会社ソフィア
事業部・事業開発部 責任者
近田 真樹
複雑怪奇な社内状況を資料に整理できます。つまらない打ち合わせを笑いに変えます。腹落ちしない社内を腹落ちさせるための事例を紹介します。
株式会社ソフィア
事業部・事業開発部 責任者
近田 真樹
複雑怪奇な社内状況を資料に整理できます。つまらない打ち合わせを笑いに変えます。腹落ちしない社内を腹落ちさせるための事例を紹介します。