「集合研修って仕事の役に立ってる?」組織のお悩みぶっちゃけ劇場 vol.6
目次
【この記事のポイント】
仕事の役に立つ「集合研修」とは、
❶現場の仕事に即していて、実務に役立つ内容であること
❷研修前:効率的な事前学習(例:スキマ時間に進められる短時間の動画教材)
❸研修当日:座学のみではなく、講師に質問したり受講者同士が活発に議論する場
❹研修後:IT活用で情報交換を継続し、部署を横断した社員の連携を維持
人が集まって仕事をする場があれば、コミュニケーションにまつわる悩みはつきものです。組織の中での立場が異なれば直面する課題もさまざま。さて、ここでは仕事において色々な課題に直面する組織人の本音トークを覗いてみましょう。あなたのお悩みを解決するヒントが何か見つかるかもしれません。
今回のテーマは「集合研修」。時代の変化とともに旧来型の集合研修の効果が出にくくなっている、という話を人事担当の方からよく聞きます。その解決のカギは組織のコミュニケーションにあるかもしれません。
それでは、組織のお悩みぶっちゃけ劇場の、はじまりはじまり~~。
※この記事はフィクションです。登場する人物、組織などはすべて架空のものです
<目次>
【登場人物】
- 北岡:
35歳。都内にある中堅商社の本社人事部で、階層別研修を担当。研修の費用対効果の向上が課題だと思っているが、打ち手がわからず悩んでいる。専業主婦の妻と幼稚園児の息子との3人暮らし。趣味はジョギングと読書。
- 井川:
34歳。北岡と同じ会社の都内にある営業所に所属。仕事熱心だがONとOFFははっきりしているタイプ。休日は地域の草野球チームの練習に汗を流したり、格闘技観戦に出かけたり、友人と飲み歩いたり、アクティブに過ごしている。
- 橋本:
36歳。同じ会社の本社IT部に所属。業務システムの運用を担当している。プライベートでITに関するブログを書いていて、その世界では有名人。趣味は写真で会社の写真サークルの代表も務める。
盛り上がった研修の1ヵ月、参加者はどうなっているか
- おー、北岡久しぶりー。なに、急に呼び出してどうしたの?
- ああ井川、忙しいとこ悪いね。もう一人来るからちょっと待ってて。
- うぃーす。悪い、遅くなった。
- なんだ橋本かあ。すげー、この3人って懐かしの新人研修C班メンバーじゃん!
- そうなんだよ。ほんとは高井と内田も呼びたかったけどなにせ北海道と名古屋だからな…。今日は二人に訊きたいことがあってさ。とりあえず飲み物選んでよ。今日はおごる。
- 甘いもんもほしいな。おれカフェラテとパンケーキ。
- 俺はブレンド。で、訊きたいことって?
- こないだ主任研修やったじゃん。あれ、どうだった?
- 北岡が担当したやつな。なかなか面白かったよ。
- お、そうなんだ。どんなところが?
- そうだなー、まずは単純に、普段会えない他の拠点の同世代メンバーに会えたこと。グループワークでの意見交換は新鮮だったし…でもいちばん良かったのは研修後の懇親会かな。営業って普段一人で行動することが多いし、他の職場の人のやり方とか考えを知る機会なんてまずないんだよね。普段会社について話をすることがないから、いい機会だったよ。だいたいみんな同じようなことで悩んでるってわかったしね。
- えーと、…研修プログラム自体についてはどう思った?
- ん? あー、なんか先生は話が上手かったよね。芸能人みたいだった。内容は…どんなんだったっけ?
- うーん、正直言うと講義は通り一遍な感じだったよ。リーダーシップ論とか、ビジネス書1冊読めばわかるよって感じ。グループでやったロールプレイングはまあ面白かったけど、みんな話のわかっている人ばっかりだからさ。でも、研修って結局は雰囲気じゃん?
- そうか…、でもちょっとくらいは現場の仕事で生かせそうなところはあった?
-
- んーーーーーーー…。
- そうかあ…。参加者アンケート結果では満足度高かったんだけどな…。現場の管理職からは評判悪いんだよね。「研修を受けても何も変わっていないんじゃないか」「繁忙期に人手を取られて迷惑だ」みたいな感じで。
- わかるな。研修に行く前は、俺も正直そう思ってる。研修受けたら、こういうのもいいかもって一瞬思うけど。
- どんなところが?
- 講師は話が上手くて華々しい感じだし、グループワークはワーッと盛り上がるから参加してるその場では充実感あるじゃん。だから参加者アンケートの結果がいいのもわかる。ただ、まあ、グループワークの後に結果を振り返って、現場の仕事にどう生かせるか考えてその場で実践計画作ったけどさ、研修後って言われてもね。1か月すれば何をやったかも忘れちゃうよ。
- まあ、研修会場出たら日常に戻るよね。で、次の日職場に行ったらいつも通りに仕事に追われて、研修で学んだことは頭から抜けていく。まあ、意識高い奴はちゃんと実践してるのかもしれないけど…。
忙しい営業マンでも個別学習できる教材とは?
- だいたいさあ、せっかく同じような立場の仲間と集まれる滅多にない機会なのに、大半の時間は前向いて講師の話聞いてるとか、もったいなくね? 講義の内容なんて本読めばわかるようなものなんだから、わざわざ研修の中でやる必要ないじゃん。一般的な研修のテーマなら、いくらでも動画の教材とか売ってんだから、それを事前に見て来い、という宿題を出せばいいんじゃないの? 実際の研修の場では、宿題でわからなかったことを講師に質問したり、グループでじっくり考えて議論したりすればいいのに。
- でもそれだと、絶対に事前に宿題をしないで来るやつがいるだろ。そうなると、そういうやつのためにあらためて講義しないといけなくなったりするわけ。そうじゃないと、そいつは最初からつまずいて、最後まで研修についてこられない。
- あー、俺たぶんやらないわー。分厚い本1冊渡されたり、何時間もある講義動画見とけとか言われても無理無理。業務時間内にそんな暇ないし、時間外は時間外で色々あるしなあ。
- じゃあさ、「井川でもやれる」ような教材ができれば、集合研修でやらなくても個別学習に切り替えられるんじゃない?
- 格闘技関連の動画なら何時間でも観てられるけど。好きだから。
- …講師が…戦いながらリーダーシップ論について語る動画とか……
- コントかよ。それ喜んで見るのは井川だけだろ
- いや、それは俺でも見ないなー。あ、見るといえばSNSのタイムラインとかで流れてくる1分くらいの料理動画ね。あれつい見ちゃう。普段料理そんなにしないけど、あれ見てると「作ってみようかなあ」とか思う。教材があのくらいのボリュームだったら、移動の合間にでも見るかもね。
- あー、わかる。俺、よく技術関連の情報をネットで調べて勉強してるけど、いまどきネット上にある動画の教材って超短いよ。せいぜい1~2分くらいで隙間時間に細切れに見る感じ。
- でも研修用に動画作るとか、相当金かかるな…。
- んなことないんじゃね? いまどき中学生だって自分で動画撮って編集してSNSにのっけたりYouTubeで配信したりしてるじゃん。スマホで撮ってフリーの動画編集ソフトでちょっといじれば十分だよ。綺麗なタイトルCGとか全く必要ないし。
- たしかに。外注すると高そうだけど、考えてみりゃ作れるよなあ。うちの部署の話だけど、去年会社の受注管理システムが刷新されたとき、マニュアルがわかりにく過ぎて大混乱が起こったんだよね。そしたら業務スタッフでそういうの得意な人が受注申請フローの説明動画作ってくれてさ、すごい助かった。
- うう…そのシステム俺が担当したやつだ…。マニュアルわかりにくくて迷惑かけたな。そういうのはIT部に報告してくれよ。その動画、全社で使い回すからさ。
- あ、あと懇親会の時に他拠点の人から聞いたんだけど、好成績の営業メンバーのトークをターゲット業種別に動画に撮って、新メンバーの教育に使ってるって。
- そうかあ、けっこう現場では既に動画が活用されてるんだな…。
- あと、研修前の話もそうなんだけど、研修後もあるね。せっかく集合研修で同世代メンバーが集まって盛り上がっても、だいたいその場限りじゃん。そこで同じような課題意識や志を持ってる仲間とつながって継続的に情報交換できるといいよな。プライベートではFacebookグループとか使うけど、仕事の情報は載せられないじゃん。だから、それこそうちで使ってるMicrosoft 365(旧 Office365)®に入ってるYammer®とかTeams®とか使ってさあ。
- チームス? 何それ?
- 悪い、俺も全くわからない。
- まじかよ! シェアポイント(SharePoint®)のアプリメニューに出てくるじゃん。
- いやいや、いくらメニューにあっても使い方わからなければ使わないし。存在すら認識してなかったよ。チーム単位の情報共有に使えるの?
- そうだよ。利用率が低いから使ってほしいんだよ。
- もしかして、動画もシェアポイントに載せられたりする?
- 知らないのかよ!!!
- 知らないも何もさあ。それ、ポータルとかに載せてちゃんと告知してる?仮にお知らせコーナーに載せたって、1日で他の情報に流されてくんだから、繰り返し出してもらわないと。
何をすれば「求められる人材像」に近づけるのか?
- えっと話変わるんだけど、人事の北岡にひとつ質問してもいいかな。
- ほい、大歓迎。
- あのさ、新しい中期経営計画に合わせて、目指す人材像のスローガンが打ち出されたじゃん。「100年先を見据えて今日の『いいね』を創る、自発性にあふれるプロフェッショナル集団」。あれ、抽象的すぎてよくわからない。人材育成方針にある「先見性を持つ」「社会の利益を考える」「自ら行動する」ってのとは何か違うの? それとも言い換えただけ? ていうか『いいね』とかちょっと恥ずかしいんだけど。
- えっと…社長的には、別物らしい……。どこがどうと言われるとよくわからないんだけど、「先見性」のとこ? 一口に先見性といっても長期的視点と短期の視点の両方みたいな…。あと『いいね』は社長が最後までこだわったポイントらしいから、それについては何も言わない方が身のためだと思う。
- 人材像とか、ぼんやりした言葉で語られるとわかったような気になるけど、じゃあ具体的にどういう行動してるどういう人なんだ? って考えるとわからないよね。具体的な行動は例えば営業とITでは全然ちがうわけだし。
- 社内報に社員インタビューのコーナーあるじゃん。あそこに載ってる人って会社が考えるロールモデル的な感じなのかなーと思って読むんだけどさ、そういうことなのかな。人選は人事がやってるの?
- いや、社内報は広報の管轄だから、どうやって人選されてるのか知らない。誰が承認してるんだろう? 新入社員紹介の特集のときは人事に依頼がくるんだけどな。
- 各部門や職種で求められる人材像を人事が率先してもっと明確に描いてさ、社内のロールモデルとか、好事例とかを広報に社内報の記事にしてもらって、それを使って研修したらいいじゃん。こないだの研修のときに使ったよくわかんない他業種のケーススタディなんかよりよっぽど役に立ちそう。いま社内報担当してる田辺って、写真サークルの知り合いだからつなごうか? そもそもなんで人事と広報がちゃんと連携してないの?
- うーん、このままじゃ効果が出ないってことはわかってたけど、根本的に研修のやり方を見直した方がいい気がしてきた…。ちゃんと社内のITインフラで何ができるか理解して、社内広報とも連携して施策を考えていったらもっと効率的にやれるかなあ? ここは生産性の鬼と評判の橋本先生に助けていただきたい。
- えー、どうしよっかなー。ちょっと考えるからミルクレープも食べていい?
- 現場の声も聞いてほしいよ。現場の仕事に即していて、ほんとに役立つ研修だったらみんな喜んで参加するし、上司も喜んで送り出してくれると思う。
- 部署横断の大規模な取り組みになるなあ…。プロジェクトの承認とか、予算とか、誰に話を通して何をどうしたらいいんだろう…。橋本がプロジェクトのオーナーになってくれたらいいのになあ。そういうややこしい仕事をさばくの得意でしょ?
- 俺はやだよ。研修について人事に言いたいことは色々あるけど、俺はとりあえず社内のシステムがちゃんと動いて活用されてればそれでいい。
- でも現状、積極的に告知されてないから社内システムの活用率が上がらないんじゃん?YammerだってTeamsだって、細々と使ってる人だけに役立ってたってみんなには知られないわけだし。ここは広報部と組んでうまく告知して、人事の研修でも活用されたら「システムが役に立ってる」って評判があがって、橋本の評価も上がるんじゃない?
- むむっ…。とりあえず次は広報の田辺も引っ張ってきて情報交換するか…。Teamsとリアルとで定期的に情報共有しながら、各部署でゆるく上に打診していく感じで。
- 会議室予約する? 業務時間内に動けるかなあ。上司への説明がやっかいだな。
- 俺も覗いてみたいけど昼間はほぼ外出だから無理かも。とりあえず居酒屋でキックオフミーティングどう?
- 居酒屋会議か。ブラック企業かよ…。
- 誰かにやらされてるわけじゃないからいんじゃね? なんか秘密の組織みたいで面白いじゃん。とりあえず情報集めて、部署間で連携できるとこは連携して、仕事の効率上げて、結果出してこうぜ。
Fin
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よくある質問
- 集合研修の効果はありますか?
終了後参加者アンケート結果では満足度高くても、現場の管理職からは評判悪いのが実情です。研修の翌日いつも通りに仕事に追われて、研修で学んだことは頭から抜けていく。1か月もたてば何をやったかも忘れてしまいます。
- 業務と研修はどうすれば並行して進められますか?
忙しい営業マンでも個別学習できる教材の使用をおすすめします。
SNSのタイムラインで流れてくる動画(教材)は1~2分くらいで、隙間時間に細切れに見ることもできます。
好成績な営業メンバーのトークを、ターゲット業種別に動画に撮り、新メンバーの教育に使ったり、わかりにくいマニュアルを説明動画作って共有するという方法もあります。
株式会社ソフィア
コミュニケーションコンサルタント、コンテンツプランナー
瀬尾 真理子
組織内広報の改善やメディア・コンテンツの立ち上げ、運用支援を担当しています。企画・編集・制作はもちろん、コミュニケーションの体制作りやプロセス改善、担当者のスキルアップセミナーなども承ります。
株式会社ソフィア
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