バーチャルタウンホールミーティングで従業員エンゲージメントを高める


【この記事のポイント】
・タウンホールミーティングは、❶リーダーと従業員の信頼関係を築き、❷所属や職種を超えた共同体の感覚を作る
・タウンホールミーティングは「プレゼン」ではない。「イベント」であり、従業員にとっての「体験」である
・コロナ禍は、タウンホールミーティングをバーチャルに進化させていく好機


海外の企業では、経営陣と従業員を大きな会場に一堂に集めてタウンホールミーティング(対話集会)を開くことが、長い間インターナルコミュニケーションの定番でした。タウンホールミーティングによるフォーラムは、リーダーと従業員が顔を合わせて重要な問題について話し合う素晴らしい機会です。

しかし、COVID-19危機が発生し、企業や組織はタウンホールミーティングを100%バーチャルにオンラインで開催するために再考しなければなりませんでした。そして、多くの担当者は、このイベントを参加しやすく、エンゲージメントを高めるようにすることに苦労しています。

従業員エンゲージメントの専門家、アリソン・デイビス氏は、IABCのWeb会員誌『Catalyst』に寄稿し、今日のバーチャルタウンホールミーティングは、実際に旧来のタウンホールミーティングよりも優れていると、朗報を伝えています。今回はデイビス氏の見識を紹介します。

危機は好機

元ホワイトハウス首席補佐官でありシカゴ市長であるラーム・エマニュエル氏が発した印象的な言葉があります。「深刻な危機を無駄にしないでください。これまでできないと思っていたことをする好機なのです」

今回の危機は、バーチャルタウンホールミーティングを進化させていく好機です。今は、企業や組織が、これまで以上にタウンホールミーティングを必要としている時期です。それは従業員がリーダーから話を聞く貴重な方法であり、信頼関係を築きます。そして、タウンホールミーティングは、さまざまな場所や職種の人々を結びつけるので、共同体の感覚を作り出します。

では、あなたはこの機会をどのように活用しますか。まず前提として、 バーチャルを含めてタウンホールミーティングとは、プレゼンテーションの場ではなくイベントだということです。

以前には、次回の従業員タウンホールミーティングの準備をする際、あなたは以下のような古典的な間違いを犯していたかもしれません。情報を集めて並べて、時間を埋めることにほぼ専念してしまうのです。このアプローチを取ることによって、あなたは情報を寄せ集めることに終始してしまいます。するとほとんどの場合はこうなります。CEOが戦略に関するプレゼンテーションを行います。CFOは決算情報を共有します。構想プロジェクトのリーダーが最新情報を提供します。人事部の誰かが人事関係について話します。質問はありますか?(いいえ、みんな寝ていますから…)

体験を演出する

しかし、最高のタウンホールミーティングはイベントであり、実際には体験なのです。辞書は、体験を「物事を実行し、見るプロセス、そしてあなた自身に物事が起こるプロセス」と定義しています。

体験を生み出す要素は何でしょうか。ブロードウェイの舞台制作やテレビのトーク番組では、体験することは次のとおりです:

 

  • 振り付け(演出)がある
  • 記憶に残る
  • 元気が出る
  • 参加型である

 

では有意義なタウンホールミーティングの体験をどのように作りますか。5つの方法を以下に示します。

1.1つ(または、せいぜい3つ)の目的に焦点を当てる

壮大な成功と破滅的な失敗を分ける重要な質問を自問自答することから始めます。「このタウンホールミーティングで私が達成すべき、たった1つの必要なものとは何ですか?」
もちろん、これは成果や目的を決定する一つの方法です。また別の言い方をすると、「成功と言えるのは、どのような状態でしょうか?」
たとえば、「組織にとって不可欠な問題について学びを創出する」とか「従業員に行動を起こす動機付けをする」というように目的を設定します。

2.議題を友とし、頼れるものにする

タウンホールミーティングのプランで昔ながらに使われる言葉は「議題(アジェンダ)」ですが、箇条書きのコンテンツ・リストを作るだけではなく、それ以上のことをする必要があります。集会を納得のいく流れで構成し、従業員が参加できる機会を入れ込んで、時間を効果的に管理できるようにします。
議題を作成するにあたっては、ミュージカルの振り付けやテレビ番組の演出のように、いつ何が起きるかを示し、以下に注意します。

 

  • 最も重要なことに時間を費やす
  • 重要なトピックのために時間枠を確保する
  • 参加型にするために十分な時間を取っておく

 

つまり、トピックの数を 3つ以下に制限します。そして、流れを管理するためのストーリーアークを構成します。「ストーリーアーク」とは、フィクション作家、ブロードウェイの劇作家、ハリウッドの脚本家らが物語の浮き沈みを説明するために使用する用語です。バーチャルタウンホールミーティングの場合、ストーリーアークは、感情的でない(深刻な問題を話し合う)ところと、感情的になる(成功を祝う)ところを記述して、エネルギーを生み出します。

3. テクノロジーを好む

Zoom、WebEx、Microsoft Teamsなどすべてのプラットフォームには、ありきたりのPowerPointばかりの会議よりもはるかに興味深い会議を行うことができる、面白い機能の数々が用意されています。これらの会議プラットフォームが提供するものを知り、すべての機能を使いこなせるようにしましょう。テクノロジー活用で実行できる機能を学ぶには、オンラインチュートリアルや Webワークショップを活用してください。

4. コンテンツをキュレーションする

タウンホールミーティングを成功へと導くことができる担当者は、情報を集めて統合したりしません。慎重にコンテンツを選択します。つまり、ストーリーを伝えるために必須ではない情報をすべて排除します。タウンホールミーティングはあまり頻繁に開催しないので、前回の集会以降に起こったすべてのことについて話題にしたいと思いがちです。しかし、聞く人が処理できる情報量には限界があります
トピックを選択するプロセスでは、以下を考慮します。

 

  • 財務決算は、従業員にとって意味のある場合にのみ、共有します。濃密なグラフは理解を生み出しません。数字を使うなら、組織が次に取り組む必要があることに関連付けます。
  • 幅広いトピックをカバーするのではなく、深く掘り下げます。たとえば、7つの戦略的取り組みをすべて取り上げるのではなく、1つの戦略に焦点を当てます。内部の専門家を招いて、それが何を意味するのか説明してもらいます。従業員にはこの問題に関する見方を共有してもらいます。
  • すべてのトピックに新鮮で予想外の要素を持ち込みます。安全に関する統計を見せたりしないでください。従業員が職場の安全を向上させるためにどのような措置を取ったか、ストーリーに仕立ててください。

 

5. 参加の仕方に振り付け(演出)を施す

大きな会場に全員が一緒に座っているとき、従業員にとって手を挙げるのは怖いものです。バーチャルタウンホールミーティングの主な利点の1つがこの点にあります。従業員の参加は、実際にはより簡単で安全に行えます。
もちろん、対話を促進するには努力が必要です。ここにいくつかのヒントがあります。

 

  • 参加するために十分な時間を与えます。ディスカッションを設定し、対話を促進し、勢いをつけるのに十分な時間を費やしてください
  • ほとんどの Web 会議で利用可能なツールを使用します
  • 投票。簡単な1問への投票は効果的なアイスブレークになります
  • チャット。会議中に全員が質問をしたりコメントをしたりできるようにします
  • ホワイトボードまたはノートパッド。そうです、あなたは事実上ブレインストーミングすることができます。参加者に課題や機会を共有し、ホワイトボードに記録してもらいます
  • 参加者に質問を呼びかける代わりに、リーダー自ら質問を投げかけるよう訓練します。組織が最もオープンで協力的な文化の中でも、従業員にとって質問をすることは無知をさらけ出すことになりはしないかというリスクが伴います。しかし、リーダーが「この目標を達成するのに障害となるのは何ですか」のような質問を提起する場合、従業員は強みのある立場から参加する機会を得ます。また、バーチャルタウンホールミーティングでは、従業員はチャットのボックスに応答を入力できます

 

バーチャルタウンホールミーティングを素晴らしいものにファシリテーションするには、少し手間がかかりますが、努力は報われます。しかし、従業員が参加することで、あなたは目的を達成し、危機から良いものを生み出すことができるかもしれません。

お問い合わせ

 

よくある質問
  • バーチャルタウンホールミーティングとは何ですか?
  • バーチャルタウンホールミーティングは、リーダーシップが従業員に全体像のニュースに関する最新情報を提供し、全員に情報を提供し、組織の使命と目標と同期させるためにオンライン上で開催される全社的なイベントです。経営トップは現場の声を直接聞くことができる一方、従業員にとっては普段顔を合わせる機会の少ない経営陣のメッセージをダイレクトに受け取ることができます。バーチャルタウンホールミーティングは、バーチャルツールを使用してオンライン上で行われる場合もあります。

  • タウンホールミーティングは何のために行うのですか?
  • リーダーと従業員が顔を合わせて重要な問題について話し合うためです。

株式会社ソフィア

ビデオ・プロデューサー、コミュニケーション・コンサルタント

池田 勝彦

主にビデオ制作で撮影から編集までを担当しています。記事原稿も書いていますが、英語による取材・編集もやりますし、翻訳もできます。

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