業務改善コンサルティングとは?進め方・費用・選び方を徹底解説
最終更新日:2025.12.26
目次
業務改善コンサルティングを検討している大企業では、部門横断の調整やツール定着がボトルネックになりがちです。本記事では、可視化から定着・効果測定までの進め方、費用、会社選びのポイントを、弊社ソフィアの調査データも交えて解説します。
業務改善におけるコンサルティングとは
昨今、日本企業の生産性の低さがよく話題になります。
とくに問題視されるのは事務職などのオフィスで働く方々の生産性です。戦後、「カイゼン」活動で生産性が向上した製造業の生産現場と比べて、オフィスワークの業務改善は必要性を認識されながらも、効果的な取り組みが進んできたとは言えません。そこで、業務改善のノウハウを持たない企業がコンサルティング会社に支援を求めることが多くなっています。
ここでは、事務職などのオフィスで働く方々を対象に、業務改善を実践するためのコンサルティングサービスについて、内容とそのメリットをご紹介します。
業務改善コンサルティングとは、企業の業務プロセスを可視化し、問題点を洗い出すことで、最適なプロセスを構築するための支援を提供するサービスです。より効率的に業務を遂行し、競争力を高めるための重要な役割を果たします。
このサービスでは、第三者の視点から企業の業務プロセスを見つめ直し、問題点を明確に把握することができます。また、現状の業務フローを可視化し、各プロセスの効率性や生産性を評価し、業務プロセスを改善することで、効率性や生産性の向上につながります。これにより、コスト削減や顧客満足度の向上などの成果を得ることができ、競争力の強化や組織の持続的な成長にもつながるでしょう。
業務改善コンサルティングは、企業にとって重要なサービスであり、専門的な知識や経験を持ったコンサルタントの力を借りることで、より効果的な業務改善を実現することにつながります。企業は積極的に業務改善コンサルティングを活用し、競争力を高めるための取り組みを行っていきましょう。
大企業向けに言い換えると、業務改善コンサルティングは「部門ごとに最適化された仕事のつなぎ目(承認・引き継ぎ・情報共有)を、全社視点で再設計し直す支援」です。
そのため、業務フロー図の作成だけでなく、合意形成、権限設計、教育、ツール定着、効果測定まで”業務の運用”を含めて設計するかどうかが成果を分けます。
業務可視化で使われるBPMN(Business Process Model and Notation)は、ビジネスプロセスの記法として標準化された枠組みの一つで、共通言語としての価値があります。
– 業務改善コンサルティングの本質は「可視化→課題特定→再設計→定着」
– 大企業ほど”つなぎ目”の再設計と、社内浸透(教育・合意形成)が重要
– 共通言語(例:BPMN)を持つと、部門横断の議論が速くなる
業務改善とDX推進はどのような関係か
DX推進部門の方からすると、業務改善は「デジタル化の前提条件」に見えることが多いのではないでしょうか。実際、現状の業務がブラックボックスのままツールだけ入れても、現場では”従来のやり方”が温存されやすく、効果が出ません。
経済産業省のDXレポートでも、既存システムの課題把握や役割分担、現場の抵抗などが論点として整理されています。つまり「技術」以前に「業務と組織」が詰まる、という前提を共有しておくことが重要です。
DX推進・人事・広報(社内広報)が連携しやすい整理としては、次の3層に分けると議論が進みやすくなります。
● 業務:何をやめ、何を標準化し、何を自動化するか
● 仕組み:ルール、権限、KPI、会議体、運用(ガバナンス)
● 浸透:教育、コミュニケーション、現場の不安の解消
– DXのボトルネックは「ツール」ではなく「業務と組織」になりやすい
– 業務改善は、DXの”投資対効果”を出すための土台
– 大企業では浸透設計(教育・コミュニケーション)が必須
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で押さえておきたい3つのステップ
DX(デジタルトランスフォーメーション)は単なる「デジタル化」ではなく、企業がAIや5Gなど最新のデジタルテクノロ…
業務改善コンサルが必要となる背景
事務職などのオフィスで働く方々の業務改善にコンサルタントが必要となる背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
業務改善を進める上での障害となっている事柄と合わせて説明します。
現在の業務を可視化、改善したいという状況
「現状の業務のどこがどのようにうまくいっていないかがわからない」「それ以前に、業務がどのように遂行されているかが社内で理解されていない」という場合があります。
事務職などオフィスで働く方々の業務では、同じ部署の人が何をしているのか明確に把握できている方は少ないでしょう。ひとつの業務が複数の部署にまたがって行われ、重複している業務が存在してもそれを認識できないこともあります。
これを解決するためには、日々行われている業務を見える化、すなわち、可視化することが必要となります。誰がいつ何をしているかをフローチャートなどのドキュメントに記述して、明らかにするということです。
業務を可視化できれば、最近進みつつある雇用形態の多様化により、短時間勤務で業務限定の社員が入ってきても、スムーズに業務を引き継げます。また、在宅勤務に展開できるメリットもあります。
自分の業務を箇条書きでもなんでもいいので書き出し、それが整理されていない状態であっても、自分の業務を自分で見える状態にすることが、可視化の第一歩です。
業務の大きさの違いや重複もあるでしょう。きれいに「分ける」ことや「並べる」ことが難しいかもしれません。そのような場合、ロジカルシンキングや論理的思考の考え方が役に立つでしょう。
自分たちで業務改善をしたいが外部の支援が必要
自社の業務を一番よく理解しているのは自社の社員ですから、社員が業務を可視化する必要性を認識できれば、自社で業務の可視化から業務改善につなげる活動を行うのは難しいはずはありません。
しかし、実際は自社で進めようとしてもうまく進まないことがよくあります。
その原因の一つは、通常の業務を抱えながら業務改善に労力を割くのは困難だからです。
二つ目は、業務を可視化して改善ポイントを見つけ実施するまでに必要な、手法やツール類の使い方がわからないからです。
組織が大きくなり、業務が複雑化して、多くの職種によって業務が担われるようになると、フローチャートのような単純なドキュメントだけではまかないきれません。業務内容を記述しモデル化する技法を学ぶために外部の支援が必要になります。
三つ目の原因は人間関係です。
人に付いている業務を可視化し改善することは、心理的なあつれきを生む可能性もはらんでいるため、外部の客観的な視点を必要とする場面も多くあります。
自分の業務を客観的に見ることは、実は難しいことです。
自分の業務に対して、思いや信念を持って一生懸命やっている方であればあるほど、客観視できない傾向にあります。
社内の各部署同士で連携が取りにくい
さらに自社だけでの業務改善活動を難しくしているのは、社内の部署間の連携が取りにくいことです。
自部門だけの業務改善であれば比較的簡単に行えますが、部分最適になってしまい、企業全体の生産性をあげることにつながらない場合があります。
通常業務では部署間の連携がうまく取れていたとしても、業務手順の変更を伴う業務改善を行うとなると、抵抗する人が出てきます。
人は誰でも変化を嫌う習性があり、部署を越えて業務手順の変更を求めるには、組織の規模が大きくなるほど調整力が必要になりますし、部門間でのコンフリクトは避けて通れません。
ツール・システム導入がうまくいかない
業務改善を急ぐ企業では、市販されているITツールを手っ取り早く導入して、業務改善を進めようとすることがあります。
しかし、こうしたツール類はベストプラクティスと呼ばれる特定の業務手順を前提としており、自社の業務手順をそれに合わせる必要がありますが、これがなかなかうまくいきません。
業務手順を変えることへの抵抗がここでも問題となります。
ここで「社内コミュニケーション」が業務改善のボトルネックになりやすい点も、先に押さえておきましょう。
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションに「大いに問題がある」(20%)「多少問題がある」(59%)の合計で79%に達しました(従業員数1,000人以上企業、496名、2024/8/21〜9/17)。
同調査では、課題を感じるレイヤーとして「部門間」(58%)、「部門内(上司と部下)」(51%)、「経営陣と社員」(42%)が上位です。つまり”横”と”縦”の両方で詰まりが起きています。
さらに具体的な困りごととして、「業務に関連する情報が共有されない」(46%)、「共有が遅い」(39%)、「欲しい情報がどこにあるかわからない」(33%)、「合意形成が遅い/できない」(38%)など、業務の質に直結する項目が目立ちます。
– 可視化できない・進め方が分からない・人間関係・部門間調整・ツール定着が主な要因
– 大企業では横(部門間)と縦(上司部下/経営)間が詰まりやすい(弊社調査)
– 情報共有の遅れ・探索性の低さ・合意形成遅延は、要業務改善の初期症状
業務を可視化して改善ポイントを見つけるにはどうすればよいか
「可視化」は、業務改善コンサルティングで最初に行うことが多い工程です。なぜなら、改善の議論は”現状の共通理解”がないと始まらないからです。
一方で大企業では、現場ごとの例外処理が多く、現状把握に時間がかかりやすいのも事実です。
実務上は、次の順で進めるとブレにくくなります。
1. 業務の棚卸し:業務名/頻度/所要時間/入力・出力/関係部署を洗い出す
2. 業務フローの作成(As-Is):誰が、何をトリガーに、どのシステムで、どんな判断をしているか
3. 詰まりの特定:待ち時間、差戻し、手戻り、二重入力、例外処理、属人化
4. 改善の切り分け:やめる/減らす/標準化する/自動化する/委譲する
可視化の段階で「いきなり完璧な図」を狙う必要はありません。最初は、部署ごと・業務単位で粗く作り、合意形成しながら精度を上げる方が速いです。
また、後工程のツール導入や自動化を見据えるなら、記法や粒度を揃えられる枠組み(例:BPMN)を採用するのが有効です。
– 可視化は「現状の共通理解」を作るための投資
– 棚卸し→As-Is→詰まり→改善の切り分け、の順で進めると迷いにくい
– 標準記法(例:BPMN)を使うと、部門横断の議論が成立しやすい
業務改善コンサルティングを依頼するメリット
こうした問題の解決のために、社外のコンサルティング会社に支援を求めることになりますが、単に「社員の労力がかかる部分を外注するだけ」ではありません。
コンサルタントに依頼するメリットには、以下のようなものがあります。
業務改善のノウハウを導入できる
まず、業務改善を行うノウハウを導入できます。具体的には業務改善プロジェクトを進める方法論と、他社で業務改善プロジェクトを行った成功事例・失敗事例です。
こうした実務的なノウハウは、コンサルティング会社に蓄積されている場合もあれば、コンサルタント個人が持っていることもあります。業務改善プロジェクトにおいて、どこで何をすべきかを判断する経験値を買うということになります。
問題の原因を追究する技法を導入できる
次に、業務の可視化や問題の原因追究を行うためのドキュメント技法を導入できます。
ドキュメント技法を解説した書籍は数多くありますが、これらを読むだけでは実践するのは難しく、各技法を実際に適用した事例をコンサルタントに紹介してもらいながら習得する方が効果的です。
第三者視点によって改善策を客観視できる
もうひとつ重要なことは、外部の第三者が業務改善プロジェクトに関与することで、改善策に客観性を持たせられるということがあります。
業務改善を実施するには、業務改善のゴールやあるべき状態が、各部門や個人に腹落ちしていることが重要です。そのゴールやあるべき状態が、社内の有力者に忖度する必要もなく組織のしがらみもない外部のコンサルティング会社が作って経営者の承認を得ているものであれば、信頼度が高まるということです。
上位記事で特に強調されやすいメリットとして、「最新技術・トレンド導入支援」や「社内リソースの最適配分」もあります。
ただし大企業では、”技術の目利き”以上に「現場が使う状態まで持っていく設計(教育・運用・KPI)」の有無が成果に直結します。これは、ツール導入後の利活用が伸びないケースが現実に多いからです。
– メリットは「方法論・技法・第三者性(客観性)」が柱
– 大企業では「定着までの設計(教育・運用・KPI)」まで支援できるかが重要
– DX推進の観点でも、業務と組織の整流化が投資対効果を左右する
業務改善コンサルティングの具体的な施策は?
では、外部のコンサルティング会社は業務改善プロジェクトをどのように行うのでしょうか。
コンサルティング会社が具体的に何をしてくれるのかをフェーズごとに見ていきましょう。
業務の可視化
コンサルティング会社は最初に行う業務の可視化にあたり、ノウハウを提供し、取り組みの推進をしてくれます。
たとえば、BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記法)です。BPMNは、仕事の始め方、役割分担、各担当の業務内容、顧客や取引先など外部とのやり取りといったフローを記述する手法で、国際標準(ISO19510)にもなっています。見る人すべてが共通理解を得られるように、記号やその表記方法が細かく定められています。
コンサルティング会社のプロジェクトメンバーが社員にヒアリングを行い、この手法に基づいたドキュメントを作ってくれる場合と、社員がコンサルティング会社の研修に出て、アドバイスとレビューを受けながら自らドキュメントを作成する場合とがあります。
このフェーズでの成果物例(大企業向け)
– As-Is業務フロー(粒度を揃える)
– 例外処理一覧(”現場だけが知っている分岐”)
– RACI(誰が責任者で、誰が承認者か)
– システム・データの入出力一覧(後の自動化に効く)
業務問題の特定
次に、可視化した業務全体を見渡しながら、どこが生産性を悪化させているのかを特定します。
ここでは、コンサルティング会社が過去に同様の業務改善プロジェクトを行った実績が活かされます。特定した業務が改善によってどのような結果を得られたか、観察した経験が多いほど、問題を特定する精度が上がります。
また、業務のどこに問題があるかは、当該業務に関与している社員がうすうす感じている場合もあります。
コンサルティング会社はそれを企業全体で問題点を共有できるように、客観性を持ったロジックで組み立てられた説明資料を作ります。
大企業では、ここで「部門最適の正しさ」が衝突しやすいです。
そのため、問題特定の説明は”責める”形にせず、「顧客価値」「リードタイム」「品質」「リスク(監査・コンプラ)」など、共通の尺度に翻訳して提示することが重要です。
原因追及
コンサルティング会社は原因追及のための手法も提供します。
たとえばロジックツリーは、一つの問題からいくつも枝分かれした原因を追及し、より深く原因を追求することで複数の原因を特定します。
また、バリューチェーン分析は、顧客に商品やサービスが届くまでのプロセスを一つの鎖にたとえます。鎖のどこで大きな価値が生み出されているか、どこが同業他社よりも優れているのか、または劣っているのかを分析し、それをもとに業務改善案を考える手法です。
原因追及は「ツールが古い」では終わらせないのがコツです。
“なぜなぜ”で掘ると、実は「権限が曖昧」「承認が過剰」「例外処理が放置」「教育が途切れている」など、組織と運用の問題に着地することが多くあります。
改善案の立案(ツールの導入支援など)
社員とコンサルティング会社が協力して改善案を作り、経営者の承認を受けます。
そして、コンサルティング会社は最適なツールを選定し、その導入支援を行います。
上位記事でも多い「優先順位付け」は、ここで必須です。
効果(Impact)×実現性(Ease)×リスクで整理し、まず”早く効く改善(Quick Win)”で成功体験を作り、次に構造改善へ進むと定着しやすくなります。
社内の抵抗への対応
業務の改善や変更を行うと、ほとんどの場合社内に何かしらの抵抗が生じます。
業務改善において社内の抵抗への対応は避けては通れない課題です。日本の企業ではとくに、経営陣の承認のもと導入された施策に対して表面上は好意的な社員も、実際は導入に対して納得しておらず施策が浸透しない例が多く見られます。
コンサルティング会社は、業務改善やツール導入といった見える問題だけではなく、見えない問題、つまり社内の抵抗に関しても、「社員にとってどのように役立つことなのか」を伝え、共感を生み出す支援も行っています。
俗にチェンジマネジメントといわれており、この分野に特化した支援会社も存在します。
効果測定
改善案を実施するだけで業務改善が終わるわけではありません。
一定期間における効果を測定し、業務改善の成否を評価する必要があります。効果は定量的に測定するのが望ましく、顧客満足度、製造リードタイム、クレームの削減率などが指標として設定されます。
コンサルティング会社は、適切な指標の選定から実績数値を集めて集計する手法を提供します。
評価の結果、望んだ成果が得られていれば業務改善は成功であり、現場に定着していきますが、結果がかんばしくない場合は、その原因を突き止め、改善をめざすPDCAサイクルをまわしていくことになります。
– コンサルは「可視化→問題特定→原因追及→改善→抵抗対応→効果測定」までを伴走し得る
– 成果物(フロー、例外、RACI、KPI)が揃うと、引継ぎ・監査・自動化が進む
– 大企業ほど「優先順位」と「定着(抵抗対応+効果測定)」が勝負
業務改善コンサルティングの進め方や手法と注意点
業務改善コンサルティングでは、お客様の事業全体を俯瞰し把握することからスタートします。事業全体の現状を把握し、それを分析していきます。
その分析結果をもとに、改善策を立案し、実行に移していきます。詳しく見ていきましょう。
事業全体の把握と今までの進め方の確認
業務改善コンサルティングでは、お客様の事業全体を俯瞰し把握することからスタートします。
まずは、全社的な最適解を求めるために、事業や業務を段階的に詳細化していきます。この段階では、お客様の業務フローを整理し、問題や課題を明確に把握することが重要です。
現状の分析
次に、具体的な改善策を立案するために、現状の分析を行います。これには、業務の効率性、品質管理、コスト削減などの観点から、問題点を特定し、原因を突き止めます。
その後、課題の優先度を設定し、改善のための目標を明確にします。
改善策の立案
改善策の立案では、経験豊富なコンサルタントがお手伝いします。お客様の要望や目標に合わせて、効果的な施策を考えます。
具体的な手法としては、業務プロセスの見直しや効率化、ITシステムの導入や改良、組織・役割の再設計などがあります。また、スキルや知識の向上のための研修プログラムの提案も行います。
改善策の実行
改善策の実行支援では、計画の立案から実施、評価までをサポートします。
プロジェクト管理やトレーニング、コーチングなどを通じて、お客様のチームや組織の能力向上を促進します。また、改善の成果を定量的・定性的に評価し、継続的な改善サイクルを確立することも重要です。
業務改善コンサルティングの進め方や手法は、お客様のニーズや課題に合わせて柔軟に対応します。経験豊富なコンサルタントのサポートを受けながら、効果的な業務改善を実現できるでしょう。
大企業では、業務改善を「プロジェクト」ではなく「仕組み」に落とす必要があります。
デジタル庁が整理するガイドライン群でも、業務改革とそれに伴うシステム整備・管理、関係者が共通ルールの下で協働する重要性が示されています(対象は政府ですが、考え方は大企業のガバナンス設計にも援用できます)。
よく使われる手法
- 可視化:業務棚卸し、BPMN、プロセスマップ
- 原因追及:なぜなぜ分析、ロジックツリー
- 価値の整理:バリューチェーン分析
- 運用設計:RACI、会議体設計、KPIツリー
- 定着:教育設計、利用状況モニタリング、FAQ整備
トップダウンの失敗事例
ただし、注意点として、コンサルタントによるトップダウンな進め方になってしまうと次のような問題が発生する場合があります。
ある企業で、財務部門の自動化およびRPA導入の事例をご紹介します。
当該部門向けに、業務改善コンサルタントから、RPAの効果性について説明がありました。「RPAは24時間365日稼働し、かつ正確で、不正のない業務を実行できます。」との説明に対し、現場からは「24時間働けということ?」「わたしたちの仕事は、正確ではない、不正をしているとでも?」といった声が上がりました。
このように、改善が必要な問題点や課題が浮き彫りにしたとして、その該当業務を自分が行っていた場合、その業務および自分のしてきたことを否定されることになります。
それを介入してきた他者によって行われるため、モチベーションは大幅に下降してしまうでしょう。
そこで弊社が行った施策は、1か月間のスケジュールを見て、「嫌な仕事」と「夢中になれる仕事」にマークをつけてもらいました。
その「嫌な仕事」の中で、RPAが可能な業務にだけ取り入れることとなりました。
後日談ですが、嫌な仕事のうちRPAでできない業務は、社内の調整と無駄会議でした。
外発的な動機付けと内発的な動機付けをしっかり醸成し、ボトムアップとトップダウンの両方を駆使することで、実際に業務を行っている現場の本質的な改善に手が届くのではないでしょうか。
– 進め方は「俯瞰→分析→立案→実行→評価」の基本に忠実に
– 大企業は”共通ルール”と”役割分担”を先に作ると進みやすい
– トップダウン一辺倒は反発を生み、定着しない(失敗事例の通り)
業務改善で社内の抵抗を最小化して定着させるにはどうすればよいか
抵抗の正体は、単なる”わがまま”ではありません。
多くは「自分の仕事が否定される不安」「評価が下がる不安」「やり方が変わる負担」「学習コスト」が混ざっています。ここを無視すると、導入はできても定着しません。
定着の打ち手は、次の4点セットで考えると実務に落ちます。
– 意味づけ:なぜ変えるのか(目的・価値・やめること)
– 影響設計:誰の何が変わるのか(業務・権限・評価・会議)
– 学習設計:どう覚えるのか(研修、動画、伴走、FAQ)
– フィードバック:効いているか(KPI、定点観測、改善要望)
ここで重要なのが、社内コミュニケーションの”設計”です。
弊社ソフィアの調査では、社内コミュニケーションの問題要因として「必要性が共通認識になっていない」(34%)、「組織文化や体質」(33%)、「利害関係の違い」(32%)、「コミュニケーションスキル不足」(27%)、「過度な業務負担で時間不足」(26%)が挙がっています。つまり、気合いでは解決しません。
“時間がないから共有できない”は、本末転倒ですが実際に起きます。
だからこそ、共有のルール(どこに置くか、いつ出すか、誰が承認か)を業務プロセスに組み込み、負荷を下げる設計が必要です。
– 抵抗は「不安・負担・学習コスト」の塊。設計で減らせる
– 意味づけ・影響設計・学習設計・フィードバックをセットで実装
– 抵抗の背景には共通認識不足や文化、利害の衝突がある(弊社調査)
大企業で業務改善を進める社内コミュニケーションのポイント
DX推進・人事・広報(社内広報)で役割分担すると、社内コミュニケーションは次のように設計できます。
– DX推進:業務とシステムの整合、ツール標準、データ/権限設計、KPI定義
– 人事:研修設計、管理職育成、評価・スキル体系への組み込み
– 広報(社内広報):メッセージ設計、ストーリー化、媒体設計、現場の声の可視化
ここで”ツール導入=解決”になりがちな点も押さえておきましょう。
弊社ソフィアの調査では、TeamsやSlackなど「チャットやWeb通話の機能を持つコミュニケーションツールを導入している」企業は76.6%と約8割です。一方で、活用度は「十分活用」(31.1%)+「ある程度活用」(45.0%)で76.1%という自己評価があるものの、導入側が想定したレベルに達していないケースも示唆されています。
さらに「活用が進まない要因」として最も多いのが「機能や使い方の教育不足」(33.6%)です。次いで「メール/電話の習慣が残る」(25.6%)、「抵抗感」(24.0%)などが挙がっています。つまり、勝ち筋は”教育と運用”です。
– 一次情報の置き場を一つに:ポータル/ナレッジ(どこを見れば最新か)
– 会議体と連動:意思決定→周知→FAQ→改善、の循環を回す
– 管理職をハブにする:1on1や定例で「意味づけ」と「不安回収」を行う
– “探せる”状態を作る:タグ、検索、テンプレ、投稿ルール
この章の要点
- 社内コミュニケーションは「設計対象」(気合いではない)
- ツール活用のボトルネックは教育不足・習慣・抵抗感(弊社調査)
- 一次情報の置き場、会議体、管理職ハブ、検索性の4点が効く
効果測定における業務改善のKPIの使いかた
業務改善のKPIは「成果(Outcome)」と「プロセス(Driver)」を分けると、現場が動きやすくなります。成果だけだと”遠い数字”になり、プロセスだけだと”やった感”で終わるからです。
KPI例(業務改善でよく使われる切り口)
– 時間:処理時間、リードタイム、待ち時間、会議時間
– 品質:差戻し率、エラー率、手戻り件数、監査指摘件数
– コスト:1件あたり工数、外注費、運用費
– 顧客:NPS、CS、問い合わせ件数(社内ならヘルプデスク件数)
– 定着:利用率、アクティブ率、テンプレ使用率、手順書参照数
ここでも「測っていない」ことが最大の敵になります。
弊社ソフィアの調査では、(社内広報の文脈ですが)効果測定を「十分実施」できている企業は15%にとどまり、「実施しているが不十分」33%、「今後実施する予定もない」28%という結果でした。やりっぱなしになりやすい現実が見えます。
業務改善コンサルティングを入れる場合は、最低限次を合意しておくと後々スムーズにいくので、以下の3点に留意し丁寧に進めることをおすすめします。
1. どのKPIを、どの頻度で、誰が集計するか
2. 改善前のベースラインをいつ計測するか
3. 目標値を”理想”ではなく”実行可能”に置くか
– KPIは「成果」と「プロセス」に分ける
– 測定しないと改善が回らない(PDCAが止まる)
– “やりっぱなし”を防ぐには、集計責任と頻度まで決める(弊社調査示唆)
RPAやMicrosoft Power Automateで業務の自動化を進めるときのコツ
Microsoft Power Automateを活用した業務の自動化支援もあります。
Power Automateを使用することで、定型業務の単純作業や人的ミスのリスクを低減し、効率的な業務運営を実現することができます。
たとえば弊社では、申請から承認に伴う業務フローの自動化を行いました。
紙に出力して確認する手間が省け、業務の効率化と共にペーパーレス化にもつながりました。
また、社内報業務における自動化支援も行っています。
進捗状況の管理と寄稿締め切り等における関係者へのアラート出しや、アクセスログを集計・共有を自動化することで、コンテンツの充実化や、企画づくりなどのクリエイティブな作業に時間を使うことができます。
自動化を成功させるコツは「自動化していい業務」を先に選ぶことです。
例外処理が多い、判断基準が曖昧、入力がバラバラ、という業務をいきなり自動化すると、むしろ運用コストが上がります。まずは標準化とルール整備が先です。
また大企業では、セキュリティ・権限・データ持ち出しの論点が必ず出ます。
ツール選定・運用設計は、ガバナンス(役割、ルール、監査)とセットで進めるのが安全です。
– 自動化は「標準化→自動化」の順で進めると失敗しにくい
– 例外処理が多い業務は、先に判断基準と入力を揃える
– 大企業はガバナンス(権限・監査)とセットで設計する
業務改善コンサルティングの費用
業務改善コンサルティングには、さまざまな要素が関与するため、一概に費用を示すことは難しい面もあります。
事前のヒアリングや要件定義の段階で具体的な内容と範囲を相談し、見積もりを依頼することが一般的で、プロジェクトの規模や要求事項に応じて個別に決定されます。以下、費用が変動する要素についてご紹介します。
プロジェクトのスコープと期間
業務改善プロジェクトの範囲と期間によって費用が変わります。
大規模なプロジェクトほど費用も高くなる傾向にあります。
コンサルティングの専門性と経験
コンサルティング会社やコンサルタントの専門性と経験によって費用が異なります。
高い専門性を持つコンサルタントや有名なコンサルティング会社ほど費用も高くなることがあります。
プロジェクトに関与する人数
業務改善プロジェクトに関与するコンサルタントの人数によっても費用が変わります。
人数が多ければ費用も高くなることがあります。
オプションサービスの利用
コンサルティング会社によっては、追加のオプションサービス(データ分析、システム開発など)を提供している場合があります。
これらのサービスを利用する場合は、追加費用がかかる可能性があります。
上位記事で不足しがちな補足として、費用検討時は「見える費用」だけでなく「社内コスト」もセットで見てください。
具体的には、現場ヒアリング時間、業務棚卸し、テスト、教育、問い合わせ対応などです。ここを見落とすと、プロジェクトが炎上しやすくなります。
契約形態(一般論)
– 準委任(時間×人数):変更に強いが、成果物定義が曖昧だと不安が残る
– 固定(成果物ベース):成果物が明確だが、変更に弱い
– 一部成功報酬:設計は難しいが、目的とKPIが明確なら検討余地
– 費用はスコープ、期間、専門性、体制、オプションで変動する
– 大企業は”社内コスト(教育・運用)”も見積もりに入れる
– 契約形態は「変更耐性」と「成果物の明確さ」のトレードオフ
業務改善コンサルティング会社の選び方
上位記事で必ず出てくる論点ですが、業務改善コンサルティングは「どこに頼んでも同じ」ではありません。
大企業ほど、関係者が多く、守るべき制約(セキュリティ・監査・規程)も多いので、選定基準を明確にするほど失敗確率が下がります。
選定チェックリスト(実務で効く順)
1. 目的が合うか:コスト削減が主か、品質か、DX定着か
2. 実績の近さ:同規模・同業界・同じ部門課題(間接部門など)
3. 成果物が明確か:As-Is/To-Be、KPI、運用設計、教育計画まで出るか
4. 中立性があるか:ツール売りが目的化していないか
5. 定着支援があるか:教育、FAQ、利用状況モニタリング、改善サイクル
6. 体制と継続性:担当交代時の引継ぎ、バックアップ体制
7. ガバナンス理解:権限、監査、情報管理、規程類に配慮できるか
初回相談で聞くと良い質問例
– 「最初の4週間で、何を”見える化”し、何を意思決定しますか?」
– 「現場の抵抗が出たとき、どんな打ち手を持っていますか?」
– 「教育は”操作説明”だけですか?”使いどころ設計”まで入りますか?」
– 「効果測定の設計(KPI・集計責任)まで支援範囲に含まれますか?」
大企業のDX推進部門・人事・広報が関わる場合は、「社内コミュニケーション設計」をスコープに含められるかが特に重要です。
弊社ソフィアの調査では、ツール活用が進まない理由の最多が教育不足(33.6%)であることも示されています。選定時に”教育と浸透”の設計力を確認するのがおすすめです。
– 選定は「成果物」「定着支援」「中立性」「ガバナンス理解」を重視
– 初回相談では”最初の意思決定”と”抵抗対応”を具体で聞く
– 教育・浸透設計の弱さはツール活用停滞に直結(弊社調査)
まとめ
業務改善を行うことが自社だけでは難しい場合があり、外部のコンサルティング会社にはさまざまな業務改善の支援が期待できることをご理解いただけたでしょうか。ここで重要なのは、業務改善の主役はコンサルティング会社ではなく、あくまで自社の社員であるということです。コンサルティング会社が作成するツールやドキュメントをどのように社内に浸透させていくかが大切です。経営層のリーダーシップとともに、業務改善プロジェクトのメンバーに選ばれた社員による社内コミュニケーションにかかっています。業務改善の価値を多くの社員に理解してもらい、共感を得ながら進めていきましょう。
大企業の業務改善は、社内の合意形成と浸透が難易度を上げます。
だからこそ、業務改善コンサルティングを「業務の可視化」だけで終わらせず、教育・運用・KPIまで含めて”仕組み化”することが、最短で成果に近づく道になります。
生産性向上は日本全体の重要テーマとしても議論され続けており、環境変化の中で生産性を再活性化する必要性が指摘されています。
– 現状の詰まり(部門間、承認、情報探索、ツール定着)を整理したい
– 可視化〜定着〜効果測定まで、一気通貫で壁打ちしたい
– インターナルコミュニケーション実態調査2024のデータを踏まえて、自社の打ち手を設計したい
こうした場合は、まず”業務改善の目的(何を良くするか)”と”対象業務(どこから始めるか)”の2点を持って相談すると、初回から議論が進みやすくなりますのでよければお問い合わせください。












