チェンジマネジメントはコンサルに依頼するべき?サービス内容とメリットを解説
目次
事業環境の激しい変化の中で、企業が競争に打ち勝ち生き残るためには、時代に合わせた組織変革を避けては通れません。チェンジマネジメントは、企業の変革を成功に導くために、組織が変化を受け入れやすくするマネジメント手法です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)やIT活用に伴う組織変革においてチェンジマネジメントが必要となった時、コンサルタントに依頼するべきかお悩みの企業も多いかと思います。この記事では、チェンジマネジメントをコンサルに依頼する場合のサービス内容、メリットについて解説していきます。
チェンジマネジメントとは
チェンジマネジメントとは、時代の変化に合わせて、古い体制・方針・業務プロセスを変えるために実施する、業務改革や組織改編などのマネジメント手法です。
業務改革や組織改編がもたらす職場環境の変化を、社員・従業員が受け入れやすいようサポートし、急な変化についていけなかったり、モチベーションを失ってしまう社員・従業員が発生しないよう、改革の目的や理由を浸透させることを指します。
チェンジマネジメント・コンサルティングとは
IT普及による業務のデジタル化、そして従業員のワークライフバランスなどあらゆる角度から働き方は変化しつつあり、業務自体が複雑化している中、業務改革もそれに伴って複雑になっています。
チェンジマネジメント・コンサルティングでは、組織が必要とする変化をどうサポートするのが適切かを見極め、その実現に必要なツール・アドバイス・研修などを通して、社員・従業員に変革を浸透させる方法論を提供します。
コンサルタントは何をしてくれるのか
コンサルタントは変革の実現に向けて、チェンジが引き起こすカルチャーショックを緩和させつつ、社員・従業員が変革に適用できるよう、ツールやノウハウを提供してくれます。
コンサルタントの関わり方は、組織がどの時点で外部サポートを必要とするかによっても変わりますが、特にコンサルティングによるサポートが有効なのは、チェンジに対して社員・従業員が抵抗を示した段階です。
チェンジマネジメント・コンサルティングのサービス内容
チェンジマネジメントのコンサルティングは、チェンジを起こすためのプロセス・ツール・テクノロジーまたはノウハウの提供を行うことで、社員に変革をもたらすものがほとんどです。
変革初期の場合、どのようなチェンジが必要なのかを決めるサポートもあれば、変革の方向性は定まっているがツールやプロセスについて知りたいという途中段階のサポートもあります。
このほか、変革実施後の成果を継続的に測定するなど、終了段階におけるサポートの場合もあります。
以下は、DXやIT活用に伴う組織改革の際に、チェンジマネジメント・コンサルタントに依頼できるサービスの例です。
- ビジョン設計:目的やゴールのクリエティブ開発
- 業務改善の支援:システム開発・導入、組織図・業務マニュアル作成、研修実施
- 社員のパフォーマンス向上:チェンジに向けた新しい業務内容の説明や指標設定のサポート
- 事務局支援:チェンジの概念を浸透させる講義、チームビルディング、ディスカッションなどのファシリテーション
- コミュニケーションの改革:コミュニケーション調査、システム活用チェック、インプリメンテーショントレーニング
- 評価システム構築・実施:既存の評価制度のチェック、新評価システム構築サポート
- 幹部層へのコーチング:幹部向けのインプリメーショントレーニングと、担当部門へのシステム浸透に向けたコミュニケーショントレーニング
チェンジマネジメントをコンサルに依頼する理由
チェンジマネジメントを実施するためには、企業戦略など組織構造に関するハード面と、人材やスキルなど人的資源に関するソフト面の連携が必要であり、従来のスタイルから新しいものへ変える、いわば組織カルチャーショックを与える役割を担う人材が必要です。多くの組織にとって、こうした新しい文化への改革を内部から起こすことは難しく、ノウハウのある外部コンサルに依頼しているケースが多いといえます。
また、チェンジが難しい理由の本質は、人が本能的に現状を保とうとすることにあります。
変革が滞る原因の多くは、チェンジに対する社員のネガティブな反応や抵抗に起因し、それに対して事務局が変革を唱え続けても、押し付けのように受け取られてしまいます。この点も、企業が抵抗への対処を社内で担うのは難しいと考え、コンサルに依頼する理由の一つになります。
ハーバードビジネススクールの名誉教授であるジョン・コッター氏は、チェンジマネジメントの取り組みの70%以上が、社員による抵抗のため失敗に終わっているとしています。変革を好まない人に、組織はいかにしてその必然性を伝え共感を得られるかが、チェンジマネジメントの成功のカギになるといえます。
チェンジマネジメントをコンサルに依頼する企業が持つ課題
コンサルの現場では、「トップダウンで企業戦略が作られ、目的の達成に向けて従来と異なる業務プロセスが導入され、新システムが設置された。現場の社員に何をすべきかの情報共有もできているのに、なぜか変革は捗らない」という企業からの相談が多くみられます。
こういった場合、実際には従業員のモチベーションが低下している、社内でビジョンが共有できていない、またはチェンジモンスター(例えば人間関係のもつれ、慣れ親しんだ伝統を捨てることへの恐れ)が改革を阻害している可能性があります。
もし、上司やリーダーが、チェンジに向けて的確な指示ができておらず、彼ら自身も日々の業務に忙殺される中で「なぜその変革が必要なのか」を理解できていない場合、当然ながら部下が変革の必要性を理解できるわけがありません。
その結果、社員・従業員からチェンジに対する抵抗が発生しやすく、「上司の言っていることが分からない」、「そんな改革をしても会社は良くならない」、「慣れた環境を変えたくない」という雰囲気になってしまいます。
また、上司自らが変革をネガティブにとらえたコメントをしたり、「会社の方針だからとにかくやるように」という姿勢を示している場合、このようなコンセンサスの欠如が火種となり、ジョン・コッター氏の言う抵抗につながるリスクを高めてしまいます。
チェンジマネジメントコンサルに依頼するメリット
チェンジの必要性について社内のコンセンサスを得て、徐々に浸透させて管理職を含む従業員全員の共感を目指していくには、客観的かつ公平な視点で社員の共感を呼ぶストーリーを提供し、コミュニケーションを展開できるコンサルが力を発揮します。こうしたコミュニケーションの積み重ねを改革の機動力に変えていくこと。これこそが外部からサポートするチェンジマネジメント・コンサルティングの役割といえます。
チェンジマネジメント・コンサルティングの採用で得られるメリットとして、コンサル会社が持つ社外の経験・知識を取り入れ、そのノウハウを幅広く活用できることが上げられます。
他にも、社内で変革を推進した場合、推進部署とその他の部署との間に利害関係が生じたり、キーパーソンとなって推進していた社員の異動により変革が滞るケースよく見受けられます。このように変革プロセスで予期せぬ問題が生じても、コンサル会社が変革プロセスを継続し、客観的かつ公平な対話を通じて社内の共感を得て、その豊富なノウハウを駆使してソリューションを導き出します。
チェンジマネジメントには実現させる人が必要
人材や働き方の多様化に伴い、単純に変革のイメージを描いてリーダーに渡せばそのまま実行される訳ではなくなってきました。組織の一人ひとりが変革の必然性を感じることがチェンジマネジメントの成功のカギであり、それを実現させるためにはファシリテーター的な存在が不可欠です。
ファシリテーターを内部で任命することも可能ですが、チェンジマネジメントは新しい企業文化を実現させることであり、客観的かつ公平な立場から徹底したコミュニケーション・ワークショップ・研修をすべてのレベルの社員・従業員を対象に行う必要があります。
基幹システム導入に対する業務改革 ~チェンジマネジメントの風土醸成とコミュニケーション施策~
概要 / Overview 企業規模: 企業グループ 人数規模: 10,000名以上 目的は『システム導入…
異文化を自らが属する組織に着地させることは、とても孤独かつハードな業務です。一方、外部コンサルタントは中立的な立場にあるため、課題や状況を客観的に把握し、社員が共感できるストーリー案を提供することができます。ただし、それを着地させるためには、抵抗勢力を含むすべての社員とコミュニケーションを取れるような場や仕組みを作り、それをファシリテーションしながら変革を進めることが必要です。
また、外部コンサルタントを採用するもう一つのメリットとして、変革を阻害する要因が社内の上層レベルに存在したとしても、公平な立場から是正を進言できるという点が挙げられます。これらの理由から、徹底した変革を求める場合には外部コンサルタントの採用が有効だと言えます。
まとめ
企業や組織にとって変革はカルチャーショックを伴うものであり、例えば100名の社員がいれば、100通りのショックや抵抗が起きると言っても過言ではないでしょう。
改革のビジョンを社員一人ひとりに周知するには、社内でのコミュニケーションが非常に重要です。チェンジマネジメントを推し進める上で、それらのノウハウを持つ外部のコンサルタントの活用も検討しながら、組織変革を推進していきましょう。
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よくある質問
- チェンジマネジメントとは何ですか?
企業の変革を成功に導くために、組織に変化を受け入れやすくするためのマネジメント手法です。企業も環境の変化に適応するために、合併や統合、ビジネスモデルの変革、組織や人の変革、組織風土や文化の変革、新技術の導入などを行わなければなりません。
かつてバブル崩壊後の苦境を脱する解決策として受け入れられ、日本企業の経営課題に取り入れられてきました。
株式会社ソフィア
取締役、シニア コミュニケーションコンサルタント
築地 健
インターナルコミュニケーションの現状把握から戦略策定、ツール導入支援まで幅広く担当しています。昨今では、DX推進のためのチェンジマネジメント支援も行っています。国際団体IABC日本支部の代表を務めています。
株式会社ソフィア
取締役、シニア コミュニケーションコンサルタント
築地 健
インターナルコミュニケーションの現状把握から戦略策定、ツール導入支援まで幅広く担当しています。昨今では、DX推進のためのチェンジマネジメント支援も行っています。国際団体IABC日本支部の代表を務めています。