2020.07.20
「SDGsって儲かるの?」組織のお悩みぶっちゃけ劇場【SDGs編】 vol.2
目次
【この記事のポイント】
・人々は企業を選ぶとき、経済的価値よりも社会的価値を重視し始めている。SDGsは今もっともインパクトの大きい社会的価値である
・SDGsは企業の持続可能性を高め、長期的な視野に立ったときに利益を生み出すことができる
人が集まって仕事をする場があれば、コミュニケーションにまつわる悩みはつきものです。組織の中での立場が異なれば直面する課題もさまざま。さて、ここでは仕事において色々な課題に直面する組織人の本音トークを覗いてみましょう。あなたのお悩みを解決するヒントが何か見つかるかもしれません。
SDGs編第2弾のテーマは「SDGsって儲かるの?」。社内での推進をする中で、担当者が必ずと言っていいほど投げかけられる疑問です。世界が目指す目標と自社の利益は、果たして両立できるのでしょうか?
それでは、組織のお悩みぶっちゃけ劇場【SDGs編】の、はじまりはじまり~~。
※この記事はフィクションです。登場する人物、組織などはすべて架空のものです
【今回の登場人物】
- アカリ:
31歳。大手家電メーカーのCSR部に所属していたが、今年から急遽SDGs担当になる。ヨウコとはCSR関連の交流会で出会った。同じ会社で営業マンをする夫と、3歳の息子がいる。時短勤務から復帰したばかり。
- ヨウコ:
42 歳。外資系アパレルメーカーのサステナブル推進室の副室長。商社勤めの夫と二人暮らし。環境問題に興味があり、会社の植樹活動に参加したり、女性向けイベントを開いたりと積極的。
現場はなぜSDGs推進に消極的なのか
- アカリさん、こっちこっち。
- あ、すみません! あんまりオシャレだから、つい見回しちゃって。外資系の社員食堂ってすごいですね~!
- うちではカフェテリアって呼ばれてるの。今日みたいにお客さんと一緒に食事したり、夕方以降はお酒を飲みながらミーティングもできるんだよ。
- え、会社でお酒飲めるんですか!? うちの会社なんて生姜焼き定食とかカレーとか、昔ながらの食堂メニューばっかりですよ。値段はすごく安いので助かりますけど。
- いいじゃない。そういう懐かしの味って、ときどき無性に食べたくなるよ。
- じゃあヨウコさんがうちの会社に遊びに来たら、ぜひ食べていってください。
- ありがとう、楽しみだな。で、今日はどうしたの?
- いただきます……じゃなかった。そうなんです、聞いてくださいよ! うちの夫、同じ会社の営業部で働いているんですけど、この前、仕事の話でちょっとした口論になっちゃって。
- へえ、アカリさんも夫婦喧嘩なんてするんだね。
- 私、基本的に嫌なことは寝たら忘れるタイプなので、普段はめったに喧嘩なんてしないんですけど……。この間ヨウコさんにアドバイスをいただいてから、私なりにSDGs担当として頑張ろうと思って、チーム内でCSVの考え方を共有したり、課長にもまずは各部門向けの説明会を開きたいと提案したりしたんです。部内でも少しずつ前向きになってくれる人も増えてきて。
- 短期間ですごい! 頑張ってるね。
- でも、その話を夫にしたら、鼻で笑われちゃって。「環境問題が大事なのはわかるけど、SDGsやったって別に儲からないでしょ? 日々目の前の売上のために頑張ってる営業からしたら、そんなきれいごと言われても興味ないなあ」って。
- あー、なるほど。
- こっちだって会社のために頑張ってるのにと思って、すごく悔しかったんですけど、何も言い返せなかったんです。イライラして「営業成績が優秀なわけでもないのに、ずいぶんえらそうな言い方だね」って言い返しちゃって、雰囲気最悪でした。
- わあ、修羅場……。
- だからどう言えば夫に納得してもらえるのか、ヨウコさんにご相談したくて。
- そういうことね。でも旦那さんが言ったこと、私もさんざん社内で言われたな。
- え、そうなんですか。
- SDGsってどうしても社会貢献の話だと思われて、事業部や営業部からの理解は得られにくいんだよね。彼らからしたら、自分の売上や目の前の仕事がSDGsでよくなるかどうか、わからないものね。旦那さんの言葉は、現場の本音だと思った方がいいよ。
- うわあ、じゃあこれから社内でも同じことを言われる可能性大ってことか~、気が重いなあ。
生き残るのは社会的価値の高い会社
- アカリさんは、SDGsと会社の利益って両立すると思う?
- もちろんですよ、ヨウコさんも前回、会社も社会もWin-Winになるような経営戦略を立てることだって教えてくれたじゃないですか! って言いたいですけど、正直、自信ないです。SDGsと、札束いっぱいのお金持ちのイメージってどうしても繋がらなくて。
- だよねえ。でも、結論から言うと、儲かるのよ。
- 本当ですか?
- 本当だって。最大の理由は、人々は企業を選ぶとき、経済的価値よりも社会的価値を重視し始めているということなの。アカリさんの会社でも「モノ売りよりコト売り」なんて言われない?
- あ、言われます! 単純な製品力では生き残れなくなってきて、顧客はもっと製品を通した体験やストーリーなどの形のない価値を求めているって。
- それと同じで、単に機能やデザインがいいだけの商品よりも、その商品を通して社会が良くなる商品のほうが買いたくならない? しかもSDGsは地球規模の社会課題解決をゴールにできるわけだから、すごくインパクトがあるでしょ。
- 確かにそうですよね。私もスーパーで地元農家さんの写真がついた野菜を見かけると、多少高くても応援したくてつい買っちゃいます。
- そうそう。実はこの考え方は投資家も一緒なのよ。いま、世界中の企業家の中では環境・社会・ガバナンスの三点が長期的に成長する企業の指標とされているの。
- いわゆるESG投資ってやつですよね。ということは、逆に環境・社会・ガバナンスに配慮できていない企業は投資を受けにくいということですか?
- うん。そう考えると、SDGsに取り組んでいる会社と取り組んでいない会社、どっちの市場価値が高まるか、投資を得て成長できるかは明白でしょ。
- うわあ、本当ですね! 頭ではわかるけど、やっぱり社会貢献で儲かるって、不思議な感じ。
- 一見難しそうに見えるかもしれないけど、日本の企業って案外昔から、同じようなことを考えてきたと思うんだよね。ほら、いろんな会社が、企業理念に社会の公器としての役割を掲げているでしょ。
- あ、うちの会社も「人々の幸せと社会の発展をめざす」と言っています。SDGsに取り組むことは、会社の理念を実現することにもつながるってことですね。……うん、夫にもちゃんと説明できるような気がしてきました。
- よかった、早く仲直りしないとね。
- はい、頑張ります。でも、その前に……この美味しそうなカフェランチプレート、いただきま~す!
【次回のテーマは「SDGs担当者って変わり者?」 どうぞお楽しみに!】
関連する事例・サービス
よくある質問
- SDGsとは何ですか?
“SDGs(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)は2015年の国連サミットで採択された目標で、「持続可能性」が重要なテーマとなっています。それまで、世界では経済成長に重きが置かれていて、20世紀には各国が大幅な経済発展を遂げることに成功しました。しかしその裏では、自然環境の破壊や格差の拡大など、多くのひずみもあったのです。
そうした世の中の負の状態を正すため、将来の世代から搾取することなく現在の世代のニーズを満たす「持続可能な開発」という考え方のもと、国際社会が一丸となって取り組みを進めることになりました。このような背景からSDGsが採択され、世界各国でさまざまなステークホルダーがSDGsを推進するようになったというわけです。
株式会社ソフィアサーキュラーデザイン
ソフィアサーキュラーデザイン代表取締役社長、サステナブル・ブランド・コンサルタント
平林 泰直
大手メーカー系コミュニケーション部門での責任者としての実績からデジタルマーケティング、インターナル広報、メディア編集など、企業のコミュニケーションに関わる戦略策定、実行支援をお手伝いします。
株式会社ソフィアサーキュラーデザイン
ソフィアサーキュラーデザイン代表取締役社長、サステナブル・ブランド・コンサルタント
平林 泰直
大手メーカー系コミュニケーション部門での責任者としての実績からデジタルマーケティング、インターナル広報、メディア編集など、企業のコミュニケーションに関わる戦略策定、実行支援をお手伝いします。