SharePointで実現する社内ポータル構築ガイド ~メリット・事例・活用法~

目次

社内ポータルを作りたいが「サービスが多すぎてどれを選べばいいかわからない」「資料を集めたものの情報過多で選べない」といった声は少なくありません。
社内ポータル(イントラネット)を構築する際は、機能面だけでなく従業員にとって利用しやすいことや業務との親和性が重要です。

さらに、自社で構築・更新するなら作業のしやすさや運用管理の容易さも欠かせません。
そこで直感的な操作性と高い拡張性を兼ね備え、社内DXプラットフォームの中核ともいえるマイクロソフト社の「SharePoint Online(Microsoft 365)」に注目が集まっています。
この記事では、SharePoint Onlineを社内ポータルに活用するメリットや具体的な活用例、導入事例、そしてプロジェクト成功のポイントまで詳しく解説します。

SharePoint Onlineとは?専門知識いらずで直感的にサイト作成が可能

SharePoint Onlineはもともと「ファイルや情報の共有サービス」として開発され、組織内のサイト作成ツールへと進化してきました。
他のMicrosoft Officeアプリと共通したUIで操作できるため、専門知識がない担当者でも手軽に組織内情報を共有するサイトを作成できます。
クラウドサービスであるSharePoint Onlineはインターネット経由で利用できるため、社外からのアクセスやリモートワークとの相性も抜群です。
オンプレミス版のSharePoint Serverと異なり、初期導入コストやサーバー管理の負担を抑えて利用でき、常に最新機能が提供される点もメリットです。

SharePoint Online単体ではドキュメントやデータの保管・共有といったシンプルな機能提供に留まりますが、用途に応じて使えるパーツ(Webパーツやアプリ)が豊富に用意されており、他のMicrosoft365アプリともシームレスに連携できる大きな利点があります。こうした機能を組み合わせることで、利便性に優れたインタラクティブな社内ポータルサイトを構築することが可能です。

Microsoft365のSharePoint Onlineで構築された社内ポータルサイトの例ではチームサイト(部署・プロジェクト毎のサイト)やコミュニケーションサイト(全社向けサイト)を用途に合わせて作成し、ドキュメントライブラリやリスト、各種Webパーツを組み合わせて、自由度の高い情報共有基盤を構築できる。

社内ポータルをSharePoint Onlineで構築するメリット

冒頭で述べたとおり、SharePoint Onlineは必要な機能を取捨選択して取り入れられるため、他の専用ポータル製品に比べて開発の自由度が高いのが特長です。
ここでは、SharePointを社内ポータルに活用する主なメリットを整理します。

モダンUIでマルチデバイスに対応、迅速なサイト構築が可能

SharePoint Onlineでは、2016年以降「モダンUI」が標準となっています(従来の「クラシックUI」への切り替えも可能ですが、MicrosoftはモダンUIへの移行を推奨しており、2024年11月以降クラシックUI機能の一部制限も発表されています)。
モダンUIはシンプルでミニマルなデザインが採用されており、凝ったデザインを一から作り込むよりも「必要最低限の機能を盛り込んだサイトをスピーディーに作りたい」場合に適しています。
テキスト中心ではなく画像や動画を多用したコンテンツでも見やすく、美しくレイアウトされたサイトを短時間で作成できるのが特長です。

モダンUI最大のメリットはレスポンシブデザインによるマルチデバイス対応です。
外出先でもスマートフォンやタブレットからポータル閲覧が容易で、画面サイズに応じ自動調整されるため、従業員は場所や端末を問わず情報にアクセスできます。

また、モダンUIではナビゲーションやボタン配置などレイアウトが直感的で迷いにくく改善されており、サイト構築に不慣れな担当者でもレイアウト調整に悩まず迅速にコンテンツ更新やサイト改善が行えます
Microsoftによる継続的な機能強化も受けられるため、常に最新のユーザーエクスペリエンスを提供できる点も利点です。

補足: クラシックUIはHTML/CSSやJavaScriptを直接用いた高度なカスタマイズが可能でデザイン自由度が高い反面、モバイル対応の手間や将来的なサポート不安があります。
一方モダンUIは高度なカスタマイズには制限があるものの、標準の範囲で洗練されたサイトを構築できるよう設計されています。
現在はモダンUIでの構築が推奨されており、どうしても凝ったデザインが必要な場合はSharePoint Frameworkによる開発や市販のテンプレートソリューション(例:Powell 365など)の活用で対応するケースもあります。

豊富な標準機能:ドキュメント管理からワークフローまで充実

SharePoint Onlineは単体で社内イントラサイトに必要な機能を一通り備えています。たとえば以下のような用途に対応可能です。

ドキュメント管理・共有:

一般的な社内イントラと同様、文書や画像、データなどを一元管理し社内共有できます。バージョン履歴管理やアクセス権設定も柔軟で、重要資料の変更履歴追跡や万一の復元も可能です。高性能な全文検索機能も標準装備されており、膨大なデータから必要な情報を瞬時に見つけ出せます。またOffice文書はブラウザ上で直接開いて複数人でリアルタイム共同編集できるため、最新版の周知やレビュー作業が効率化します。これらにより社内ナレッジの分散を防ぎ、情報活用の効率が飛躍的に向上します。さらにMicrosoft製ツールであるためセキュリティも極めて堅牢であり、重要書類も安心して管理可能です。

社内向けワークフロー・申請:

SharePointにはワークフロー機能があり、承認フローのある人事・経費申請サイトなどを構築できます。
たとえば稟議書の回覧・承認プロセスをSharePoint上で完結させたり、特定のフォルダーにファイルがアップされたら自動通知メールを送る、といった業務フローの自動化が可能です。
複雑なワークフローはPower Automateと組み合わせることでノンコーディングで実現でき、煩雑な手続きを削減できます。これによりテレワーク下でもスムーズな申請・承認や、ヒューマンエラー低減が期待できます。

サイトテンプレートとデザイン:

SharePointは用途別のサイトテンプレートや部品が用意されており、専門知識がなくても綺麗なページを作成できます
ニュースフィード、イベント用カレンダー、FAQ用のリスト、アンケートフォーム、社員ブログなど、社内ポータルにあると便利な機能をプラグ&プレイで配置できます。
またドラッグ&ドロップでページをレイアウト可能なため、担当者自身でレイアウト変更やコンテンツ追加も容易です。
企業内のブランドに合わせたテーマカラーやロゴ設定も可能で、シンプルな統一感のあるデザインで社内ブランディングにも寄与します。
直感的な操作で簡単にサイトを作成・更新できることがSharePointの大きな強みです。

Microsoft 365の各種サービスとシームレスに連携

SharePoint Online最大の強みは、他のMicrosoft 365アプリやサービスのハブ(中核)となる点です
SharePointを介することで、異なるアプリ間のコンテンツを一つのポータル上で統合し、ユーザーにとって利便性の高い「情報のハブ」を提供できます。
たとえば、動画共有サービスのMicrosoft StreamとSNSのViva Engage(旧称Yammer)は単体同士で連携できませんが、SharePoint上のページにそれぞれの埋め込みパーツを配置することでひとまとまりのコンテンツとして社内展開できます。
社員はページ上で経営トップメッセージ動画を視聴しつつ、その横に配置したViva Engageのディスカッションでコメントを投稿するといった双方向のコミュニケーションが可能です。
具体例として、SharePointページ上に以下のような組み合わせでコンテンツを配置できます。

経営メッセージ動画+社内SNSコメント:

社長メッセージの動画ストリームと、その議題に対する社員のフィードバックを集めるViva Engageのスレッドを同一ページ上で連携。トップダウンの情報発信とボトムアップの声集約を一体化。

ナレッジ動画ライブラリ+Q&Aフォーラム:

各現場のノウハウ動画(技術紹介等)をStreamで集約し、その内容に関するQ&AをTeamsのチャットやYammerで受け付けることで学習コミュニティを形成。

従業員参加型コンテンツ+社内報:

社員のスキル自慢動画や他社最新技術紹介ブログと、それに対する「いいね!」やコメント、
社内報記事へのリンクを組み合わせ、社内メディアとして展開。


こうしたメディアミックスはSharePointなくしては実現できません
これはこれからの社内ポータルには必須とも言える機能であり、まさにSharePoint Onlineが力を発揮する分野です。
複数のコミュニケーションチャネルをSharePointがハブとなって束ねることで、従業員は必要な情報に一箇所からアクセスでき、情報発信側も効率的かつ戦略的にコンテンツを届けることができます。
OfficeアプリやPower Platform、他のSaaSともAPI連携できるため、社内業務で使うツール群を一つに集約したデジタルワークプレイスを構築できるのがSharePoint Onlineの強みです。

部門別の社内ポータル活用例 ~用途に応じたサイト構築~

SharePoint Onlineで全社ポータルを構築したら、その中に各部門ごとのサブサイト(もしくはページ群)を作成し、部門固有の情報発信やサービス提供に活用できます。
代表的な部門別サイトの活用例を紹介します。

人事部_キャリア支援サイト/研修のサイト

人事部門ではキャリア支援ポータルを設け、各部署の業務内容や職場の雰囲気を発信することで社内リクルーティングを活性化できます。
普段見えにくい他部署の仕事を可視化することで、従業員のキャリアデザイン意識を醸成し、社内公募への応募促進や配置転換による活性化につなげます。

また社員向け研修サイトを立ち上げ、研修の開催日程や募集情報、研修教材を集約して発信すれば、従業員は自分に必要な研修を探しやすくなります。さらにサイトを個別カスタマイズし、社員ごとの役職やスキルに応じておすすめの研修コンテンツを表示させることも可能です。昨今は研修自体のオンライン開催も一般的になりつつあり、SharePoint Onlineとの親和性はますます高まっています。たとえば研修募集の告知、研修前のリマインド配信、研修資料の共有、事前課題や事後アンケートの提示など研修プロセス全体をSharePointで支援できます。そして研修専用のディスカッション掲示板を設けて受講者同士や講師との交流を促進したり、研修担当者が適宜フォローすることで、学習効果の定着や受講意欲向上にもつなげられます。

人事部_人事労務手続きサイト のサイト

人事労務に関する各種申請・手続きをオンライン化するサイトです。SharePoint Onlineには人事労務領域に使えるワークフロー(承認フロー)機能が揃っているため、たとえば経費精算や休暇申請のオンライン承認システムを構築できます
従業員はテレワーク環境からでもPCやスマホで申請・承認を完了でき、ペーパーレスかつタイムリーな処理が可能です。
煩雑な人事業務フローもPower Automateと連携することで大幅に自動化でき、人事担当者の負荷軽減と従業員満足度向上を両立できます。

広報部門_ Web社内報サイトのサイト

従来の紙の社内報をオンライン化したWeb社内報は、加筆修正の容易さや速報性の高さがメリットです。
SharePoint上に社内報サイトを作れば、社内ニュースや人事異動のお知らせ、表彰記事などをタイムリーに発信できます。
外部の編集パートナーや各部署の「社内記者」にもサイト編集権限を付与すれば、記事投稿や校閲を共同作業で行い、最終的に広報部が承認・公開するフローで効率的に運用することも可能です。
さらにPower Automateを用いて原稿依頼や承認依頼を自動化するなど、広報特有の煩雑な工程も効率化できます。
Web社内報サイトには閲覧分析機能もあるため、人気記事やアクセス数を可視化して次の企画に活かすことも容易です。

広報部門_ 社内SNS連携(コミュニティ)サイト

カジュアルな情報発信や社員同士の交流には社内SNSを統合したコミュニティサイトが役立ちます。
SharePointサイト上にViva Engage(Yammer)やMicrosoft Teamsのチャットルームを埋め込み、社員が部署や役職を越えて意見交換できる場を提供します。
たとえばテーマ別のディスカッション掲示板(アイデア投稿用、業務改善提案用、趣味交流 etc.)を用意し、社員が気軽に投稿・コメントできるようにします。
投稿がある度にTeams通知を飛ばすよう設定すれば社員の目にも留まりやすくなります。
社内SNS連携サイトを社内ポータル上に配置することで、「ポータルに行けば最新ニュースも雑談トピックも見つかる」という統合的な社内コミュニケーション基盤となります

事業部門_ナレッジ共有サイトのサイト

事業部門では自部門やプロジェクトで蓄積した知見を共有するナレッジベースサイトを作成できます。
過去のプロジェクト資料、業務マニュアル、技術仕様書、社内用語集などを体系立てて蓄積・検索できるサイトを構築すれば、属人的になりがちなノウハウを組織全体の財産として活かせます。
SharePointのドキュメントライブラリやリスト機能を用いて分類・タグ付けし、必要な知識にすぐアクセスできるよう整理します。
たとえばFAQデータベースを作成して新人や他部署からの問い合わせ対応効率を上げたり、記事投稿型の社内Wikiを整備して現場の成功事例や教訓を共有することもできます。
キーパーソンに知識が集中しがちな組織では、こうしたナレッジ共有サイトが業務継続性を高める鍵となります。

営業部門_営業支援ポータルサイト

営業部門向けには、営業パーソン全員が参照できる営業支援ポータルを構築できます。
そこでは製品・サービス資料、提案書テンプレート、顧客事例集、競合情報、市場データなど営業活動に必要な情報を一元管理します。
経験豊富な営業担当者のノウハウは属人化しがちですが、SharePointサイト上で提案プロセスを動画+資料で解説したコンテンツを公開したり、営業ロールプレイ動画コンテンツを共有することで、暗黙知だった知見を組織全体で共有可能にします。

さらに、Microsoft 365と統合されたeラーニングプラットフォーム(例:Learn365)を連携して営業トレーニングコースを提供すれば、新人育成やスキルアップの仕組みも整備できます。
最近では仮想現実(VR)を活用した製品デモやオンライン展示会をSharePoint経由で配信する企業もあり、デジタルな営業手法を取り入れるプラットフォームとしてもSharePointは活躍しています。

以上のように、SharePoint社内ポータル上に各部門サイトを展開することで、組織全体の情報発信とコラボレーションを推進できます。
各サイトは全社ポータルの一部として統合されつつ、部門固有の目的(人材育成、社内報、ナレッジ蓄積、営業力強化等)を果たす役割を担います。

SharePoint Online導入事例 ~実際の企業での活用ケース~

ここからは、実際にSharePoint Onlineを使用して社内ポータルを構築した企業の事例をいくつか紹介します。
いずれも社内コミュニケーションや業務推進上の課題に対するソリューションとして社内ポータルを活用した好例です。

人事部門と広報部門が連携したキャリア情報発信メディアの構築(従業員のキャリア支援事例)

ある企業の人事部では、次のような課題を抱えていました。
離職防止・社員の就労意欲向上:
従業員が将来のキャリアを描けずモチベーションが低下するのを防ぎたい。

人事施策の周知不足:
人事部が従業員に提供している支援策を、社員にしっかり伝達したい。

社内リクルーティングの活性化:
従業員が自身のキャリアを考える材料として各部署の業務内容を知れるようにし、社内公募を促進したい。

上記の人事部門の要望を広報部門が汲み取り、従業員のキャリアデザインや会社のキャリア支援に関する情報を発信する「社内キャリアメディア」サイトをSharePoint Online上に構築しました。
更新頻度はそれほど高くないものの社員によく閲覧されるコンテンツについてはトップページからすぐアクセスできるよう配置し、外部のデザイナーの協力を得て目を引くバナーを作成・設置しました。
また、「キャリアに役立つおすすめ書籍紹介」をリレー形式で連載したり、社内で活躍する社員へのインタビュー記事を掲載するといった工夫により、社員の興味を引くコンテンツを多数内製し、誰もがたどり着きやすい階層に整理しました。
話題性のあるコンテンツをコンスタントに発信することで、従業員のキャリア意識向上や主体的な行動変容の促進につながっている事例です。

「研修ポータル」による研修制度の改革とコスト削減(オンライン研修の促進事例)

こちらは人材育成に課題を抱えていた企業の実践例です。
従来、社内研修への社員の関心が低く、研修に割くコストや時間に対する経営層の疑問もあったため、次のような課題が指摘されていました。

受講者の当事者意識不足:
社内研修が他人事になっており、学びを業務に活かす意識が低下していた。

研修投資への懐疑:
研修にかかるコストや時間に見合う効果が出ているのか、全社的に疑問視されていた。

これらの課題解決策として、まず経営層から「各階層研修を実施する背景」や「この研修が従業員にとってなぜ重要か」というメッセージを研修ポータルサイト上で発信し、社員に研修を自分事として捉えてもらうようにしました。
また、SharePoint Onlineを基盤にオンライン研修システムを構築して一部研修をオンライン化し、会場費や出張費など研修コストの大幅削減にも成功しました。
研修受講後も、その研修内容を実務で振り返り継続学習できるよう、関連する「業務に役立つコンテンツ」をポータル上で定期提供し、受講者が継続してアクセスする仕組みを構築しました。
これにより研修後の定着度が向上し、長期的な研修効果の持続にもつながっています。

社員の自主的活動を支援するカルチャーポータルの構築(社内文化醸成事例)

食品メーカーの株式会社ニチレイフーズでは、社内カルチャーとして「ハミダス(とらわれず、明るく)」というモットーを掲げ、社員が主体的に社内外で様々な活動に取り組む企業風土づくりを推進しています。
その一環として、社員発の活動やアイデアを紹介し合い応援する「ハミダスWebサイト」をSharePoint Online上に構築しました。
このサイトでは、各部署・支社から寄せられた活動レポートやアイデア提案、ボランティア活動報告などを社内に広く紹介し、社員同士がコメントや「いいね」で交流できる場となっています。

ニチレイフーズではちょうどグループ全体の社内システムを従来のLotus NotesからMicrosoft 365(SharePoint Online)へ移行するタイミングでもあったため、このハミダスWebサイトが新プラットフォーム活用のモデルケースと使ってもらうきっかけにもなりました。
結果としてシステム移行がスムーズに進み、新しいデジタルワークプレイスへのソフトランディングに繋がった成功事例です。

グローバル企業グループ全体で理念を共有するインナーブランディングポータル(経営理念浸透事例)

ある大手企業では事業のグローバル化が進む中、地域ごとに従業員の働き方や雇用形態が多様化していました。
グループ一体感の醸成と経営理念の浸透を図るべく、本社・海外拠点・関連会社間で効果的な情報共有を行うインターナルコミュニケーション体制の強化が求められました。
そこで、コミュニケーションのグローバル共通基盤としてMicrosoft 365(SharePoint Online)を全グループで導入し、各社が別々に運用していたイントラサイト上の有用情報を集約する形でグループ全社ポータルサイトを構築しました。
このポータル上でグループの経営理念やビジョン、事業戦略メッセージなどを多言語で発信し、世界中の従業員がいつでもアクセスできるようにしています。
加えて理念に紐づく社員行動事例の投稿コーナーや、各地域のニュース紹介など双方向のコンテンツも配置し、単なる情報掲示に留まらない双方向型の理念共有プラットフォームとなっています。

このようにSharePoint Onlineは、グローバル共通のコミュニケーションポータルとしても有効に機能します。
国や言語を超えて全社員に統一メッセージを届けることで、企業理念の浸透や従業員エンゲージメント向上に寄与した好例です。

社内ポータル導入を成功させるポイント

最後に、SharePointを活用した社内ポータル構築プロジェクトを成功させるためのポイントを整理します。
単にツールを導入すれば良いというものではなく、目的に沿った計画と運用が重要です。

目的・ゴールを明確化する:

まず「なぜ社内ポータルを構築するのか」を明確に定義します。経営課題の解決なのか、現場業務の効率化なのか、従業員エンゲージメント向上なのか、軸を定めましょう。
目的がぶれると「各部門から好き勝手な要望が出て収拾がつかない」事態に陥りがちです。経営上の狙いと現場ニーズを踏まえ、関係者間で合意したポータルのコンセプトを策定することが出発点です。

必要な機能を洗い出し要件定義する:

目的に沿って「社内ポータルに必要な機能」を整理します。情報共有、ワークフロー、社内報、SNS、ナレッジ管理など優先順位をつけましょう。
SharePoint標準でどこまで賄い、不足する部分は他ツール併用か追加開発か、といった検討も行います。
また既存のイントラサイトや共有フォルダ等にどんな情報があるか全て洗い出し、どの情報を新ポータルに統合するかも計画します。
この要件定義フェーズで現場ヒアリングを丁寧に行い、各部署のニーズを反映させることが成功のポイントです。

誰でも迷わず使えるシンプルな構成に:

ポータルの情報設計や画面構成はシンプルで直感的にします。
トップページには全員に見てほしい重要情報を厳選して配置し、それ以外は部署・機能ごとに整理
します。
メニュー構成やページ遷移もできるだけ浅くし、「迷子」にならない導線設計を心がけます。情報の優先順位やレイアウトのバランスはコミュニケーション戦略の観点で設計すると良いでしょう。
欲張って機能を盛り込みすぎると使われないので、「まずは最低限からスタートし徐々に拡張」が鉄則です。

段階的に改善を重ねる:

初版のポータルですべてを完璧に実装しようとすると時間もコストもかかり、その間に要件が変わる恐れもあります。
アジャイル的なアプローチで、小さく立ち上げてフィードバックを得ながら改良を重ねる方が成功しやすいです。
SharePointは後から機能追加・変更が比較的容易なため、まず使ってもらい、アクセス分析やアンケート結果を踏まえて改善していくサイクルを回しましょう。
とくに導入直後は利用促進のキャンペーンや説明会を実施し、現場の声を吸い上げて改善に反映させることが重要です。

運用ルールとコンテンツ更新体制の整備:

ポータルは作って終わりではなく運用が命です。更新が止まればユーザーは離れてしまいます。
そこで各部門にコンテンツ責任者を置き、定期的に情報発信する体制を整えます。
たとえば人事・総務から月次のお知らせ記事を出す、広報が旬のトピックを投稿する、現場から改善事例を募って掲載する等、コンテンツの「鮮度」を保つ仕組みが必要です。
また投稿フロー(下書き→承認→公開)やコンテンツガイドラインを定めておくと品質が担保できます。
アクセス権限の管理もシンプルに設計し、担当異動時の引き継ぎや新規部門追加にも柔軟に対応できるようにしておきます。

必要に応じて専門家の力を借りる:

社内ポータル構築はITとコミュニケーションの交差点にあるプロジェクトです。
自社に十分な知見がない場合、経験豊富な外部ベンダーと協業することも検討しましょう。
とくにSharePoint Onlineでの構築に長け、かつインターナルコミュニケーション施策に通じたパートナーであれば、戦略立案からサイト設計、コンテンツ企画、技術実装、運用支援までトータルでサポートしてくれます。
たとえば株式会社ソフィア(当社)では、経営上の狙いと現場のワークフローを踏まえて戦略的な情報発信ができるポータルサイトの構築を支援しています。
プロジェクト推進時に社内(IT部門・経営企画・広報など)と外部ベンダーのハブとなって調整を行い、継続的な効果測定や改善提案も含めて伴走することで、使いやすく管理しやすいポータルの実現を後押しします。

以上のポイントを押さえることで、SharePoint Onlineを用いた社内ポータル導入の成功確率は格段に高まります。
ただツールを導入するだけでなく、「何のためのポータルか」を常に意識し、従業員の体験価値向上と業務効率化を両立できるよう計画・運用することが重要です。

まとめ

SharePoint Onlineは、社内イントラネット/ポータルのプラットフォームとして極めて有力な選択肢です。
他のMicrosoft 365ツール(TeamsやOutlook、OneDrive、Vivaなど)と連携することで充実したコンテンツを盛り込んだ双方向型の社内ポータルサイトを構築できます。
また、前述したデジタルワークプレイスの概念においても、業務に必要な情報やアプリケーションが一か所に集約されたポータルサイトは非常に重要であり、SharePoint Onlineはこれからの企業活動の中核を担うツールであると言えるでしょう。

社内ポータルの刷新や導入を検討中の企業のDX推進部門・広報部門・人事部門のご担当者様は、ぜひSharePoint Onlineの活用を検討してみてください。
使いやすく戦略的な社内ポータルを実現することで、従業員の情報アクセス性と組織全体の生産性向上につなげることができます。
もし「どこから手を付ければ良いかわからない」「自社に合った活用方法を知りたい」という場合は、公的機関の導入事例やMicrosoft公式情報も参考にしつつ、専門ベンダーに相談するのも一策です。
私たちソフィアも、長年の経験に基づきデジタルワークプレイス導入・活用支援サービスを提供しています。戦略立案から運用まで包括的にサポートいたしますので、社内ポータルに関するお悩みがあればお気軽にご相談ください。
貴社の社内コミュニケーション活性化とDX推進のお役に立てれば幸いです。

 

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よくある質問
  • SharePoint Onlineとは何ですか?
  • SharePoint Onlineは、クラウド上のSharePointです。Microsoft 365ライセンスのパッケージ製品や機能など、さまざまな製品との連携ができます。

  • 部門別の社内ポータルの機能、活用事例はありますか?
  • 人事部のサイト:人事労務手続き、キャリア支援、研修
    広報部門のサイト:Web社内報、社内SNS
    事業部門のサイト:ナレッジの共有
    営業部門のサイト:営業支援

  • SharePointのデメリットは?
  • SharePointのデメリットとしては、サイトのデザイン性が低いため、見た目の美しさを追求したい場合には不向きです。
    さらに、コメントや「いいね!」機能に匿名性がなく、ログインして利用する必要があります。さらに、詳細なアクセス解析が制限されているため、分析には時間がかかる可能性があります。

株式会社ソフィア

コミュニケーションコンサルタント

小野寺 貴俊

業務改善を基軸とした、ITツールの調査・実践・応用が得意です。データ分析と組み合わせたDX(Digital Transformation)を推進していきます。

株式会社ソフィア

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小野寺 貴俊

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