真のグローバル組織を構築する方法 ~文化とコミュニケーションスタイルの違いを学ぶ~

今日の企業や組織の多くは、常に変わり続けるグローバル従業員への対応に追われ、通常の業務に集中するだけで忙しく、ビジネスをする上で重要な文化的要因を見過ごしているのではないでしょうか。異文化コンサルタントのニコール・バリレ氏は、IABCのWeb会員誌『Catalyst』に寄稿し、今日のグローバルな世界では、異なる文化を学ぶことはもはや贅沢ではなく、ビジネスを行う上で不可欠な要素だと指摘します。今回はバリレ氏のアドバイスを紹介します。

より効果的に海外の同僚と連携するには、まず、彼らは何が違うのかを理解する必要があります。彼らはどのようにコミュニケーションを取ることを好みますか? 彼らはどのようにビジネスを行うことを好みますか? 彼らの文化にはどのような規範がありますか? これらの違いを理解しないと、組織内で深刻なコミュニケーション不全が発生する可能性があります。つまり、本社と海外の現場との分断、または多文化チームで作業している人々の間で分断をもたらす可能性があります。一度分断が発生すると、修復は困難になります。チームを良い状態に保ち、仕事を円滑に進めるためには、分断に先んじて対策しておく必要があります。
ここでは、世界中で文化がどのように異なるのか、5つの主要な類型と、その違いを埋めるためのヒントを説明します。

直接コミュニケーションと間接コミュニケーション

直接的な文化は、シンプルで正確なコミュニケーションを好みます。メッセージは直接的です。YesはYesという意味です。言葉は、誤解を避けるために正確な意味を伝えるように使用されます。直接的な文化の人々は、話し手の考えが明確に伝わるようにすることは、話し手の責任であると信じています。そのような人は、間接的な文化の人たちからすると失礼に見えるかもしれません。一般的に直接的なコミュニケーションスタイルの国は、イスラエル、ドイツ、スイス、オランダなどがあります。
間接的な文化は、より微妙なコミュニケーションスタイルを好みます。メッセージは暗黙的に示されます。Yesは、はい、いいえ、または多分を意味するかもしれません。情報は、特定の言葉ではなく、コミュニケーションのスタイルとコンテキストに埋め込まれます。間接的な文化の人々は、何が伝えられているかを理解することは聞き手の責任であると信じています。直接的な文化の人々にとって、彼らは信頼できない、または非効率的に見えるかもしれません(例えば、「早く何を言いたいか核心をつけばいいのに」と)。間接的な文化の国は、日本、中国、ペルー 、サウジアラビアが含まれます。

直接的文化の人々と連携するためのヒント:

  • 話された言葉に注意を払います。
  • 隠された意味を探す必要はありません。
  • 口頭でも電子メールでも、コミュニケーションで詳細を説明し過ぎないでください。
  • 簡潔な言葉を使ってやり取りは短くしてください。

間接的文化の人々と連携するためのヒント:

  • アイコンタクトやボディランゲージなどの非言語的な手がかりを見逃さないでください。
  • 行間を読みます。
  • 常に明確になるまで質問します。
  • 自由回答形式の質問にします:「木曜日の午後3時までにそのレポートを私に提出してくれますか?」と聞く代わりに、「いつそのレポートを私に提出できますか?」と聞きます。

個人指向とグループ指向

個人主義的な文化は、自分自身に気を配り、「私たち」ではなく「私」という表現を強調する傾向があります。この文化は、個人の成功と失敗に個人が責任を持ち、個人が発案して主導した結果、達成したことには高く評価します。個人主義的な傾向のある国には、米国、オーストラリア、スウェーデン、イギリスなどがあります。
グループ指向の文化は、よりコンセンサス主導であり、「私」ではなく「私たち」を強調します。彼らは、個人よりもグループのニーズを優先し、グループワークとチームの連携に報酬を与えます。グループ指向の強い国には、コロンビア、オマーン、ケニア、ベトナムなどがあります。

個人主義的な文化の人々と連携するためのヒント:

  • 個人個人の目標と目的について、恐れずに話し合ってください。
  • 事細かく管理しないように注意してください。
  • 自分の考えを恐れずに表現してください。
  • 個人による競争を動機付けとして使用します。

グループ指向の文化の人々と連携するためのヒント:

  • 辛抱強くすること。コンセンサスが目標であるため、意思決定には多くの利害関係者からの意見が必要な場合があります。
  • グループの進捗状況を監視すること(すなわちマイクロマネージメント)を恐れないでください。
  • コラボレーションの目標を設定します。
  • 自分の考えを他人に押し付けないでください。

ヒエラルキー構造とフラット構造

ヒエラルキー型の文化は、能力よりもステータスとランク付けを重視します。肩書は重要で、同様に権威を尊重します。組織構造は多層的であり、やり取りはより形式ばっています。ヒエラルキー構造に準拠している国には、インド、メキシコ、タイ、ベネズエラなどがあります。
フラット構造の文化は、ステータスとランクよりも能力を重視します。これらの文化はあまり形式ばらず、人々はお互いにファーストネームで呼び合います。組織構造はフラットである傾向があり、より上級者に挑戦することは許容されます。このような平等主義的な特徴を示す国には、デンマーク、アイスランド、ノルウェー 、ニュージーランドなどがあります。

ヒエラルキー型文化の人々と連携するためのヒント:

  • 特に公然と、上司に反対したり、訂正したりしないように注意してください。
  • 上司に、さらに上の階層への提案を委任する際には、リクエストが疑いなく通ることが期待できます。
  • リサーチは重要です。上司の質問に答えられなければ、あなたの信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 勝敗の結果を交渉することを恐れてはいけません。

フラット構造の文化の人々と連携するためのヒント:

  • 高い地位の人々に公然と質問したり、反対意見を言うことを恐れてはいけません。
  • 上司に、さらに上の階層への提案を委任する際には、リクエストの理由を説明する必要があります。
  • すべての答えを持っていないことを心配する必要はありませんが、誰が答えを持っているのかを知っている必要があります。
  • 双方がウィンウィンの結果になるために交渉します。

タスク志向と関係性志向

タスク志向の文化では、最初から信頼が与えられることがよくあります。プロジェクトを成功裏に完了するためには、関係が強い必要はありません。関係は、タスクが始まってから、または完了した時点で、後からできるものです。意思決定は、あなたが今会ったばかりだとしても、迅速に行うことができます。非常にタスク志向の強い人々に会う可能性がある国は、カナダ、ノルウェー、スウェーデン、米国です。
関係性志向の文化では、信頼を獲得する必要があります。関係は長い時間をかけて徐々に構築され、タスクを成功裏に完了するために必要なことです。すべての関係者を知るために前もって時間を費やすと、意思決定がより迅速になります。関係性志向がより強い文化の国には、ブラジル、インドネシア、ロシア、フィリピンなどがあります。

タスク志向文化の人々と連携するためのヒント:

  • 事前交渉や会議にあまり時間を費やさないでください。
  • 会議はオンラインコミュニケーションを使用します。それは効率的と見なされます。
  • 柔軟性が当たり前のように期待できないことを理解してください。我慢が必要です。
  • 意見を言う際には、比較評価できるように必ず基準を定義してください。

関係性志向の文化の人々と連携するためのヒント:

  • 相手と知り合うために時間をかけてください。
  • 可能な限り対面 (実際に会って) 会議をします。
  • 柔軟性を保ち、状況変化など予期せぬ事が起きても進んで検討してください。
  • 意見を言う際には、相手の言うことにもよく耳を傾け、感謝の気持ちを表しましょう。

状況重視とルール重視

状況を重視する文化では、ルールとは破られるか、少なくとも曲げられても構わないことを意味します。状況によって行動が決まります。偏好と例外は許容され、予期されています。一般的に状況重視の国には、ボリビア、エチオピア、モロッコ、シエラレオネが含まれます。
ルール指向の文化では、ルールは遵守すべきものです。ポリシーと手順によって行動が決まります。特別な好意を提供することはOKとは見なされず、実際に法的なトラブルに巻き込まれる可能性があります。非常にルール指向の国には、ドイツ、ニュージーランド、スウェーデン、米国が含まれます。

状況重視の文化の人々と連携するためのヒント:

  • 個々の状況に基づいて意思決定を行います。
  • 会議では柔軟に対応します。彼らはあなたが慣れているやり方に従わないかもしれません。
  • 情報共有がオープンであることを予期してください。
  • プロセスが流動的になることもあります。それらは頻繁に変更されます。

ルール指向の文化の人々と連携するためのヒント:

  • ロジックに基づいて意思決定を行います。決定の正しさを証明し、正当化できるよう準備をしておきます。
  • 会議では、必ず議題に沿って話を進めます。話題から外れたり、闇に入り込んだりしないでください。
  • 情報共有はコントロールされることを予期してください。
  • プロセスに細心の注意を払います。プロセスマップとガイドラインを作成して、厳密に従います。

文化がどのように異なるのか、そしてより重要なのは、なぜ異なるのかを理解することは、グローバルな組織で働く上で不可欠です。これらの文化的違いは、チームをリードしたりサポートするときや、契約の交渉や成約に至るまで、あらゆることに影響を与える可能性があります。異なる文化の人々とのコミュニケーションを改善する方法を学ぶことは、真のグローバル組織を構築するために重要な要素です。

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株式会社ソフィア

ビデオ・プロデューサー、コミュニケーション・コンサルタント

池田 勝彦

主にビデオ制作で撮影から編集までを担当しています。記事原稿も書いていますが、英語による取材・編集もやりますし、翻訳もできます。

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