組織の発展に不可欠!従業員エンゲージメントとは?向上施策と事例
最終更新日:2026.03.03
目次
労働人口の減少や働き方の多様化が進む現代において、企業が持続的に成長するためには、優秀な人材の確保と定着が最重要課題となっています。その解決策として、多くの経営者や人事担当者が注目しているのが「従業員エンゲージメント」です。
しかし、現場では「従業員満足度と何が違うのか?」「具体的にどのような施策が有効なのか?」といった疑問も少なくありません。本記事では、従業員エンゲージメントの基本的な定義から、組織にもたらす多大なメリット、そして株式会社ソフィアの最新調査データに基づいた具体的な実践手法までを、体系的かつ網羅的に解説します。
単なる理論にとどまらず、人的資本経営の文脈や成功事例を交え、明日の組織改革に直結する知見をお届けします。
従業員エンゲージメントとはどのような概念か?
組織の発展に欠かせない要素として、近年急速に重要性を増しているのが「従業員エンゲージメント」です。優秀な人材に長く勤めてもらうために、そして従業員の意欲を高めて労働生産性を向上するために、企業はまず何をすべきでしょうか。
かつての人事管理においては、給与や福利厚生といった「条件面」の充足が最優先事項とされてきました。しかし、これまで企業で重要視されていた「十分な給与」「福利厚生の充実」「高い従業員満足度」などが実は生産性の向上や優秀な人材のつなぎ止めにあまり効果がなかったとして、米国では1990年代から「従業員エンゲージメント」に注目が集まりはじめました。
日本においても、雇用スタイルや働くモチベーションについて多様な価値観を持ち合わせているミレニアル世代やZ世代に代表されるように、従来型の画一的なマネジメント方法には限界が生じてきました。そこで近年、日本企業も従業員エンゲージメントに着目するようになっています。
今回はあらためて「従業員エンゲージメントとは何か」「従業員エンゲージメントを高めるとどうなるのか」「従業員エンゲージメントを高めるにはどうすればいいのか」についてお伝えしていきます。
従業員エンゲージメントの定義
定義の解説に加え、学術的な背景やソフィア独自の定義を詳述します。
「エンゲージメント(Engagement)」という言葉は、約束、従事、没頭などを意味する英語に由来します。人事・組織開発の分野や、マーケティングの分野では、「愛着」や「思い入れ」を表す言葉として使用されます。
「顧客エンゲージメント」というと、顧客がどれだけ自社製品や自社ブランドに愛着を持ってくれているかという意味です。一方、「従業員エンゲージメント」は、従業員が現在働いている会社をどれだけ信頼しているか、会社にどれだけ貢献したいと考えているかという意味で活用されます。
もう一歩解釈を進めると、「従業員の自発的(内発的)な貢献意欲」になります。従業員エンゲージメントにおいては、この自発的(内発的)な貢献意欲が重要です。
自発的(内発的)な貢献意欲とは、賃金や他者からの評価を得たいといった外部からの動機付けではなく、自身の内面から起こる動機付けを意味します。自身の中から湧き出てくる興味や関心などが行動要因となっているため、その行動そのものが目的となっている状態です。
ソフィアでは、従業員エンゲージメントが高い状態を「従業員の一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、会社の目標を実現しようとする戦略に則って、自らの力を発揮しようとする自発的(内発的)な意欲をもって、行動すること」と定義しています。
また、世界的な組織コンサルティングファームであるウイリス・タワーズワトソン社は、従来のエンゲージメント研究において、エンゲージメントを構成する要素として以下の3つを挙げています。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 理解度 (Rational) | 会社の方向性やビジョンを論理的に理解し、支持している状態。 |
| 帰属意識 (Emotional) | 会社や組織の一員であることに情緒的な愛着や誇りを感じている状態。 |
| 行動意欲 (Motivational)> | 会社の成功のために、求められる以上の努力を自発的に行おうとする意欲。 |
これら「頭(理解)」「心(帰属)」「手足(行動)」の3つが揃って初めて、真のエンゲージメントが発揮されると言えるでしょう。
従業員満足度(ES)との決定的な違い
ハーズバーグの二要因理論を用いて、満足度との構造的な違いを解説します。
混同されやすい概念として「従業員満足度(Employee Satisfaction: ES)」が挙げられます。
従業員満足度とは、会社から与えられる業務内容や業務量、給料や福利厚生などに対する満足度です。よく実施される従業員満足度調査(ESサーベイ)といわれるものは、「企業そのものや仕事内容、職場の雰囲気や人間関係などにどの程度満足しているか」を問う内容になります。
「自発的に企業に貢献したい」と思っているかどうかを示す従業員エンゲージメントとは、この点で異なります。
米国の心理学者、フレデリック・ハーズバーグの「二要因理論」から提唱された「衛生要因・動機付け要因」に照らし合わせるなら、不満足を引き起こす「衛生要因」に焦点を当てているのが従業員満足度であるといえます。
衛生要因(給与、労働条件、対人関係など)は、不足すると不満を引き起こしますが、満たされたとしても「不満がない」状態になるだけで、必ずしも積極的な動機付けにはつながりません。一方、エンゲージメントは「動機付け要因」(達成感、承認、仕事そのものへの興味、成長など)に深く関わります。
モチベーションやロイヤリティとの違い
競合記事や上位記事で言及されている関連用語との違いを整理し、理解を深めます。
| 用語 | 意味・特徴 | エンゲージメントとの違い |
|---|---|---|
| モチベーション | 人が行動を起こす際の心理的な動機や意欲(動因)。 | モチベーションは「個人の心理状態」に焦点を当てますが、エンゲージメントは個人と組織の「双方向の関係性」を含みます。 |
| ロイヤリティ | 忠誠心、義理。主従関係に基づく献身。 | ロイヤリティは上下関係のニュアンスが強く、受動的な「滅私奉公」になりがちです。エンゲージメントは対等な関係に基づく「自発的な貢献」です。 |
| コミットメント | 責任、約束、確約。結果への責任感。 | コミットメントは責任を果たすことへの誓約ですが、エンゲージメントはその先にある「熱意」や「没頭」といったプラスアルファのエネルギーを含みます。 |
| ワークエンゲージメント | 仕事そのものへの熱意、没頭、活力。 | ワークエンゲージメントは「仕事(業務)」に対する状態を指しますが、従業員エンゲージメントは「組織(会社)」への愛着も含みます。 |
これらの違いを明確にすることで、自社が目指すべき状態が単なる「満足」や「忠誠」ではなく、相互の信頼に基づく「共創関係」であることが見えてくるでしょう。
従業員エンゲージメントが注目される背景
このセクションは全面的に追加し、最新のビジネストレンドや社会的要請を解説します。
なぜ今、日本企業において従業員エンゲージメントへの注目がかつてないほど高まっているのでしょうか。その背景には、構造的な社会変化と経営環境の激変があります。
1. 人的資本経営と情報開示の義務化
近年、人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上につなげる「人的資本経営」が世界的な潮流となっています。
特に日本では、2023年3月期決算からの上場企業に対する人的資本情報の開示義務化が大きな転換点となりました。有価証券報告書において、人材育成方針や社内環境整備方針とともに、測定可能な指標の開示が求められるようになっています。
内閣官房の「人的資本可視化指針」や、国際標準規格である「ISO 30414」においても、「従業員エンゲージメント」は重要な測定項目(KPI)の一つとして位置づけられています。これにより、エンゲージメントスコアは単なる社内指標ではなく、投資家が企業の将来性を判断するための重要な「経営指標」へと昇格しました。
2. 労働人口の減少と人材獲得競争の激化
少子高齢化が進む日本において、労働人口の減少は深刻な課題です。人手不足が常態化する中、優秀な人材の獲得競争(ウォー・フォー・タレント)は激しさを増しています。
終身雇用の神話が崩れ、人材の流動性が高まる中、特に若手世代や高度専門人材は、自身の成長や働きがいを求めてシビアに企業を選別します。エンゲージメントが低い組織からは人材が流出し、新たな採用も困難になるという悪循環に陥ります。
企業の存続をかけて、今いる人材を引き留め(リテンション)、能力を発揮してもらうための環境整備が不可欠となっています。
3. 働き方と価値観の多様化
コロナ禍を経てテレワークやハイブリッドワークが普及し、働く場所や時間の柔軟性が高まりました。これは利便性を向上させた一方で、物理的な対面コミュニケーションの減少を招き、帰属意識の希薄化や孤立感の増大という新たな課題を生み出しています。
オフィスで顔を合わせるだけで自然と生まれていた「阿吽の呼吸」が通用しなくなり、意図的にエンゲージメントを高める施策を打たなければ、組織としての求心力を保てなくなっています。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
ソフィアの定義に基づきつつ、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」などのデータを追加し、説得力を高めます。
ソフィアでは、従業員エンゲージメントが高まっている状態について下記のように定義しています。<
「従業員の一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、会社の目標を実現しようとする戦略に則って、自らの力を発揮しようとする自発的(内発的)な意欲をもって、行動すること」
このような状態を実現することで、従業員や企業にさまざまなメリットがもたらされます。
従業員のモチベーションアップ、離職率の低下
会社の成長と自分自身の成長を紐づけることによって、従業員のモチベーションが高まり、自発的な貢献意欲が高まった状態となります。
近年では、社会において転職することへのマイナスイメージがなくなりつつあるため、従業員の中で転職を考えている人が顕在的にも潜在的にも多くなっています。しかし、自発的な貢献意欲によって会社との結びつきが強い状態だと、転職への欲求を抱きにくくなり、結果的に離職率の低下につながります。
特に次世代リーダーとなるハイパフォーマーの定着は、企業の持続的成長にとって計り知れない価値を持ちます。
サービスレベル・顧客満足度の向上による業績の向上
「サービス・プロフィット・チェーン(SPC)」という経営モデルが示すように、従業員満足度・エンゲージメントの向上は、顧客満足度(CS)の向上に直結します。
自分自身の成長と会社の成長が深く紐づき、従業員自身が仕事にやりがいを感じている状態であれば、顧客へのサービスレベルの向上も期待できます。その結果、顧客体験価値の向上、顧客エンゲージメントの向上へとつながり、業績の向上も期待できます。
ウイリス・タワーズワトソン社の調査でも、エンゲージメントの高い企業は低い企業に比べて、営業利益率や株価上昇率が有意に高いというデータが出ています。
心理的安全性の醸成とイノベーションの創出
Googleの調査結果を引用し、生産性との関連を強化します。
エンゲージメントの高い組織では、従業員が互いに信頼し合い、リスクを恐れずに意見を言い合える「心理的安全性」が高い傾向にあります。
Googleが実施した「プロジェクト・アリストテレス」では、生産性の高いチームに共通する最も重要な成功因子として「心理的安全性」が特定されました。エンゲージメントを高め、心理的安全性が確保された環境を作ることは、変化の激しい現代においてイノベーションを生み出すための必須条件と言えるでしょう。
従業員エンゲージメントが低下する原因とは?
多くの企業がエンゲージメント向上を掲げながらも、なぜ実態は改善しないのでしょうか。ここでは、特に日本企業、とりわけ大企業が陥りやすい構造的な原因について、最新の調査データを交えて解説します。
経営層と現場の「共感」の欠如(調査データより)
最大の要因の一つは、企業のビジョンや戦略に対する従業員の「共感不足」です。
弊社ソフィアが実施した「インターナルコミュニケーション実態調査2024」では、衝撃的な事実が明らかになりました。経営戦略や目標に対して「共感している」と回答した社員は、わずか約1割にとどまっています。
多くの経営層は「ビジョンは伝えたつもり」になっていますが、現場には「また新しいスローガンが出た」「やらされ仕事が増えた」としてしか届いていないのが現実です。この「認識の断絶」がある限り、どれだけ崇高なビジョンを掲げても、従業員の心に火をつけることはできません。
情報共有の「三重苦」による疎外感
組織の大規模化や縦割り構造(サイロ化)により、必要な情報が現場に行き渡らないことも深刻な原因です。
同ソフィアの調査では、社内情報の共有において以下の「三重苦」が発生していることが指摘されています。
- 共有ナシ: 業務に関連する重要な情報がそもそも共有されない。
- 遅い: 情報が降りてくるスピードが遅く、現場が対応できない。
- 探せない: イントラネットやツールが乱立し、欲しい情報がどこにあるかわからない。
情報が遮断された環境では、従業員は「自分は組織から信頼されていない」「蚊帳の外に置かれている」と感じ、エンゲージメントは著しく低下します。
中間管理職の疲弊と機能不全
情報の結節点となるべき中間管理職(マネージャー層)が、プレッシャーと業務過多により機能不全に陥っているケースも多々あります。
経営層からの高い要求と、現場からの不満の板挟みになり、部下のケアや対話に割く時間的・精神的余裕がありません。情報の風化や歪曲は中間管理職のフィルターを通すことで起きやすくなります。上司の支援不足は、部下の成長実感を阻害し、エンゲージメントを下げる直接的な要因となります。
従業員エンゲージメントを高める方法
従業員エンゲージメントを高める上では、自身の成長と会社の成長の結びつきをいかに育むかということがポイントになります。そのため、取り組みを考える際は「コミュニケーションの質と量を上げ続ける」ことがテーマになります。
自社の理念やビジョンを土台にコミュニケーションを行う
まず着手すべきは、ビジョンの「腹落ち」を目指すコミュニケーションです。
自社の理念やビジョンを明確に掲げている企業は多くありますが、全従業員がその理念やビジョンに共感し、それぞれの業務に反映できている例は少ないのではないでしょうか。
- 会社は何を大事にし、どこに到達したいのか、そのために何をすべきか
- 従業員は企業にどのように貢献し、それによってどのような成長の機会を得られるのか
- 従業員はどのような視点で自身のキャリアビジョンを描けばいいのか
上記のように、自社の理念やビジョンと従業員の成長とを紐付けたコミュニケーションを行うことが重要です。
経営層が一方的に語るだけでなく、従業員自身が「自分の業務がどうビジョンに繋がるか」を語り合うワークショップや、タウンホールミーティングでの双方向対話が有効です。
社内コミュニケーションの活性化と情報の透明化
自社の理念やビジョンをベースとしたコミュニケーションを意図的に発生させることがポイントです。
HR総研(ProFuture株式会社)が実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート調査」では、企業規模を問わず社内のコミュニケーションに課題を感じている企業が多いという結果が出ています。この調査で「どの関係においてコミュニケーション課題があるか」という問いに対して、「部門間(71%)」がトップ、2位は「経営層と社員(56%)」となっています。
「三重苦(共有ナシ・遅い・探せない)」を解消するために、社内報、イントラネット、チャットツールなどのメディアを整備し、情報の透明性を高める必要があります。
対面のコミュニケーション、メディアやツールを介したコミュニケーションの両方において、経営と社員、異なる部門間、上司と部下という、多方向のコミュニケーションチャネルを適切に設計することが重要です。
特に、ツールを導入するだけでなく、それを活用して「誰に」「何を」「どう」伝えるかという運用設計(インターナルコミュニケーション戦略)が鍵を握ります。
関係性の質を向上させる(組織の成功循環モデル)
マサチューセッツ工科大学(MIT)組織学習センターの共同創設者であるダニエル・キム氏が提唱している、「組織の成功循環モデル」という理論があります。
この理論では、よい組織づくりは、成果を急ぐのではなく、まず従業員と企業が対話を持つことから始まるとしています(関係性の質の向上)。
関係性が良くなれば、思考が前向きになり(思考の質の向上)、自発的に考えられることを求められた従業員は、仕事に動機付けされます(行動の質の向上)。さらに、新たな取り組みやチャレンジングな挑戦を行うようになるというものです(結果の質の向上)。
この理論に基づけば、コミュニケーションの量や質の向上によって、関係性の質を向上させることが、従業員エンゲージメントの向上にとって重要だと捉えることができます。
挨拶や感謝(サンクスカードなど)、1on1ミーティングでの傾聴など、日々の小さな積み重ねが関係性の質を高めます。
従業員エンゲージメント調査を定期的に行う(PDCAの実践)
企業や組織によって従業員エンゲージメントの状態はさまざまです。感覚ではなくデータに基づいた現状把握が不可欠です。
従業員エンゲージメントの向上に限らず、組織が直面している課題を解決するためには、組織の状態を把握し、課題設定をしたうえで、施策を講じる必要があります。また、施策の効果が不明であれば、施策継続も難しくなってしまいます。そのため、課題を設定し効果を測定する両面で、従業員エンゲージメント調査を定期的に行う必要があります。
具体的には、年に1回の大規模なセンサス(意識調査)に加え、月次や週次で行う簡易的な「パルスサーベイ」や、従業員の推奨度を測る「eNPS(Employee Net Promoter Score)」などを組み合わせることで、変化の兆候を早期に捉えることができます。
重要なのは「やりっぱなし」にしないことです。ネガティブな結果も含めて開示し、改善アクションを実行するプロセスそのものが、会社への信頼を高めます。
従業員エンゲージメントを高める施策事例
最後に、ソフィアで行った支援実績を含め、従業員エンゲージメントを高める施策事例をご紹介します。
ビジョン浸透のための施策事例①:行動変容を促す仕組み
総合サービスを提供するコングロマリット企業グループの事例です。同社では事業推進の強みであったトップダウンの文化をあえて崩し、さらに顧客志向の企業体を作るために新しいグループビジョンを制定しました。
しかし、社内で行ったビジョン浸透度調査で98%の理解・共感度という結果だったにもかかわらず、社員の行動面ではこのビジョンがまったく体現されていないことが課題となっていました。
そこでソフィアでは、それまで個別に推進されていたビジョン浸透施策を統合、一元管理し、浸透に向けた中期シナリオを策定しました。
施策としては、表彰制度の制定と表彰を受けた社員が参加する事業横断サービス開発ワークショップや、全グループの従業員参加によるビジョンダイアローグ、ほめて伸ばす「Good Jobカード」制度の設計・運用などを実施し、ビジョンが従業員の行動に反映するに至りました。
- 成功のポイント: 「理解」から「行動」への橋渡しとして、称賛の仕組み(Good Jobカード)や対話の場(ダイアローグ)を設け、ビジョンを体現することが評価される文化を作った点です。
ビジョン浸透のための施策事例②:グローバルでの求心力向上
同社では売上全体の過半数を海外売上が占め、順調な成長を続ける中、海外で働くローカルスタッフの離職率の高さが課題となっていました。求心力を向上させるために、ローカルスタッフに対して会社の歴史や日本でのポジションなどを伝えることの必要性を認識しつつも、それらが各国の現地駐在員に一任されておりうまく伝わっていない状況でした。
ソフィアは、海外ローカルスタッフの従業員エンゲージメントを高めることが、これらの課題の解決につながると考えました。そこで、長期ビジョンの策定に合わせて「自社の成長を支えた価値観」「お客様に対する想い」「従業員に対する想い」をまとめて、新しく行動指針を策定。その内容を、社内報をはじめとする各種コミュニケーションツールを活用して多言語でグローバル全従業員へ発信しました。
- 成功のポイント: 本社からのメッセージを現地の言語で直接届けることで、ナショナルスタッフに「自分たちも重要な仲間である」という受容感(インクルージョン)を醸成した点です。
地域向けブランディングのための施策事例:インナーブランディングの強化
全国各地に拠点を持つ事務機販売会社。同社では、地域の顧客や潜在顧客に対する企業ブランディングが課題でした。顧客に企業と社員をより身近に感じてもらうため、Webサイトで社員紹介ページを作成したいと考え、実現に向けてパートナーを必要としていました。
ソフィアはまず、地域の社員の人柄と仕事への姿勢・熱意が伝わり、会社を身近に感じてもらえるコンテンツを設計。そのうえで、運用担当者が最小限の負荷で高品質なコンテンツ運用できるスキーム設計を支援しました。
具体的には、コンテンツの企画・設計、寄稿者向けのガイドラインや制作・承認フローの整備、その後数年にわたって安定的に運用できるスキームを策定しました。
- 成功のポイント: 社外へのブランディング活動を通じて、取り上げられた社員自身が自社への誇りを再認識する「インナーブランディング効果」を同時に狙った点です。
従業員エンゲージメント調査の活用事例:ボトムアップへの転換
こちらは学校法人の事例です。官主導で全国的な国立大学法人改革が進められる中、同大学においても中期経営計画に基づく大学運営のさらなる効率化と学生満足度の向上が急務でした。
計画推進にあたっては、教職員主体のボトムアップの活動や学部間の連携が必要と考え、まず現在の学内コミュニケーションの状態を把握すべく、各学部長と教職員に対するヒアリング調査、アンケート調査を実施しました。
結果的に、教職員や学部長の大学に対する期待や危機意識・問題点を認識することができ、コミュニケーション施策検討の土台となる貴重なデータ収集に成功しました。
その後、調査結果を基礎とした学内コンテンツ施策を展開することで学部間の連携の促進を行うことができ、従業員エンゲージメントを高めることにつながりました。
- 成功のポイント: 改革の初期段階で徹底的な調査(声を聞くこと)を行い、現場の課題感を可視化・共有したことで、納得感のある施策展開が可能になった点です。
海外グループ社員に向けたエンゲージメント施策事例:感情に訴えるツール活用
グローバル企業として世界各国でM&Aなどを行う中で、同社は一つの企業体として経営理念・ビジョン・ミッションなどの共通理解が形成できていませんでした。海外のローカルスタッフは、そもそも日本の本社がどんな歴史を持ったどういった会社なのかさえ知らないことが多く、グローバル全体での求心力向上が課題となっていました。
そこでソフィアでは、新しいビジョンが発表されたことを機に、グローバル規模でビジョンの浸透を図るためのツールとして、海外社員向けの英語の小冊子を制作。英語版をもとに中国語・タイ語・ポルトガル語版を制作して世界各国の拠点へ展開しました。
また、グローバルリーダー育成を目的とした研修で撮影したビデオ素材をもとに、理念浸透用映像教材を制作。さまざまな場で使えるよう長さの違う数バージョンを制作し、研修や広報活動などに活用しました。
- 成功のポイント: 文字情報だけでなく、映像という「感情」に訴えるメディアを活用し、言語の壁を越えてビジョンの熱量を伝播させた点です。
まとめ
従業員エンゲージメントが重要だと理解はしつつも、取り組むにあたって十分な情報がない、専門の人材がいないなどの理由で二の足を踏んでいる企業も多いのではないでしょうか。
しかし、人材育成の領域においては、言葉だけが先行し、取り組みを実施することだけが目的になりやすいので、しっかりと自社の状況を把握した上で、取り組みの目的を固めることが重要です。まずはサーベイを用いて現状を可視化し、弊社ソフィアの調査でも明らかになったような「経営層と現場の共感のズレ」や「情報共有の不全」がないかを直視することから始めましょう。
そのうえで、取り組みを進めるにあたって必要なノウハウや人的リソースが社内で確保できない場合は、外部の専門家にコンサルティングを依頼するのも一つの方法です。エンゲージメント向上は一朝一夕には成し得ませんが、地道な「対話」と「仕組みづくり」の積み重ねが、必ずや組織の持続的な成長につながるでしょう。
本記事が、各企業の従業員エンゲージメント向上のための取り組みについて、少しでも参考になれば幸いです。また、ご不明な点があればソフィアまでお気軽にお問い合わせください。
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