テレワーク下のコミュニケーションの注意点 新しい働き方を円滑に行うポイントとは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響や働き方改革によって国を挙げてのテレワーク推進が行われています。
テレワーク下で円滑なコミュニケーションを行うためにはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。本記事ではこうしたリモートによる新たな働き方を導入するうえで重視すべきポイントについて解説します。

テレワーク下のコミュニケーションの特徴

日経BPコンサルティングによる調査によれば、テレワークによって家族間のコミュニケーションが増えたという回答が3割を超えた一方で、社内コミュニケーションが取りづらいとする回答は6割超に上っています。また、社内コミュニケーションが取りづらいだけでなく不足しているという回答も約3割を占めています。
また、内閣府の調査によると、テレワークの不便な点として「社内での気軽な相談・報告が困難」という回答が34.5%となっており、コロナ禍によるテレワークで社内コミュニケーション不足が深刻な課題となっていることがうかがえます。

業務のやりとりのみになってしまう

仕事中に過度な雑談は禁物ではあるものの、オフィスであれば合間合間に息抜きを目的とした会話を交わすことがあるでしょう。しかし、テレワーク下においては、業務指示や報連相など、タスクに関するコミュニケーションがメインになりがちです。
息抜きの会話は同僚や上司・部下のことを知る機会でもあり、コミュニケーションコストを下げる効果が期待できます。オフィスのような気軽な雑談の機会がないことで、一人で作業を行なっているような疎外感を感じてしまう人も少なくありません。また、業務タスクのみのコミュニケーションになることで関係性がギスギスしてしまうことも起こり得ます。

上司・部下・同僚の作業状況がわからない

同じオフィス内で勤務していたころは、まわりが今どういう状況かを目視できました。パソコンの画面をのぞき込むことはあまりないかもしれませんが、気になればすぐにそばへ行って声がけができました。しかし、全員が離れた場所で働くテレワークではそれぞれがどのように過ごしているのかがまったくわかりません。在席機能を備えたコミュニケーションツールもあるにはあるものの、例えば作業に詰まって悩んでいる状況や、体調を悪くして手が止まっている状況までは把握できず、作業状況の正確な確認は困難です。
相手の状況がわからない上に、デジタルツールを利用したコミュニケーションにはタイムラグが発生します。すぐに反応がないために相手に不信感を抱くことや、作業の効率が下がったと感じる人もいるでしょう。

孤独感を感じる人もいる

単身世帯の場合、在宅でのテレワークは常にひとりの状態です。企業によってはセキュリティ保全のため、カフェでのモバイルワークを禁止していることもあります。またコロナ禍の影響から、みだりに外出もできません。
社会人になると新たな友人を作る機会も減り、雑談は会社の同僚のみという人も少なくありません。その雑談がテレワークによって阻害されてしまい、友人とも外出自粛で会えなくなることで、孤独感にさいなまれる人が現れています。


テレワーク下のコミュニケーションで注意したいこと

テレワークではとかくコミュニケーションの機会が減りがちです。テレワークを導入した企業は、これらの点を注意しながら従業員のメンタルケアを考慮すべきでしょう。

コミュニケーションの「量」の低下

テレワークでは雑談が阻害されると解説したとおり、物理的なコミュニケーション量が低下します。業務のやりとりをコミュニケーションと捉える考え方もあるかもしれませんが、例えばコンビニエンスストアへ買い物に行ってレジの店員と行うやりとりをコミュニケーションと呼ぶでしょうか。必要に応じて行われる最低限の会話は、コミュニケーションに取って代わるものではありません。そのため、社内では業務のやりとり以外にも意図的にコミュニケーションをとる必要があるといえます。

コミュニケーションの「質」の低下

テレワーク移行時にほぼ導入が必須となっているテキストチャットツールですが、文字情報は対面での会話と比べると情報量が圧倒的に少なくなります。
同じ「〜してください」でも、声のトーンや表情、話すスピードや文脈がわからないせいで受け手側はさまざまな推測をすることになります。これまであまり関わったことのない相手であればなおさらでしょう。
また、言い回しによっては要らぬ誤解をまねくこともあり、コミュニケーション不全に陥る可能性も捨てきれません。チャットツールは速報性に優れとても便利なツールではありますが、チャットツールに頼りきりになってしまうとコミュニケーションエラーの原因となります。

実は、元々あったコミュニケーションの問題が可視化されただけ?

これらのコミュニケーション問題はテレワーク由来のものであるように解説しましたが、その一部はもともと存在していた問題がテレワークによって可視化されただけとも考えられます。すなわち、これまでのコミュニケーションがそもそも円滑でなかったということです。
例えば、そもそもオフィスでもタスクベースの会話が中心でささいな雑談もしづらい雰囲気だったり、チームメンバーのスケジュールや作業状況が可視化・共有されていない状態だったり、席が近い人とも口頭で会話をせずメールやチャットでやりとりをすることが多かった状態などが挙げられます。
火種となってくすぶっていた問題がテレワーク化によって大きく表出した部分も少なからずあるため、すべてをテレワークが原因だと考えるのではなく、自社のコミュニケーションはそもそも健全であったか、直すべき点はなかったかと振り返ることも重要であるといえます。

テレワーク下のコミュニケーションを円滑にするためのポイント

テレワークにおいて生まれたコミュニケーション課題を解決し、円滑にするためにはどういった策が有効なのでしょうか。今回はポイントを5つに分けて解説します。

作業状況を可視化する

それぞれが今どんな状況で作業をしているかを把握できるようにしましょう。時間ごとに定期報告を入れるようルールづくりを行ったり、始業前やランチ前、終業前に顔合わせのミーティングを行ったりもよいかもしれません。
テレワークでの作業状況管理は上司と部下の1対1になりやすく、全員での共有がなされにくいものです。タスク管理ツールなども併用しながら、業務において誰がバトンを持っていてネクストアクションは何か、どこまで進んでいるのかをチーム全体で共有することで、同じオフィスにいなくても同僚の作業状況を全員が知ることができます。

雑談する機会を意図的に作る

主要なビジネスチャットツールでは、話題ごとにチャットルーム(グループチャット)を作ることができます。基本的にはプロジェクトごと、チームごとに割り当てるための機能ですが、ここに「雑談部屋」を作って、休憩時間や作業の合間に雑談を許可することもひとつの手です。「業務効率を下げない程度に」と念を押しておけば手が止まることも少なくなるでしょうし、もともとは口頭で行われていた会話がチャットツールに移行するだけですから、目くじらを立てるものではありません。

また、米Google社も採用している「TGIF」の活用も効果的でしょう。「Thanks God It’s Friday(Google社では『Thanks Google It’s Friday』)」の略語で、同社は毎週金曜日の午後に全社で軽食を用意してフランクなミーティングを行っています。日本での「飲みニケーション」に似ていますが、基本的には社内で節度を保ちながら行われるもので、議題を設けてディスカッションを行います。
現在はコロナ禍で会議室に集まることが難しいため、オンラインでTGIFが行われるようになりました。Web会議ツールを利用して対面と近い環境での気軽なミーティングが実施されています。1週間の一部を業務外に使うため、作業効率が向上する効果も期待できます。

Web会議はビデオをオンにする

Web会議ツールでは、ビデオをオフにして音声のみでやりとりができます。自宅の中を映したくないためにオフにしたまま会話をする人もいるかもしれません。しかしそれでは話す人の表情を読み取ることができないため、基本的にはオンにしておきましょう。
Web会議ツールのうち「Zoom」と「Microsoft Teams」では、背景を仮想化して自宅を見せないことができます。また「Google Meet」にも背景をぼかす機能やバーチャル背景の設定機能がありますので、場合に応じて周知のうえ、活用してみてください。
また、ビデオの品質にネットワーク上の問題があるのであれば、モバイルルーターを会社から貸与するなど、コストをかけてでも行うべきです。

仕事の成果をこまめに報告する

作業状況の確認にも近い対策方法ですが、半日、1日でどれだけ作業したかを報告する業務ルーティーンを設けましょう。またこれはメンバー同士が進捗状況を把握しあうため、グループチャットで全体公開するほうが望ましい部類の報告です。そのときに、作業が遅れていればその理由について確認することになりますし、進んでいれば別途ミーティングを行って新たなタスクを振ることができ、そこでコミュニケーションの機会も生まれます。個人の体調や家庭の事情など、個人的な事情も含まれる部分が出てきますが、信頼関係を構築しながら開示をしてもらうように心がけてみてください。

定期的にオフラインで会う

テレワークに移行した企業の中には、シフト勤務を採用して出社を組み合わせているところもあります。オフラインで顔を合わせることが安否を気遣うことにもつながるので、コロナ禍のうちは人数を分散させながら定期的に対面でのコミュニケーションも加えていきましょう。
出社した日には業務を抑えて、テレワークでの勤務状況について1on1をすることも効果的かもしれません。マネジャー層がこうしたきめ細やかな対応を心掛ければ、部下からの信頼を得るきっかけにつながります。

まとめ

コロナ禍や働き方改革の影響でテレワーク推奨の動きはあれど、コミュニケーション上の懸念から未だ導入に踏みきれない企業や、一度は導入したもののオフィス勤務に戻してしまった企業も多いといいます。これには、テレワークでコミュニケーションを円滑にするポイントを知らなかった可能性と、もともとコミュニケーションに課題があった可能性との2つが考えられます。テレワークの導入に関してコミュニケーションに不安がある方は、オンライン・オフラインいずれのコミュニケーション円滑化を得意とするソフィアまでお気軽にご相談ください。

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