2023.05.01
社内ポータルとは?機能と役割、構築の際のポイントを解説
目次
「社内ポータル」は、自社で使ったことのない人にとってはあまり馴染みのない用語かもしれません。簡単にいえば、「社内の情報を集約した入り口のサイト」です。今回はこの社内ポータルについて詳しく解説しながら、構築の際のポイントについても触れていきます。
社内ポータルとは?
「ポータル(portal)」は、「玄関」「入り口」を表す英単語です。冒頭で述べたようにポータルサイトとは、情報の入り口の役割を担うサイトを意味します。
社内ポータルの概要
一般的なポータルサイトと社内ポータルサイトを比較して社内ポータルの概要を掴みましょう。一般的なポータルサイトといえば、例えば「Yahoo! JAPAN」が有名で、さまざまなジャンルの情報へアクセスするための入り口となっています。インターネットを頻繁に使う方なら、こういったポータルサイトによって、自分の欲しい情報が簡単に見つかった経験があるでしょう。対して社内ポータルは、社内の人間しかアクセスできないイントラネット上に設置されたポータルサイトです。社内ポータルでは、社内のイントラネット内の他のページ、社外のWEBページだけでなく、社員だけが使えるスケジューラーや勤怠ツールなどにもアクセスできるものがほとんどです。
「社内ポータル」の担う役割が深化している背景
これまで、社内のニュース・お知らせや業務に用いられるIT関連の情報、書類の電子データなどは、「社内イントラ」や「ファイルサーバー」上にまとめられていました。「社内ポータルサイト」と呼ばれる新たなWEBサイトを各社が整備している背景には以下の理由があります。
- テレワーク・ハイブリッドワークを踏まえた業務効率化
- 社内発信が必要な経営情報の多様化
- 社会からの要請により企業が対応すべき経営テーマの多様化
コロナ禍によって出社しない働き方が普及し、オンラインでの業務・コミュニケーションが占める割合が大きくなりました。そのために必要なツールも多岐にわたり、それらへのアクセスをより効率化するため、整理された入口が必要となりました。同時に、それらの利活用において困ったときの解決方法や便利な使い方、普段は使わないが特定の場面で必要な機能についてなど、各ツールに関する情報も併せて簡単に取得できることも欠かせません。
さらに、書類・ドキュメントはもちろん、社内でやり取りされる情報が量・多様共に圧倒的に増加しました。緊急のお知らせや、経営ビジョンや戦略、各事業における計画とそれらに関連するリアルタイムな経営情報、サプライチェーンの状況、顧客や市場に関する情報など、会社→全社に対する様々な情報が社内ポータル上で共有されています。ビジネスの複雑化に伴い、これまでは経営層のみが判断のために取得していた情報を、現場レベルでの意思決定を推進するために共有するようになったという背景があります。
また、社会全体・業界全体で取り組まれる、SDGsやDX、働き方変革などの経営テーマについて、全社に発信し、社員の共感と実践を促進していくことが求められる中、全社に対する有用な発信の場として社内ポータルサイトが活用されています。
社内ポータルの変化
これまでの社内ポータルは、業務マニュアルや会社からの必要なメッセージを集合させている情報の倉庫といった役割を担っていました。しかし昨今では、情報を発信する側と受信する側の関係性がフラット化し、社内ポータルは利用者同士が直接意見を言い合えるコミュニケーションの場に変化しています。会社が社員に必要な情報を一方的に発信する場ではなく、会社と社員が双方向に情報や意見を発信できるのが現在の社内ポータルです。また、デジタルワークプレイスのようなデジタル空間を活用した快適で効率的な仕事空間が普及しつつあり、市場を急速に拡大しているメタバースによってビジネスの常識も大きく変わろうとしています。そういったビジネス現場の激しい変化に付いていくためにも、必要な情報をすぐに受け取ることができる社内ポータルは会社にとって必須のツールといえるでしょう。
社内ポータルを最大限活用するためには、目的と発信すべき情報を整理する
社内ポータルを構築したものの、上手く扱えていないという組織も少なくありません。社内ポータルが活用できていない要因として、発信すべき情報の整理と設計が出来ていないということがあります。これまでの社内イントラやファイルサーバーから、そのまま内容を新しい仕組みに移し替えただけで、内容について再検討がなされていないという状況です。これまでより多くの役割を担うこととなるポータルサイトとして、新しい運用設計を考えなければなりません。先に触れた背景を踏まえつつ、ポータルサイトが果たしうる役割について、いくつか例示してご紹介します。
ハイブリッドワーク・オンラインコミュニケーションの支援
社内ポータルはハイブリッドワーク・オンラインコミュニケーションの支援にも有用です。書類の保管場所、業務管理や申請、それぞれの仕事に用いられるツールなど、業務がオンライン化することに併せて、それらの多様なツールやサービスの入口をポータルサイトに集約することで、アクセスの利便性を高めることができます。
また、出社して直接執務室を訪ねたり隣の部署に話しかけに行ったりということが難しくなった代わりに、社内の連絡先等を見る機会も増えたことと思います。さらに、ポータルサイト内に各部門からの発信のためのスペースを設けることによって、部門間連携の礎となるそれぞれの部門のリアルタイムな状況や情報を全社に対して共有するというケースも非常に多くあります。
「オンボーディング」の支援
オンボーディングは、企業・組織から新入社員(中途を含め)へのサポート支援を指しています。情報提供や価値観の共有によって新入社員(中途社員)と既存の社員の関係性を円滑にし、新入社員(中途社員)が企業・組織にすぐに溶け込み、のびのびと業務にあたるために様々な情報提供や機会の提供を行います。オンボーディングの主要な項目として、大まかに、以下の3つが挙げられます。
- 業務の流れ・手続き・規定を知る
- 会社の風土・価値観を知る
- 人を知る・つながる
入社後、新入社員がこれらの情報をじっくり見ていくために社内ポータルサイトが重要な役割を果たします。長年勤めている社員が慣れと経験によってどの情報がどこにあるのか・誰が知っているのかを把握している、という状態であることが多くの会社で起こっていました。これらを誰もが分かりやすく・見つけやすく整理していくことを、社内ポータルサイトの設計時に検討することが重要です。オンボーディングの取り組みについて、勿論ポータルサイトのみで行うということではありません。その他様々な施策についてもご紹介しておりますので、こちらの記事もぜひご覧ください。
社内ポータルの本質的な機能とは、社員のコミュニケーション行動の媒介
ここまで触れてきた、現在の社内ポータルの担う役割を整理すると、「全社員が必ずアクセスする場」として、「オンラインの社内コミュニケーションの中心となりながら、様々な情報流通や人と人とのつながりを媒介する」ということがその本質的な価値であると言えます。
企業・組織が目標に向かって進むためには、社員同士のコミュニケーションによって意思決定や合意形成を行うことが必須です。社員同士の意思疎通のスムーズさは企業・組織のパフォーマンスにも大きく影響し、長期的に見ると経営にも関わってくる大事な部分です。単なる情報の倉庫やリンク集ではなく、今後の経営や事業を支えるために必要な社内コミュニケーションをイメージしながら、社内ポータルを設計する必要があります。自社の理想とする働き方を捉えながら、促したい社員のコミュニケーション行動(情報の取得・発信)を定義することが、社内ポータル設計に必要不可欠なのです。
ただし、最初から細かな用途を検証することが出来るのは稀で、セキュリティやコストなどを踏まえた導入の判断をすることが多いでしょう。つまり、既に導入されたシステムやツールを用いることを前提としながら、あとからその詳細の目的・用途の設計を行うということになります。とはいえ、現在多くの組織の社内インフラとして導入されるツールは情報の取得・発信に関わる機能を有しているため、目的・用途を設計した上で、対応する機能をあてはめていくことが出来ます。ただ、用途が明確化されていなければ機能の細かい運用が定まらないため、この設計を解像度高く行うこと・あるいは長期的な運用の中で細かく改善していくことが求められます。本記事では、汎用的なものについてしか触れられませんが、主な機能と、対応する用途について例に挙げて述べていきます。
社内ポータルの機能
その他、社内ポータルサイトが一般的に備えている機能についてご紹介していきます。
検索機能
社内ポータルには性能の高い検索機能が搭載されており、これまでに蓄積した会社の情報を検索で簡単に引き出すことができます。すぐに欲しい情報を手に入れられる検索機能は、スピード感が求められる現代のビジネスの現場においては必須であり、多くのユーザーが社内ポータルに求める機能でしょう。
ワークフロー申請
社内ポータル上で、交通費や各種経費の精算、その他稟議など申請に関するワークフローを実装できます。社内の業務効率化に大きく寄与します。
コミュニケーション機能(情報掲示・ファイル整理・双方向)
旧来のファイルサーバーから置き換わるものとして、まずは様々な社内のファイルを整理して設置することが必要です。またそうした機能から派生して、「WEBサイト」「WEBページ」として、情報を伝わりやすく編集して掲載する機能も併せて持っていることが一般的です。そしてそれらに対して社員側・利用者側から何らかのリアクションや発信を行うこともできます。
スケジュール管理
チームや関連部門のメンバーのスケジュールを、ブラウザから一覧で確認できます。メンバーの予定を把握することで、打ち合わせの日程を決めたり、上司が不在の時間を把握したりすることができます。
プロジェクト管理
プロジェクトの進捗状況や参加メンバー、現在のタスクの担当者を確認できます。状況を全員で共有できるため、遅延や抜け漏れが起きにくくなります。また、プロジェクトメンバーだけのチャンネルを作ってチャットを行ったり、定期ミーティングのスケジュールを繰り返し申請したりと、複数のツールを連携して密なコミュニケーションが可能です。
勤怠管理
社内ポータルにログインした時点でタイムカードを打刻したものとみなして、勤怠管理に使うことができるツールもあります。特にテレワークにおいてはタイムカードへの打刻ができないため重宝するでしょう。また社員のログ情報は自動的に集計されるため、コーポレート部門の負荷を大きく軽減できます。
社内ポータルの用途の設計
そうした機能を用いて、社内ポータルによる社員同士のコミュニケーションをどのように支援していくのか、その用途の例をご紹介します。
組織の壁を越えた社内コミュニケーションの円滑化
企業全体として共有すべき価値観や前提となる経営情報、問題認識が伝えられることによって、社員間の議論や会話について、より有意義に、効率的になることが見込まれます。また特に社員にとって見えづらい、他部署の状況や他プロジェクトにおける動きや状況が少しでも共有されることによって、問題解決にあたるときの相談先が明確になるでしょう。
また、社内ポータルサイトに掲載された情報を共有することで社内の問い合わせの頻度が減る効能もあり、人事・総務部の業務負担が減ることはもちろん、現場レベルでの質問のやり取りも簡潔に案内しやすくなります。
情報取得の効率アップ
社内ポータルによって社内で分散していた情報を一箇所に集め、共有することで業務効率が向上することもメリットです。ことあるごとに社員同士で伝達する手間が減り、業務に必要なファイルを探し回るといった状況を回避することができます。業務効率が向上することで時間的な余裕ができると、確保した時間を他の業務に充てることができるため、人員のリソースをより効率的に割り振ることができるでしょう。
従業員のモチベーション向上
組織の情報がフラットに全社に共有されることで、社員が戦略の推進のために何をすべきか、目的やアクションを明確に持つことに繋がります。また、個人のキャリア開発に資する情報、市場や社会から自社への期待、業界における優れた事例の共有、自社が直面するピンチやチャンスなどの情報を発信することにより、社員のモチベーションも向上します。
テレワークにおけるオンラインコミュニケーションの支援
自宅や職場を問わずにインターネットを介して利用できる社内ポータルは、テレワークのような遠隔業務の促進にもなります。テレワークにはコミュニケーション不足に陥りやすいという問題がありますが、社内ポータルの活用によって距離的に離れていてもコミュニケーションが取りやすい体制を整えることができるでしょう。また、必要な情報も社内ポータルで共有できるので、資源やコストを抑えられるペーパーレス化も社内で促進することができます。
社内ポータルサイトを構築する際のポイント
目的・用途そして機能を踏まえ、実際に自社で構築する際のポイントを7つにまとめました。
社内の多様な観点からポータルサイトが解決する課題を定義する
社内ポータルを取り扱う部署としては、情報システム部(IT推進部)が最も多く、次いで人事や総務が担うことが多いでしょう。そうした際まず議題に挙がるのはITツールやセキュリティに関する通知、勤怠や承認・申請などの仕組みの実装などです。その他にも、オンラインとオフラインのハイブリッドワークにおける重要な社員の共通基盤として、組織課題の解決に資するコミュニケーションを社内ポータルに組み込むことも重要です。チームの中に、社内広報を担うメンバーや経営企画、SDGsなど経営テーマの推進を担うメンバー、バックオフィスでなく事業側のメンバーが参画することも増えています。社内ポータルサイトの構築を大人数で議論することが出来ない場合でも、何らかの形で様々な観点からの意見を取り入れることが重要です。
組織課題の解決のための情報発信をはかる
ブラウザを立ち上げて最初に開かれるポータルサイトは、社内でもっとも見られやすいWebサイトであると言えます。閲覧率の高いメディアとして、社員の行動変容に繋がる情報の発信に活用できます。組織課題や事業課題を踏まえ、注力するテーマを決め、それに合致するコンテンツを制作しましょう。具体的な事例では、「自律的なキャリア開発」を標榜し、社内でのキャリアパスに関する情報発信のサブサイトを設け、そこから人材開発に関する学習コンテンツへと誘導するものや、経営計画やビジョンの解説、SDGsやDXなどに関する社内の取り組みを紹介するコンテンツなどが多くの会社で発信されています。業務に必要なツールとしてだけでなく、社員と共有したい情報の設計にも気を配ってみてください。
見つけやすく適宜に分類された情報の配置
社内ポータルサイトを利用して効率のよい作業を送るためには、社内に点在するさまざまな情報やドキュメント、リンクや帳票などが社内ポータル内でどこにあるかをすぐにわかるように設計する必要があります。目的別(休暇取得や人事制度の確認、相談窓口)、発信元別(人事部発、広報部発)など、さまざまな分類の方法があるので、ポータル設計の際にはユーザーヒアリングを行いましょう。どんなニーズでポータルにアクセスすることが多いのかなどを聞き出し、ユーザー中心で情報設計を行うことが重要です。
セキュリティ意識の強化
社内ポータルには社員の個人情報をはじめ、取り扱いに注意が必要な情報が集約されるでしょう。情報漏洩を防ぐためには社員への注意喚起が必要です。現在ではテレワーク推進期ということもあり、社員の自宅や外出先からのアクセスも予測されます。「テレワークで使用しているPCを他人と共有しない」、「公共の場所でPCを開いたまま席を立たない」など、社員のセキュリティ意識の強化に努めましょう。
参考:テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項(独立行政法人情報処理推進機構)
コミュニケーションの場を整理する
社内ポータルでチャットツールや掲示板を導入できても、それがどんな目的で設置され、どう使われるべきなのかを明示しておかないと、場が荒れたり過疎化したりします。コミュニケーションツールを社内ポータルに設置する際は、どのような場にしたいかを整理してから実装しましょう。
社内に定着する社内ポータルの条件
多くのサイトがそうであるように、社内ポータルもリリースして終わりではありません。サイトにとって最新情報の掲載は不可欠です。特に社内の情報は古いものが混じっていると混乱を招いたりトラブルの元になったりします。「ここへ来ても最新情報が得られない」と社員が感じるようになると、社内ポータルにアクセスしなくなってしまうため要注意です。社内に定着する社内ポータルの条件を見ていきましょう。
使われやすいデザインとインターフェースが採用されている
社内ポータルにどんなに便利なツールと情報が集約されていても、表示されたページが見にくかったり動線がわかりづらかったりすると、思ったように利用されないケースがあります。 社内ポータルのようなサービスのデザインは、UI(ユーザー・インターフェース)を指しています。UIは、ユーザーと物やサービスの接点(インターフェース)を意味しており、社内ポータルをPCで閲覧した場合のページの構成や、メニューの項目・並び順、文字の大きさやフォント、色使い、ボタンのデザインなど、画面上に表示される情報全てがUIを構成する要素にあたります。社員に社内ポータルを日常的に利用してもらうには、UIのわかりやすいデザインが重要になります。直観的に操作ができ、どこに何のツールや情報があるのかすぐにわかるように構築することが大切です。まずは前項で説明した情報設計をもとにUIを決めていきましょう。
また社内ポータルは作って終わりではなく、社内コミュニケーションやビジネス潮流の変化に併せて、小さなブラッシュアップを行う必要があります。ポイントは小さく変化させ続けることです。急に大きく変更された社内ポータルは社員が適応できず、逆に非生産的なツールとなってしまいます。
上記のことから社内ポータルは、小さな変更ができるツールや、機能アップデートが計画されているツールを選択することが重要になります。さらに最近ではスマートフォンでのWebサイト閲覧も当たり前になっているので、モバイルデバイスにも最適化されたデザインが必要になります。自社でアイデアが浮かばない場合は、社内ポータルの構築実績が豊富な協力会社に相談することでスムーズに制作が進みます。
情報発信の際のテンプレートを用意する
情報発信のテンプレートを用意しておくと、発信する側の時間短縮になるだけでなく、閲覧する側にとっても見やすいポータルサイトを保つことができます。見やすく更新しやすいテンプレートを開発し、活用していきましょう。
社員のセキュリティ意識の向上を図る
社内ポータルを定着させるためには、社員の一人ひとりが情報の価値・リスクを正しく判断し、状況に応じた行動を考えるような意識を醸成していきましょう。昨今の社内ポータルは外出先からクラウド経由でアクセス可能です。そのため、自宅や立ち寄った場所でパソコンやスマートフォンを開いて閲覧や書き込みができます。これはすなわち、第三者に見られる危険性が非常に高いということです。また、交通機関内で社内ポータルを見ながらうっかり話した内容が機密情報にあたることも考えられます。とはいえ、仕事にスマートフォンなどモバイル機器を用いることももはや当たり前となり、そのおかげで利便性も大きく向上しています。「セキュリティ」を縛りすぎて何もできなくなってしまうのでなく、社員のセキュリティ意識の向上を図るための研修会などを用いると良いでしょう。
将来的なポータルの理想像「デジタルワークプレイス」
社内ポータルは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進とともに、より注目が集まっています。これを具体化したものが「デジタルワークプレイス」です。デジタルワークプレイスとは、業務に不可欠なツール群や各種情報、コミュニケーションツールをオフィスからクラウド上に移行し、マルチデバイスでアクセス可能にするものです。インターネットに接続さえできれば時間や場所を問わずに業務や業務上のやりとりができるので昨今のテレワーク時代に即した働き方を実現するビジネス戦略です。今まで実際のオフィスでやってきたことを、できるだけそのまま、あるいは効率をさらに高めながら、WEB化していくという試みのため、「紙業務の電子化」の更に次の段階と言えるでしょう。気軽に使えるWEB会議ツールや、共同編集可能なPowerPoint、Excelファイルなども、デジタルワークプレイスの考え方に基づくものです。
その他、集合研修や、情報発信の掲示板といったものもWEB化が可能ですし、中にはもっと細かな、「ドアを開け、違う部署の〇〇さんに声をかける」といった動作をWEB化しているアプリケーションもあります。できるだけストレスなく、また本来リアルの場であった細やかなコミュニケーションをも、デジタルの世界に反映していくツールの開発が各社で進んでいます。具体例として、Microsoftがデジタルワークプレイスの実現に向けた開発を進めています。アプリケーションの「Teams」への統合や、SharePointのVR対応により、TeamsからあらゆることができるようになったのでVR化した社内ポータルが作られ作れるようにもなるそうです。これにより、社内ポータルで実現できることの幅がより一層広がっていくと考えられます。
まとめ
社内ポータルとは社員同士のコミュニケーションを円滑化させるツールであり、その副次効果として業務の効率化・社員のモチベーションの向上・テレワークの促進といったメリットが起こるとお伝えしました。情報を一箇所に集めるため、社員同士で共有されていない情報を最小限に抑えられる効果もあります。また社員ポータルには、ワークフロー申請や勤怠管理といった、勤務する社員の業務外の手間を簡素化してくれるメリットもあります。経費の精算やタイムカードの打刻が社内ポータルでできるのは、多くのビジネスパーソンにとって小さなストレスから解放される意味があります。これまでアナログで行っていた細かな作業を省ける点も、社内ポータルを運用するメリットです。
社内ポータルはあくまでも社員が業務進行のために活用するツールであり、ただ導入してもメリットを引き出せずに社員が使わなくなってしまう可能性も高いでしょう。大切なのは社員同士のコミュニケーションを円滑化するゴールを見失わず、社員が業務を進行させる際のニーズに合わせながら、社内ポータルの機能を更新していくことです。適切にアップデートを繰り返した社内ポータルは社員に定着し、業務のスムーズな進行を手助けしてくれることでしょう。
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