2021.02.25
社内ポータルサイトの導入成功事例 役割や社内情報共有ツールとの違いなど
目次
働き方の多様化に伴って、社内ポータルサイトに注目が集まっています。全ての社員が同じ場所で働くことが当たり前ではなくなり、情報共有のタイムラグや社内コミュニケーション不足が目立つようになったことから、効率的に社内の情報を一元化できる社内ポータルサイトは非常に効果的です。
本記事では、社内ポータルサイトの役割や、導入に成功した企業の事例を交えて解説していきます。
社内ポータルサイトとは?
「ポータル(portal)」という言葉が「玄関」や「入り口」を意味するとおり、ポータルサイトは情報にアクセスする入り口の役割を持つサイトです。その企業版が社内ポータルサイトとなります。
社内ポータルサイトの概要
社内ポータルサイトは、社内のさまざまな情報を集約したサイトです。一般的なポータルサイトと異なり、イントラネットを通じて社員だけがアクセスできます。
社内ポータルサイトとその他の社内情報共有ツールとの違い
社内ポータルサイトと似たツールとして、グループウェアや社内掲示板、社内SNSなどが挙げられます。社内ポータルは情報共有としての役割を第一に持ちますが、これらのツールは目的が異なります。
グループウェア
グループウェアにはスケジュールやメッセージ、勤怠管理など社内ポータルと同じ機能もありますが、基本的には「業務効率化」を目的としたツールです。
社内SNS
社内SNSはFacebookのようなSNSサービスを社内限定で利用できるツールです。コミュニケーションの活性化に主眼が置かれている点で社内ポータルサイトと異なります。
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社内掲示板
社内掲示板も社内SNSと同じくコミュニケーション活性化を目的としたツールです。トピックごとにスレッドを立ててその中で各話題を広げていくシステムになります。
社内ポータルサイトでできること
社内ポータルサイトでは上記で挙げた他のツールと同じこともできますが、基本的には社内のさまざまな情報にアクセスする「入り口」であるという考え方をするとわかりやすいでしょう。
情報を一元管理
会社から発せられる情報を、社内ポータルサイト上で一元管理することができます。“ペーパーレス”の実現に一役買うことの他、社内の最新の情報を一か所に集めることで、社員の情報取得や、業務を効率化することができます。また、一つの社内ポータルサイトを全社で閲覧できるようにし、各部署の状況をリアルタイムに共有することで、他部署との連携を密に、情報伝達の効率を向上させることもできます。
情報を一元管理する機能としては、以下のようなものがあります。
- スケジュール管理機能
- プロジェクト管理機能
- ファイル共有機能
例えば個々の社員がスケジュール管理機能を活用し、日々のスケジュールやタスクを入力すれば、チーム内で打ち合わせや会議をしたいときに調整が容易です。プロジェクトごとに管理できるシステムを整えれば、誰がどのタスクを進めているのか、進捗状況はどうなのか、都度個人に確認する必要がなくなります。オンラインでファイルを共有すれば、リモートワーク環境でもプロジェクトを進めることが可能です。全体の進行状況や課題が可視化され、チームとしての一体感も生まれます。
申請機能
いわゆる「ワークフロー」と呼ばれるもので、グループウェアに搭載されていることもあります。各種申請手続きをオンラインで行うことで、ペーパーレス化をもっとも効果的に推進できる部分です。申請処理も紙ベースで行っていたころより迅速に進み、社内の問い合わせ対応の工数も削減できます。
申請機能としては、以下のようなものが考えられます
- 勤怠管理機能
- ワークフロー申請機能
例えば社内ポータルにログイン・ログアウトの時間を記録すれば、勤怠管理を行えます。リモートワークでタイムカードが押せない環境では、大いに役立つでしょう。また経費や交通費の精算、稟議など各種申請を社内ポータルサイト上で行えば、決裁が滞っている場合にはどこで止まっているのかも一目瞭然です。処理を促すことで、決裁もスムーズに進みます。
コミュニケーション機能
社内で情報を交換したり共有したりするために役立つ、コミュニケーション機能です。経営層から社員へメッセージを配信し、それに対して社員がコメントしたり、社員同士が情報を持ち寄ったりと、オフラインのコミュニケーションを補完する形で用いられます。
また大企業では普段接点のない他部署の社員同士が触れ合う、いいきっかけになるでしょう。
コミュニケーション機能としては、以下のようなものがあります。
- 掲示板機能
- コミュニケーションツール
コミュニケーション機能としてよく活用されるのが掲示板機能です。社内で共有したい情報を掲示板に投稿することで社員に広く周知できます。疑問や質問があるときも、部署が違う相手に直接電話や対面で問い合わせるのは手間でも、掲示板なら気軽です。
チャット形式のコミュニケーションツールも、情報交換には便利です。メールほど形式張っていないこと、普段の生活でチャットツールを使っている社員が多いことから利用に対する社員のハードルも低く、業務連絡はもちろん社員同士のコミュニケーション活性化にも役立ちます。
これからの社内ポータルサイト
これまでの社内ポータルサイトは、デジタルの波に取り残されないよう、既存業務のプロセスをデジタル化することに主眼を置く企業が多かったのではないでしょうか。しかし社内ポータルが果たすべき役割は、単なるデジタル化に留まらず、さらに広がっていくと考えられます。
ここでは社内ポータルサイトで実現できることを3つ紹介します。
スピード感のある情報共有
市場の中で厳しい競争を生き残るには、スピード感のある情報共有と、迅速な意思決定が欠かせません。例えば何かを急ぎで決裁する必要があるのに、決裁者が出張から戻るまでできない、必要な情報を必要な人に届けるのにいちいちメールを打たなければならないようでは時間がかかるばかりです。
社内ポータルサイトは複数人との同時コミュニケーションを実現し、時間も場所も問いません。さらにチャットツールなどを使うことで部署や肩書きといったコミュニケーションのハードルを下げ、今までのやり方を打破すれば、情報共有のスピードをさらに加速化できるでしょう。
ノウハウの蓄積、業務効率化
社内ポータルには、社員が持っているノウハウやナレッジを1箇所に蓄積していく役割もあります。多くの企業ではノウハウやナレッジは社員「個人」が所有しています。経理のことはAさんに、システムのことはBさんに、と属人化する傾向があるのです。
しかし働き方が多様化し、人の入れ替わりは頻繁になりました。長く働いているベテラン社員も、いつ離職してしまうかわかりません。そのようなときでも、ノウハウやナレッジが社内ポータルサイトに積み上がっていれば、新しい社員が入っても、戸惑うことなく業務を進められるでしょう。多くの人がノウハウやナレッジを共有することで、さらに内容が磨かれれば、業務効率化にもつながります。
働き方改革
社内ポータルサイトは、働き方改革にも役立ちます。社内ポータルが整備されると、社員はいつでも、どこからでも、会社の情報にアクセスが可能です。「会社でしかできない」ことが減り、勤怠管理も容易に行えるので、社員は時間や場所を問わずにさまざまな働き方を選択できるようになります。
働き方改革を進めると企業としての魅力が増し、人材が定着しやすくなるメリットも得られます。企業イメージが上がることで、優秀な人材の獲得も期待できるようになるでしょう。
社内ポータルサイトの運用を成功させるポイント
社内ポータルサイトを、単に業務のデジタル化や業務の効率化を進めることだけを目的に、導入する企業も少なくありません。しかし社内ポータルサイトは、むしろ社内のコミュニケーション活性化や働き方改革を実現させるソリューションとして導入することをおすすめします。
ここでは社内ポータルサイトの運用を成功させるポイントを、3つ紹介します。
パーソナライズ機能を搭載する
社内ポータルサイトは、パーソナライズ機能を搭載したものを選ぶことが成功のポイントです。パーソナライズ機能とは、社員個人が使いやすいようにカスタマイズできる機能のことを指します。
情報がすべて一元化されていても、社員が自分で探しにいかなければならないようなシステムだと、必要な情報が必要としている人に届かない恐れがあります。かといってすべての情報を表示しても、自分に不要なものばかりが表示されて不便です。
パーソナライズ機能が搭載されていると、社員は自分が所属している事業所や部署、参加しているプロジェクトの情報だけを表示できるようになります。自分に直接関係のある重要な情報の共有漏れがなくなり、社内ポータルサイトを効率的に活用できます。
モバイル対応させる
社内ポータルサイトの運用に成功するには、モバイル対応させることも重要です。もともと社内ポータルサイトは、社内での運用が前提とされていて、モバイル対応する必要性は高くありませんでした。
しかしリモートワークの急速な普及、働き方改革による働き方の多様化により、社員全員が同じ時間に出社して働くことはもはや当たり前ではなくなりました。社員がどこで、どの時間に働いても対応できるよう、社内ポータルサイトも変革を求められています。
すべての社員やパート、アルバイトにまでパソコンを供給できる企業は多くないでしょう。社員がどこからでもアクセスし、必要な情報を入手できるように、そして会社から必要な情報を届けられるようにするためには、モバイル対応は必須です。
従業員の評価を調査し、反映させる
いくら高機能の社内ポータルサイトを作成しても、使い勝手が悪いなど、従業員の満足度が低ければやがて使ってもらえなくなってしまいます。そのような事態を避けるためには、従業員にポータルサイトを評価してもらい、不満点を改善していくことが重要です。
そのためには定期的な調査を実施する、匿名でフィードバックできるフォームを設置するなど、従業員が意見しやすい環境を整えることが必要です。
社内ポータルサイトの成功事例
ここからは、社内ポータルサイトを効果的に構築した企業の事例を4社紹介します。
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社は、散在していたデータを整理してすべてを社内ポータルサイト「Global Portal」からアクセスできるようにすることで、「情報の探しやすさ」を実現しています。
同社の社員は出社するとまず社内ポータルサイトを立ち上げて、メールチェック、経費処理、社内決済などの業務に入っていきます。あちこちに点在するツールを起動しなくても、社内ポータルサイトひとつで業務を始められることは情報集約の点で極めて優れているといえます。
さらに「Global Portal」では、送り手である会社都合の情報発信ではなく、各部門が自発的に情報を取得する「プル型」の情報共有を実現しています。これにより、社員が「アクセスしよう」と思える社内ポータルサイトになっている点も成功の鍵といえるでしょう。
同社はこの社内ポータルサイトの運用によって、社内規程・手続きに関する問い合わせなど、管理部門の問い合わせ工数の大幅な削減を実現しました。
株式会社東横イン
同社は2016年に、今後30年の成長ビジョン達成に向けて、クラウドを活用した社内ポータルサイトを中心とした社内の情報共有基盤を全面的に刷新しています。
社内公募によって「T-net」と命名された東横イングループの社内ポータルサイトは、全社員がパソコンのブラウザを立ち上げると最初に表示されるようになっています。社内で必要な各種申請書類を全文検索機能で探せるほか、リンク集、ワークフロー、新入社員へのトレーニング用映像コンテンツや接客マニュアルなどを一元化しました。
毎月600〜700件あったFAXを今では全てなくすことができ、大容量の動画コンテンツも容易に全社で共有できるようになっています。
社名非公開①事業部ソーシャルの立ち上げ
営業力強化と顧客満足度向上が課題となっていた同社では、顧客の最前線に立つ営業部門とサービス提供部門、バックヤード支援部門からなる社内バリューチェーンとが分断されているために十分に情報共有できていないことが課題でした。
そこで、新たなコミュニケーションプロセスとして社内ポータルサイトを立ち上げ、その中で全社がコミュニケーションを行える基盤を構築しました。はじめは主力営業部門にトライアルで導入し、当部門でコミュニケーションのありかたに変容が起きたことを実証。そのうえで2カ月ごとに各部門へと順次導入を図り、全社で社内コミュニケーションスタイルの変化を実現しています。
社名非公開②事業部ポータルサイトの再設計
業務システムの老朽化に伴って、Googleが提供するG Suite(現Google Workspace)を新たに全グループへ導入することが決定した同社では、G Suiteの機能をフル活用することで、以前のWeb社内報よりもインターナルコミュニケーションの効果が高い社内ポータルサイトの構築を実現しています。Google Workspaceは優れたグループウェアですが、GoogleサイトはSaaS商品のためデザインや機能を独自開発することが難しいため、再現不可能な部分は他の社内メディアや運用でカバーできるように運用フロー・運用体制を設計していったことが成功の要素であったといえます。
将来的なポータルの理想像「デジタルワークプレイス」とは?
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴って、社内ポータルは昨今になってさらに注目を集めることとなりました。これを具体化したビジネス戦略が「デジタルワークプレイス」です。
デジタルワークプレイスとは、社員の日常業務に欠かせないツールや、会社から周知すべき情報、チャットやSNSといったオンラインでのコミュニケーションツールをオフラインからオンライン上に置き換えて、すべてのデバイスでアクセスできるようにすることで、インターネットに接続すればいつどこにいても作業ややりとりができるという、新たな働き方を実現するビジネス戦略です。
参考記事:デジタルワークプレイスで実現できる働き方改革とは?
デジタルワークプレイスの具体例としてはMicrosoft社の取り組みが挙げられます。全ツールの「Teams」への統合、VRに対応したSharePointによって、すべての作業がTeamsから始められるようになり、VR版の社内ポータルサイトが構築できるようにもなります。まさに、デジタルトランスフォーメーションを具現化したソリューションといえるものです。
まとめ
働き方改革だけでなく、新型コロナウイルスの感染対策も相まって、社内の情報共有効率化は今後もトレンドとして続いていくでしょう。また、DXの観点からもクラウドベースの社内ポータルサイトの導入はほぼ必須といえます。
社内ポータルサイト導入を検討されている企業様は、導入支援の実績が豊富なソフィアまでお気軽にお問い合わせください。
関連事例
よくある質問
- インターナルコミュニケーションとは何ですか?
社内やグループ会社内など、同一の組織内における広報活動のことです。「社内広報」や「インナーコミュニケーション」とも呼ばれ、社内報や社内セミナー、対話集会などを通して、社内におけるコミュニケーションを活性化する活動全般を指します。
こうした活動は、組織の価値観や文化に対する社員の知識・理解を深めることにつながります。会社のビジョンを外部に向けて主体的に発信することのできる社員を育成し、組織全体を良い方向へと導く取り組みとして、インターナルコミュニケーションが行われます。
- 社内ポータルサイトとは何ですか?
社内のさまざまな情報を集約したサイトです。一般的なポータルサイトと異なり、イントラネットを通じて社員だけがアクセスできます。
- 社内ポータルの機能一覧は?
社内ポータルサイトには多くの機能があります。一般的には、以下のような機能を持っています。
1. 社内ニュースの配信
2. 社員の連絡先や組織図の共有
3. スケジュール管理や会議の予定調整
4. ファイル共有やドキュメント管理
5. 社員の勤怠管理や給与明細の閲覧
6. お知らせやアンケートの配信
7. 社内イベントや研修の情報共有
8. FAQや操作マニュアルの閲覧
9. 社員のスキルや業務実績の共有
10. 社員のアンケートやアイデアの投稿
株式会社ソフィア
システムコンサルタント
山口 孝弘
新規システム導入時や、既存システムのリプレイス時などのシステムコンサルティングが得意です。Microsoft365の利活用支援やSharePoint上へのポータルサイト、WEB社内報の構築をお手伝いします。
株式会社ソフィア
システムコンサルタント
山口 孝弘
新規システム導入時や、既存システムのリプレイス時などのシステムコンサルティングが得意です。Microsoft365の利活用支援やSharePoint上へのポータルサイト、WEB社内報の構築をお手伝いします。