組織変革のプロセスやフレームワークとは?

企業が時代の変化に合わせて時代とともに成長するには、組織の変革が欠かせません。世の中の急速な変化が常態化している昨今、それに合わせて企業が変化し続けることは成長し続けることと同義です。具体的にどういったプロセスを経てどのように実施していくべきなのか、頼りにすべきフレームワークや、成功のポイントも交えながら解説していきます。

組織変革とは

組織変革とは、組織の文化や風土、構造や運営方法を抜本的に変え、改善していくことを指します。

組織変革が必要となる背景

時代の流れや内外環境の変化など、ビジネスシーンに変化が訪れたときは企業に組織変革が必要となります。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)、SDGs(持続可能な開発目標)、働き方改革、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策と変化の内容はさまざまです。M&A、産業政策といった変化もあるでしょう。

また、内部環境の不具合によっても組織変革が必要となる場合があります。
具体的には、組織が大きくなったときや不祥事が発覚したとき、社内の制度疲労や離職の増加などです。組織が急成長したタイミングには、組織の構造や運営方法に綻びが生じやすい時期であるためです。さらに、不祥事が発覚した際にも、現状のままでは同様の事態を再度引き起こす可能性があるため、再発防止に取り組む姿勢を社外に対して見せるためにも組織変革を行う必要に迫られるでしょう。

組織変革の代表的なプロセス

本記事では、組織変革の代表的なプロセスとして、クルト・レヴィン氏の3段階組織変革プロセス、ジョン・コッター氏の8段階組織変革プロセスを紹介します。どちらも組織変革への取り組みのヒントにつながるものです。

クルト・レヴィンの組織変革3つのプロセス

クルト・レヴィン(Kurt Zadek Lewin, 1890〜1947)はドイツ生まれの心理学者で、ゲシュタルト心理学を社会心理学に応用したトポロジー心理学を提唱したことで有名です。そのことから、社会心理学の父と呼ばれる人物でもあります。

レヴィンが提唱した組織変革プロセスでは、①旧来の方法、価値観を壊し(解凍)、②変化させ(変革)、③新たな方法、価値観を構築する(再凍結)という3段階のプロセスが必要であるとしています。
組織変革のプロセスをこれ以上シンプルに定義した内容はなく、簡潔で明瞭なため、今でも多くの組織変革の現場において参照されています。

第1フェーズ:解凍

組織における既存の文化や価値観、作業プロセスや組織体制を「解凍」します。これによって、新たな組織づくりに向けた準備を始めていきます。

第2フェーズ:変革

新たなプロセスや文化を根付かせるために、組織の構成員が「学習」していくフェーズです。変革の必要性を認識しただけでは変革はなし得ません。実際にそれぞれが担う役割を学んでいきます。

第3フェーズ:再凍結

組織や構成員が以前の状態に戻ろうとすることを防ぐために、定着や習慣づけをしていくフェーズです。これにより、変革によってもたらされた変化を長期間維持していくことができます。

ジョン・コッターの組織変革8つのプロセス

ジョン・コッター(John Paul Kotter 1947-)はハーバードビジネススクールの松下幸之助記念講座名誉教授であり、経営コンサルティング会社のコッターインターナショナルの創設者です。
コッター氏も組織変革のプロセスを提唱しており、「組織変革8つのプロセス」と呼ばれるこのフレームワークは、日本でBPRや大規模システムの導入が進んだ1990年代後半に、システム変革と併せてよく使われました。

危機意識を高める

自社にとっての危機を検討することで、危機意識を生み出すことができます。自社の危機は前述のとおり内外の要因に分類されます。外部的な要因は市場の変化や競合他社の台頭などです。また内部的な要因は社員の不祥事や相次ぐ離職問題などです。これらが変革を成功させる一歩です。

変革を推進するチームを築く

十分な力量と専門性を備えた、変革の担い手を集めます。

ビジョンと戦略を策定する

自社を変革に導くために、企業にとっての「ありたい状態」「ありたい姿」とそれを体現するための戦略を策定します。

ビジョンを周知徹底する

あらゆるチャネル(社内報、イントラネット、動画配信など)を通じてビジョンを社内へ周知徹底します。

社員の自発を促進する

障害となる組織構造や業務プロセスを取り除くことで社内の規制力を排除し、自発的な行動を推進します。

短期的な成果を上げる

短期間で目に見える成果を上げられる計画を立てて実際に成果を出し、それを弾みに次の成果を続々と上げていきます。

成果を生かしてさらに変革を推し進める

短期的な成果をいくつも上げると、その変革の正当性について社員の理解を得られるようになります。変革に正当性があることを示すことができたら、さらに大きな変革の着手へと駒を進めていきます。

新しい方法を企業文化に定着させる

これまでに実現した変革を企業になじませ、新たな企業文化を作り出します。

不確実性時代に組織変革を行う際のポイント

現代は社会の変化を予測しづらい「不確実性(VUCA)時代」と呼ばれています。新型コロナウイルスなどの疫病流行もVUCAに該当します。

  • V:Volatility(変動性)
  • U:Uncertainty(不確実性)
  • C:Complexity(複雑性)
  • A:Ambiguity(曖昧性)

ジョン・コッター氏の第1プロセスで「危機意識を高める」とありましたが、不確実な時代の中で便乗するように行われた危機感醸成や現状否定による組織変革は、次の組織変革において大きなハードルとなるほか、変革疲れをもたらします。

トップダウン型の限界

組織が意思決定を行う方針にはトップダウンとボトムアップとがあります。トップダウン型の組織では、組織の上層部、すなわちトップが意思決定を行い、従業員はそれに従います。対してボトムアップは、現場の従業員から上がった意見をもとに意思決定を行うものです。
従来の日本企業はトップダウン型の組織がほとんどでしたが、トップダウンはあくまでトップに求心力があるという前提で成り立つ経営方針です。トップに力がなければ意思は下層に伝わらず崩壊します。不確実な時代においてトップが変化を見通して明確なビジョンを描くことが難しくなっているいま、企業はボトムアップ型へと変革を果たすべきです。

面従腹背の壁

トップには従っている部下が、内心では会社に対して反発心を持っているということもしばしばあります。これを面従腹背(めんじゅうふくはい)と呼びます。ただ「組織変革をしろ(すべき)」と社員に対してトップダウン方式で命令しても、それだけでは社員にとってその組織変革にどんな大義・意義があり、将来どんな価値が創出されるのかがまったく見えません。こうした状態では、「組織変革で何をなしたいか」という考えに社員が思い至らず、内心面倒だと思いながらとにかく「言われたままをただやり続ける」だけの面従腹背が起きてしまいます。もっとひどい状況では、変革疲れやマンネリ化を産み、変革事項について社員が抜け道や対策を考え出すという現象もあります。

社会に抜け道がなく、社内でも社員にこうした面従腹背の態度があり、社内外ともに解決の道筋を見出せない状態においては、変革の規模を縮小するほかありません。組織変革を行う場合、こうした見極めも重要です。

学習中心のサイクル

社会の不確実性が高い状況においては、成し遂げた変革や改善もしくは、あるべき姿やビジョンそのものも確実でないという前提があります。つまり、今日までに行った変革が、明日には改悪になっている可能性を十分にはらんでいるということを意味します。
組織の変革が常態化する現在、「組織が変化した」という成果だけに着目していては、社員は一体何が正しくてどのような行動をとるべきか迷い、やがて組織は立ち行かなくなります。そのため、変革のプロセスにおいて企業や社員が何を学習し、どう成長したかという組織学習に目を向けて変革のサイクルを回していくことが重要です。もし変革が失敗に終わったとしても、学習や経験は価値として残ります。学習や成長に着目せず、変化への対応だけを目的として企業変革を持続させることは不可能と言ってもよいでしょう。

組織変革のフレームワーク

コンサルティング業界で有名なマッキンゼー・アンド・カンパニーのウォーターマン氏とピーターズ氏が提唱したフレームワークとして「7S」があります。
これらはどれが最も重要か、という話ではなく7つ全ての整合性が取れている必要があるというモデルです。組織の全体像を把握すること、それぞれの要素の関係性を把握する際に効果的です。

マッキンゼーのフレームワーク「7S」(整合性モデル)

企業にはハードな経営資源3つとソフトな経営資源4つ、計7つの経営資源があり、これら7つの経営資源をもとに、企業にとって最適な経営戦略を考えることができるというものです。

ハードのS(組織の「構造」に関するもの)

  • 戦略(Strategy):事業の方向性
  • 組織(Structure):組織形態、組織構造
  • システム(System):組織の管理システム、情報システム

ソフトのS(組織の「構成員」に関するもの)

  • 価値観(Shared Value):会社で共有されている価値観
  • スキル(Skill):技術や営業力、マーケティングなど組織が持つ能力
  • 人材(Staff):構成員個々が持つ能力
  • スタイル(Style):組織文化、組織風土

組織変革の成功に欠かせないポイント

これまで、組織変革のプロセスやフレームワークについて紹介してきました。ここまでの解説を踏まえると、組織変革とは主に「組織内の個々人の力をいかにして統合していくか」という取り組みであるということに、お気付きでしょうか。
ここからは、組織変革を成功させるために欠かせないポイントについてもあわせて解説します。

社員の納得感を得るためのコミュニケーション

クルト・レヴィン氏は、組織変革の第1フェーズである「解凍」において、現状を維持しようとする抑止力が働くことを指摘しています。従来の価値観や組織のあり方を変えようとする変化の推進力が大きくなるほど、組織内に不安が広がって抑止力も増大します。
このためトップ層は、なぜ組織変革が必要であるかをしっかりと納得させ、組織変革への不安を軽減しながら推進を図っていく必要があります。

現場管理者の変革意識

株式会社セルムの行った調査によれば、組織変革が成功した要因として「経営者・役員の本気度」「変革のリーダーの存在」に次ぎ、「現場管理者の変革意識」が3位になっています。トップ層とボトム層については着目されがちですが、ミドル層も含めた三層をそれぞれ同時並行に進めていくことが成功の鍵です。

変革のリーダーの存在

変革を推進するには、担い手となるパワフルなリーダーの存在が不可欠です。変革を主導するスキルだけでなく、人脈や人望、権限を持った人材であることが望ましいといえます。

学習中心のPDCAサイクル

不確実性の時代における組織変革では、あるべき姿やビジョンそのものが仮説であり、そもそも成功を前提に考えるべきではありません。前述したように、今日上げた改善が明日改悪と化している可能性が大いにあるということです。
変革の実践にとって重要なのは不確実な結果ではなく、そこで得た学びです。それらは企業や人の価値として残り続けます。この学習をPDCAサイクルとして回していくことで、企業は変革活動を持続できるのです。

まとめ

本記事でご紹介したとおり、昨今の組織変革は一筋縄ではいかないものになっています。良い方向に舵を切れているかどうかの判断すら難しい状況の中、組織変革を得意とする協力会社の目で、現状の健康診断をするのもよい手でしょう。組織変革に多数の実績を持つソフィアでも、企業様のご相談を承っております。お気軽にご相談ください。

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