2021.06.23
【組織文化の実例10選!】企業の発展を左右する組織文化の重要性も解説!
目次
組織文化とは、具体的にどのようなものかを明示することが難しい概念です。しかし、組織文化は企業の成長や持続性を左右するほどに重要な要素でもあります。組織文化についてより深く知ることで、自社により良い組織文化を形成するためのヒントが得られるかもしれません。
本記事では、有名企業の組織文化を10社ご紹介して解説します。
組織文化とは?
組織文化とは、組織の構成員間で共有された考え方に基づく、組織全体の行動原理や思考様式です。すなわちこれは、組織の中で共有された行動原理や思考様式といえます。社風といわれることもあります。
組織文化について考える上では、1997年にナドラーとタッシュマンが提唱し、経営学の基礎理論となっている「コングルーエンス・モデル」が参考になります。このモデルでは、組織は「組織文化」に加えて、「実行課題(戦略を実行するカギ)」や「組織の体制・構造(仕事上の仕組み・手順などを含む広い概念)」、「人材(どんな知識や経験・スキルを持った人材がいるのか)」の整合性がとれている(=アライメントがとれている)ことではじめて機能し、成果を生み出すことができると定義されています。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
わかりやすく言い換えると、組織文化は、企業の戦略やビジョン、仕事の進め方、システム(組織構造やルールなど)、人財といった要素と整合性が取れている必要があるということです。
例えば、ガス会社や電力会社には、顧客へ確実にエネルギーを提供する仕組みやルールが必要です。製薬会社には、信頼性や品質を保証する仕組みが必要です。間違いが許されないサービスや製品を提供している企業は多くあり、それらの企業の多くは組織構造や管理体制、仕事の進め方が厳格な規定に基づいた官僚的な組織文化を持っています。
この例からわかるように、組織文化は「官僚的組織文化がだめで、創造的な組織文化が良い」というように割り切れるものではないのです。
では、優れた組織文化を持つ企業では自社の戦略やビジョン、仕事の進め方、システム(組織構造やルールなど)、人財といった要素のどこに力点を置いて組織文化との整合性をとっているのでしょうか。こちらは、後ほど事例とともにご紹介します。
組織文化の重要性
組織文化は、組織のスタイルやコミュニケーションに影響を与える要素で、フィロソフィーやWAY、行動指針、オフィスのレイアウトなど目に見える形で表されるものもありますが、社員の仕事の進め方や価値観、身振りや表情、感情といった見えにくい要素の方が中心になります。文化は暗黙知的に認識され、それが構成員の間で一致していることが重要です。しかし意識して浸透・統一させていないと日々少しずつずれていってしまうので注意が必要です。
ここでは、良い組織文化が浸透した組織において見られる、良い影響について解説していきます。
コミュニケーションコストが低くなる
良い組織文化が浸透した状態とは、社員が立場や職能を超えて、同じ価値観を共有している状態です。社員同士があえて言葉を尽くさなくても共通のビジョンのもとで話をするため、スムーズに理解ができるようになっています。これは、社員がバラバラな方向を見ている状態と比べて意思疎通がしやすく、コミュニケーションコストが低くなっているともいえます。
共通の価値観を持つことができる
企業ビジョンとは企業が持つ価値観や考え方であり、企業ビジョンに基づいた組織文化を浸透させることは、すなわち企業ビジョンの浸透ともいえます。企業ビジョンに基づいた組織文化が浸透している状態は、社員が共通の価値観を持ち、業務を進める上で暗黙の了解事項がある状態ともいえます。こうした状況下では、それぞれの職務にもとづいた仕事が効率よく進むメリットがあります。
有名企業の「組織文化」事例10選!
ここからは、さまざまな分野で有名な大手企業の組織文化について、その特徴を紹介します。他社と差別化できている組織文化はより強力です。
なお、それぞれの事例においては企業の「ビジョン・戦略」「仕事の進め方」「システム・ルール」「人財」といった要素と組織文化の整合性をいかにとっているかにも着目しています。「うまく文化をコントロールできていることが優秀な企業であるという観点から以下の事例を読み進めてみてください。
Google社は「Googleが掲げる10の事実」を策定し、自社の行動指針としています。同社は組織よりとにかく人とそのポテンシャルを重視することで有名であり、「人財」と整合性のある組織文化が形成されています。この行動指針に共感して会社に貢献する熱意あふれた社員を採用しているため、組織がブレません。また、業務でもレクリエーションでもオープンで熱のこもった会話が飛び交っており、自由闊達なコミュニケーションで成り立っています。迷ったとき、こうした指針に立ち戻れることは社員にとっては心強いことでしょう。「Googleが掲げる10の事実」のように、ユニークな言葉で組織文化を綴ることも重要であることがよくわかります。
GE(General Electric Company)
GE社の初代CEOであるCharles Albert Coffin(チャールズ・コフィン)は、在籍時に社員のことを「わたしの部下(my subordinates)」ではなく必ず「私の仲間(my associates)」と呼んでいました。これは、コフィン氏の「成功の核となり魂となるのは人である」という経営にあり、Google社にも通ずるものがあるといえます。また、同社には「30万人の社員全員がリーダーシップを発揮する」というフィロソフィーがあります。同社における「リーダーシップ」とは、ポジションではなく「変化を起こし、人を元気づけたり動機づけたりすることのできる影響力を持った人物」を意味します。これは後述するAmazon社でも同じように定義づけられています。同社も、Googleと同じく「人財」に整合性をとった組織文化といえるでしょう。
ユニクロ
ユニクロ社の特徴は、マネジメントがトップダウンからボトムアップへと変革を遂げている点です。同社では社員全員が「全員経営」することを掲げており、一般社員も経営的観点を持って業務に取り組むことを目指しています。社員一人ひとりが経営的感覚を持つためには、会社はそれを実現する環境を整備していく必要がありますが、人事評価制度や給与規定だけでなく、組織構成から社内のデスクの配置など、あらゆるところに配慮がなされています。なお、同社の組織文化は企業の「システム・ルール」と整合性をとったものです。
トヨタ自動車
トヨタ社の組織文化は、車づくりを通じて社会貢献を行うこと、そして人間性を尊重することとされています。まさに「人財」と整合性をとった組織文化であるといえるでしょう。トヨタの基本理念は日本企業を代表するものとして多くの企業から評価され、参考にされていることでもおなじみです。同社は地域や社会の豊かな生活の実現とその発展を目的として、研究と創造、改善を重ねています。また、お互いの信頼と尊重、社員個人の成長をも目的とした企業活動を行っています。
ホンダ
トヨタ社と同業のホンダ社も人間尊重を掲げており、「人財」と整合性をとった組織文化です。グローバル市場の中で競争力を高めるには人づくりしかないという考え方のもと、人材育成に時間の3〜4割を割いています。また、同社の目的は利益第一ではなく、新しい価値を生み出し、その価値を顧客に提供して喜んでもらうこととしています。そして、結果として利益がついてくるわけです。
NETFLIX
VODで有名なNetflix社は、「Netflixで働く上で、従業員はどうあるべきか」を採用ページにはっきりと明示しました。これは、FacebookのCOOであるシェリル・サンドバークに「シリコンバレーから生まれた最高のドキュメント」と評されてもいるほどです。組織文化に「ビジョン・戦略」との整合性をとった例といえます。現在でもこの組織文化は世界各国の言語で翻訳され、日本語でも閲覧できます。
Amazon
世界最大手のECサイトといえばAmazonでしょう。今やAmazonのない生活など考えられないほどです。Amazon社では「社員全員がリーダーである」というスタイルが浸透しており、これによって社員一人ひとりが主体的に行動しようとします。これは、「仕事の進め方」で組織文化と整合性をとっている例です。
また、多くの企業では競合を意識しようとするところを同社では顧客を意識しようとします。電子書籍のKindleは顧客の声から生まれた製品として有名です。さらに日本企業と異なる点として、同社は失敗を恐れません。これにより、イノベーティブなサービスが次々と生まれています。
Facebook社では仕切りがなく開かれたオフィススペースを採用しています。CEO(最高経営責任者)であるMark Elliot Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏も例外ではなく、一般社員と同じスペースで勤務しています。このような施策によって、社員間に平等感をもたらし、チームワークを高めることに成功しており、「システム・ルール」で整合性をとった企業文化の一例です。
Apple
実はApple社には明文化された企業理念がありません。そのことが、同社の自由闊達さを象徴するかのようです。システムやルールがないという「システム・ルール」で整合性をとる企業といえるでしょう。それでもなお企業のブランディングが成功している稀有な例といえます。あえて言及するとすれば、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の語り尽くされるほどの経営哲学でしょう。これらが深く社内に浸透し、未だAppleという企業の文化を形作っているのです。
Sony
かつてのSony社は、経営者が「目立つ」ことで有名でした。個性豊かな面子を起用し、尖った会社のイメージを持っていた人も少なくないかもしれません。しかし近年では、経営者が目立つことがなくなりました。同様に、最近は「ソニーらしさがなくなった」と評されるほど地味に見える動きを続ける同社ですが、これは無から有を生み出すイノベーションではなく、改善を積み重ねて結実するイノベーションへと転換してきたことが挙げられます。経営者の毛色の変化も、スマッシュヒットで一利を得ようとする企業から、着実に成長を果たそうとする決意表明なのかもしれません。同社は「ビジョン・戦略」において組織文化と整合性をとっているといえます。
まとめ
大手の先進企業は、他社とは差別化された独自の組織文化を持つことが多くあります。優れた組織文化に共通している点は、人を中心に据えた経営であることと、利益より社会貢献を重視している点です。これらが貴社において組織文化をデザインする際のヒントになるかもしれません。
組織文化を根付かせたいが何から手をつけていいかわからない、うまくいっていないという場合には、組織風土改革を得意とするソフィアまでお気軽にご相談ください。
関連事例
よくある質問
- 組織文化の重要性とは何ですか?
コミュニケーションコストが低くなる
共通の価値観を持つことができる
- 有名企業の「組織文化」事例が知りたいです。
一例として、Google社は「Googleが掲げる10の事実」を策定し、自社の行動指針としています。同社は組織よりとにかく人とそのポテンシャルを重視することで有名であり、「人財」と整合性のある組織文化が形成されています。この行動指針に共感して会社に貢献する熱意あふれた社員を採用しているため、組織がブレません。また、業務でもレクリエーションでもオープンで熱のこもった会話が飛び交っており、自由闊達なコミュニケーションで成り立っています。
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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