2016.06.15

#社内報

会社と社員を元気にする 「社内報」は企業のビタミン!?


【この記事のポイント】
・『冊子の社内報』と『Web社内報』、それぞれの特性や強みは何か
・「経営理念を浸透させたい」「インナーブランディングを推進したい」という理由から、社内報を見直す企業が多い
・「人と組織を元気にする社内報」に必要な3つの視点とは?


毎月定期的に冊子が発行されていたり、イントラネットで閲覧できたり、紙版とWeb版の両方が存在していたり、そもそも作っていなかったり…。会社の数だけさまざまな形で存在するのが「社内報」。お客様企業のご担当者と一緒になって、日々社内報を企画、編集している廣井和幸「社内報はビタミンのようなもの」だという。それは一体、どのようなことなのだろうか?

株式会社ソフィアの廣井和幸

【関連サービス】
社内報企画制作~「読まれる」「伝わる」「動かす」社内報をつくる~

【ケーススタディ】
成長を支えた価値観をグローバル従業員に共有~理念・ビジョン・行動指針の多言語化と共有ツールの企画・制作~

紙かWebかよりも「それを使って何をしたいか」

―企業で発行されている社内報には、冊子やWeb版などがありますが、それぞれの特性や強みはあるのでしょうか?

紙とWebはメディアが違うので、作り方や表現方法は違いますが、根本にある「それを使って何をしたいか」というのは一緒ですね。ただ、全然違うメディアなので、接し方も違えば、それぞれに適したコンテンツもあります。なので、どちらかがあればいいというのではない、というのが大前提です。

Webの良さはどんな点にあるのでしょうか?

Webは即時性、ニュース性に優れていて、修正も早いし、動画も入れることができる。また、検索性に優れていて、自分が欲しい情報を集めることが容易です。最近ではBYOD(Bring Your Own Device 従業員が個人所有のスマートフォン等を職場に持ち込み、業務に使用すること)の考え方が広まって、私用のスマートフォン、タブレットなどからアクセスできるWeb社内報も増えてきています。一方で、例えば店舗や工場など、職場にPCがなかったり、あっても仕事中にアクセスしにくい場合もあり、すべての従業員に平等に情報を届けるという意味ではWeb、紙それぞれに存在意義がありますね。

―そもそも読めない人を作らないために、両方必要ということですね。冊子のメリットはどんな点でしょうか。

紙ならではのいいところは、まず、その存在感。同じ内容であっても、Webよりも紙に載っている方が、不思議と説得力が増すんです。Webはサッと情報を入手したいときにはいいけれど、それを読んでしっかり考えてもらいたいときには紙の方が適しています。デザインの自由度も高く、印象的なものを作ることができます。
あと、掲載されて嬉しいのは圧倒的に紙だという人が多いです。しかも、優れた社員の紹介や成功事例の紹介として、かっこいい写真とともに自分の話したことが掲載される。載った本人が嬉しいのはもちろん、周囲の社員のモチベーションもあがります。

家族にも見せたくなりますね。

実際に、取材された社員へのアンケート結果などで、「家族に見せます」っていうコメントもよく見かけます。紙は保存性と携帯性にも優れ、自宅に持ち帰れますからね。家族向けの記事や特集を作ることもあるんですよ。あえて「家族と一緒にご覧ください」というメッセージを社内報の表紙に入れたりもします。

担当者と一緒になってインナーブランディングを推進

「新たに社内報を作りたい」「今ある社内報をリニューアルしたい」という企業は、どのような悩みを持っているのですか?

「経営理念を浸透させたい」「インナーブランディングを推進したい」という理由から、社内報を見直す企業が多いですね。

―その課題を解決するための社内報作りとはどのようなものなのでしょうか?

社内報を作るには、その会社を深く理解するということが必要です。社内報の担当部と一緒に社内の情報を集め、企画を立て、「会社が今こういう状況だから、こういう企画が必要でしょう」というところまでディスカッションして、誌面を作っていきます。また、社内報の中身だけではなく「社内にこういうムーブメントを起こさねばならない」とか、ほとんどお客様企業の社員と同じ思考になって作っていくんです。社内報の制作を請け負うという点は同じでも、デザインやDTPを専門とする制作会社とソフィアとではずいぶんアプローチが違うと思います。せっかくソフィアに声をかけて下さっているのだから、そこまで深く関わって制作したい。社内報に限らず、さまざまなインターナルコミュニケーションの接点を生かし、いろいろなアイデアで、人と組織を元気にするお手伝いをしたいと思っています。

―お客様企業の方々はどうやってソフィアにたどり着くのでしょうか?

Webで検索してお声を掛けてくださる企業の方や、ソフィアのメンバーが講師を務める公開セミナーなどに参加された方から連絡をいただくことも少なくありませんが、ありがたいことに、圧倒的に多いのは「ソフィアだからお願いしたい」と名指しで連絡をくださる方々ですね。また、すでに取引のあるお客様が、グループ企業や知り合いの企業を紹介して下さることも多いです。
別のパターンとしては、ソフィアの提供している他のサービスを活用したお客様からの相談です。ソフィアではインターナルコミュニケーションに関する調査・分析やコンサルティングを行っているのですが、その結果明らかになった企業のコミュニケーションの課題を解決する一つの手段として社内報のリニューアルを行う場合があります。この場合、すでにお客様企業の経営課題やインターナルコミュニケーションについて深く理解し、多くの情報を持っているので非常に本領を発揮できますね。

―多くの社内報を手がけているようですが、作りは全部違うのでしょうか?

社内報の中身も、作り方もすべて違いますね。それこそ社内報の担当部と二人三脚のような格好で何年も社内報を手掛けている企業では、長期経営構想や中期経営計画が発表されると、その中身がどうなっていて、どういう風に社員に伝えていくべきなのか、社内報を通じて社員にどのようなアクションを起こしてほしいかというところまで、ご担当者と一緒に考えて作っています。
企業によっては、企画の部分はほとんどお客様の社内で行うという場合もありますが、例えばいただいた原稿に見出しを付けたり、誌面デザインに落としていく際にも常に、「インナーブランディング」を意識しています。このコンテンツを出す目的は何なのか、このコンテンツによって社員にどんなアクションを起こしてもらいたいのかを考えながら作り、お客様企業内のブランディングを行っていくのが私たちの仕事です。

「経営」「社員」「作り手」すべてを元気にしたい

―最近では海外展開している企業も増えていますが、海外向けの社内報などにも対応しているのでしょうか?

日英2カ国語併記のデザインで作ったこともありますし、日本で作った社内報を各国語にローカライズすることもあります。社内報に限らず、自社のアイデンティティーを伝える「ブランドブック」を海外拠点向けに各国語で制作したこともあります。

理念の浸透はグローバルで活躍している企業にとっては共通のテーマなんです。日本に本社がある有名な大企業でも、海外のローカルスタッフは自社のことをどんな会社なのかよく知らないことも多いですし、ある日突然M&Aで日本企業の関係会社になったりしている場合もある。一つの企業グループとして一体感を持って経営していくためには、ミッションやビジョンを共有・浸透するために、何らかのツールは必要になりますね。

株式会社ソフィアの廣井和幸

海外向けに出す冊子では、国内向けとちがって注意が必要な点などはあるのでしょうか。

それぞれの文化的な背景を理解して、受け入れられやすい表現にする、という点にはこだわっています。私は前職で、さまざまな商品や発行物を各国語にローカライズする仕事をしており、海外にも6~7年ほど暮らしたのですが、やはり各国ごとに好かれる、受け入れられやすいデザインというのはありますし、フォントの好みや色使いなども国によって嗜好があります。そういった点にはこだわっていますね。

―物理的に距離があることで、情報収集に苦労する点などもあるのでは?

そうですね、世界各国の拠点の情報は、社内報の担当部でもつかめていないことが多い。また、本社が持っている情報のどこの部分を各国に発信すべきかも悩む点です。そこは各地に通信員や特派員を置いて、その人にローカルな情報が集まるようにしたり、定期的に彼らの意見を聞くなど、各地域を巻き込んだ情報提供の仕組み作りでカバーすることが必要だと思います。ソフィアではそういった体制づくりのお手伝いや、通信員向けの研修なども行っています。

―社内報を作る上での廣井さんのこだわりは何ですか?

社内報は「人と組織を元気にするツール」だと思っています。だから社内報の新規作成やリニューアルのときは、いつも次の3つの視点を入れるようにしているんです。1つは「この会社をどうしていきたいか」「社員にどんなアクションを期待するか」という経営の視点。もう1つは「どんな情報が欲しいか」「どんなストーリーに共感するか」という読者、社員の視点。もう1つは「どんな社内報にしたいか」「楽しんで元気に社内報を作れているか」という作り手の視点
社内報は会社を映す鏡だと思うので、作ってる側に元気がないのは大問題。社内広報の担当者など、作ってる人もその会社を構成する社員なわけで、彼ら自身が元気よく楽しく作れないことには始まらないというのが、僕の持論です。

社内報って必須なものではないんですよ。水とか空気みたいに、ないと死ぬってものではないし、実際、社内報がない会社もある。でも、あると元気になるもの、いわば、「ビタミン」みたいなものだと思うんです。薬のように何かを劇的に治すためのものではなくて、人と組織が健康でいるために必要なもの。そもそも会社のことは「法人」と呼ぶし、「大企業病」とか人のメタファーで語られることが多いじゃないですか。だから、会社を元気にしようと思ったら、自分の家族や友達を元気にしようとするときと同じことをすればいいんです。栄養のバランスがいい食事だったり、笑顔でコミュニケーションしたり、散歩に誘ったり、というようなことを。そんなことを考えながら、僕は社内報を作っています。

 

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株式会社ソフィア

コミュニケーションコンサルタント

廣井 和幸

社内報やビジョンブックなどインターナルコミュニケーションのためのコンテンツをつくることが多いですが、外向けも歓迎です。公開社内報「そふぃあと!」の責任編集長でもありますので、そちらもごひいきに!

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