2021.09.02
社内報など、制作物を外注するときのポイントは?押さえておきたい基礎知識をご紹介
目次
広報担当者の活動には社外に向けた取り組みだけでなく、社内報など社内向けの取り組みも多々あります。制作物は外部や社員の目に触れるものであり、その内容や印象で会社のイメージが決まると言っても過言ではありません。
その企業の顔とも言える制作物を作るにあたり、広告会社やWeb制作会社といった専門企業と協力し合うこともあるでしょう。しかしその中で、打ち合わせを念入りに重ねてイメージや要望、指示をしっかり伝えたはずなのに、自分のイメージと全く違うものや、内容が間違っているものができてしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、誰もが1度は感じる「伝え方」の難しさに着目し、制作物を外注する際に「こんなはずではなかった……」とならないための、ポイントや基礎知識をご紹介します。
なぜ思ったとおりの制作物ができないのか?考え方の違いを把握する
自分のイメージや要望を伝えたはずなのに全く違ったイメージのものができた上に、校正の繰り返しで完成までに時間がかかってしまった……。といった状況に陥った場合、制作がスムーズに進行しない原因はさまざまです。
しかし、大きな要因として考えられるのは「制作側との認識の違い」です。発注側と制作側の相違をクリアにして、制作側の考えや制作の手順、イメージを正確に伝えるためのポイントを理解すればスムーズな制作進行ができるようになるでしょう。
外注する際に覚えておきたいポイント「デザインは料理のようなもの」
上記でご説明したように、外注で思い通りに進行できない原因は「認識のズレ」から起こるものです。そのズレがおきないように進行し、上手くイメージを伝えたい!という方のために、デザインの過程をわかりやすく「料理」に例えて解説します。
デザインは料理のようなもの——まずはこの認識を持ちましょう。
料理をする時には、食べてもらう人やメニュー、素材、完成をイメージして調理や味付け、盛り付けをしていきます。デザインもまた、ターゲットや内容、素材の準備、構成、内容の吟味、デザイン、印刷と、同じような工程を辿って進んでいきます。
それでは、デザインを料理する4つのポイントを押さえましょう。
1. 食べてもらう人とメニューを決める
制作物で言えば、
- 誰に読んでもらうか
- こんなイメージの制作物を作りたい
- こんな色や構成にしたい
など制作物の根幹となる部分です。ターゲットがずれてしまえば全体のイメージもずれていきます。認識のズレが起きないようにするためにとても重要な要素です。
2. 材料を用意する
メニューが決まったら、材料を準備します。同じように、制作物でも「こんなイメージ、こんな制作物にしたい」と決まったら、
- 写真
- イラスト
- キャッチフレーズ
- 文章
などそこに載せる素材を準備していきましょう。材料が良くないと美味しいものにはならないように、制作物も素材のクオリティが大切です。
3. 完成形をイメージしながら料理・味付けをする
良質な素材が揃ったら、実際に料理や味付けをしていきましょう。この工程は、実際のユーザーに向けて正確にコンテンツを伝えるために行う、自社でのイメージ作りやレイアウトにあたります。台割や構成案を作り写真や文章を並べてみましょう。
味付けで料理の良し悪しが変わるように、イメージをもとにレイアウトを起こしていくことは制作物の良し悪しが決まってくる重要な工程とも言えるでしょう。
外注する際に覚えておきたい3つの落とし穴
これまで、制作物を外注する際に肝となるポイントを説明してきましたが、そのなかでも特に陥りやすい落とし穴を3つご紹介します。これらをしっかり押さえることで制作者との意思疎通がスムーズになるでしょう。具体的な準備物なども交えて説明します。
1. メニュー完成のイメージが具体的に共有できていないことによる認識齟齬
外注制作が滞る理由として「メニューのイメージ共有が適切にできていない」ということが挙げられます。
- どんなものを
- どんな目的で
- どんな人に
- どのように届けたいか
といった事細かな情報まで共有できていないと、どれだけ優秀なクリエイターであっても企画の時点でどんなものを作れば良いのか明確にイメージすることができないものです。
例えば、[20代〜30代の働く女性の車]の販売促進企画でチラシを作るとします。その際、制作のプロに依頼するという不確かな安心感から「車の販売促進用のチラシを作ってください!」とだけお願いしてしまうと、高級車やファミリーカーなどターゲットのニーズやイメージにそぐわない製作物が納品される可能性が高くなります。もし、自社が若い女性向けにカラーバリエーションが豊富であることを魅力としているならば、それらを事細かく伝えないことにはターゲットに響く色合いやキャッチコピーができることはなく、販売促進にもつながりません。
もちろん、制作側もより良い物を作るために意図を汲み取ろうとはしてくれますが、ターゲットないしはペルソナの詳細や商材を開発した理由などを細かく共有し、発注者と制作者が常に同じイメージや意図を持って制作に取り組めるようにする工夫が必要です。
イメージやターゲット、ビジュアル、色合い、キャッチコピー、文章の硬軟など伝えたいことを事前にしっかりまとめておきましょう。
具体的には、下記の方法が有効です。
- 台割りや構成案などを簡単にまとめ、内容や配置のイメージを共有する
- 雑誌やWEBなどイメージに近いビジュアルを探して見せる
実際に自分のイメージを視覚的に伝えることができるため、打ち合わせなどを通して「この写真の下に10文字程度のキャッチコピーを入れたい」など具体的な指示出しやイメージ共有が可能になります。
このように、視覚的な情報が整っているだけで、制作側も「このような雰囲気が好みだろうな」「こういうものも求めているのではないだろうか」と気配りや工夫がしやすくなるため、クオリティの追求にもつながります。
2. 必要な素材が揃っていない中で作り始めてしまうことによるクオリティの低さ
外注制作が滞る2つ目の理由として「必要な素材が揃っていない」ということが挙げられます。先に挙げた料理の例で言えば、初めて会った相手に「私好みの美味しいものを作って」と言われているようなものです。
必要かつ良質な材料が揃わないと、手探りのまま何だかわからないものができてしまいます。
画質
例えば、チラシを作るとします。紙面全体の印象を決めると言っても過言ではない「画像」の適切な解像度は350dpi*以上必要と言われるなか、それに満たない画像を準備してしまうだけでクオリティを担保することは難しくなります。
表示設定によって、質の悪い画像も綺麗に見せることはできますが、画像や写真素材を用意する際は気をつけましょう。
*dpiとは画像の表示制度のこと。ピクセル(大きさ)とは異なる
余白
お皿の余白が料理を引き立てるのと同じで、多すぎる文章や画像の使用は全体的にうるさい印象になりがちです。
全ての情報を載せることができたとしても、伝えたいポイントが絞れず、ユーザーが欲しい情報に落ち着いて目を通すことができなくなる恐れがあります。足すことは容易ですが、どこまで載せるかや、多すぎる場合には思い切って削るという判断を行う勇気が必要です。
均一性
さらに、同じ要素のものは揃えるといった見栄えを考慮した「まとまり」への配慮も必要です。
例えば、社内報の同じページに載せる社員コメントの執筆を社員A・Bにそれぞれ依頼したとします。A氏は100文字のコメントであるのに対して、B氏は300文字のコメントで仕上げてきた場合、これではレイアウトのバランスが取れません。
このように、完成形のイメージへ向かうためには、先々のことを想定しながら依頼先へ事前に必要な情報を共有することが重要になります。素材の準備は、時に料理(手法)よりも大切です。
3. 盛り付け時に隠されたワナ:印刷を理解していないことによる完成形のズレ
印刷する際の注意点を理解していないと、最後の最後でズレが生じてしまいます。Webサイトや動画などは完成した後でもある程度の修正が可能ですが、印刷物は一度校了しデータを作り印刷が始まってしまうと一切変更はできません。刷り直しは可能ですが、もちろんその分コストがかさんでしまいます。
「印刷する」というお作法にはワナが隠れていることをあらかじめ理解しておきましょう。
色味
まず、校正時に注意したいのが「色味」です。例えば、PCのモニターで見る色と、刷った後の紙で見る色とでは、色合いや印象が変わってしまうケースが多く見られます。制作物は些細な色味の変化で印象が変わってしまうということをあらかじめ念頭に置いておかないと、制作側との相違が起こる原因にもなり得るでしょう。
出力紙だけでなく、PCのモニター同士でもメーカーや環境によって変わりますので、制作側が使用している色見本から色を指定するというのがおすすめです。
見開き
冊子の時には、縦書きと横書きでは本の開く向きが変わります。また、冊子の制作、印刷時には基本的には4ページずつしか増やすことはできません。
内容をもう1ページだけ追加したいという要望は叶いませんので、ページ数、内容をしっかり固めてから冊子作りをスタートすることが重要です。
制作物を作る際には、制作者に「お願い」するだけでなくお願いするにあたっての考えをまとめる事前準備が不可欠です。これらのポイントや注意点を押さえておくだけでも、制作側とのコミュニケーションが円滑になり、制作物の進捗の改善が期待できるでしょう。
【まとめ】スムーズな進捗のもとクオリティの高い制作物を作るには
制作物を外注する際に気をつけたいポイントや、基礎知識をお伝えしてきました。
発注者側は制作側をプロとして見ているため、頼めば「塩梅のいいところで何か作ってくれるだろう」「これくらいなら簡単に直せるだろう」と思いがちです。しかしながら、制作側からすると、発注者の意図がわからないと何をどのように作ればいいかわかりません。
加えて料理に例えるならば、「これくらいなら簡単に直せるだろう」というのは「塩ラーメンをとんこつラーメンにしてください」と言われているようなものです。味を変えるにはスープの仕込みからやり直さなければいけません。小さな修正が全体の制作、デザインに大きく影響してしまうことを理解することが大切です。
外注での制作を成功させるには最初のスタートが肝心。考えをまとめ、素材を準備し、制作側と密なコミュニケーションをとりましょう。
フローの質が上がれば、次第に制作物のクオリティも高くなるため、何度も校正を行うなどの無駄な時間を削減できます。また、自分が制作者と一緒に作り上げたいという意識を持って関係性を作れると、互いにとって愛着のある制作物となっていくでしょう。
関連事例
よくある質問
- インターナルコミュニケーションとは何ですか?
社内やグループ会社内など、同一の組織内における広報活動のことです。「社内広報」や「インナーコミュニケーション」とも呼ばれ、社内報や社内セミナー、対話集会などを通して、社内におけるコミュニケーションを活性化する活動全般を指します。
こうした活動は、組織の価値観や文化に対する社員の知識・理解を深めることにつながります。会社のビジョンを外部に向けて主体的に発信することのできる社員を育成し、組織全体を良い方向へと導く取り組みとして、インターナルコミュニケーションが行われます。
- なぜ思ったとおりの制作物ができないのか?
「制作側との認識の違い」です。発注側と制作側の相違をクリアにして、制作側の考えや制作の手順、イメージを正確に伝えるためのポイントを押さえましょう。
・誰に読んでもらうか
・こんなイメージの制作物を作りたい
・こんな色や構成にしたい
ターゲットがずれてしまえば全体のイメージもずれていきます。認識のズレが起きないようにするためにとても重要な要素です。
- 社内報 どうやって作る?
“Catch案
社内報を作成するためには、以下のようなステップがあります。
1. 目的の明確化:社内報を作成する目的を明確にすることで、記載する内容や書式を決めることができます。
2. メンバーの選定:記事の執筆やデザインなどの作業を担当するメンバーを選定します。
3. 内容の決定:会社のニュースやイベントの情報、社員の取り組みや業績など、読者にとって興味のある内容を選定します。
4. 執筆・編集:メンバーや関係者に記事の執筆や写真の撮影を依頼し、それを編集します。
5. デザイン:デザイン担当者が、レイアウトやデザインを決定し、記事や写真を配置します。
株式会社ソフィア
ディレクター・エディター
岡田 耶万葉
主に社内報や社内制作物の企画・編集を担当していますが、加えてライティング・ストーリー制作も得意です。演劇に携わった経験から、演劇の手法を使った研修・インターンシップなどのご提案もしています。
株式会社ソフィア
ディレクター・エディター
岡田 耶万葉
主に社内報や社内制作物の企画・編集を担当していますが、加えてライティング・ストーリー制作も得意です。演劇に携わった経験から、演劇の手法を使った研修・インターンシップなどのご提案もしています。