2024.10.21
ビジネスコミュニケーションに必要な力とは?実際に使えるテクニックをご紹介
目次
「ビジネスコミュニケーション」と聞いて思わず身構えてしまうビジネスパーソンは少なくないでしょう。
ビジネスコミュニケーションと一口に言っても、オフィスにおける上司部下間、同僚間のコミュニケーショ業務を遂行するために部署・部門間や取引先、顧客などバリューチェーンの中で行われる双方向コミュニケーション企業のトップや経営企画、人事、広報部門などが社員に対して1対多の関係で行うコミュニケーションPR、IR、ブランディングやマーケティングといった社外向けのコミュニケーションなど、非常に多くの種類があります。
日常のコミュニケーションとビジネスのコミュニケーションの違いは、一言で言えば成果を上げるという目的の違いです。言い換えればビジネスの成果を出す為のコミュニケーションです。
その中でも、特に注力するのは、働く人が日常的に直面しているのがオフィスや顧客との間で行われる直接のコミュニケーションです。しかし、職場の中ではあまりルールやマナーを意識せず、自然にコミュニケーションをとっているケースも多いのではないでしょうか。
現在は組織内の人材が多様化やハイブリッドワークの推進により、これまで以上にイノベーションや生産性向上が求められる企業活動において、基礎となるビジネスコミュニケーションの重要性は増しています。そして、オフィスにおいてスムーズなコミュニケーションを実践するためには、おさえておくべきルールやテクニックがあるのです。
この記事では、ハイブリッドワークでより貴重になったオフィスにおけるビジネスコミュニケーションについて、実際に必要となるシーンやコミュニケーションに用いる媒体、企業活動におけるそれぞれの重要性、実践の難しさを中心に解説します。あわせてビジネスコミュニケーションを向上させる3つの力やちょっとしたテクニックなどオフィスで役立つ情報を紹介します。
ビジネスコミュニケーションが必要な理由とは?
ビジネスコミュニケーションは、成果を出すという目的において企業活動やビジネスの現場で業務を行う際に欠かせないものです。
コミュニケーション自体が直接成果を出しているというよりか、あくまでも成果を出すための欠かせないプロセスであり、コミュニケーションによって相手の行動変容を促すことが目的です。
オフィス内でのコミュニケーションのみに限った場合でも、コミュニケーションする相手やコミュニケーションに用いる媒体は多種多様です。
それぞれに異なる特性を持っているため、働く人にはビジネスコミュニケーションのリテラシーが必要とされ、コミュニケーションが直接的に成果を上げるわけではありません。
ビジネスコミュニケーションは、「行動変容」という明確な目的を達成するための手段であり、その目的がなければビジネスコミュニケーションの価値や意味も十分に発揮されないということです。したがって、コミュニケーションを行う際には、常にその目的を念頭に置き、どのようにして相手の行動に影響を与えるかを考えることが重要です。
HR総研の調査では、9割の企業が「社員間のコミュニケーション不足は業務の障害になる」と答えており、なおかつ8割が「現状に課題がある」と感じています。
さらに、特にコミュニケーション不足が影響する場面について7割が「部門・事業間の連携」を挙げており、組織間の壁が厚くなりがちな日本企業の一面を映し出しています。このような課題感を持つ企業にはどのような改善が必要なのか見ていきましょう。
ビジネスコミュニケーション=仕事の根幹
ここで、ビジネスコミュニケーションの本質について考えてみましょう。
ビジネスコミュニケーションは、日常における家庭内や友人間におけるコミュニケーションとは違う、際立った特徴を備えています。
それは、ゴールです。ビジネスコミュニケーションはたえずゴールを意識し、ゴールに最も近い効率的な方法を選びます。
ゴールとは、相手に何らかのアクションをとってもらうことです。
たとえば、決裁者に提案を承認してもらうのもゴールの1つです。プロジェクトで重要な情報を共有する、あるいはキーマンから情報を引き出すのもゴールです。
懇親会や接待は取引先との関係を深めるための手段ですが、職場の上司や同僚との1on1や居酒屋などのパーソナルなコミュニケーションも、ビジネスにおいて必要なコミュニケーションと言われています。ビジネスコミュニケーションの範囲は広く、目的はある程度明確です。
組織の中の人員がゴールを求めてビジネスコミュニケーションを繰り返すことが、企業活動を形成しているとも言えます。
組織全体でスキルが磨かれれば、生産性の向上・イノベーション・従業員満足度アップ・意思決定の質やスピード向上にもつながります。
だからこそ、論理的思考力、巻き込み力やネゴシエーションスキルといったビジネスコミュニケーションスキルの向上は企業にとって重要な課題なのです。
情報共有
コミュニケーションの設計において情報伝達とコミュニケーションの違いを正しく理解し、用途に合わせて適切に使いわける必要があります。大切なことは、コミュニケーションの範囲は情報伝達の範囲よりも、はるかに広いということです。
情報伝達は2×2のこたえは4以外ないのに対し、コミュニケーションは解釈の幅があり、2×2のこたえは必ずしも4だけではありません。
情報伝達は誰がどう伝えようと同じものを指します。この誰がどう伝えようとも、同じであるという性質が情報伝達にあたります。
発信者と受信者の間で、ほとんど違いが起きないことが情報伝達です。つまり、情報伝達範囲よりも、コミュニケーションの範囲ははるかに広く、構造化は困難です。
社内ポータルやメールなどの社内ICTツールは情報伝達とコミュニケーションの両方のプラットホームとして機能兼ね備えています。
しかし、これまでの企業活動で蓄積した知識やノウハウも整理されず埋もれてしまえば、ただの文字と数字のかたまりです。
これらを活用するには収集、整理がもっとも重要な工程と言えるでしょう。
情報共有の起点となる収集は、組織内に散らばった情報を集め、必要な情報を取捨選択し蓄積します。
これにより組織内での情報の一元化が図られます。
次に収集した情報を整理し、分類や体系化を行います。情報の検索や参照が容易にできるような配慮が求められ、使いやすさやわかりやすさが効率的な情報の利活用を左右します。
この情報の整理ができなければ活用もできず、自動化もできず、AIなどは到底難しいでしょう。
こうしてまとめられたデータベースを実際に運用するには情報を組織全体で共有する仕組みが必要です。
チームメンバー同士や部署間での情報の共有を促進することで、活用される幅が広がり組織全体の業務レベルの向上や製品・成果物の品質向上につながります。情報共有は、組織内での円滑なコミュニケーションと協力を促進する重要な要素です。
認識のずれを修正する
日常会話でよく使われる「あれ」や「それ」、「こないだ」や「いつも通り」といった言葉は、話し手にとっては自明なことかもしれませんが、聞き手にとっては具体的な内容やタイミング、方法がはっきりしないことが多いです。 このように日常的な会話の中でも認識のズレはよく起こりますが、ビジネスにおいても同様で、ちょっとした意思疎通を図ることで解消されるものです。
とはいえ、情報伝達できる情報は限られており、必ずコミュニケーションには解釈の幅が出るため、 情報共有、進捗状況や課題についてコミュニケーションをとるなど、簡単な定期的なミーティングや報告の場を設けることでズレを修正します。
それでも認識のズレによって問題が生じた場合には、素早く問題を把握し、冷静な判断と柔軟な対応でもって適切に行うことが求められます。
認識のズレを修正するためには周囲との協力もさることながら、リフレクションによって自己の認識を広げることも効果的です。
この認識のズレがなぜ生じるのかについて説いた人物が、1859年に産まれたドイツの哲学者・現象学の学者フッサールです。
現象学とは、人が、何かを認識する時、その認識が自分だけではなく、他人にとっても、同じ認識である事をどうやってすりあわせるのか、という現象を定義する研究です。この共通のものを認識しているという確証がなければ、私たちは同じものをみていても、違う認識をしていることになり、伝達は難しくなってしまいます。
たとえば、テーブルの上にリンゴあったとして、そのリンゴを誰もが全く同じように認識してこそ、リンゴとは何か リンゴとは何の役に立つのか、という議論も可能になります。フッサールはいわば、この議論の土台を現象学という学問で追及したと言っていいでしょう。彼の言葉で言えば「現象学こそ、全ての学問の土台である」ということです。
認識を揃えるということは非常に困難です。いかにして純度の高い共通認識を、他の人と持てるのかという点においては、完全にトレースすることは難しいと認識しながらも、必ずズレが生じるという前提を持って、コミュニケーションすることでアプローチが変わってきます。これは、非常に重要なコミュニケーションの心構えと言えるでしょう。
ビジネスコミュニケーションの強化によるメリット
従業員のエンゲージメントを保つ
社内のコミュニケーションに限らず、前向きな気持ちのときほど物事はすんなり進みます。この状態はどのような条件がそろっているのでしょうか。
エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対する意欲があり、自ら積極的に貢献しようとする傾向があります。
このエンゲージメントが保たれる背景には、従業員が組織の目標や方針を理解し、共感しているという状態にあります。
自ら目標に向かって進んでいると同時に、組織からの情報共有やコミュニケーションがあるからこそ高いエンゲージメントが保たれています。
従業員が組織の進化や成果について正確な情報を得ることで、自身の貢献度を高めることができます。
また従業員が仕事に対してやりがいを感じるような、自己成長やスキルアップに繋がる機会を提供し、主体的に試練と成熟を重ねていくことが大切です。
風通しの良い職場をつくる
風通しが良いとは、コミュニケーションを遮るものがない状態を示す比喩表現です。つまり、立場に関係なく自分の意見を主張しやすく、コミュニケーションがスムーズに進むような環境のことです。 従業員同士の協力や部門間の横断的なチームワークもエンゲージメントや一人ひとりのモチベーションに大きく影響します。よって構成する従業員がオープンなコミュニケーションができる状態にあることが欠かせません。
このような風通しの良い職場をつくるためには、 心理的安全性を高めることが大事です。これは簡単に言えば、個人の言動によって人間関係が悪化することがない、といった安心感がチーム・組織内で共有されている状態にすることです。
心理的安全性を高めるためには、リーダーシップの育成・情報の透明性・フィードバックと振り返りの習慣など様々な方法があります。
言い換えれば、コミュニケーションを遮るものがない訳ですから、耳の痛い話も、意見のぶつかり合いもあるという事です。これを避ける配慮や気遣いが度が過ぎれば、風通しが悪くなります。
また、風通しが悪くなる大きな原因は、情報や認識の相互の非対称性が大きく影響しています。前提の情報が違う、認識が違う、この非対称を無くしためには、職場の情報や状況を、徹底して透明化する事です。
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風通しの良い職場には従業員同士が率直に意見を交換し、アイデアを出し合うことができる環境にするために、上下関係を取っ払ったフラットなコミュニケーションによってうまれる信頼関係が求められます。
コミュニケーションの透明性や公平性がある職場では、誰の意見であっても尊重され公平に扱われ、新しいアイデアや提案が積極的に受け入れられる環境が整っています。
透明化や可能な限りの可視化は、生産性の向上やミス・トラブルの防止にもつながり、業務の精度が高まるとともに、個々の社員の成長機会も増えます。だからといって、各メンバーの個人情報に至るまで透明化する必要はありません。無用な誤解を産むような情報の非対称性は、心理的安全性においては害悪となります。
信頼感や安心感を与えられる
従業員が積極的にコミュニケーションを取ることで、情報共有や連携がスムーズに行われ社内のコミュニケーションが円滑になり、職場内の信頼関係が築かれます。
話し合いながら進めていく業務の場合は、双方が信頼し合っていることが重要です。例えば上司・部下間であれば、よく知らない上司からいきなり指示されたり、指導されたりするのは、部下としてはあまりいい気分にはならないものでしょう 。しかし、あらかじめ信頼関係を構築できていれば、「あの人の言うことなら信頼できる」「あの人に協力しよう」という気持ちになります。
職場や組織においての信頼関係とは、目標やビジョンに対して個々人の協力するという行動も重要でありますが、より重要なことは、個々人がみんなも協力するだろうと信じている事が重要です。
信頼関係が築かれていればいつでも率直な意見を伝えることができ、批判的な展開であったとしても建設的なコミュニケーションになります。
職場の信頼や安心感を持つようになると、考えの多様性が広がり、結果としてより良い意思決定や問題解決が行われることが期待できます。
心理的安全性が高く保たれているチーム・組織では、個々の社員が意見やアイデアを言いやすい雰囲気があります。もちろん、出てきた意見・アイデアが、業務の生産性の向上・効率化・イノベーションにつながる内容とは限りませんが、一旦無作為に多くの情報を集め、その中から選別する、といった意味では有効です。
また社内のコミュニケーションが活発な職場では、チームの結束力やモチベーションの向上によって、組織としての競争力を高めることができ、顧客やパートナー企業との信頼関係を築くことにつながります。
仕事の正確性を高められる
論理的思考は、問題解決能力を向上させるだけでなく、ビジネスコミュニケーション力も高めます。
論理的思考は原因を分析し、解決策を考え実行する一連の流れで問題解決能力に適しています。
論理的思考を身につけることで、問題の本質を的確に捉え、必要な情報を整理し、論理的な思考プロセスで解決策を導き出すことができます。
また、自分の意見に対してもリフレクションによって、自己批判や改善の余地を見つけることができます。これにより、自己成長を促進し、仕事の正確性を高めることができます。
議論ができる関係性
ビジネスの経験を積み重ねるうえで、ネットワークやコネクションは重要です。これを創造するためには信頼を得るだけの実績が必要ですが、その前提としてコミュニケーションが欠かせません。
議論からうまれる対立の原因は感情的な要素だけでなく、利害の不一致も関与している場合があります。
双方の要因を明確に整理し、双方が納得できる解決策を見つけるためには、対話とディスカッションなくして達成できません。とくにネガティブな状況では、コミュニケーションスキルが普段以上に求められ、難易度が上がります。
これほどまでに必要なスキルでありながら、残念なことに日本の教育現場では行っていないというのが現状です。
プライドや自己中心的な行動、それとは逆のコンプレックスが、時として企業の意思決定を誤らせ、会社を危険にさらすことがあります。企業にとって本当に危険なのは、客観的に物事を見ることが社員の合意によって困難になることです。誤った合意に導かれないように、率直に意見を述べやすい職場は重要であり、そのような環境こそが心理的安全性が高い職場であると言えます。
上記のような活動を実施する際に疑問が生じた場合は、専門家に助言を求めるなど、ファシリテーターや他の第3者を巻き込んで進めることも検討しましょう。
心理的安全性を確保するために最も重要なのは、カール・エドワード・ワイクが述べるように「自分が正しいかのように主張し、間違っているかのように耳を傾ける」という個人の姿勢です。自身の意見やアイデアが現在のテーマや議題に本当に適切かどうか疑問があっても意見を述べることができるか?また、他者からの反論や批判を自身が間違っていると前提で受け入れることができるか?といった、責める側と受ける側の両方の視点をチームや組織の全社員が持つことが必要となります。
このディスカッションの力やコミュニケーションスキルこそ、各企業が入社後の社員研修で取り組むべきプログラムです。
もし自社でそのプログラムを完結できない場合は、専門家にその研修の場を委託することは重要な選択肢ではないでしょうか。
ビジネスコミュニケーションの難しさ
ビジネスコミュニケーションの基本は、「ロジカル(論理的)であること」です。
一般的な日本のビジネスパーソンは、この「ロジカルであること」に苦手意識があります。
それは、学校や職場、地域社会、家庭といったあらゆる場面で、ずばり結論に切り込んだり明確に理由や根拠を述べたりすることをせずに、経緯や事情を説明しつつ察してもらうといったコミュニケーションに親しんできたからです。
文化的な同質性が高く、「なぜその人がそのような発言・行動をするのか」といった背景や文脈(コンテクスト)を誰もが想像しやすい社会においては、「察する」「一を聞いて十を知る」「みなまで言わせるな」といったハイコンテクストなコミュニケーションが通用します。
ビジネスの中心が国内市場で、社員は新卒一括採用で入社した日本人ばかり、市場環境も大きな変化なしといった時代には、オフィスでのコミュニケーションもそれで済んだでしょう。
ところが日本企業は今やグローバル競争の渦に巻き込まれ、市場環境も日々変化しています。
社員も転職組があたりまえになり、海外出身の社員も一緒に働くようになってきました。
多くの企業が生き残りをかけて環境変化への対応に向けた変革に取り組む中、私たち日本企業も「相手が自分とは同じ文脈を理解していない」という前提に基づく、ローコンテクストでロジカルなコミュニケーションスタイルへと変化させていなかければグローバル市場で戦うことはできません。
しかし、多くの日本人はそういったコミュニケーションスタイルに慣れていないため、難しさを感じてしまうのです。
ビジネスコミュニケーションに必要な3つのスキル
ビジネスコミュニケーションに必要な力には、さまざまな種類のものがありますが、ここでは主な3つに絞って紹介します。
伝える力
まずは、伝える力です。伝えたい内容を明確にし、筋道立ててロジカルに話すと同時に、相手の目線や立場に立った言葉を選ぶことも重要です。
聞く力
聞く力は、「傾聴力」などとも呼ばれます。相手から情報を引き出しやすくなるだけでなく、相互の意思疎通が深まることで、こちらからの話も伝わりやすくなります。
前提を揃える力
そして最も大切なのが、「前提を揃える力」です。仲の良い友人や夫婦なら、毎回前提を揃えなくても「この前のあれどうなった?」「ああ、あれね」といった具合で大抵の話は伝わります。気心の知れた「話さないでもわかる」間柄なら、いちいち前提について話さず本題に入った方が話が早いでしょう。
一方、ビジネスの世界においては、前提をまずそろえないとお互いの話が食い違い、効率的にゴールへたどりつくことができなくなります。
前提を揃えるとは、コミュニケーションの主題・目的・背景などを、それまでの文脈に対する相手の理解度に合わせて話すことです。
たとえば新任の課長に対して業務課題の進捗報告をするときには、過去にどんなことがあったか、懸念されることはなにかなどを、冒頭に簡潔に説明する必要があります。過去に報告したことを相手が忘れているような時も、「おさらい」することで話がスムーズに進む場合もあります。
また、打合せの相手が他業界の人の場合、業界用語を使うのは避け、「誰にでもわかる」レベルで話をするなど、一定の配慮や工夫が求められます。
ビジネスコミュニケーションに役立つテクニック
この章では、ビジネスコミュニケーションを発揮させる支援テクニックをいくつか紹介します。
ビジネスにおいては、双方が利益や動機を持っている場合、基本的には双方のビジネスの成功に向けたコミュニケーションがなされますが、中にはコミュニケーションがもとで失敗してしまうケースもあります。
ビジネスコミュニケーションの多くの失敗は、誤解です。
といっても実際には、コミュニケーションは誤解の連続であり、たった一度のコミュニケーションによって理解ができること自体不可能です。
だからこそ理解されていないという前提に立ってコミュニケーションを行うことで、全てではないにせよ多くの問題が解決されます。
主張と根拠を整理する
主張と根拠を整理する手法としては、「三角ロジック」が良く使われます。三角ロジックとは、主張、論拠、データの3つの要素から成り立っています。主張は議論の中心となる立場や意見を示し、論拠はその主張を支持する根拠や理由を示し、データは客観的な事実や証拠を提供して、主張や論拠を裏付けます。この三角形の構造は、論理的かつ体系的な議論をする際に非常に役立ちます。主張だけでなく、その主張を支持するための論拠とデータを明確に提示することで、自分の意見をより強固に裏付けることができます。三角ロジックを意識して議論を行うことで、より効果的なコミュニケーションや意見交換が可能となるでしょう。
自分のソーシャルスタイルと相手のタイプに合わせて伝える順番を変える
欧米式のビジネスコミュニケーションの、「ソーシャルスタイル理論」は、まず結論から入るのがセオリーです。
このソーシャルスタイル理論はアメリカの産業心理学者、デイビット・メリル氏とロジャー・レイド氏によって1960年代に提唱され、大きく分けて4つに分類されます。
- アナリティカル型:意見を聞き、感情を抑えた話し方をする
- ドライビング型:意見を主張しつつも、感情表現は控えめ
- エミアブル型:意見を聞き、感情表現が豊かなタイプ
- エクスプレッシブ型:意見を主張し、感情表現もしっかりとおこなう
ただし日本では状況や相手に応じて柔軟に対応したほうが良いでしょう。
同じ話題でも、相手によって話す順番を変えた方が受け入れられやすい場合もあります。
たとえを使ってイメージを共有する
「東京ドーム〇〇個分」「琵琶湖〇個分」「ビル〇階ほどの高さ」「学校のプール〇杯分」などといったたとえは、みなさんもよく聞いたことがあるでしょう。
たとえ話を上手に使えば、初めて聞く話も分かりやすく伝わります。
ただし、上手に使いこなすには、慣れとコツが欠かせません。日頃からニュース記事などで時事情報にアンテナを巡らせ、そこで用いられているたとえ話をチェックする、自分でもたとえ話を考えてみる癖をつけておきましょう。
パロット、パラフレーズ
パロットとは日本語でいうと「オウム返し」。「昨日商談で品川に行ったんですよ」「そうなんですか、品川に」といった具合に、相手が話した言葉をそのまま使って言葉を返す話法です。さらに相手の意図を整理してまとめ、要約したり、別の言葉で言い換えたりするのがパラフレーズです。
例)
「Aさんは最近別の案件が立て込んでいるし、Bさんは一度先方の担当者とトラブルになっている。君なら他のプロジェクトメンバーの中で最も経験値が高いし、適任だと思うんだ」
「つまり、Aさんはこのプロジェクトの責任者ではあるが実際の指揮監督は難しい状況。今後は私が実質のリーダーの役割を担うという理解で合っていますか?」
パラフレーズは、相手に対して「ちゃんと話を聞いてくれている」という安心感を与えるとともに、話の前提を揃えるのにも効果を発揮します。
聞かれたことに応える
上司や部下、同僚、友人、家族など、さまざまな人々から質問や要望を受ける機会は日常的にあります。いずれの場合も質問の意図を理解することが重要で、相手が何を求めているのか、どのような答えや行動を期待しているのかを会話の中から把握することは、円滑なコミュニケーションのために欠かせません。相手の話をよく聞き、あとあとになって勘違いがないように疑問に思うことはそのときに確認することが必要です。また、自身の意見や感想を述べるだけでなく、相手の立場や視点を考慮することも重要です。他人の意見や要望を尊重し、共感や理解を示すことを心掛けましょう。
相手に何をしてほしいかを先に伝える
伝えたいことが相手に明確に伝えることで、円滑なコミュニケーションが実現し、仕事の進行もスムーズになります。
相手が忙しい時には、短く要点をまとめたメールや電話で伝えるなど、相手の状況に合わせた伝え方を心掛けましょう。
また、伝えるタイミングにも気を配ることが重要です。
相手が集中している時やリラックスしている時に伝えることで、相手もより注意深く伝えた内容を受け取ることができます。
相手に何をしてほしいかを先に伝えることは、ビジネスコミュニケーションにおいて非常に重要なポイントです。明確な目的を持ち、わかりやすく伝えることで、円滑なコミュニケーションを実現し、仕事の効率化にもつながります。
相手が行動しやすいようにする
ビジネスだけに限らず、誰かとコミュニケーションを取る際、相手が心を開いてくれるように無意識に努めていることが多いのではないでしょうか。
相手の気持ちや状況を理解し、適切に対応しようとして相手の言葉や表情に反応し、それを繰り返したり、相手が喜んでいることに対してはお祝いの言葉を、悲しんでいることに対してはいたわりの言葉を伝えたりしています。
このように相手の気持ちに寄り添うことが、行動から伝わり、自分の意思を受け入れてもらえると感じる非言語のコミュニケーションが交わされています。
相手が行動しやすいようにするためには常に相手の立場に立ち、思いやりのあるコミュニケーションを心掛けることが大切です。
誠実な態度・対応をする
誠実な態度・対応をすることは、人間関係や仕事の成功において欠かせないため、顧客や取引先との関係においても重要です。
相手の立場や要望に真摯に向き合い、適切な対応をすることで、信頼を築きます。誠実な態度と対応は、顧客満足度を高め、ビジネスの成功に繋がります。
また自分自身に対しても真摯な姿勢を持ち、自己啓発に努めることで、能力の向上や目標の達成につながります。自分の言動に責任を持ち、公正で正直な姿勢により信頼関係が築かれ、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
まとめ
ビジネスコミュニケーションに必要な力、実際に使えるテクニックについてご理解いただけたでしょうか。せっかく覚えたノウハウですから、今度はオフィスで実際に使っていきましょう。
電話での問い合わせに対する形式的な対応など、最初は小さなことからはじめ、だんだんとレベルを上げて会議でのプレゼンなどに活用してみてはいかがでしょうか。まずは「習うより慣れよ」です、はじめの一歩を踏み出しましょう。
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よくある質問
- ビジネスコミュニケーションに必要な力は何ですか?
・伝える力
・聞く力
・前提を揃える力
株式会社ソフィア
先生
ソフィアさん
人と組織にかかわる「問題」「要因」「課題」「解決策」「バズワード」「経営テーマ」など多岐にわたる「事象」をインターナルコミュニケーションの視点から解釈し伝えてます。
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