INTERVIEW

お客様インタビュー

お客様インタビューvol.13
「株式会社EPクロア:ラーニングエクスペリエンスデザインの手法を生かした社内研修の内製化支援」

株式会社EPクロア
経営統括本部 人事部
人材開発室 室長
置田淳夫さん(写真中央)
株式会社 ソフィア
近田真樹(写真左)
幾田一輝(写真右)

インタビュー実施日:2022年1月28日

在宅勤務やテレワークの導入が進み、研修のスタイルも変わりつつあります。医薬品開発のさまざまなプロセスにかかわる業務受託事業を展開しているEPクロアでは、コロナ禍を契機に階層別研修をオンライン化する取り組みがスタート。それに対してソフィアはラーニングエクスペリエンスデザインの手法を生かした研修の企画と、実施の支援を行いました。
EPクロア人材開発室室長の置田さんが、研修支援を担当したソフィアのメンバーとともに当時の様子を振り返ります。

研修をオンライン化しようと思っても、経験のある人がいなかった

置田さん
もともとソフィアさんには経営企画部門がインナーコミュニケーション調査や社内報制作でご支援いただいていました。その縁もあって研修の実施をお願いするようになり、次第に、実施以外の支援もいただくようになってきました。
例えば、「自分たちで考えて行動し、ちょっとした挫折や悩みを乗り越えて成長する」といった内容の新人研修を企画したい、と考えながら、それをどのように企画・実施すればよいのかわからず非常に悩んでいました。新人研修以外にも、人材開発関連の仕事全般において、考えて企画すべきことが多々あったので、2021年から隔週でソフィアさんと会議の場をセッティングしていただき、われわれの悩みを聞いてもらい、アドバイスをいただくようになったのです。

幾田
置田さんとはTeamsでつながっているのですが、チャネルの数がたくさんありますよね。
置田さん
解決すべき課題が沢山あって、テーマごとにチャネルが増えてしまうんです。研修の方法のほかに、研修講師の問題もありました。当社には階層別研修でそれぞれ30~40のカリキュラムがあり、大半を内製化することが決まっていたのです。ただ、社内で教えられる人を探すのも一苦労。適任者がいても、最初は引き受けてくれるのですが、次回以降になるとどうしても本業が忙しくなり、実施が難しくなるので、研修の担い手がなかなか見つからないことも悩みの種でした。
これには抜本的な対応が必要と考え、日々のアドバイスとは別にしっかりご支援いただくことを依頼しました。
近田
「変えたいけれど、変える時間もないし考える時間もない」というジレンマがあったんですよね。置田さんが希望されていたのは、「研修講師の負荷は軽減しても、研修の効果は落としたくない」ということ。であれば、知識については既存の動画コンテンツで学んでもらい、講師には生の人間にしかできないアドバイザーとしての役割を担っていただき、受講生のフォローをしていただければいいのではないかと考えました。

Eラーニング×実践×振り返りで、受講生が主体的に取り組む仕掛けをつくる

置田さん
動画コンテンツは「Schoo」という動画サービスの法人向けプログラムを契約し、研修としての肉付けをソフィアさんにお願いしました。
多数の社内研修を作り変えなければなりませんが、まず、今回テスト的にファシリテーションのスキルを学ぶ研修に絞って作成していただきました。最初に、社内講師と一緒に、受講生に見てもらうファシリテーション関連の動画コンテンツを選定しました。
近田
一般的にはファシリテーション研修は標準パッケージで提供されていますが、ソフィアでは、EPクロアさんに適した研修にするために、Schooの教材を活用しつつオリジナルな流れを組み立てています。「こうなりたいな」と思うところから始めて、「方法を学ぶ」「業務で使う」「できたという達成感を得る」という一連の体験がひと月でできるような流れを設計しましたが、そこに至るまでには苦労しましたね。

幾田
まず、「サービスブループリント」と呼ばれる研修全体の設計図をまとめる作業を置田さんたちと一緒に行いました。また、受講生や講師の方に時間をかけて丁寧に趣旨を説明して理解していただくことに心を砕きました。この研修は従来の研修とはまったく異なるスタンスのものなので、当事者をみんな巻き込んで研修をつくりあげていくプロセスが大事だったと思います。
置田さん
この研修では自分で時間を見つけて動画を視聴し課題に取り組んでもらわないといけないので、参加者のマインドセットが重要でしたね。私はソフィアさんのHPにあるさまざまな読み物を読んだりセミナーを受けたりしていたので、どのような研修になるか鮮明にイメージができていたのですが、受講生を含め周りの人は、最初はイメージがなかなかわかなかったようです。幾田さんには丁寧に説明していただき助かりました。
幾田
「受けて終わり」ではなく、「学びを実践で使えるようにするため、自分で課題設定をして主体的に研修に関わっていく」という建てつけにしているので、最初は戸惑いがあったのかもしれませんね。
置田さん
たとえば、自転車でも最初のひと漕ぎは力を入れないといけませんが、いったんペダルが回り始めると楽になりますよね。この「最初のひと漕ぎ」をつくるために、事務局で毎日ショートミーティングを開いて「あの人にリマインドかけよう」「この人はあまり進んでいないようだから上司に連絡をとろう」と、一人ひとりの進捗状況を見て細かくフォローをしていました。幾田さんとも週1回の定期的ミーティングをしてアドバイスをいただくとともに、毎日のように綿密な連絡を取り合っていました。

研修での学びを実践することで周りの意識まで変えた

置田さん
受講生のアンケートではさまざまな感想が出てきましたが、一番印象に残っているのは「会議のファシリテーターになったので、研修で学んだことを会議でやってみた」というものです。周りの人に「司会進行の仕方がいつもと変わったね。どうしたの?」と驚かれたので、Schooでファシリテーションを学んだことを話したのだそうです。そのように、実際に目の前にいる人が社内研修で能力が向上した姿を見ると、周りの人も関心を持ちますよね。これは、研修によって周りの人にも関心を持ってもらい、良い波及効果を与えた好例ではないでしょうか。そのほかにも、「今度実際に学んだことを実践してみたい」「勉強になった」などの声もありました。
幾田
人材開発なので「個人のスキルとノウハウを伸ばしましょう」というところがゴールではあるのですが、「会議の参加者がファシリテーションというものの存在を知らなければ、ファシリテーションを学んでもうまくいかない。だから、組織自体を変えてこそ個人のファシリテーションのスキルが活きて会議も変わるのではないか」と指摘するコメントがあり、思わずうなってしまいましたね。そこが、先ほど置田さんの紹介してくださったような方がさらに学びを深めていただくための「発展形」の研修を企画するヒントになるのではないでしょうか。

近田
確かにそのとおりです。たとえばファシリテーターとしての腕を磨こうと思えば、それができる場所と空間が不可欠ですし、会議の参加者全員がファシリテーションの役割について知っておく必要がありますね。
幾田
そうなんです。人材開発や研修の域を超えるかもしれませんが、研修で学んだことを実践してみた方には、次の段階として自分のスキルだけでなく周りの人たちのスキルを高めるための研修を用意してもいいかもしれませんね。周りの人たちの意識をどう高めていくかということを学べば、個人だけでなく組織全体のレベルアップを図れると思います。そういう取り組みもできると面白そうです。
置田さん
研修とは別の話になりますが、当社では社員が全員参加する合宿研修を毎年実施していて、そこでは複数回に分けてどの部署の社員も全員同じワークをするんですよ。すると、それが共通体験として社員全員の根底にあり続けるので、クロア合宿は人材開発というより組織全体のレベル感を高める組織開発に近いかもしれません。そういう意味では、われわれ人材開発室で行っていることは人材開発でもあり組織開発でもあるといえるでしょうね。

2年目は人材開発・組織開発の更なるチャレンジに期待

置田さん
今回の研修企画を支援いただきながら、われわれ自身の研修に関する考え方も変わってきました。「私教える人・あなた教わる人」という関係ではなく、「みんなのなかにある学びを引き出す」を目的とした企画の仕方が人事部の中に定着し、合宿研修やほかのワークショップでも応用できるようになってきたことを実感します。他社の人事の方にさまざまなお話を聞いて人材にまつわるお悩みを解決してきたソフィアさんだからこそ考えること、言えることがあるのではないかなと思います。今後も期待しています。
近田
置田さんとはTeamsでずっとつながっているので情報が常に入ってきていますが、何かお困りごとや課題になっていることがあればいつでもご相談ください。思考を整理したいときの壁打ち相手に使っていただいてもかまいませんから(笑)。
置田さん
ありがとうございます。この1年で、研修やクロア合宿も含めさまざまなことを相談させていただきました。ともに企画をつくりあげていただいたこと、本当に感謝しております。1年経って研修のサイクルも1周して、受講生のアンケートなど生のデータの蓄積もできました。今年から2周目に入るので、そういった生のデータを見ていただきながら昨年ともにつくりあげてきたものを振り返り、改善したりバージョンアップしたりする必要が出てくると思います。今後はそういうところで引き続き支援をお願いしたいですね。
近田
最近は答えのないことが多すぎて他社事例がなかなか通用しない時代になっています。これからもさまざまな課題が出てくると思いますが、当社としてもスピーディーかつ柔軟に対応していきます。
幾田
EPクロア人材開発室の皆さんは、皆さん攻めの姿勢で、新しいことをどんどんやっていこうという気概を感じています。今後もしっかりご支援していきたいです。
置田さん
ありがとうございます。

(インタビュー、文:大澤美恵 写真:山本雅世)

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