「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会:支援者とのつながりを創るSNS運用強化と内製化支援」
- 認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会
- 常務理事兼事務局長 奥寺憲穂さん(後列右から2人目)
- 募金開発グループ 清水大輔さん(前列中央)
- 広報・啓発・教育グループ 乙津俊輔さん(前列右端)
- ドナーケアグループ グループ長 高橋昌裕さん(後列右端)
インタビュー実施日:2023年9月1日
認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会(以下JCV)は2021年からInstagram活用強化に取り組んできました。ソフィアでは、ハートに関連した写真や動画に#ハートアクションを付けてInstagramに投稿すると、投稿1件につきポリオやはしかなどのワクチン1人分が途上国の子どもたちに贈られる「小さな幸せ、ひとつのワクチン」チャリティーキャンペーン(以下ハートアクション)の企画実施や、Instagramの運営内製化等を支援しています。ご担当者の方々とともに、これまでの活動を振り返りました。
支援者とつながり、共存するためのSNS
プロジェクト開始の経緯を教えてください
- 奥寺さん
- 私たちの活動をとにかく知ってほしい、ということで2019年頃からプロモーションに力を入れてきました。その中でCMやBS番組を制作したりもしましたが、マスメディアの告知力に限界を感じ、デジタルでの告知を強化していくためにプロの力を借りたいと思っていました。
- 清水さん
- ソフィアさんには2019年にSDGsセミナーに参加したことをきっかけにご連絡をいただき、1年くらいじっくりと相談に乗っていただきましたよね。
- 髙橋さん
- 当団体は企業による支援(寄付)が多いという特徴があるため、当初はSDGsを切り口に支援者とのつながりを深めようと考えていましたが、ソフィアさんと相談する中でSNSを介して既存支援者とのつながりを深め、かつ新規支援者を増やすという活動に焦点を当てることにしました。実はこれまで外部コンサルに依頼をしてもなかなか納得する成果を得られなかったのですが、ソフィアさんは辛抱強くこちらの話を聞いてくれ、そのたびに飽きずに新しい提案をしてくれました。そうしたやりとりの中で「ソフィアさんとなら新しい価値が生み出せるかもしれない」と思ったんです。
- 宇佐美
- ありがとうございます。ソフィアは組織内コミュニケーションの活性化を本業としていますが、皆さんのお話を伺う中で「支援者は単に寄付をしてくれる人ではなく、共存していく存在なんだな。支援者を含めてJCVなんだな」と実感し、組織内コミュニケーションの知見を活かすことができるのではと考えました。またNPO法人からご依頼をいただく機会はなかなかないので、当社としても新たな試みができそうだなと感じました。
ユーザー目線に立ったキャンペーンで 関連投稿が24倍増
プロジェクトの具体的な内容と成果について教えてください
- 乙津さん
- まずはJCV週3回、ソフィアさんで週2回ずつInstagramの投稿を行い、互いにアイデアを出し合って投稿の質を改善していくことから始めました。また2021年秋からはハートアクションを実施しました。Instagramのフォロワーを増やすためにも、なるべくハードルが低く、手軽に参加できる取り組みにしたいという思いがあり、ハートに関連した投稿がワクチン寄付になるキャンペーンを行うことになりました。2022年には関連投稿数(#ハートアクションを付けて投稿された数)が10,000件を越え、昨年対比24倍増という成果を得ることができました。さまざまな層の方が参加してくださったことも印象的でした。
- 冨澤
- 現在Instagramは発信力のある若い世代を中心に生活の一部になりつつあるSNSプラットフォームであり、双方向性やアーカイブ性が特徴的です。一方、企業や団体が発信するInstagram投稿はその企業・団体が発信したい内容中心で、ユーザーが知りたい内容と乖離がある場合が多く見受けられます。まずはユーザーとの共通の話題を発信し、見たいと思える投稿を作ることを大切にしました。またソフィアを介さずとも質の高い投稿ができるよう、内製化のご支援を行いました。具体的には全10回の勉強会を通して、操作方法やデザインの基礎知識、戦略の立て方をレクチャーしました。また毎回課題に取り組んでいただいたり、翌週に実際に実践してみたりすることで、確実に身に付けていただけるようプログラムを組みました。
- 乙津さん
- 内製化勉強会を通して、ユーザーにより伝わりやすい投稿が作れるようになっただけでなく、全体の統一感も出せるようになりました。たまたま投稿が流れてきても「これってJCVの投稿かな」と思ってもらえるようなJCVらしさが出てきたのではと思っています。技術的にも自分が作りたいものを形にできるようになりました。
- 宇佐美
- 実は活動の中で「この投稿はもっとこうすべき」という意見も率直に包み隠さずお伝えしていました。正直なところ、気を悪くされたりはしなかったですか?(笑)
- 乙津さん
- そんなことはないですよ。実は以前塾で働いていた経験があり、教える側の気持ちもよくわかりますし、自分が知らないことがたくさんあるというのも理解しています。知らない部分は分かる人からアドバイスをもらうべきだと思っています。
支援者との絆を強めるコミュニケーションを
今後の展望について教えてください
- 乙津さん
- Instagramはタイアップ協力をいただいている支援者の活動を、世の中のいろいろな方に伝えるツールにもなっています。当団体の支援企業では「ラーメンが1杯売れるごとにワクチン1本を支援する」など自分たちでルールを決めて、さまざまな取り組みを行ってくださっています。そうした活動を紹介することで支援企業の売上にもよい影響を及ぼし、当団体への支援も増えていくという好循環が生まれます。今後もInstagramの運用に力を入れ、仲間を増やしていきたいです。
- 宇佐美
- 他の接点も強化したいというお話をいただき、いまYouTubeにも定期的にコンテンツを投稿しようというお話をさせていただいていますよね。
- 清水さん
- JCVの活動内容について、動画を通してお伝えできないかと思っています。どんな情報を提供すればいいのか、Instagram同様ソフィアさんと相談しながら作っていきたいです。
- 奥寺さん
- 私たちの目標は明快で、寄付を少しでも増やして、途上国の子どもたちに届けるワクチンを少しでも増やすことです。ただ時代の変化の中で、従来のように「尊い活動をしよう」を訴えるだけでは響かなくなってきたと思います。私たちに共感し、一緒に何かに取り組んでもらうことで、楽しみながら支援をしてもらうという行動と共創にフォーカスした方式が、これからの時代の支援の形ではないでしょうか。ソフィアの皆さんは、まさに私たちに共感し、楽しみながら一緒にプロジェクトに取り組んでくださっています。私たちが目指しているステークホルダーとの関係性が、ソフィアさんと築けているのがすごくありがたいです。
遠慮なく意見を言い合えるパートナー
ソフィアへの印象や今後期待する点について教えてください
- 清水さん
- 初めは施策の検討に時間がかかったので、途中で諦めて来なくなってしまうんじゃないかと思っていたのですが、しっかりとフォローしてくださり、粘り強さを感じました。今ではすっかり楽しく頼もしいパートナーです。
- 乙津さん
- 初めの頃はコロナ禍でオンライン会議だったので、まだクライアントと受注者という感じでお互い少し遠慮があったかなと思います。今ではお互い意見を言い合える関係になりました。もっと壁を取り払っていろいろと相談していきたいなと思います。
- 髙橋さん
- ソフィアさんをパートナーに選んだ理由の一つは、ビジネスとして割り切らず、私たちの活動を理解して受け入れてくれる姿勢を強く感じたことです。今後もお互い、さらに遠慮を振り払って意見を出し合っていければ、子どもたちのためによりよい活動ができるのではないかと期待しています。
- 奥寺さん
- 私がパートナーに求めることは①NPOの限られた予算の中でしかるべき成果を出せるか ②自分ごととして考え、フランクに意見を言い合いながら、もう一歩いいものを創ろうとしてくれるか ③楽しく仕事ができるか の3つです。ソフィアさんはその条件を満たしていますし、ビジネスだけに終わらない、間違った部分があれば遠慮せずに意見を言い合える関係性だなと感じています。私はこういう関係がすごく好きなんです。今後もますます一緒にやっていけるようお願いしたいです。