「富士通株式会社:マテリアリティ動画制作支援 理解促進と現状把握を同時に実現」
- 富士通株式会社
- CEO室 Sustainability Division
- 遠藤 憲さん(写真左から2人目)
- 遠藤 早苗さん(写真中央)
- 高山 あか理さん(写真右から2人目)
インタビュー実施日:2024年6月11日
富士通グループでは2023年、ビジネスを通じたお客様・社会への価値提供という観点を取り入れ、マテリアリティ(企業が持続的に成長するために優先的に取り組む重要課題)の改定を行いました。Sustainability Divisionでは新たなマテリアリティの社内理解を促進するため、動画コンテンツを制作しました。担当メンバーの皆さんに制作に至る経緯や成果について伺いました。
マテリアリティをアクションに繋げるために
まずSustainability Divisionの皆さんの業務内容について簡単に教えてください
- 遠藤 憲さん(以下、憲さん)
- 私たちは富士通のサステナビリティの専門部隊として、関連する活動をリードする立場であり、パーパスやFujitsu Wayを中心に社内へのプロモーションに取り組んでいます。最近はサステナビリティと事業を一体化して推進していく上で、社員の方に動いていただくためにどうしたらよいかを考え、実行しています。
ソフィアを知ったきっかけについて教えてください
- 遠藤 早苗さん(以下、早苗さん)
- サステナビリティの社内プロモーションを考える中で、「社内コミュニケーションを専門にやっている会社があるのでは?」と思ってインターネットで検索したのがきっかけです。セミナーに参加させていただき、その後22年4月から当部署でパーパス・Fujitsu Wayに関する業務を引き継ぐことになったことで、具体的に相談をするようになりました。そこからしばらく色々と悩み相談に乗っていただきました。
- 憲さん
- その中でマテリアリティ(重要課題)のプロモーションが必要だという話になりました。パーパス・Fujitsu Wayを実現するために、どこに重点を置いてリソースを投入していくかを定めたのが当社のマテリアリティです。「業務とどう繋がるかわかりにくい」と思われがちなパーパス・Fujitsu Wayと、社員の業務とを繋ぐ概念としてマテリアリティを理解し取り組めるようにしたいと考え、津川さんたちと何度も話を重ねていきました。
- 津川
- お話する中で最初に出てきたのが「色々施策を考えるけれど、現状を把握できないから決め手がない」というお悩みでしたよね。一方で最近は社員のサーベイ疲れも問題になっていて、気軽に全社アンケートを取るのも難しい傾向にあります。そこで教育コンテンツを出して、視聴者を対象にした事後アンケートから現状を把握しようというアイデアに繋がりました。
- 早苗さん
- 本業で忙しい社員も短い時間で見られるよう動画という形を選びました。マテリアリティについて「よく理解できない」「なぜ作られたのか経緯を理解したい」「自分たちの業務と結びつけたい」という声があったことを受け、理解・経緯・実務での落とし込み方の3本立てで制作しました。制作する際にはとにかくわかりやすいこと、アクションに繋げやすいことを意識して、お客様のマテリアリティの調べ方や、会話のつなげ方などの具体的な知識も盛り込みました。
- 憲さん
- 「どこかの部署が決めたこと」「経営トップが決めたことを粛々とやる」ではなく、一人ひとりが「自分たちの業務の中でどう落とし込んでいくべきか」まで考えないと、絵に描いた餅になってしまいます。できるだけ社員の業務に近づけて説明することを意識しましたよね。
第三者目線を持ちつつ、ともに走るパートナー
施策の効果はいかがでしたか?
- 早苗さん
- 動画についてはおしなべて「わかりやすい」と高評価をもらえました。他部署から「こういう動画ってどうやって作るんですか」という問い合わせがあったり、社内の広報連携会議でも「このやり方いいですね!」とすごく盛り上がりましたね。アンケートの回答も1,900件を超えており(取材日時点)、フリーコメントでは「やっと理解が進んだ」「業務でやっていくべきだと思った」という前向きな声もたくさんいただいています。自分の業務につなげるためにどうしたらよいかアイデアをくださる方もいて、現在はそのアイデアをもとに施策を考えたり、属性分析をして年代別のアプローチなどを模索したりしています。
- 津川
- それだけの生の声を集められているのは大きな成果だなと思います。アンケートの結果を根拠に施策を考えられますし、社内で企画を通す際にも説得力が生まれますよね。
施策を進める上で、苦労した点はありますか
- 早苗さん
- 一番時間がかかったのは動画で語る内容を整理する部分です。社員の方々にマテリアリティという概念をいかにわかりやすく伝えるかも重視しつつ、私たちも想いがあるのでなかなか案が固まらなくて……。だからこそ逆に、ソフィアさんに第三者目線で作っていただくことに価値があったと思います。極論を言えば自分たちでもできる業務なんですが、私たちは伝えたいことが前面に出てしまい、どうしても一方的な説明になってしまうんです。
- 憲さん
- 社内では「自分たちで対応したほうがいいんじゃないか」という意見もありましたが、私は専門家に任せたほうがよいものができると思っています。また外部パートナーと仕事をするとはどういうことなのか、今回の案件を通してチームの若手メンバーに経験してスキルアップしてほしかったという思いもありました。
- 早苗さん
- 私は前職でコールセンターにいたので、多くの外部パートナーと仕事をするのが当たり前の環境でした。契約上は発注先ですが、あくまで同じ目的に向かって一緒に働くパートナーという感覚です。憲さんもおっしゃっている通り、メンバーにも良い経験になったのではと思います。
- 竹内
- 私たちも伴走という言葉をよく使わせていただくのですが、Sustainability Divisionの皆さんはまさにその感覚で一緒に仕事をしてくださり、こちらも自然と「その気持ちに応えたい」と良い仕事ができたと思います。スケジュールとしてはタイトな案件でしたが、フィードバックも素早く正確に行っていただき、とても助かりました。
- 津川
- 今回の場合、社員の方に何か新しい情報を提供したわけではなく、以前から社内にあった情報をまとめたに過ぎないんです。でも分散している情報をまとめ、文脈で整理することで、新たな価値が生まれたんですね。その点で私にとっても大きな学びのあるプロジェクトでした。
社員一人ひとりの理解と行動をサポートする活動に終わりはない
今後の展望や、ソフィアに期待する点について教えてください
- 早苗さん
- 社内でのサステナビリティにかかわる取り組みが様々ある中で、組織が大きいこともあり、それぞれの施策がバラバラに動いてしまっている部分があります。より連携を意識しながら、社内に共感の輪を広げていきたいです。またFujitsu Wayと絡めつつ、マテリアリティの具体的な事例も展開していきたいと思います。
- 憲さん
- 今回初めてソフィアさんと仕事をし、社内コミュニケーションをしっかり取ることは、盲点だなと感じました。これまでは経営層の言葉に現場が唯々諾々と従う、というのが当たり前でしたが、これからはそうした考え方だけでは絶対にうまくいきません。サステナビリティをビジネスとして展開していくために、社内でどうコミュニケーションをとるべきか、引き続き相談に乗っていただけると嬉しいです。
- 早苗さん
- サステナビリティを事業として取り組んでいく中で、トップが伝えたいことと、社員1人1人の理解をサポートし、自らの行動につながるような活動は今後もずっと続いていくと考えています。インターナルコミュニケーションのプロであるソフィアさんに、今後もアドバイスいただきたいです。